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星談議

A「夏の大三角は、ベガ、アルタイル、あと何だっけ?フォーマルハウト?」
B「馬鹿、それは南の魚座だ。デネブだよ。むしろよくフォーマルハウト知ってたな」
A「そうだったね。じゃあ、冬は?」
B「シリウス、プロキオン、ベテルギウス」
A「じゃあ春」
B「アルクトゥルス、スピカ、デネボラ」
A「じゃあ秋は?」
B「ペガスス座の星4つが秋の大四辺形ってことになってる」
A「じゃあ、冬のダイヤモンド、全部どうぞ!」
B「リゲル、シリウス、プロキオン、カペラ、ポルックス、アルデバラン」
A「おー。さすがだ。けど僕は、他のどの三角形よりも、冬のダイヤモンドが一番好きだな」
B「ほう。その心は?」
A「だって、ただでさえ綺麗な冬の星を、6つ並べてダイヤモンドに喩えてるんだぜ。これ以上無くロマンチックってもんだろう?」
B「そうですね」
A「なぜ敬語?」
B「いやさ、冬のダイヤモンドのポルックスって星あるじゃん?双子座の弟サイド。神話でも兄に先立たれて、ダイヤモンドでも兄さんと分断されるって、ちょっと可哀想だな〜、て思ってさ」
A「君はそんなことを考えて生きてたのかい?」
B「それが何?」
A「星が綺麗で素敵だね、それで終わりで良いじゃないか」
B「お前はものを考えなさ過ぎなんだよ」
A「君こそ難しく考え過ぎだぜ。もっと楽天的に生きろよ。シンプルは美徳だぜ」

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或る自殺志願者の説得

自殺志願者(これ以降は志願者と略す):
唐突ですが、この世界に絶望しました。死にとうございます。
説得者:本当に唐突ですね。
志願者:自殺をすると地獄に堕ちるらしいのですよ。死んだ後も辛い思いするとか真っ平なので、どうか私を殺してください。
説得者:殺人罪はかなりの重罪なので嫌です。
志願者:じゃあ、自殺幇助あたりで何とか。
説得者:結局犯罪じゃねーか。
志願者:じゃあ、どうすれば良いのさ。
説得者:簡単だ。生きれば良い。人は生きればいつか死ぬ。
志願者:それが面倒くさいっつってんだよ。
説得者:そう言うなよ。小説だって、悪いことがあった章の次の章には良いことがあるだろ?
志願者:「赤いくつ」
説得者:命は助かるじゃん。
志願者:「とっぴんぱらりの風太郎」
説得者:良いことがある章もあっただろ。
志願者:「人間失格」
説得者:う……あ、あれは…例外だから……
志願者:良いか君、これは現実なんだよ。
説得者:そう言わずにさ、生きてれば良いことあるよ。
志願者:今のところ嫌なことばっかりだよ。
説得者:僕という友人が居るじゃないか。
志願者:君、良いやつだな。
説得者:と言う訳でさ、死ぬなんて剣呑なこと言うなよな。
志願者:だが断る。
説得者:ここで使っちゃ駄目だろ。
志願者:あ、そろそろ門限だから、今日のところは帰るわ。絶対に明日は殺してもらうぜ。
説得者:嫌だね。
志願者:サラバ。また明日。
説得者:……少なくとも明日までは生きている訳だな?
志願者:あ………
説得者:………
志願者:………
説得者:…まあ、何だ、じゃあな。
志願者:お、おう。