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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅹ

「わたしがアレを倒す」
「バカ言え‼︎」
お前死ぬぞ!と水晶に対し寵也は怒鳴る。
「…あの種のカゲは光線を放つまでに数分のタイムラグがあるって授業で習った」
だからその隙にコアを撃ち抜く!と水晶は拳銃型P.A.を構える。
「でもそのP.A.じゃ威力が!」
「分かってる」
紀奈にそう言われたが、だから至近距離で撃つ!と水晶は続けた。
「…わたしは簡単には死なない」
加賀屋隊のリーダーだもの!と水晶は声を上げた。
「…」
その言葉に加賀屋隊の面々は黙りこくったが、暫くして紀奈が口を開いた。
「…分かった」
あたし、みあきちのこと信じるよ、と紀奈は笑った。
「ボクも信じる!」
弾もそう明るく言う。
「フン、死ぬんじゃねぇぞ」
身内に死なれるのは御免だからな、と寵也はこちらを一瞥もせず言う。
「…失敗しても知らないんだから」
頑張りなさいよ、と巴は呟いた。
「…みんな、ありがとう」
そう言って、水晶は迫り来るカゲに目を向けた。
塔のようなカゲはゆらゆらと歩道橋に近づいていく。
それと共に、頂上部分の光が少しずつ強くなっていった。
あと少し、あと少しで、と水晶は拳銃型P.A.のトリガーに指をかける。
…過去の、澁谷學苑に通っていた頃の自分なら、こんなことはしなかっただろう。
でも幕針文化学院に入学して、わたしは変わった。

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅸ

「避けて!」
真っ先に気付いた水晶の声と共に、加賀屋隊の面々は散開する。
「%>“\*+‘$\‼︎」
咄嗟に手持ちの銃器型P.A.のトリガーを引き、5人は歩道橋に飛び込んできたカゲを仕留める。
「まだ来る!」
巴が手元の端末を見ながら叫ぶと、水晶は思わず立ち上がる。
「兄さん達は⁈」
石英と狙撃手が待機している建物の方を見ると、もうそこには多くのカゲが群がっていた。
「このままじゃ」
水晶はポツリと呟く。
「‘|+#$<$<$$‼︎」
「伏せろ加賀屋!」
寵也の声にはっと我に帰ると、水晶の目に数十メートル先にいる塔のようなカゲが光線を放とうとしている。
瞬時に水晶が伏せると、歩道橋の壁を光線が掠めていった。
「あいつ、もう来てる!」
「狙撃手はどうなったの⁈」
「そんなん知るか!」
「まだ来るわよ!」
弾、紀奈、寵也、巴はそれぞれ言いながら歩道橋に攻め込む小型のカゲ達を屠っていく。
水晶も拳銃型P.A.を連射していったが、ふと手を止める。
「加賀屋さん?」
巴が聞く頃には水晶は立ち上がっていた。
「え、みあきち何考えてるの⁈」
「そうだよそんなことしたら…」
紀奈と弾が心配そうに言ったが、水晶は気にせずこちらへ迫り来る大型のカゲに向かって拳銃型P.A.を向ける。

