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魔法譚 〜因果応報 Ⅱ

「…やぁ」
バケモノを退治した後の少年の背後から、声が聞こえた。
少年が振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。
「…大賢者さん」
「そうだよ、わたしさ。久しぶりだね、“村雨 千夜”くん」
センヤ、と呼ばれた少年に、大賢者は笑いかける。
「随分戦いに慣れてきたね」
「そうですか?」
そう答えるセンヤの服装は、昔風の軍服から学校の制服に変わった。
「…まぁ、魔法使いになってから2年くらい経ってますからね」
センヤはオルゴールの形をしたマジックアイテムをポケットの中に入れながら言った。
その様子を見ながら、ふと思い出したように大賢者は呟いた。
「…そういえば、キミの願いは何だったかな」
センヤは笑顔で答える。
「いじめてくる奴らに、同じ痛みを味わせたい」
「…まさに因果応報ね」
大賢者はボソっと言った。
「手に入れたのが、“自分が受けた痛みをそのまま相手に返す”魔法で本当によかったですよ。お陰であいつらに復讐することができたし、ファントムの退治もできるし」
本当にありがたい、とセンヤはにこりと笑う。
そうかい、と大賢者は素っ気なく答える。
「キミが後悔してないみたいで本当に良かった」
こういう願いっていうのは、途中で後悔することがよくあってね…と大賢者は苦笑する。
「…後悔なんてするわけないじゃないですか」
センヤは明るく返答した。
なら、本当に良かったわね、と大賢者は呟い
た。
そしてぽつりと一言こぼした。
「…やっぱり、人間って面白いわね」
「?」
センヤは不思議そうに大賢者の顔を見た。
「…色々な願いを抱えて生きてるからねぇ」
大賢者はセンヤの目を見据えたまま答えた。


***********************
どうも、大賢者の代弁者です。
企画は早くも後半戦に突入しますね。
今からでも、企画への参戦は大歓迎ですよ。
あと参加するときは作品に「魔法譚」のタグを忘れずに付けてくださいね。
…さぁ、後半戦も、楽しんで参りましょう!

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魔法譚 〜因果応報 Ⅰ

ーひゅん、ひゅぅん、と何かが風を切る音が聞こえる。
音のする方角では、昔風の軍服を着た少年が、鞭を振りまわしながら奇怪な生物に立ち向かっていた。
「…っ」
伸び縮みする鞭で、ライオンの胴体に観葉植物のような頭のついたバケモノに少年は攻撃を加えていたが、怪物の側頭部から伸びた蔓のようなものに弾き飛ばされてしまった。
だが、少年は地面に打ち付けられた衝撃をものともせずに起き上がると、手の中の鞭をオルゴールに変身させ、そのゼンマイを巻き始めた。
「={${*}”{>;‘,$\>\<;’;!」
無防備になった少年に向かって、バケモノは悠々と唸り声をあげながら近づいてくる。
しかし、あと数メートルのところで、バケモノは足元から崩れ落ちた。
「$;“\<\<⁈」
バケモノが己の身体をよく見ると、全身のあちこちにミミズ腫れやアザのような傷ができている。
何が起きたのか分からないバケモノは、必死になって立ち上がろうとするが、痛みに耐えきれないのかすぐに動けなくなった。
少年は音の鳴らないオルゴールを片手に、静かに化け物に近づいていった。
「”これ”が、さっき君が僕に与えた痛みなんだよ?」
少年は笑みを浮かべながら、オルゴールを鞭に変化させた。
そして無言で鞭を思い切りバケモノに振るった。

