水溜り弾くスタンスミス 五時の音楽がホラーに鳴って 文庫本の群れが山へと帰る 腕まくりで浮いた血管を 意味もなく褒める そう言えば って照れ隠して 顔を上げれば別れ道 姦しい胸中を悟ってよ 押して自転車 引いて後ろ髪
お風呂みたいな微笑みと 猫みたいな微睡みで つられて心やさしくなる 冷蔵庫が咳をして 君のしゃっくりが止まったら ちょっと真面目な話をさせて
ひとりのよるでもへいきなこころを あるがままをあいせるじぶんを バリアではなく すべてをつつみこむ じょうぶでやわらかなハート とけて このよるにながれこめ つめたいあさがきて かたまったなら つよいあなたのできあがり
しじまに恋した 手招く死に神に手を振った 爪月に香るアプリコット パンくずを辿る家路の果て 疼く胸 なにか患った逢魔時
また新しい箱の中で 知らないひよこ達とひしめき合う 配給されるガンバレの呪いに 応える身体 日に日に肥える 何もしらないまま ご飯の上に注がれた君が 今では羨ましく思うよ
旧くなった春をいつまでも タオルケットみたいに抱いて眠る 干からびた海を歩く 鯨の骨に腰をおろして 味のしない月を一口かじる 黄昏れられる景色はどこにもない 文明も恋も砂がすべて呑み込んで 古くなったタオルケット 母のぬくもりとおもかげ抱いて 眠る、春はまた新しく訪れる
ありふれた言葉では 慰められない夜もあって 「好き」って魔法 やたら敏感 蟹や猫のそれと似てる 去年の今頃どうしてたかな 今年の私はティッシュが手放せない ワッツアップ?細胞 アイが痒くて堪らないぜ
歴史的快晴の下 桜と君の笑顔で 心象風景ハルマゲドン
退屈なやつだと 通知表の3は云う いいやわたしは宇宙だ 収まる額縁を用意してみろ 危ないからと母は云う 傘を差せと空は云う 常識とは重力だ わたしは宇宙 眠れぬ夜に包んでくれる 海を探しているんだ
吐息、溜め息、港行き シチュエーション重視の恋模様 潮風を吸い込んで 君からの愛の告白 待ってる酸素 嬉しみの二酸化炭素
ただ頬をつたうだけで 意味を孕む水分が 春風に渇くと それは面影 ガードレールに咲いた花束の色が 鮮やかに映ゆること 映ゆること
背伸びして 届かなかった空の高さ 浮いた踵の高さだけ 近づいたのは事実なのさ まだ消し炭の夢は 息を吹きかければ 息を吹き返すはず 元々綺麗だから綺麗事 磨けば輝く事もまた事実
裁縫機のかたかた 送り出された絹の雲が ビロードの青に刺繍のごとく 幽霊屋敷とうたかた そこら一帯止まった時間が わたしの心情と重なりて 早う、早うと急かす世に 鼻緒の切れた足どりは いつまでも少女のまま
街がほころぶ 陰影のトカゲ 爆発するうららに つられてシッポ覗かせる
魚みたいな雲が 海月みたいな月を食べて 世界が、終わったみたいだ 砂漠の王は民を諭す 吸血鬼は路地裏で目を凝らす 僕は蛍光灯のスイッチを押す 君が仕込んだビーフシチュー 明日が来るのが楽しみだ
行き止まった二人は 海に辿り着く 冬鳥が旋回して かき乱す小さな宇宙 続く足跡は 天国と地獄の切り取り線 生き止まった二人は 海に辿り着く 白波がさらった 足跡とエンドロール
やまいだれで雨宿り 作った笑顔の副作用 背中がかゆくて目眩がする 瓶詰めのピクルスと一緒に 後悔のバンズに挟まれたい 空は見たことのない青あざ色 やがて雨はやみ仄かに香る瓜の花
わかって欲しいくせに 独りになりたがる癖 子供みたい、子供だけど 窓をあけたら子猫の声 ほらあんな風に泣けばいい 夜風でちょっと気が滅入る でも生き方は大体わかってる 17歳のスイッチが入っただけ だからちょっと黙ってて