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白と黒と青き星〜第3話 帰還〜

【目標沈黙、侵食、群発共に確認されません。これより避難民の帰宅整理に移る】
『了解。輝士班2名帰還します』
【了解。出口4.5番を開放します。そこから出撃ルート4.5番で帰還してください】
『了解』
2人は揃えてそう言い、通信を切った。
「帰ったら…どうせ説教だな」
「だよね〜…」
指定された出口に向かいながらのんびりと話す。
「まぁ怒られるの大半お前だけどな」
「なんでよ!手こずったのも最後連携やめて勝手したのもあんたじゃん!」
「よく言うよ、放っから俺を風穴としか扱わなかったくせに」
「それは…」
自覚はあったようで少しホッとしている。
「でも!最後のセリフはいらなかったかなー」
「うるせぇ!」
自分でも突発的に出た癖のようなものでそれなりに後悔してたのでいらなかったと言われると耳が痛い。
「あ、でも私このままライブだ!」
美空は用事を思い出して笑顔になった。
「じゃあ説教は1人ずつ、つまり時間で怒られる量はわかるな」
パッと出た笑顔が一瞬で曇る様は滑稽だ。
「説教を中断してライブに行けば…」
「やめとけよ、ライブも大事な仕事だろ、みーたん?」
高田美空は光の力をアイドルにも使う。
愛称は[みーたん]
元来のスタイルと戦績も相まってかなりの人気だ。
「出口だ、ちゃんとライブ行けよ?」
ジョーはそう言い残して止まることなく出口に入った。
「わかってるよ、私だって行きたくないわけじゃないし…」
美空ももう言い返す相手がいないとわかりながらも言ってから出口に入った。
「おかえり、お疲れ様」
「お疲れ様、ナイスコンビネーション!」
出撃ルートを抜けた先で迎えてくれたのは2人の同期だ。
・津上利樹(つがみとしき)
・大幡有日菜(おおはたゆいな)

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅷ

ちょうど歩道橋の壁に隠れた所で、耳の通信機から石英の声が聞こえてきた。
『作戦はぼくがさっき言った通り、狙撃手以外のメンバーが陽動で一斉に銃器型P.A.を撃つ』
それでカゲを混乱させている隙に狙撃手がコアを撃ち抜く、と石英は続ける。
『みんないいね?』
石英がそう尋ねると、通信機の向こうから了解!と威勢のいいクルセイダースのメンバーの声が聞こえた。
加賀屋隊もそれぞれ返事をする。
『じゃあ目標が近付いてきたら合図を出すから』
それまで待っててね、と石英からの通信は終わった。
「…それにしても」
石英の通信が終わった直後、寵也はポツリと呟く。
「この辺りは妙にカゲが少ないな」
「そう?」
弾は首を傾げる。
「他のみんながこの辺りのカゲを倒しちゃったからじゃない?」
別におかしいことでもないよ、と弾は続ける。
「確かに、この辺りはほとんどカゲはいないけれど…」
STIから支給された周囲のカゲを探索する端末を見ながら巴は言う。
「この通り、周りに隠れている訳でもないみたいだし…」
そう言いかけて、巴は言葉を失った。
「?」
巴、どうかした?と紀奈が巴の方を見る。
巴の目は手元の端末に釘付けになっている。
「巴?」
「マズい」
紀奈の言葉を無視するように、巴は呟く。
「え、マズいって…」
「こっちにカゲの群れが近付いてる‼︎」
巴はものすごい剣幕で叫んだ。
それと同時に頭上から黒い何かがいくつも飛び込んできた。

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅶ

数分後、石英の部隊…クルセイダースのメンバー4人はリーダーの元に集まった。
水晶の部隊も、巴、弾、寵也の3人が水晶の元へ来た。
最初3人は石英を見て、加賀屋 石英だ!とかクルセイダースのリーダーじゃないとかなんとか言っていたが、共同作戦を展開すると聞いてすぐに落ち着いた。
数分の話し合いの末、作戦は決まった。
あの種のカゲは頂点部分にコアがある。
だから高い所から狙撃してコアを破壊すればいいのだが、あのカゲは近くの動く物に反応して光線を放つ。
だからカゲの足元や建物の上で囮がカゲの気を引いている内に狙撃手がコアを撃ち抜くという算段だ。
とりあえず、本命の狙撃はクルセイダースの射撃に長けたメンバーが、囮は残りのメンバーと加賀屋隊が担当することになった。
「やっぱり名門の部隊長はすごいなー」
紀奈は歩道橋を登りながら呟く。
「あんなにサクサクと作戦決められるなんて」
「そりゃあ私達とは次元の違う教育を受けているからよ」
仕方ないわ、と巴は言う。
「あ、巴嫉妬してる?」
「してない」
弾にそう言われて、巴はぷいとそっぽを向く。
「とにかくお前ら、P.A.の準備はできてるか」
マシンガン型P.A.を準備しながら寵也が言う。
「あー大丈夫大丈夫」
「OKだよー」
「もちろん」
紀奈、弾、巴はサブウェポンの拳銃型P.A.を見せながら笑う。
「加賀屋は?」
「大丈夫」
寵也に聞かれて、水晶も拳銃型P.A.を見せた。