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無幻の月-宿痾-

「哭羅(コクラ)...そんなものまで出てくるなんてねぇ...」
桜は戦場から少し離れたところにワープさせられてた。
「賢者...なぜ助ける...」
「緊急事態なんでね。本来はこんなことはしないけど哭羅が出てきちゃったからねぇ...絶対にキミにはヤツを倒してもらいたい」
コクラ...あのでかいヤツのことか?
「だからキミの腕は魔術的に繋げさせてもらった」
なるほど、まだ変身状態なのはそういうことか
「賢者、二つ聞かせろ」
「なんだい?今さら降りるとかは無しだよ?」
「一つ、コクラとか言うあの怪物はなんだ、あれを放置すると何が起こる」
「あれはファントムの上位種。いわば支配者、王様みたいなものだ。この世界では...なんだっけ...あーそうそう、ダゴンって呼ばれてる」
ダゴン...昔何かで読んだな...どっかの宗教の神様だったか?なるほど、それであんなに強いわけだ
「そして、あれを放っておくとこちらの世界がメチャクチャになる」
さした影響は無さそうだな
「では二つ、私があの指輪を取り込んだらどうなる」
一緒にワープさせられた右腕を手に取りながら言う。
これは前々から考えていたことだ
取り込めれば恐らく指輪のリミッターを外せる
もっともこれが危険な賭けなのがわからないほど私も馬鹿ではないのだが
「...あなた正気?」
いつも飄々してた大賢者の顔が険しくなる。
「正気だ。お前が私の前に現れた時と同じくらいにはには」
「...そもそもマジックアイテムの力にその肉体が耐えきれない。仮にそこをクリアしたとしてもキミは常に変身状態でいるここと同じになる。人の精神がそれに耐えられるはずがない」
「なるほど...面白い!」
聞き終わった後、指ごと指輪を飲み込んだ。
体内で力が駆け巡る。耐えきれないというのは納得だった。
だが...これなら...
暴れだしそうな魔力を精神力でねじ伏せる。
それはもう、人に非らざる魔なる者だった。
「あなた...何を...!?」
「...いい気分だ...」
「この魔力...ファントム!?まさかあなた、アレも取り込んだの!?」
どうやら、あれは禁じ手だったらしい
持ってかれた右腕を魔術で生やし、焦る大賢者を尻目に再び戦場へ飛び去った。

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魔法譚 死にたくない魔法使い2

突然、身体を丸めるようにして苦しんでいた少年が、耳を塞ぐのを止めて姿勢を正した。
「僕はさ……、ただ願っただけなんだよ。『死ぬのが怖い、死ぬのは嫌だ』って。それだけなんだ。そしたらあの人は、僕に言ったんだよ……」
少年の頭に、『大賢者』と出会ったときの会話が思い出される。

『少年、死ぬのが怖いと言ったな?』
「うん、言った」
『そうか、ところでお前さん、自分を怖いと思うか?』
「いや、思わない」
『そうか、それは幸せなことだ』
「そうなのです?」
『ああ、世の中には、自分自身が怖いなんてことを言う奴だって居る』
「それはまた奇妙な。どんなに怖がったって自分からは逃げられないでしょう?」
『死もまた、決して逃げられないことさ』
「そりゃあ、運命による死はそうでしょう。けど、何か悪いものが僕を害して、そのせいで勝手に死なされる、それが怖いのです」
『ふむ、……それなら少し……、いや、よそう。結局はお前が決めることだ』
「何の話です?」
『いや、「お前は幸せ者だ」という話だよ。さあ、これをくれてやろう。後はお前と、お前の願いが決めることさ』

少年は懐から小さな白い何かを取り出した。それは、『骨片』。何かの生き物のどこかの部位の、ほんの小さな、少年の指の長さほどの骨の欠片。
「つまりはさ、何も分からないから怖いんだ。いつ来るのか、そもそも何なのか。未知こそが恐怖の正体なんだよ。なるほど確かに僕は僕を怖がらない。その答えが『自分』ならさ……」
少年の姿と服装がが少しずつ、変化していく。
「少しハ、マシなんじャア、無いカナ?」
あまり高くなかった背丈は、いつの間にか大の大人さえ軽く見下ろせるほどのものになっていて。ボロボロの黒いローブから覗くは、骨だけの腕と顔面。トレードマークの大鎌こそ持ってはいないが、その姿は確かに『死神』だった。

