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二秘造物外出 Act 11

ナツィとかすみが衣料品店で服を選び始めてから暫く。
何着か試着をした結果、かすみはどれを買うか決めてレジで会計を済ませた。
そして2人は買ったものが入った紙袋を持って店をあとにした。
「…ホントにそれでよかったのか?」
かすみ、とナツィは商業施設の片隅にある大手チェーンの喫茶店の、店外にある丸テーブルの周りに置かれたイスに座りながらかすみに尋ねる。
かすみは、イスの脇に置いた紙袋に目を向けつつ、うんと頷く。
「やっぱり、自分にはああいうフリフリした服はなんか違うと思って…」
「だからといっていつものと同じような白いブラウスを1着だけとか、ちょっともったいないんだけど」
かすみの言葉にナツィは頬杖をつく。
それに対しかすみは苦笑いした。
「やっぱりいつものが1番だからね」
自分にはそれがぴったり、とかすみは目の前のテーブルの上に置かれたミルクティーのグラスに手を伸ばす。
ナツィはなんだよ…と不満げな顔をした。
「…いいなぁ、ナツィと2人だけでお茶だなんて」
「きーちゃんは紅茶苦手だろ」
「でもナツィと一緒なら嫌じゃないもん」
「なんだそりゃ」
ナツィとかすみが囲むテーブルから少し離れたところにあるテーブルを囲みながら、キヲンと露夏はひそひそ話をする。
2人は商業施設内の書店で買った手頃な雑誌や本を買ったときの紙袋で顔を隠していた。

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二秘造物外出 Act 8

それから暫く。
ナツィとかすみは商業施設内を少し歩いて、建物の一角にあるゴスっぽい服の店に入っていった。
かすみが“自分に似合う服を選んで欲しい”と言ったことでナツィは色々と迷ってしまい、結局ナツィが普段着ているような服が置かれているような店に入ったのだ。
それに関してナツィは申し訳なさそうにしていたが、かすみは別にいいよと笑っていた。
しかし、ナツィとかすみはキヲンたちにあとをつけられていることに気付いていないのか、キヲン、露夏、ピスケスは2人に勘づかれずに衣料品店に入り込めた。
「…なんか、ナツィが着てるような服ばかりだね」
「そうだな」
キヲンと露夏がそう小声で話しつつ、物陰から店の奥にある試着室の外の壁に寄りかかっているナツィを眺める。
ナツィはかすみのために何着か服を選んで試着をさせているようだった。
「…なぁピスケス、なんでナハツェーラーはゴスロリみてーな服の店を選んだんだ?」
露夏が不意に後ろでかがみ込んでいるピスケスの方を向いてる尋ねる。
「そんなの、アイツがいつもそういうのばかり着てるからでしょう」
あと、アイツが着てるのはゴスロリじゃなくてゴスね、と答えるピスケスに対し、露夏はそれはわかってるよ、と答えつつ試着室の方を見やる。

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二秘造物外出 Act 1

暖かい光が辺りを照らす昼下がり。
路地裏を金髪に白いカチューシャをつけたコドモが、鼻歌交じりにスキップしている。
金髪のコドモはやがて小さな喫茶店が1階に入る建物の裏口の前で立ち止まると、おもむろにその互い違い戸に手をかけ開いた。
そしてなんてことない雰囲気で、コドモは玄関に入り扉を閉めて靴を脱いでから、薄暗い廊下を歩いてその中程にある階段を上っていく。
しかし、金髪のコドモは階段を上がり切って廊下の奥にある物置の手前でぴたと足を止めた。
どうやら中から聞こえる話し声が気になったようである。
「…つまり、自分と一緒に出かけたい、ってこと?」
金髪のコドモが開きかけの物置の扉から中をそっと覗くと、室内には紅茶セットが置かれたテーブルの傍に置かれたイスに短い黒髪でゴスファッションのコドモが座っており、その傍にジャンパースカートにエプロンをつけたコドモが立っていた。
「まぁ、要約すると、そう」
黒髪のコドモは恥ずかしそうに俯く。
「最近あんまり2人で出かけてないし、たまにはいいかなって…」
黒髪のコドモは両手の人差し指を突き合わせてモジモジした。
それを見てジャンパースカート姿のコドモはふふと笑う。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑭