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅵ

「て言うか、みあきちのお兄さんてこの人だったんだ」
紀奈がそう言うと、水晶は出撃前に言った気がする、と呆れたように言った。
「…それにしても」
どうしてここが分かったの?と水晶は石英に尋ねる。
「え、あぁ」
水晶が出撃したって聞いて、スパークラーが個々に持たされる発信機の信号を頼りにここまで来たんだ、と石英は説明する。
「でもまさか大型種がそこにいたなんて…」
石英はカゲを見上げながら呟く。
大きなカゲはゆらゆらと交差点を通り過ぎていった。
「…これくらいなら、みんなで倒せるか」
石英がそう言うと、紀奈はえ、と驚く。
「こんなデカいの、倒せるんですか⁈」
「そりゃあもちろん」
ぼく達澁谷學苑のスパークラーはこんなのとばっかり戦ってるよ、と石英は笑う。
「東鏡は激戦区だもの」
あのレベルを倒すのは日常茶飯事、と水晶は呟く。
「やっぱ名門すげー」
紀奈はそうこぼすしかなかった。
「とりあえず、ぼくの部隊のメンバーをここに呼ぶよ」
水晶達は下がってて、と石英は優しく言う。
「ここはぼく達が…」
「いいえ、わたし達も戦います」
石英の言葉を遮るように、水晶は毅然とした態度で言った。
「どうして…」
「兄さん達の部隊は全員揃っていないでしょう?」
交流会の準備に訪れているのは兄さん含めて5人のはず、と水晶は続ける。
「わたし達の部隊が援護します」
その様子を石英は驚いた顔で見ていたが、すぐに優しい顔に戻った。
「分かった、援護、任せたよ」
石英は水晶の肩を叩いた。

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅳ

STI側から提供された情報によると、今回襲撃してきたカゲ達は、小型のものがほとんどだと言う。
小型とは言え街を侵蝕することに変わりないのだから、早く倒さなければならない。
それでも出撃スパークラーの数から考えてみれば、あっという間に駆逐することは可能だろう。
そう考えながら水晶は刀型P.A.で次々とカゲに斬りかかる。
街を侵蝕しようとしていたカゲ達は避ける間もなく霧散していった。
「みあきちー!」
ふと呼ばれて振り向くと、弩型P.A.を携えた少女…紀奈が駆け寄ってきた。
「どう、調子は?」
「まぁまぁかな」
水晶は刀型P.A.で飛びかかるカゲを切り裂きながら言う。
「あたしもだよ!」
紀奈もまた、飛行型カゲを自身の武器で仕留めながら答える。
「今回は小型種がほとんどって聞いてたけど…」
この辺りはそんなにいないみたい、と水晶は呟く。
「うーん、じゃあここを片付けたら巴達の所へ行こっか」
巴達がいる所の方が大変みたいだし、と紀奈は笑う。
水晶は静かに頷いた。
…と、ここで耳に装着している通信機から聞き覚えのある声が聞こえた。
『加賀屋さん、聞こえる⁈』
「どうしたの呑海さん」
水晶は通信機に手を当てて答える。
『さっき大型種が出現したって情報が入ったわ』
方角は…と巴が言いかけた所で、紀奈が遮るように叫んだ。
「みあきち後ろ‼︎」
はっと振り向くと、そこには5メートルはある動く塔のようなカゲが光線を放とうとしていた。

