仔鬼造物茶会 Act 25
「よくもうちのきーちゃんを攫ってくれたなぁ!」
一体なんのつもりだ!と露夏は声を上げる。
それに対し琅はなんだよお前と魔力式銃を向ける。
「うちの硫を奪おうなんて言うのか」
「奪おうなんて、それはこっちのセリフだぁ‼︎」
露夏はそう言って駆け出し、包丁で琅に切りかかる。
しかし琅は露夏を避けつつキヲンの方向へ走り出す。
「⁈」
露夏は驚いて振り向くが、その頃には琅の手がキヲンの腕を掴みそのまま琅は走り出していた。
行くぞ硫!と琅に引っ張られるまま、困惑するキヲンは倉庫街を走り出す。
だが突然上から琅に向かって1本の矢が飛んでくる。
琳はすかさず矢を魔力式銃の光弾で弾いた。
「…あら、随分強いのね」
琅とキヲンが見上げると、すっかり暗くなった空を背景に倉庫の上に立つ背の高くて背中に翼の生えた人影が見えた。
「お前、“学会”幹部の…」
琅が睨むと相手…ピスケスは弓矢を消しながら、ご存知みたいねと微笑む。
「そりゃ“学会”に敵対する集団の界隈では有名さ」
おれですら知ってるよと琅は返す。
ピスケスはその言葉に、そうと返すとミニワンピースの裾の内側から短剣を取り出し琅に向けて構えた。