表示件数
1

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ①

寿々谷には夏の風物詩もあるが、秋の風物詩もある。
それは、”寿々谷市民まつり”。
寿々谷市中心部にある広い公園”寿々谷公園”で開催されるお祭り。
寿々谷の市民や学校、各種団体による出し物や催し物、公園中に並ぶ屋台などでものすごい賑わいを見せる、寿々谷の一大イベントだ。
地元民の間では、”寿々谷二大祭”の1つにカウントされるこの祭について話しながら、わたし達は駅前を歩いていた。
「市民まつりどうするー?」
「屋台周るっきゃないでしょ」
「出し物も気になるなぁ」
それぞれが話に花を咲かせる中、不意にネロがこう言った。
「こういう時に、”奴”が出なきゃ良いんだけど」
ネロの言葉に、皆が足を止める。
「…”ヴァンピレス”か」
耀平が思わず呟くと、ネロは苦笑する。
「まぁ、奴の事だし、市民まつりを狙って他人の記憶を奪って周るだろうね」
それ位、他の異能力者も分かってるよ、とネロは前を向く。
「そうだな」
ビビッてちゃ何もできないもんな、と耀平は笑った。

0

横暴狩り その⑥

「小人くん。小人くん? いるかな?」
路地から大通りに出て、歩きながら人通りの減ったタイミングを見計らって湊音が呼びかけると、足下に土くれ小人が駆け寄ってきた。
「次の子のところまで案内してくれるね?」
小人は敬礼を返し、飛び跳ねるように湊音を先導し始めた。
(二人目は……何だっけ、何かの爬虫類が異能の対象だったと思うんだけど……。何か、随分珍しい生き物『だけ』が対象だったせいで、その印象しか頭に残ってないや)
土くれ小人が通りを外れ、2棟のあまり高くないビルの隙間に入り込んでいった。湊音はそれを一度は見逃したものの、姿が消えたことに気付いてからすぐに異能を発動して過去に遡るように捜索し、どうにか小人に追いついた。
(いやぁ危なかった、考え事しながら歩くのは危険だね。…………たしか干渉者級の異能者だったはず。どんな問題を起こしているのか、ひーちゃんは教えてくれなかったけど……まあ、さっきの子より恐ろしくは無いかな……)
考えながら歩いていると、頭上に重量物が落下、衝突してきた。気絶する直前に過去干渉を使い、回避しつつ落ちてきたものを両手で受け止める。
「…………あぁー、なるほどね」
黄緑色の鱗、縞模様のある長い尾、太く頑丈な肉体、背中に並ぶ独特の棘状のクレスト、若いながらも既に全長約1mはある大型爬虫類、グリーンイグアナだった。
「思い出した。次の子は『イグアナの干渉者』か」