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白と黒と青き星 〜第1話 出撃〜前編

STI校内、そして防災庁特定特殊生物対策班の施設内に警報が鳴り響き、対策本部は警報と共に電源が入る。
「東鏡都瀬田谷区に大型デネブリスの出現を確認。政府より緊急事態宣言発令に伴うプラン11要求!」
「了解。瀬田谷区全域の河川及び公道にフォトンウォール展開、住民避難を開始します。」
「陸自班、空挺班は東鏡I.Cを中心に第1種戦闘配置!」
指示を出す澁谷分隊長は私たちの通う東鏡第1分校澁谷校の校長でもある鳴海晃司。かつてスパークラーとして第1線で活躍したエースだった男だ。今もその戦術眼は衰えることを知らない。
【空挺班より報告します。目標は現在双子田万川駅周辺を侵攻中。幸い侵食は国道246号線、都道11号線に囲まれた範囲内で抑えられています】
「その範囲なら住民避難完了しています」
通信と本部隊員の声が次々に飛び交う。
【澁谷分隊、全隊員配置完了。目標捕捉しました。】
「了解。総員、飽和攻撃体勢に移れ!」
隊長はその全てを聞き逃すことなく、的確な指示を出す。
【『了解』】
【空挺班、攻撃準備完了。いつでも打てます】
【同じく陸自班、いつでも打てます】
「GPS誘導弾発射準備完了。いつでも打てます」
さすがに特殊自衛隊。行動は迅速で乱れがない。
「住民避難完了のため、政府の承認は省略。飽和攻撃開始。打てぃ!」
隊長のその合図で発射、着弾の轟音が鳴り響く。
先程まで見えていたモニターはその爆撃の衝撃のためか、それを防ぐためか映像が途切れている。
その轟音は数秒間続き、その間も本部は忙しなく誰かしらが動いているが音は掻き消される。
その中で隊長は何か言伝を受け、少し口角が上がる。
「飽和攻撃終了。モニター、復旧します」
そのモニターに映ったのは爆発によって先程までとは少し形状が変化したデネブリスの姿があった。しかし本部の面々に動揺する様子はなかった。
「実弾、光弾共に全弾命中。目標のコアに損傷、認められません」
「結構。第2フェーズ移行への時間は稼げた」
そう言うと通信をアナウンスに切り替える。
「全隊員に告ぐ、これより作戦を第2フェーズに移行する。総員、配置に着け!」
隊長は再び通信をSTI校内の出撃準備室に切り替え、問いかける。
「2人とも、いけるな?」

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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅲ

人々が逃げ惑う街中。
無数の黒く禍々しいカゲが人の群れに向かって進んでいる。
「落ち着いてください、避難所はあちらです」
パニックに陥る群衆に対し、警官達が人々を誘導している。
…と、警官の1人に黒いカゲが飛びかかる。
「危ない!」
少女の叫び声と共に警官が背後を見た時、バババババと弾丸が発射される音が響いた。
「$|+]$\€‼︎」
カゲは悲鳴を上げて霧散する。
「大丈夫ですか⁈」
弩型P.A.を持った二つ結びの少女が警官に駆け寄る。
「あ、えぇ、ありがとうございます」
「それならよかった」
ここはあたし達がなんとかするんで逃げてください、と二つ結びの少女…紀奈は言う。
「分かりました」
君達も気を付けて、と警官は一礼してその場を離れる。
「グッジョブ寵也」
ハルバード型のP.A.を持った小柄な少年…弾に肘でつつかれて、マシンガン型P.A.を持ったメガネの少年…寵也は、当然のことをしたまで、と真顔で言う。
「そこの2人、呑気に話してる余裕はないわよ」
サーベル型P.A.を持ったサイドテールの少女…巴は、手に持つ武器を構える。
「加賀屋さん、指示を!」
「…了解」
巴に言われて、水晶は刀型P.A.を敵群に向ける。
「みんな、いつも通り…行くよ」
「了解」
「おっけー」
「分かったー」
「はいはい」
皆がそう返事すると、水晶は静かに頷いて敵に向かって駆け出した。
部隊のメンバーも駆け出し、周りにいる多くのスパークラー達も一斉に鬨の声を上げる。
戦闘が始まった。