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二秘造物外出 Act 14

「あ」
「あ、じゃねーよ」
テメェら、とナツィはキヲン、露夏、ピスケスに白い目を向ける。
「勝手に他人のあとつけてきやがって」
なーに考えてんだか、とナツィはキヲンを睨みつけた。
しかしキヲンは臆せず、えーだって〜と口を尖らせる。
「ナツィがかすみと2人きりでお出かけなんて珍しいからだもーん」
ねぇ?とキヲンは露夏の方に目を向けた。
いつの間にか椅子に座っていた露夏は、ま、まぁな!と慌てて腕を組む。
「ナハツェーラーがかすみといちゃいちゃしてる現場を見物しようと思って…」
「随分不純な動機だな」
ナツィの突っ込みに対し、いや別にいいだろ!と露夏は声を上げた。
「お前らが2人だけで出かけようなんていうからきーちゃんが追いかけようって言ったんだぞ!」
文句いうならきーちゃんに言えよ!と露夏は再度立ち上がる。
それに対してナツィは、なんだよ!と言い返した。
「ほいほいキヲンについてったお前もお前だろ‼︎」
「別にいいじゃねぇか面白そうだったんだし!」
「他人のプライベート邪魔すんな!」
「やっぱデートだったのか‼︎」
「うっ」
露夏との言い合いで地雷を踏み抜かれたナツィは、思わず顔を赤らめる。

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二秘造物外出 Act 13

「確かにそうだけど」
「ちゃんと見てないと貴重な瞬間を見そびれちゃいそうだしー」
ねー露夏ちゃん?とキヲンはテーブルの反対側に座る露夏に目を向けた。
露夏は、おう!と頷く。
「2人ががっつりいちゃついてるところなんてなかなかお目にかかれないし!」
あのナハツェーラーがガチデレしてるところなんて見られたら最高だわな!と露夏は立ち上がった。
「まぁそれはそうだけど…」
「とにかくナツィを追っかけたい!」
「おもしれーもん見てぇじゃん⁈」
ピスケスはつい苦笑いするが、キヲンと露夏は楽しそうに目を輝かせる。
「それはわかってるわよ…」
でもちょっと騒ぎ過ぎというか、とピスケスは続けた。
それに対しキヲンが、えーピスケスはナツィとかすみのいちゃいちゃ見たくないの〜?と首を傾げる。
ピスケスは、そんなこと言われても、ねぇ?とテーブルの向こうに目を向けた。
「?」
キヲンと露夏がそちらに目を向けると、上着のポケットに両手を突っ込んだナツィがテーブルの目の前に立っていた。

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二秘造物外出 Act 12

「…2人とも、あまり騒いじゃダメだからね」
「わかってるよピスケス」
「そりゃ当たり前…」
新聞を開いて顔を隠しつつ咎めるピスケスに対してキヲンと露夏が頷いたとき、不意にナツィがちらと3人の方を見やった。
「‼︎」
3人は驚いて手元の雑誌や新聞、紙袋で顔を隠す。
「…」
ナツィは暫しキヲンたちの方を見ていたが、なにか気になったかすみが…どうしたの?と聞くと、ナツィはなんでもないとかすみの方に向き直った。
キヲン、露夏、ピスケスはそっと手持ちの紙袋や雑誌、新聞から顔を覗かせる。
「…バレて、ない⁇」
「意外と気づかれないモンだな」
キヲンと露夏は恐る恐るナツィの後ろ姿を見る。
ナツィはかすみとの会話でキヲンたちのことは気にしていないようだった。
「…2人がナハツェーラーのことをやたら気にするからよ」
ピスケスがボソッとこぼすと、キヲンはえー、そんなー!と声を上げる。
「今日はナツィとかすみのでーとを観察するために来たのに〜」
気にしないわけにはいかないじゃーん、とキヲンは手足をばたつかせる。