ストックしてた夏の夜を 左ポケットからとりだした 君にはちょっと暑苦しかったようだ ならばと、右ポケットから春の陽気を 眠くなったから帰るって 都会の夜は冷えるね、母さん
生まれ変わった風に 真新しさはない 君のめざす場所に このバスは停まらない 初夢でみた幸せの余韻は 溶鉱炉に落とされた 鉄クズみたいに儚い 思いの外寒くなくて 水溜りが渇いて消えた青空 埃っぽい教室で 交わした無愛想なあいさつは 「元気でよかった」 そんなニュアンスでいいのかな
嘘で固まった排水溝 美しい花びらの行く先だ 喩え話が下手なぼくに きみが繋ぐ慰めのWi-Fi 走馬灯で照らす地獄の小道を 飴玉くらいの楽しみで きみと二人スキップして 足を挫いて笑ったら 鬼もつられてセセラセラ
海に浮かべた満月は あなたをめざし旅をする 辿りついた頃には 見る影もなく 切った爪のように 欠けていることだろう あなたは見つけて 掬ってくれるだろうか それがわたしの想いであると 気づいてくれるだろうか
凍てつく寸前の月を 人差し指と親指でつまんだ 羽化する前の明日が溶け出した 絶対零度ってなんだっけ 雨にすら温もりを感じる手の甲 ツイてなかった 間が悪かった 帰りたい もう帰りたい 毛布の中で液体になって 生まれ変わってやり直したい 形成されない理想と偏頭痛 全部ぜんぶ低気圧のせいして
燃え尽きた土のにおい 黒く残った跡には 拾って帰ったガラス片 碧くて綺麗なガラス片 へばりついた思い出を剥がす 年老いた手 窓の外では枯れ葉のピルエット それを尻目に少年は盗みを働く 通りに横たわった猫が見た 最期の景色 それはガラス片みたいな昼下り
ゆくりなく砕けて どうかそれを海原へ撒いておくれ 悲しむことはない おれとおまえは他人同士 明々後日には忘れる関係 未練があるとすれば 溜まった録画は溜まったままな事 どうかそれを一緒に撒いておくれ 不法投棄で捕まったら 馬鹿野郎を叫びに来いよ
中途半端な寒さの朝に 洗いたての髪をすり抜ける愛おしさ 少し空気の抜けた日々を立ち漕いで 通勤ラッシュを逆流する やんごとなき空の色は 弱弱しいわたしの反逆を祝福する色 心はパツキン 町は花金 小型精神磨耗機の電源を切って 2、3個の言い訳をポケットに 行くあてのない逃非行
いらいらが溜まったら 煙にのせて吐き出すの それって甘いの塩っぱいの 子供扱いは君の唯一のマウント で、機嫌をとるのがその子供 なんて言うかホント、、 握り潰した空き箱に わたしの不満が詰まってて パックジュースみたいに溢れ出たら さよならもなく夜は冷たく だけどこれが二人のノーマルでしょ 疲れた渡り鳥が留まる場所 君はコンビニへと足繁く 小銭をせがむ子供の如く
現状の10000歩に 相当する出会い 忘れてしまった事もあるけど 走馬灯でまた会おう 掴んだ指は岩のように ちょっとやそっとじゃ血もでない 代わりに流す汗と涙 喉が渇いたら祝福の雨 背負った荷物を整理して 目的地までの必需品 拾って、また失くして 嘲笑う鳥たちに 見上げる朝日の美しさを呼号する いいかい、まだいいかい 靴紐はまた脈を打つ 天国めいた景色が広がってても 走馬灯にはまだ早いだろ
へたくそなGコード ペキペキとストローク 床のでかい毛玉は餌を欲する きみは いいの、いいの とストローク それって何て歌 どこか出掛けようよ せっかくの休みだし ぺキペキ 差し出した手に重なる前足 慰めの報酬だ たんとお食べ。
雨の降る90秒前の 空気の振動と黄昏れ臭 乗り過ごしたバスが角を曲がると 嘲笑うように街は濡れた いいさ今夜はすき焼き この苛立ちも 溶いた卵に絡めてくれる