2

「とある小説について。」について

蘭「と言う訳で第一部は無事閉幕だねぇ。」

優「マジで、何で第一話から痛い台詞回しで殺されてるんだよ俺。」

蘭「善いじゃん。ちょっと面白かったよ、あれ。」

優「うわ、最悪。マジで最悪。散々な目にしか合わねぇじゃん。何でだよ。俺なんかしたか?」

蘭「まぁ特定のキャラに散々な目に合わせるのは作者の十八番だからねぇ。」

優「なんつぅ十八番だよ。酷えな。人間性皆無か。人間失格だよあいつなんか〜!!」

蘭「と言うかこう言うのって、普通作者がやるもんじゃないの?」

優「何だ、それなら『駄目人間は大人しく布団で寝てます、と言うか自分の作品についてとか書きたくない!』って言って引っ込んだぞ。」

蘭「ごめん、もしかしてやたろうって馬鹿なの?破滅的だよ?」

優「やめてやれ、本人曰く『馬鹿だけど廃人ではないつもり』らしいからな。」

蘭「先刻やたろうに『人間失格』って言ったのにその口が言うか。」

優「ゔっ...!」

蘭「兎に角、明日から第二部【とある小説と猫】開幕です!」

優「あっこいつ良いとこ持ってきやがった!」

蘭「是非ご覧ください!」

優「こいつ...まとめよる。」

「とある小説について。」沢山の反応、レス、ありがとうございました。明日から第二部「とある小説と猫」を投稿予定です。これからも宜しくお願いします。

0

煌めきを瞳に宿した君へ

「思い出」としか名付けたくないような
今や過ぎ去ったいつかの日々は
惰性と衝動と情動と慟哭の
濁流のような“これまで”に確かに存在する

煌めきを瞳に宿した君へ

君を何度もそう呼んだ
今日が来る度そう呼んだ
大切なことも忘れちゃう僕の頭に
その光が明確に焼き付いた
過剰でも過大でも大袈裟でもない
鮮やかにまたたくライブハウス
間違いなくこの目が見たその光は
瞼を閉じれば今もそこにある

煌めきを瞳に宿した君へ

今君はまた一歩踏み出す
挑戦的で冒険的な一歩かもしれない
なんとなくでしょうがなくな一歩かもしれない
でも、
五分の一世紀
君がこれまで積み上げたもの
五分の四世紀
君がこれから手にするもの
その輝く目が見つけるもの
何よりも美しく、その心を彩る
そんな光が確かにあること
僕は君に教えたい

信じてる、とかじゃなくて
確信ではなく、確実
だから、大丈夫
君が思うままに歩くのだ
夢と終わることない旅路を
君が愛した言葉と一緒に
今ここにしかない“今日”を
君が愛した友と一緒に

0

叶わなかった「ありがとう」を噛みしめて歩く
それくらいがちょうどいい 寒さが鼻を刺す

2

楽しみ

ここの掲示板を見ていると、小説を書きたいな、と思う。学校の授業中でもどんな内容にするか考えるようになって、創作って楽しいんだな、と改めて思った。

0

とある小説について。 No.9

俺たちは店を出て、あてもなく繁華街を歩いた。
そして。
人通りのない路地で、俺は足を止めた。

「優?どうしたの?」

俺は先刻から薄々思っていたことを口にする。

「お前さ、もっと他に用件があるんだろ?俺に。俺じゃなきゃいけない用が。」

当たってるだろう。そう思った。
当たって欲しくない。そうも思った。

「バレちゃったかぁ、優、カン鋭い方だっけ?」

当たってしまった。
当たってしまった以上、口にせざるを得ない。

「お前、回りくどいんだよ。俺に用って言ったらほら、あの時の小せ

俺が最後まで台詞を言い終わる事はなかった。
なぜなら。

「ごめんねぇ。恨むなら、自分の生まれた時代を恨んでね。」

鳴り響く銃声。
その日、俺、加藤優は確かに死んだ。
否。
死んだはずだった。

2

深夜の珈琲占い No.7

「マスター⁈大丈夫ですか⁈」
「ゲホッ...うん、生きてるよ。大丈夫だ。」

ガラガラ...と、彼女は瓦礫の中から立ち上がった。
しかし、常人より何倍も丈夫な彼女でも、今のダメージは甚大だ。何せ、常人ならとっくに原型を留めていない位の攻撃を真正面から食らったのだ。

「全く...痛いなぁ、肋が数本いってるよ。これ。
それにしても...ずいぶん非情な事をするじゃないか。オオカミのくせに。」
「ーオオカミ...?」
「見給え、そこだよ。」

素直に彼女の指す方を見る。
そこには。
もう一体、クリアウルフが居た。
しかし、普通のクリアウルフではない。
先程の2体よりも一回り大きく、鈍色の瞳をこちらに向けている。

0

林檎の花が咲く頃

林檎の花が咲く頃
可憐な蕾を纏って
笑う君に出逢ったあの日
夕日の眩しさに
言葉を弾ませたあの日
君との日々が巡り巡って
そして4度目の秋が来る
真っ赤な木の実が熟れて
可憐に大人なレディを羽織らせて
くるくる踊る
寂しい冬を乗り越えて
林檎の花が咲く頃に
君の行先にある再会に目を瞬かせ
わたしは見守っているよ