ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑦
「な、な、何の用ですっ⁈」
少年は慌てて立ち上がろうとするが、混乱の余りうまく立ち上がれなかった。
「ぼ、ぼぼぼぼくは何もしてませんよ⁈」
わたしは少年の様子を見て驚くが、師郎は…少年と不意に呟く。
「一旦落ち着け」
「ふえっ」
師郎の低い声に、少年は我に返る。
「どうしてそんなにパ二クるんだ」
少年、と師郎は彼に近付く。
少年はうぇぇ…と縮こまった。
師郎はその様子を見て1つ溜め息をつくと、少年の前にしゃがみ込んだ。
「どうしてそんなに逃げるんだよ」
俺達が怖いのかと師郎が尋ねると、少年はあ…と目を逸らした。
「当たりか」
「あ、あ、違うんです!」
怖いっていうか…と少年が言いかけると、師郎は何、違うのか?と聞く。
少年は急に話を振られて少し慌てるが、やがてためらいがちにこう言った。
「な、なんか、人といるとすごく辛いんです」
なんだか、色んな感情がなだれ込んできて…と少年は徐々に声を小さくしながら呟く。