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青いカーネーション

手の平をじっと見る君に、隣にいた僕はどうしたのと声をかける。
届かなかったと、少しして小さく呟く君の髪を、くしゃくしゃとかき混ぜた。
距たるものも無く、どうしたのと笑う君と、零距離で目が合って少し戸惑い、またちょっと黙る。

にじりよる黒い影。

君の温度が感じられない。灰色の儘残った影だけが、君のくれた青いカーネーションの花だけが、いたいけなその瞳の色を映しているようで。
なきじゃくって濡れた君の笑顔が、
いまはただ、カーネーションを枯らしていく。

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関数f(i)

皆様、愛と定義へのご参加ありがとうございました。
ご参加くださった方の数だけ愛の形があり色がありました。
愛はとっても複雑な関数で、一人ひとりが持っている変数を入れることで全く違う答えが出てくるのだと思います。
でもその関数は人が見ることも知ることもできません。宇宙のように大きいか原子のように小さいか。過ごしているだけでは気付かない形で、それは手の届くところにいつも存在している。
だから自分だけの変数xを探すことが、愛に触れる最初の一歩なのだと思います。
変数x。おそらくここに、恋や友達が入るのではないかと思います。

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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅡ

目の前にミルクティーが置かれる。
「ありがとうございます……。」
テーブルを挟み、向かいの椅子に座った英人は、しかめっ面で深いため息を落とす。
「連れてきたのは僕だが、もう少し危機感を持つべきだな。
僕だって男だ。」
赤くなった目の瑛瑠は、萎れてはいるけれど、言葉のキャッチボールをする気はあるようで。
「さすがに中にまでお邪魔する気はありませんでした。
……でも、ジュリアさんに呼ばれたら断れません。」
瑛瑠の向かい、英人の隣に座るこのジュリアさんというのが、英人の付き人であり、今回のことの発端。
「改めて紹介するが、彼女が僕の付き人のジュリア。
そして、昨日僕を買い物に付き合わせた張本人。」
つまり、昨日英人と一緒にいた女の子。
そもそも、彼に1番近い女性を想像するべきであったのだが、勘違いの1番の要因は、女の子と形容したくなるような彼女の容姿。彼女は背が低く、学生と言われても通るほどのベビーフェイスだったのだ。
「これで、言っている意味がわかったか?
彼女と瑛瑠では大切の度合いははかれないし、送ることで勘違いするような相手でもない。」
つまり、瑛瑠は盛大な勘違いをしていたということ。

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アイダ

空を仰いで見たのは藍だ
道行く男女はきっと相だ

切の夕が終わっていくのだ

道路跨いだ君との間
それは君と僕の境だ
降り積もるのは白くはないや
車に踏まれる冷たい悔だ

濡れぼそった雪がまた落ちてきて
地面に着いたら溶けてしまった

(車が通る)

それでも残った真白な氷が
小さく薄く積もった雪が
君と私が降らせた雪だ

二人のあいだは白に埋まった

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、、

最近病んでます
だるくて具合悪い
先生、学級やだ
生きてても何も良いことない
人間皆、
仮面を被ってる
人の優しさが嘘のよう
でも
そんな私に
少しでも優しく声をかけてくれる人
ありがとう

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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅠ

瑛瑠は何も言えなかった。
本気で思っているはずがない。瑛瑠は、この関係をどうしようもなく好いていた。だからこそ、第三者が介入したように思ってしまって、形容できない気持ちになっていたのに。英人こそ、自分の想いに全く気付いてないくせに。
そう思うも、言葉を紡ぐことができない。自分がいかに酷い言葉を投げかけたか、自覚していたから。
英人の眼は、声は、怒りと共にどうしようもない哀しみの色を含んでいた。
言ってはいけないことを言ってしまったと、自分のしたことに涙が出てきたけれど、涙に逃げたくはなかった。今、自分には、泣く権利がない。
俯く瑛瑠に、英人はぽんぽんと2回頭をたたき、
「悪い、言い過ぎた。」
そう、言った。
ますます瑛瑠は、悪者で、惨めだ。
泣いてはいけないと思うのに、そういわれたら最後、熱くて苦しい涙が、次から次へと溢れてくるのを止めることができなかった。

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思い出

あのときはずっと
君の黒いランドセルを追いかけてたな。
いつのまにかなかなか話すことがなくなって
悲しかったのは私だけなのかもしれない。
男子、女子だけじゃない気がして
分からないなりに、罪悪感抱いたりして。
心当たりがないわけじゃないけど
「寂しい」しかなかった。
君の背中は、黒いランドセルから学ランになって
その間一度も話すことはなかった。
友達、だった。
幼馴染、だった。
今は、私達はバラバラで、こんなに思い出してるのは私だけかもしれない。
でも、本音を言えばずっと
友達、でいたかった。

2

或るモブ達の会話

ハロー読者諸君。俺はクラスメイトA。言わずと知れたモブ界のエースだ。学年は高校2年。今日は俺と友人の会話を紹介するぜ。
友人「聞いてくれA。昨日スゴイものを見てしまったんだよ」
A「何だ友人?」
友人「3年に不良グループが居るだろ?」
A「居るねえ。それがどうした」
友人「そいつらが昨日1年にたかってるところを目撃してしまったんだよ」
A「昨日って2回言ったな。それで?」
友人「そこに颯爽と現れたのがうちのクラスの主人公だ」
主人公とは、ウチのクラスのリーダー格の奴で、とても良い奴である。
A「ほう。それで?」
友人「あっさり負けてた」
A「そんな話ちょっと前にも聞いたぞ」
友人「2週間前にも同じ話をした記憶があるな」
A「つまり彼は、負けるのが分かってて突っ込んでいったっていうことか?」
友人「さあ?何か秘策があったのかも。まあ、十中八九そんなものは無かったろうが」
A「すごいな主人公。矢ーぶっ刺してえ」

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潜己不易

力がほしいと願った、その日彼女は選ばれた
2人も親友ができた、ずっと先をいく目標でもあった

覚醒を果たした、長くから逃げていた弱さに気付けた
3人なら、何でもできる気がした

その日が来てしまった
悪夢の檻で星の悲鳴が木霊する、親友はもう戦えなかった
悪魔がいた、1人で食い下がった
勝てなかった、悪魔と交わした
穢れなき希望があった

皮肉かな、願った力が星に人に止めを刺した

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LOST MEMORIES~幸露運ぶ天使編~

「うぅ……眠い……。」
目の前の歌名が弱々しい声で呟く。
お昼ご飯を食べたあとの麗らかな春の午後。暖かい空気が睡魔を呼び寄せる。
「天使の羽落とし、ですね。」
歌名だけでなく、横にいる英人や望も興味深そうにこちらを見る。
この言葉について、少しの説明をすると、会話に花が咲いた。
そうして、ふっと沈黙が落ちる。
瑛瑠はくすりと微笑む。
「天使が、通った。」