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魔法譚 死にたくない魔法使い

ある時ある場所にて。その少年は、友人数名と学校からの帰り道にいた。
少年がふと気付くと、道の脇に一匹の黒猫がいた。
「あ、ネコ……」
「ネコ?どこに?」
「ねこはいます?」
「ミームか?」
どうやら少年以外には見えなかったらしい。その黒猫が、とても不自然なことなのだが、ニタリと笑った。さながら、童話に書かれたチェシャ猫のように。
「……ごめん。今ちょっと急に用事ができた」
「お、また用事か」
「お前よく用事召喚するよな」
「なに、今更止めやしねーよ。さっさと行ってきな」
「うん、ありがとう。それじゃ、また明日」
少年は友人達と別れて、黒猫とは反対側に、体力不足故にときどき歩きつつも、走りに走った。そして、三方を塀に囲まれた行き止まりに行き着いた。
『クックックックックッ………。わざわざこんな始末しやすい場所に来てくれるとは、何とも親切じゃあないか、魔法使い様ヨォ?』
先程の黒猫が現れ、話しかけてきた。しかも、人間のように二本足で器用に歩きながら。
「うう、何なんだよお前ら……。確か、ファンタズムとか何とか……」
『阿呆。ファントムだ。お前らはそう呼んでるんだろう?え?』
「そうそれ。何で僕ばっかり虐めるのさ……。せっかく人間からのいじめも無くなって友達もだんだんできてきたっていうのに……」
『そんなこと知ったことか。さて……』
いつの間にか周りの塀の上には、何匹ものネコが集まっていた。
『冥土の土産に名乗ってくれよう。我こそは猫を統べる〈ケットシー〉!闇に生きる王、不可解の魔獣!これから貴様を殺す者なり!』
ケットシーが周りのネコに呼びかける。
『さあお前達!歌え、【人を殺す歌】!死肉は好きにくれてやる!』
その合図と共に、ネコ達が一斉にニャアニャアと鳴き出した。何十、何百と重なり、不快なハーモニーを生み出すその鳴き声に、少年もたまらず耳を塞ぐ。
「うう、頭痛がする……吐き気もだ……。何だよこの鳴き声……。一体何匹居るんだよ、このネコ共は」
『お前には知る必要の無いことよ!しかしこれだけは教えてやる!この歌は音の重なり合いによって特殊な周波数を生み出し、貴様らのような人間の脳味噌と肉体を直接に殺す、必殺技なのだ!魔法を使うといったところで、所詮は人間!このままくたばりやがれェッ!』

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魔法譚 〜開幕篇

「…中止になった最後の公演をしたい」
目の前の1人の少女は、力強く言った。
「本当に、それで良いのかい?」
これで確定させちゃったら後には戻れないよ?とわたしは尋ねる。
「いいの、これがわたしの叶えたい願いだから」
少女は毅然と答えた。
「ふーん、そうなの」
じゃぁ分かった、とわたしは答えて、1つ指を鳴らした。
すると、宙に1冊の軽そうな本が現れた。
落ちてきた本を手で受け止めてから、わたしは少女にそれを手渡した。
「はい。ご注文の品だよ」
少女は作られたばかりのマジックアイテムを恐る恐る手に取った。
「…これ、どうやって使うんです?」
少女は本をパラパラしながら呟く。
「そんなの、わたしにも分からないけど?」
「え」
わたしの回答に、少女はフリーズした。
「…まぁ、分からないって言っても、そのマジックアイテムで魔法を使う方法とか、使える魔法の種類が分からない程度だからね。変身機能は念じれば使えるってのは分かってるでしょ」
相手が勘違いしないように説明したが、少女は呆然としたままだった。
「…とりあえず、色々と試してみると良い。どんな魔法が使えるのか、どうやったら魔法が使えるのか」
キミの望みを叶えられる魔法が使えることは確かなんだから、とわたしは諭した。
…暫くの間、少女は手の中のマジックアイテムを眺めていたがふと顔を上げた。
「…ありがとうございます」
そうかい、まぁ頑張って、とわたしが答えると、少女は一礼してその場から去っていった。

「…最後の公演をしたい、か」
少女の後ろ姿を見届けてから、わたしはぽつりと呟いた。
「やっぱり、人の願いは十人十色だね〜」
だから面白いんだけど、とわたしは1人笑う。
「そういや、この国では今日、願い事を短冊に書く行事があるんだっけ」
そんな夜に、短冊に書かれた願いを文字通り叶えてやるのも面白いかもしれない。
…なら。
わたしは日傘片手に地面を蹴り上げ、舞い上がった。
…どこかにいる、魔法使いの“原石”を探しに行くために。

待ってくれていた方、お待たせしました。
企画「魔法譚」の開幕です。
7月10日24時まで、のんびりと楽しみましょう!

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魔法譚 〜開催前夜

知ってる人はこんばんは、初めての人ははじめまして。
テトモンよ永遠に!改め、“魔法の伝道師”大賢者の代弁者です。
早くも企画「魔法譚」(読み:まほうたん)のスタートが、明日に迫ってきました。
…え、なにそれ?って人もいると思うので、ここで改めて企画の概要説明をしようと思います。

文明の発達により、非科学的なものがほとんど否定された現代。
だがそんな世界で、“魔法の伝道師”大賢者は魔法を扱う素質があるコドモ達に、願いを叶えるための魔法の道具“マジックアイテム”を作り与えていた。
大賢者によってマジックアイテムを手渡された人々、“魔法使い”は、その命を狙うバケモノ“ファントム”とマジックアイテムの変身機能を使って人知れず戦っている…

そんな世界を舞台に、魔法使い達のお話を詩や小説という形でみんなで作って楽しもう!というのが、この企画の概要です。
(詳しくはタグ「魔法譚」から「企画概要」を見てね)

企画の参加方法は、自分の作品に「魔法譚」のタグを付けるだけ!

