思い返すはいつも君 第7話
そして私は弟の航とお祭りに出かけた。雨が降りそうな、少し曇った空だった。航とバカみたいに話しながら、人通りの少ない、しかし車の通りは多い道を歩いていった。
そして20分。お祭り会場に到着した。かなりの人混み。しかし私はすごく気分がノッてきた。
「航、同級生会えるかな?」
「さあね〜でもお姉ちゃんは高校生だし、会わないんじゃない?」
「うーん、まあね(笑)航の同級生になら会いそうだね」
「会いたいなー!」
・・・航。私ね、なんとなく予感は当たるのよいつも。
今日、私は誰かに会う。絶対に。
そして出店を見て回った。
「航、なにか食べる?」
「うーん、じゃああれ!わたがし!」
「うん、いいよ!」
「すみませーん、わたがし2つください!」
「はい、200円ね!」
私は2つわたがしを頼んだ。するとおまけとかなんとかでクリアファイルがもらえた。持ってきたカバンには入らないから手で持たなければ・・・。
とその時。雨が降ってきた。わたがしが濡れるとまずい。
「航、こっちのテントに!とりあえず!」
近くのテントに入り、雨宿りをしていた。
「雨降ってきたね」
「お姉ちゃん、傘は?」
「持ってないわよ・・・」
(・・・ん・・・!?)
私の目の前を茶色のリュックが横切った。顔は見えなかったが、私には誰かわかった。すぐにわかった。
中学3年生の時に、私が通ってた塾で毎日見ていたあのリュック。見間違えるはずがない。間違いない!
私は慌ててテントから飛び出した。わたがしが濡れるのも気にせずに。