「ヴァンピレス‼」
何で出てきた⁈とネロが怒号を上げる。
「何でって、わらわは異能力を奪いに参りましたの」
貴方がたの、ね‼と不敵な笑みを浮かべながら、ヴァンピレスはその右手に白い鞭を出してわたし達に向けて振るった。
ネロは咄嗟に目を赤紫色に光らせて右手に黒い鎌を出し、それでヴァンピレスの鞭…具象体を受け止める。
「ネクロ‼」
耀平が思わず声を上げるが、ネクロマンサーは皆逃げろ!と叫ぶ。
「コイツはボクが、ここで食い止める‼」
ネクロマンサーは具象体の黒い鎌を振るって白い鞭を弾いた。
弾かれた白い鞭はヴァンピレスの元へ縮むように戻っていき、持ち主のヴァンピレスは不機嫌そうに顔をしかめる。
「あら、抵抗すると言うのね?」
その言葉にネクロマンサーは、当ったり前だぁ‼と言い返した。
「ボクらの大切な一部を、奪われてたまるかぁ!」
ネクロマンサーはそう声を上げると、ヴァンピレスに向かって駆け出す。
「…よし、今の内に逃げるぞ!」
ネクロマンサーがヴァンピレスを食い止めている姿を見てから、耀平はわたし達4人に声をかけた。
わたし、黎、師郎は静かに頷く。
しかし霞さんは状況が飲み込めていないのか、あ、うん…とぎこちなく返した。
そんな霞さんを見た耀平は、行こう!と彼の手を取って走り出し、わたし達もそのあとに続いた。

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あなたも入る?ようこそいか教へ!続き3

第二章 イカの心得って?
そして、爆速で廊下を走り、なんとかホームルームに間に合い、1時間目を受け終わった二人であった。。。
休み時間______
「・・・それで、いか教って何をするの?」
「うむ、まずはいか教3つの心得を教えてやろう!」
「3つの心得?」
「うむ、まずは毎日イカを食べること!」
げっそんなぁあ。。。アレルギーになっちゃうよお
「そして!」
まだあるの?
「給食のときには必ずしもいかのおかわりを第一にすること!」
え〜まあ、いか、好きだからいいけどさあ。
「最後に!」
多くない?
「回転寿司ではイカのお寿司を6個は食べること!」
ええええええええ!
「ちなみにわしはイカしか食べんぞい。」
はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!狂ってるんじゃ。。。
「ま、そういうことで我が信者よ、よろしゅうな!ああ、あと日頃は信者を多くする活動を。。。なんちゃらかんちゃら」
ああもう、なにこれ。やっぱり変な人に出会っちゃったな。
「〜〜〜だから、良いか!」
私は耳にタコができるほどの説明にむしゃくしゃした勢いで、
「う〜んもう!はいはいわかりましたよぉ!信者になりますぅ!!」
と答えてしまった。あああああああああやってしまったー!私はうつ伏せ状態になった。こんなことしたら私の新しい第1歩を踏み外したことになるじゃないか!(失礼)もう、きっと雀は嬉しそな顔をしているんだ。。。そして私が顔を上げるとそこには。。。
「ヒックヒックぐすん。。。え〜んえ〜ん」
雀が泣いていた。は、はぁ?!な、ないてる?もしかして、泣かせちゃった?!
「ど、どうしたの?」
「だって、だって、断られるかと思ったんだもん。。。みんな、私が誘っても、断ってどこかに行っちゃうの。。。」
断れるようなことするなよ。。。そんな気持ちもありながらも私は優しく雀を撫でた私であった。続く。。。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑦

「…君は、引っ込み思案なんだねぇ」
「⁈」
霞さんの急な発言に、黎は驚いて飛び跳ねる。
霞さんはまた笑った。
「この子はどうして耀平くん達と一緒にいるようになったの?」
霞さんが師郎にそう目を向けると、師郎はあぁ、それは…と黎の方を見やる。
「黎はネロと耀平が拾ったようなものなんすよ」
夏の雨の日に、ネロが傘貸してやったのが縁だそうな、と師郎は腕を組んだ。
へー、と霞さんはうなずいた。
「なんだか不思議なもんだね~」
「そうなんすよ」
俺達は偶然が重なって一緒に行動するようになったんで、と師郎は笑い返した。
すると霞さんは不意に…僕もそうだよと呟く。
わたしや黎は驚いて霞さんの方を見た。
「僕だって、長らく独りだったんだから」
霞さんのどこか寂しげな呟きに、わたしと師郎は目をぱちくりさせる。
それに気付いたのか霞さんは、あーごめんごめんこっちの話と手を振って苦笑いした。
わたしは何の事だろうと不思議に思うが、師郎はふと側にいる黎がゲームセンターの外に目を向けている事に気付いたのか彼に話しかける。
「黎、どうかしたか?」
師郎がそう聞くと、黎は彼の方を見て横に首を振った。
師郎は、そうかと答えると、ネロと耀平が攻略に四苦八苦しているクレーンゲームの方に目を向けた。

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