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二秘造物外出 Act 11

ナツィとかすみが衣料品店で服を選び始めてから暫く。
何着か試着をした結果、かすみはどれを買うか決めてレジで会計を済ませた。
そして2人は買ったものが入った紙袋を持って店をあとにした。
「…ホントにそれでよかったのか?」
かすみ、とナツィは商業施設の片隅にある大手チェーンの喫茶店の、店外にある丸テーブルの周りに置かれたイスに座りながらかすみに尋ねる。
かすみは、イスの脇に置いた紙袋に目を向けつつ、うんと頷く。
「やっぱり、自分にはああいうフリフリした服はなんか違うと思って…」
「だからといっていつものと同じような白いブラウスを1着だけとか、ちょっともったいないんだけど」
かすみの言葉にナツィは頬杖をつく。
それに対しかすみは苦笑いした。
「やっぱりいつものが1番だからね」
自分にはそれがぴったり、とかすみは目の前のテーブルの上に置かれたミルクティーのグラスに手を伸ばす。
ナツィはなんだよ…と不満げな顔をした。
「…いいなぁ、ナツィと2人だけでお茶だなんて」
「きーちゃんは紅茶苦手だろ」
「でもナツィと一緒なら嫌じゃないもん」
「なんだそりゃ」
ナツィとかすみが囲むテーブルから少し離れたところにあるテーブルを囲みながら、キヲンと露夏はひそひそ話をする。
2人は商業施設内の書店で買った手頃な雑誌や本を買ったときの紙袋で顔を隠していた。

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二秘造物外出 Act 10

「…」
ギリギリのところでキヲンがナツィとかすみに気づかれることを回避させた露夏は、塞いでいたキヲンの口からそっと手を離す。
解放されたキヲンはぷはーと深呼吸をしつつ、ちょっと露夏ちゃん!と露夏に文句を言い出した。
「急に口塞がないでよー」
「いやだって、ナハツェーラーにバレたら怒られそうだし、第一尾行がバレたら意味ないだろ」
「それはそうだけど…」
キヲンと露夏はそう小声で言い合うが、やがてピスケスがちょっと、と2人を諫める。
「あんまり騒ぐと見つかるわよ」
ピスケスがそう声をかけると、2人はハッとしたように黙り込む。
そしてナツィとかすみの方を再度見やった。
ナツィはかすみの服装について色々と話しており、かすみはなんだか嬉しそうにその話を聞いている。
ナツィは自分たちに気づいていないことを確認したキヲンと露夏は、安心したようにホッと胸を撫で下ろすのだった。

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二秘造物外出 Act 9

「でも、そもそもなんでアイツはこの手の服の店をわざわざ選んだんだろうなって」
露夏がそうこぼすと、ピスケスは…そうね、と呟く。
「アイツにとっては、こういうのには思い入れがあるから…」
ピスケスはそう言いかけるが、その途中であっ!と驚いたような声を上げるキヲンに遮られる。
ピスケスと露夏が試着室に目を向けると、ちょうどカーテンのが開いて深緑色のフリルやリボンの多いワンピースを着たかすみが姿を現した。
「わー、かすみかわいい!」
キヲンは思わずかすみの姿を見てはしゃぐが、不意にナツィがぴくりと反応する。
それに気づいた露夏は慌ててキヲンを物陰の死角に引き込み、その口を塞いだ。
「…」
後方にある洋服の陳列台の方を振り向いたナツィは不思議そうな顔をする。
そんなナツィの様子を見て、かすみはナツィ?と呼びかけた。
「どうかしたの?」
首を傾げるかすみの声に、ナツィはいや、と首を横に振る。
「なんでもない」
そう言ってナツィはかすみの方に目を向けた。

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二秘造物外出 Act 8

それから暫く。
ナツィとかすみは商業施設内を少し歩いて、建物の一角にあるゴスっぽい服の店に入っていった。
かすみが“自分に似合う服を選んで欲しい”と言ったことでナツィは色々と迷ってしまい、結局ナツィが普段着ているような服が置かれているような店に入ったのだ。
それに関してナツィは申し訳なさそうにしていたが、かすみは別にいいよと笑っていた。
しかし、ナツィとかすみはキヲンたちにあとをつけられていることに気付いていないのか、キヲン、露夏、ピスケスは2人に勘づかれずに衣料品店に入り込めた。
「…なんか、ナツィが着てるような服ばかりだね」
「そうだな」
キヲンと露夏がそう小声で話しつつ、物陰から店の奥にある試着室の外の壁に寄りかかっているナツィを眺める。
ナツィはかすみのために何着か服を選んで試着をさせているようだった。
「…なぁピスケス、なんでナハツェーラーはゴスロリみてーな服の店を選んだんだ?」
露夏が不意に後ろでかがみ込んでいるピスケスの方を向いてる尋ねる。
「そんなの、アイツがいつもそういうのばかり着てるからでしょう」
あと、アイツが着てるのはゴスロリじゃなくてゴスね、と答えるピスケスに対し、露夏はそれはわかってるよ、と答えつつ試着室の方を見やる。