表示件数
1

空飛ぶラジオ#4

「ラジ君ラジーーー!!」
「えーーー」

落ち着け落ち着け。これは夢だ。覚めろ。
おもいっきり頬を叩いた。
しかし、目の前にある、空中に浮いたラジオはそのまま。あたしの頬は痛い。
夢、ではない。
「なんであんたいるの?」
「君が選ばれし者だからラジよ。」
液晶画面みたいなところにラジ君のクリクリした目がうつる。

「ラジ君はリオのことよーーーーく知ってるラジよ。僕の名前を幼馴染みのユーイチ君に……」
「ユーイチって?ユースケだったら知ってるけど。」
そう答えるとラジ君の液晶画面は驚いた表示をして、くるくるまわりだした。
「なんで、忘れちゃったラジ?」
「はぁ?知らないし。」
「赤点のテストを押し入れの引き出しの一番奥にしまったのは知ってるラジよ」

……ーーー…

なんでそんなこと知ってんだ。
こんなよく分からないラジオの言うことを聞いていいんだろうか。

夜も遅くなり、ラジ君らしきものは空中に浮かぶのをやめ、ただのラジオに戻った。

その夜あたしは夢を見た。

リオと私の名を呼ぶ声。
小さなあたしと、ユースケとそのとなりに誰かもう一人…

けれどそこで、夢は途切れた。
もう一人の顔を思い出せない。
全ては一瞬、あたしはただの夢の中。

2
1

空飛ぶラジオ#2

「ねえ、空飛ぶラジオって知ってる?」

突然ミオが話を切り出した。ミオはちょっと天然で、噂話が大好き。でも悪口は言わない、いい子。

「なんでも、ラジオが空を飛ぶんだって!それを見たら幸せになれるとか、そのラジオを持ってる人が選ばれし者なんだって!」

興奮した様子のミオ。ボブの髪がふわふわしている。興奮しててもかわいい。
けれどそこにすかさず、

「空飛ぶラジオってポルターガイストなのか‼」

ショウコのオカルト話が……。

「やっぱり夏休みにやった廃墟探検の続きで、空飛ぶラジオを探すってのは?」

「ショウコ。無理だよ。カノンも、ミオも相当怖がってた。」

「いや、じゃあリオと私だけで!」

といった瞬間、「瀬戸!瀬戸ショウコー」生徒会の方のお声が。

「あっ先輩、今いきます。ごめん。あとでな。」

そういってポニーテールを揺らしながら駆け出すショウコ。あたしとタイプが似てるけど、あたしたち二人は剣道部。
のためか以上に波長が合う。生徒会に入って忙しいせいか最近話せなくなってる。

「ショウコみたいな人が未来を担うんだろうなあ。」

ごめんミオ、ちょっと一瞬おじさんぽく見えた。
カノンがニヤニヤしてる。

そんな感じのあたしの日常。

退屈。