表示件数
0

アウトサイダー

惰性で買った100円コーヒー 値段相応の粗雑な味
理性の欠片も売り飛ばしたのか 訊いてくるのも粋
疲れ果てたその心で スラムめいた世相を眺めてる
草臥れたワイシャツ ささくれこそ正義の象徴かも

宿題は出すが 勉強もするが 好き勝手やっていた
あの日の私はダウナーめいた態度で 煙に巻かれて
巻き返して 生きるも死ぬも勝手だとまた息巻いた
着崩れたブレザー そのズレこそ認めてほしかった

いつからかは思い出せない こじれていく自問自答
癇癪持ちのスノードーム あらお庭がグチャグチャ
玩具は片付けないとね その囁きだって毒なんだよ
くたばった腕時計は 時間を忘れムダに時間を潰す

掻き乱された思考回路 拗ねたフリをする愚かな女
無意味なカウントダウン 跳ね飛ばした上履きの音
知性の片鱗も見せつけない だって見せるのは無粋
正気の沙汰ではないことは わかりきっているのさ

学校は脱走するわ 喧嘩は売るわ 野放図もいい所
あのね 私が愛するのはニヒルなその心だけなのさ
言論弾圧するのは 私が居たら都合が悪いからだろ
くだらないな 100人の愚者が賢者1人に勝てないの

その言葉を理解できないのは 難しいからではなく
あなたの頭が悪いからだ 難しい話じゃないでしょ
黒板にはまだ洗脳の跡 フラついてグラついた椅子
ヨロめいて耐え切れない机 もう一度出直してこい

怒り狂ってみても 泣き喚いてみても 野暮なこと
個性の開花は 知性と理性の昇華 なかなか上出来
惰性で買った200円コーヒー 値段相応の粗末な味
虚勢で着飾った路地裏の犬 見た目相応の大層な心

狂気の沙汰でしかないけれど きょう日これが限界
もたげる頭は大概にして ひと暴れしたら万事解決
そううまく行くわけはないが ひとまず結論はつく
絡まろうが埋もれようが 私にはなんら関係がない

要注意人物認定もこの辺で 最初から興味はないが
夜の風に安心して一眠りする猫 正しい朝の待ち方
誰の思惑も厭わず ひょうひょうと私は歩いてきた
スラムめく世相と情はよそに 私は今日も歩いてる

0

校舎の裏

別館の5階のベランダも、教室のベランダも、今日はぼくが一人ボーっとしていられるような場所ではなかった。
売店が入っている建物の入り口に座り込むのも、人の目が気になるし。
というか、今日とうとう先生に絡まれてしまった。
だから誰もいない場所を求めて校内をさまよい…本館の裏に辿り着いた。
普段から、ほとんど人気がない校舎裏。
午後の光に照らされる薄汚れたコンクリートの校舎の壁と、学校の敷地と裏の高層マンションとを隔てる2メートルほどの壁、そして学校の裏にある高層マンションしか見えない風景は、まるで異世界のようで…とても自分が通っている学校に見えなかった。
よく見るとそれなりに手入れがされた植え込みがあり、ガスや水道のメーターの側には、人間が腰掛けるのにちょうどよさそうな段差もある。
よさげな段差に腰を下ろし、上を見上げると学校の裏にある高層マンションが見えた。
大人たちはあのマンションを「邪魔」と言うけれど、ぼくはそう思わない。
マンションのガラス張りのベランダの柵が、光を反射しキラキラと美しいのだ。
今日みたいによく晴れている日には、ガラスの柵が空の青を反射して建物が青く見える。
あんまり綺麗だから、思わず「わ」と声がこぼれてしまった。
もちろん、ガラス柵には空の青だけではなく、学校の傍のビルや学校の本館も少しばかり映り込んでいたが。
それでもぼくは、ガラスの青をしばらく眺めていた。
ガラスの中を雲が流れ、ぼくは秋の日差しの中で誰にも邪魔されずボーっとした。
ここには自分と地を這う蟻んこぐらいしかいない。
と思ったけど、校舎裏をぱらぱらと運動部の子達が通りだした。
ついでに4時台からの用事も思い出したので、ぼくは荷物を抱えてそそくさとこの場をあとにした。
居心地の良い陽だまりと、美しい青空を惜しみながら。