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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑥

「ちょっとした、興味って奴?」
そう言って師郎はにやりと笑ってみせた。
その様子を師郎の左隣から不思議そうに黎が覗き込み、前を歩くネクロマンサーとコマイヌは立ち止まってこちらを見ている。
わたしは思わずポカンとしてしまうが、師郎は上着のポケットから濃いピンク色のキーホルダーを取り出した。
「ま、あの少年はコレ置いてってるし」
届けてやらにゃいかんだろ、と師郎はそれを眺めつつこぼした。
わたしは何も言えずその様子を見ていたが、やがて師郎が行くぞと言って歩き出す。
ネクロマンサー、コマイヌ、黎も前を向いて歩き出し、わたしもそれに続く。
暫く歩いて、わたし達は人気のない階段へと向かった。
そしてわたし達は階段を下っていった。
階段はほんのり薄暗く、人は誰もいなかったのでわたし達の足音だけが響いていた。
…と、わたし達の前を歩いているネクロマンサーとコマイヌが1階と2階の間の踊り場で立ち止まる。
わたし達の目の前の踊り場には、先程師郎とぶつかった少年が壁に背中を預けた状態でうずくまっていた。
「…」
少年はわたし達の気配に気付いたのか顔を上げるが、わたし達の姿を見とめた途端にひっと震え上がった。

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魔法少女学園都市レピドプテラ 〈企画要項〉(再掲)

どうも、テトモンよ永遠に!です。
3月も折り返し地点に達しましたので、現在開催中の企画のリマインドです。
「何それ気になる!」って方はタグ「魔法少女学園都市レピドプテラ」かテトモンよ永遠に!のマイページから企画設定などを探してみてください。
では以下要項の再掲。

だいぶ前の予告通り、企画です。
タイトルは「魔法少女学園都市レピドプテラ」。
“魔法”と呼ばれる特殊能力を持つ少女たち“魔法少女”が集まる学園都市“レピドプテラ”で巻き起こる物語を皆さんに描いて頂く企画です。
開催期間は3/3(月)〜3/31(月)まで(遅刻投稿大歓迎)で、ルールはこの後投稿する設定と公序良俗を守った上でタグ「魔法少女学園都市レピドプテラ」を付けていただければあとはなんでもOKです!
作品形式・分量・数は問いません。
自由に設定に沿った作品を作って投稿し合うだけの企画ですので、よかったら気軽にご参加ください。

ちなみに企画者はまだ参加作品を完成させておりません(笑)
見切り発車で投稿し始めてもうまくいかない気がするので最後まで書き切ってから投稿しようと思ってるのですが…企画期間内に最後まで投稿できるかどうか。
ちなみに今回以降も企画を開催する予定はあるのですが、正直最近の参加者数を鑑みると期間を設けずにやった方がいい気がしてきたのでこの形での企画開催は最後になるかもしれません。
なので「期間を設けた形がいい!」って方はぜひ参加してみましょう(一文だけのポエムでも構いませんので)。
という訳で皆さんのご参加待ってまーす。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ①

寿々谷市中心部のショッピングモールには”イベントスペース”がある。
建物1階の真ん中、いわゆる吹き抜けの真下に、広々としたスペースがあるのだ。
ここでは年末にお歳暮、夏にお中元と色々な催事が行われることが多い。
常に何がしかのイベントが行われているのがイベントスペースだが、基本的にわたしたちのよなコドモにとって興味のあるイベントが行われることは中々なかった。
しかし、今日ばかりは違ったのである。
「”ZIRCONフリーライブ”か」
ショッピングモールのイベントスペース近くの柱に貼られたポスターを見ながら師郎は呟く。
「今日の3時からここのイベントスペースで開催だってさ」
赤いウィンドブレーカーを着た耀平はそう言って頭の後ろに手を回す。
紺色のパーカーを着てフードを目深に被った黎は静かにうなずいた。
しかしネロは何の話かよく分からないように目をぱちくりさせる。
「ねぇ、”じるこん”って何?」
ボクよく分かんないんだけど、とネロは耀平の上着の裾を引っ張る。
耀平はえ、知らない?と驚く。
「最近話題のご当地アイドルって奴だぞ」
寿々谷を拠点に活動してるっていうさ、と耀平は言う。
しかしネロはよく分からないのかポカンとしている。