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皇帝の目_6

チトニアは焦った。突然梓が目の前からいなくなったために軽くパニックになっているのである。ビーストは床を這い回り、チトニアの周りをぐるぐると回っている。
「わ、私…ご主人様守れなかった…」
と、チトニアがめそめそしだしたとき
「ち!と!に!あ!」
「!?」
声が聞こえた。
「下!ちょ、早く拾って!!」
「下…」
チトニアが下を見ると小さな梓が走っていた。…ビーストに追われて。
「きゃあああ!!梓!ちっちゃい!!」
慌てて拾うとビーストも追随して飛び上がる。
「チトニア、こいつと目合わせちゃだめだぞ」
ビーストは小型で素早く、面倒とは思っていたがここまでとは思っていなかった。チトニアは両手が塞がっているので、目が合う前にと慌てて噛みついてみたが、当然の如く逃げられた。
「あ、梓…ごめんねぇ、私がいたのに」
「どんまいどんまい、気にすんな。それより、私、思ったことがあるんだけど」
「なに?」
「あいつ、目の周りに腕生えてんじゃん?あの生え方、絶対視界の邪魔だと思うわけ。でもわざわざああいう生やし方してるってことは、目、守んなきゃいけないとこなんじゃないかなって」
「弱点…てこと?」
「そう。攻撃手段かつ弱点なんだと思う」
「だったら…」

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皇帝の目_4

「チトニア、頼らせてもらう」
「うん!指示ぷりーず!」
いつの間にかチトニアは梓の腕にべったりくっついていて、はしゃぎながら斧を渡した。
「じゃあ早速だけど。ゴルフの要領であの看護師を飛ばしてほしい」
短い指示だが、チトニアはその意味を正確に理解した。梓は常に片手を塞がないと目が見えない。更に、貧弱な梓は片手で斧を振るうことはできないため任されたのだ、と。チトニアは斧を振りかぶり、平らな面を看護師の腰に当てた。
「きゃっ!」
うまい角度で飛ばされ、看護師は病室の外へ。すかさずチトニアはベッドをひっくり返して病室の入口を塞いだ。幸いこの病室には梓しかいなかったのでベッドは有り余っていた。
「…強いな」
「パワー型だからね!」
梓が戦うのを宣言してからこの会話まで、およそ30秒。ビーストは蛇口から出切った。それは細長いおびただしい量の人間の腕の塊に、頭や胴体と呼べるものはなく、魚の尾びれのようなものが大きく一つついている姿をしていた。
「ビーストってなんか能力使う?」
「使う子もいるよ?ビーストって皆大型だけどこいつ小型だから、こいつには『大きさを変える』みたいな能力があるかも」
「なるほど…」
ビーストは、悲鳴ともつかない雄叫びをあげた。

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