光るものすべてが金ではないように 美しきものすべてが詩ではないとすれば ぼくは詩人ではなかったのかも知れないね ただ美しいものがすきで、みたものを写すキャンバスをことばのほかに知らないだけ ただ美しいものを知りたくて、ひらいた扉がたまたま此処だっただけ でも詩とはいちばん美しいことばのことだって信じているから、きっといつかは詩人になりたい
見慣れぬ天井、積まれた段ボール きのう見つけた宇宙でくらす ドアの向こうは知らぬ街 一つずつ封をしてきた生活感 布団いちまいだけの部屋 目を瞑れば、ひとり (20年も引っ越しをしていないと云うのに、まるで引っ越してきたかのような部屋で眠ります。)
風がふいて、春もなにもかも吹き飛ばしておくれよ 家も街も電線も揺すって、ごみも葉っぱもなにもかも転がして そのまま黒潮にでものっていけよ、どこかへいってしまえよ このままぼくも攫って、どこへでもいってしまえよ ねぇ、風がふいたら どこへいきたい?
ことばを 恥ずかしいことだと思わないで
ポエムとか書いてるの 私だけじゃないんだなって。 ちょっと安心した 少し涼しい昼下がり
あめ あめ ふり ふり きみtoぼく しと しと ぱら ぱら うちnoやね おや おや おは おは よるtoあさ さよ なら ばい ばい またaoね
文學と云ふものについて考える度、ぼくは決して文學者ではないと思ふ。 いわゆる表現者や創作者でもきっと、ないのだらうけれど、ならばせめて拾得者だとか、発見者でありたいと願ふことは、創作や執筆から逃れやふとすることなのか。もしくは詩を綴ることの意味を創造することなのであらうか。 とまれ、ぼくには文學のことはわからぬ。ただ活字を追ひ、ときに並べるだけの人生ならば、それもまた佳き哉と今は、思ふのである。
ニヤけたような口許に 鋸歯の先だけのぞかせて、 可愛いフリしていつだって 噛みつこうと狙う瞳の奥で きらりタペタム、緑に光らせて くらい海の底に、いつまでも なにを思うの?誰を想うの? 七つの鰓から吐息をゆらす きみの瞳に恋をした。
ぱらぱらぱら 目を覚ましたぼくは雨の音に包まれていた 家の前を通る車のいつもより大きな音 玄関を開け外へ 雨に覆われてもやっとした街の中 当てもなくひとり歩く
降ったり、止んだりします。 車が濡れたり、乾いたりします。 アスファルトがまだらに湿って そらが真っ白にひかる あめも、あめあがりも好きです。
知らないまま、おやすみ ぼくのことは忘れていてね きみのことばだけ、紡いでいてね だけどいつまでも、このままやさしい 夜が続けばいいと、今だけは信じさせて おやすみなさい (こんばんは、懐かしいひとにはただいま) (黙っていたけれど、実は昔いた誰かさんです。) (ちょっと気分新たに、また描いてます…) (昔みたいに巡回やレスができないのが悔しいけれど) (わかった人も知らないひとも、よかったらまた仲良くしてくださいな。)
笛に吹かれて、夢をみた。 つもりになって、眼をとじた。 おはようなんて、嘘を吐いた。 マッチを擦って、火を点けた。 せかいが歩き出す足音もきかず きみが起き出す物音もしらず ただ睫毛をあわせて、詩も描かず 誰にも知られずに、眠り続けたいと思った 朝
窓ガラスをたたいた 第二関節、行き止まり 驚いた後頭部 ぱくぱく 音のない笑顔 ねえ ガラスってこんなに邪魔だったかしら
ことばを残すたび詩と云うかたちに囚われることをいちど、休んでもいいのかも知れないと、いまふと思う。 ぼくもあなたも、もちろん美しいものが大好きで、それはたとえば今日の雨あがり、写真に残らない街の姿だとか、まばたきをする一瞬前の横顔だとか、誰にも教えずにしまい込む欠片を胸いっぱい、誰もがこぼさないように歩いてる。 だからきょうも、おやすみをそっと
深夜の闇からひっそり抜け出した黒猫 雲の隙間から出てきた月明かりが照らす ハーメルンの笛吹き男が連れていくのは 君を信じる心 これは春の風が見せる幻の夢のはず
ゆきがふって ゆめがふったの
今朝いろんな人が観たと云う、わるい夢の欠片をぼくも、ふた口かじったしかめ面で生きている。 飛び起きたベッドのゆれ加減や、かけ布団の手触りがあの幻をぼくに観させたのだと、一瞬のちに知った真っ暗な部屋のつめたさがまだ残る首筋にフードを寄せて 滅多に観ないくせにふるえているのさ
しっとり濡れたままの路を行く 朝、いちどワイパーで払っただけの窓 少しだけぬるい風はまだ重たくて なんだかみんな詩的にみえた朝、おはよう
置き傘とランドセル、戯れながら田舎道 雨粒とワイパー、せめぎあう窓ガラス しっとり空はねずみ色、どこからぽちぽち雨の粒 きみにふれふれ、とうめいな雨 (午後から雨ふりの日でした)
ふしぎな夢をみたの。 実在しない鉄道で架空の学校に通うゆめ… しらない車輌の二階にのって、慣れない鉄路に揺られるのが眠たくて、ねむたくて膝から読みかけの本を取り落とすゆめ。