あの頃他の人達が下さった お気に入りの あの詩も 横っ面を張られた あの言葉も 全てを忘れ置いて 私は大人になってゆくの? 振り返りを禁じられたくらいで 大事なものを大事なものから ほろほろと落としてしまうような そんなちっぽけな掌で 大人の私は何を掴もうというの?
穏やかな太陽が目を閉ざし 闇を纏った夜が来る お前の母は闇に囚われ もうすぐその手の力は尽きる お眠りよ 愛しい子 泣くのはお止め 風はお前を撫でようと身を振るう 闇を纏った夜は居座り 煙管の煙に泉が凍てつく お前の母は闇に囚われ もうすぐその声の響きは絶える お眠りよ 愛しい子 泣くのはお止め 木々はお前を宥めようと身を揺する
息を吸って 息を吐いて 上手にできて偉いねって 誰か褒めてよ。
秋雨は私の頬の熱を奪って けれど真っ直ぐアスファルトに砕けた ねぇ、ほら ぐずぐずしてたら冬が来てしまうよ 焦れた私の指の熱を奪って 漸く彼はプルメリアを揺らす 無口な彼の口付けに 乙女は そっと はにかんだ
剥き出しの二の腕へ ひたりと迫る冷気の中に 例えば走る古傷のところから 溶け出してしまえればいい 仄暗い虚空を見詰めて そんなことを考えていたら 本当に凍った様な身体が 端から生を放棄して たった今 貴方が此処へと乗り込んで あの怒声を響かせて そうして私を叱ってくれなければ 私、もう一時だって 耐え切れそうにないの
きみとぼくとはよく似ていて、 ぼくはきみに敵わない。 って云うのは、とても素敵なことだ。
焼きたてのメロンパン 大好きな魔法の国 フランス映画の最新作 貴方のくれた約束たちは いつだって出任せの出鱈目で 遂げられる可能性なんて端からなかった だけど それで構わなかったの もしかしたらの 万が一の そんな薄っぺらな希望だけで その場凌ぎても 喩え嘘でも 交わしてくれた事実だけで 私は宙を舞えたから
痺れるまで語った頬を 照らした空の白縹 さよならを持て余した腕が 掻き混ぜた空気の柔らかさ 冷たく湿った指が絡んで 同じタイミングで吹き出した 朝御飯、食べに行こうか はにかんだ君の頬を 艶めかせる空の白縹
例えば 一生触れる事のないものと 思っていた貴方の御手に 触れたとしたなら私の心は はんなりと浮き立つだろうか それとも案外 強張ってしまうのだろうか
愛してくれる人を 愛してくれているように愛せたなら 愛している人に 愛しているように愛されたなら 私は、もっと、