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引退する東京都交通局5300形へ

僕が生まれる前からずっと東京の鉄道ファンの憧れとして走り続けてくれて、そして海外に行く機会が多くて羽田へ行く時にも京急に直通して羽田空港へ、そして失恋した時に傷心で行った浅草や横浜へ僕を運んでくれて辛い時の心の支えになってくれたことや思い出を乗せて走り続けてくれたこと,今でも忘れていません。
本当にありがとうございました。
京急からドレミファインバータの車両が全て消えた後も制御機器の独特な音を響かせてくれた貴方は都営地下鉄ファンのヒーローです。
その奇妙な音から「白い悪魔」と呼んだことを引退前の今、謝ります。
本当に申し訳ありませんでした。
1994年7月からのロングラン、お疲れ様でした。
同期や先輩、そして後輩も旅立ってしまっても、最後まで残って健気に東京の地下を、神奈川県の海の近くを、そして千葉県の大地を走り続けた貴方の勇姿は絶対に忘れません。
貴方がデビューしてから10年経った年のある日,僕は貴方の職場から少し離れた東京の一角で,貴方と軌道幅が同じ大江戸線と関係のある、とある町で生まれました。
それから少しして,東京メトロ副都心線の開通を見に父親に連れられて行った東新宿駅のホームに貼られていた羽田空港の宣伝で飛行機の翼が生えた貴方の画像を見て「浅草線、カッコいいね」と父に語りかけた日を昨日のように覚えています。
あの画像はもう貼られていないけれど、ある時無性に恋しくなって東京中を探し回り、成就しなくて泣きながら帰り際に貴方の後継車両に当たる新型車両に乗り込み、降りる予定の駅で対向ホームに貴方が止まっていたことにショックを受けて翌日寝込んだこともありました。
ともかく,貴方が28年間走り続けたこと、まだ幼いのに震災に伴う節電で辛い思いをしている子供達に、運用を減らされながらも走り続けて勇気を与え励ましたことは素晴らしいです。
そして、僕も貴方の姿に勇気と希望を与えられ,大変な時期を耐え抜いた男の子の1人でした。
貴方をヒーローと同一視したあの小さくてふくよかな男の子は成長して18歳になり,貴方と同じように高校という運用から卒業します。
東京の後輩として、最後に一言言わせてください。

大好きな浅草線のお兄ちゃん、僕の成長を見守ってくれて,僕が高校卒業するまで引退を待って1人で寂しい中走り続けてくれて本当にありがとう!