投稿作品は詩でも小説でも何でもOKです!
三人称や魔法使い視点じゃなくても、大賢者視点のお話も良いですよ。

開催期間は、7月7日21時〜7月10日24時までです!
あと予定ですが、企画終了後に企画「魔法譚」のまとめを作ろうと思っているのであしからず。

細かいこと(用語解説など)はタグ「魔法譚」から「企画概要」や「用語解説」を見ることをおすすめします。
あと、質問や気になることがあったら、どんなことでもレスからどうぞ。
初めての企画なので慣れないところもありますが、頑張って進めていきたいと思います。

皆さんのご参加、楽しみに待っています。

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魔法譚 〜用語解説 Ⅲ

企画「魔法譚」の用語解説、Ⅱの続きです。
企画概要はタグ「魔法譚」から。

〈魔法使い〉
大賢者からマジックアイテムを受け取って魔法を使えるようになった人のこと。
マジックアイテムを使うことで魔法を使用できるが、1つのマジックアイテムで使える魔法は1種類までなので、実質1種類しか魔法を使えない。
異方からやってくる“ファントム”に命を狙われる運命にあるが、マジックアイテムの変身機能を使うことで戦うことが可能。
変身後の姿は人によって様々である。

基本的に大賢者からマジックアイテムをもらって魔法使いになれるのは子供のうち(10代くらい)である。
だが世の中には少数だが大人の魔法使いもいる。
それでもコドモの魔法使いが多い。
なぜならほとんどの魔法使いは、大人になる前にファントムに命を奪われるからだ。

〈ファントム〉
異方からやってくるバケモノ。
理由は不明だが魔法使いの命を奪いにやってくる。
実在する生物っぽい姿から、なんとも言えない異形の姿まで、様々な姿形をしている。
普通の人には見えない。
そのくせして魔法使い達に物理攻撃や精神攻撃などを仕掛けてくる。
魔法使い達にできる唯一の対処法は、マジックアイテムの変身機能を使って戦うことのみである。

たまに大賢者に手を出すことがあるが、チート級に強いので一撃でやられる。

これで用語解説は終了っと…
何か分からないことがあったら、レスで質問してくださいね。

企画「魔法譚」は7月7日21時よりスタート!

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魔法譚 〜用語解説 Ⅱ

企画「魔法譚」の用語解説、Ⅰの続きです。
企画概要はタグ「魔法譚」から。

〈マジックアイテム〉
文字通り、「魔法を使うための道具」。
大賢者が、魔法を扱う素質のあるコドモに「願いを叶えさせるため」に作り与えている。
ただし、マジックアイテムで使える魔法は基本的に1種類、持ち主の願いを叶えることができる魔法のみである。
使える魔法は持ち主の願いによって決まってしまうそう(例:あの人と結ばれたい→魅了魔法)。
基本的に持ち主しか使うことができないので、持ち主以外が使おうとしても魔法は使えない。

ちなみに、マジックアイテムの形は持ち主によって千差万別。
王道っぽいステッキやコンパクトから、ホウキ、スマホ、ガラケー、ペンダントに指輪、リストバンドにナイフまで、何でもありである(でも手のひらに収まるくらいのサイズがいいよね)。

魔法使いを狩る“ファントム”と戦うための「変身」機能もついており、その気になったらいつでも変身できる。
変身後の姿も人によりけり。変身ヒーロー・ヒロイン的な感じから、かなり地味な格好まで、個性が出やすい。
そして変身後は大抵の場合マジックアイテムは武器に姿を変えたりする(そもそも武器の形をしているのでそのまま、マジックアイテムとは別に武器が出てくる、など例外はあるが)。

お一人様1つまで。
もう1つ欲しいなんて言ってもくれはしない。
あと紛失したり壊したりしても、大賢者から新しいマジックアイテムをもらうことはできない。
大賢者曰く、同じ物は二度と作れないから無理、とのこと。

Ⅲに続く。