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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑫

「まぁ…ここ田舎だし、みんなここに集まっちゃうし…」
「これだから田舎は! もう…」
赤いウィンドブレーカーの少年 耀平はあきれ気味に呟き、ネロは地団駄を踏んだ。
その後ろにいる師郎は苦笑いするばかりだったし、黎は相変わらず沈黙し切っていた。
「…つか、なんでまた異能力者と一緒にいるの? 関わらない方がいいって言ったハズだよねぇ?」
ネロは怪訝そうにわたしの顔を覗き込む。
わたしはちょっとびっくりして思わず後ずさってしまったが、1つ自分の中で引っかかるものに気付いた。
「待って、どうしてセレンさんが異能力者ってこと知ってるの? もしかして、知り合い?」
さすがにそうだったら嫌だな~と思いながら、わたしは彼らに尋ねた。
「いや、別に、アタシはこの子達のことぜーんぜん知らないよ? てかこの子達が、キミが異能力を知るキッカケになった子達?」
セレンさんは明るく笑いながら言う。
「ちょ、お前ーーーっ! ボクらのこと人に話したな⁈ マジ許さ」
「待て待て待て」
自分たちのことを他の人に話されたことが癇に障ったのか、ネロはわたしに飛びかかろうとし、耀平はそんな彼女を慌ててなだめた。

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悪友 2.ハー ポイント オブ ビュー

「悪友、ねぇ…」
私は彼の言葉を反芻する。
「確かに、よくヒドイ言葉をぶつけあったり、互いにイタズラを仕掛けたり…そういう意味では、”悪友”はピッタリね」
「そうだろう?」
鮮やかなコバルトブルーのウィンドブレーカーを羽織っている彼は、そう言って歩き出した。
「…そうだ、面白い話教えてよ」
私は、彼の後ろに付いて行きながら言う。
「お前はお前で面白い話とかがあればしてやってもいいが」
「それがあいにくないのよ」
「フン、じゃ無理だな。俺のモットーは等価交換なんで」
そう言って彼は後ろを向くと、にやりと笑った。
彼は知り合いが非常に多く、常にたくさんの、色々な人の話を持っている。だからよく、情報屋みたいなことをしているのだ。
「…代わりにジュース1本ぐらいはおごってやるわ」
「そんなんじゃ俺は乗らないぜ」
彼はそう吐き捨てた。でも私はここで引きはしない。
「じゃあどっかの誰かさんと、ココアシガレットとサワーシガレットのどっちが素晴らしいかで小競り合ったとか言う話を言いふらされてもいいの?」
「うぐっ…」
彼の余裕そうな顔がゆがんだ。私は得意げに続ける。
「どうする?」
彼は数秒考えこんだが、すぐに口を開いた。
「しゃーねぇ、ジュース1本プラス俺のオヤツ代おごれ」
「OK、でもおやつは500円以内まで」
厳しいなぁ、てかアニメの中の小学校の遠足かよ、と彼は苦笑いする。
「…で、何の話がいい?」
「別に何でもいいわ。とにかく聞かせて頂戴」
私は、よき悪友に駆け寄った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑩

彼女はうつむきがちに苦笑した。
「”周りに影響を与える”系の能力は下手すると周りに滅茶苦茶な影響を与えちゃうから… いつの時代も、そのせいで自滅する異能力者がいるんだけど…ま、それを防ぐために”記憶の継承”が起こるんだろうね」
”過去に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐ”―異能力者たち共通の特徴が存在する理由が、分かったような気がした。
「…やっぱり、すごいですね、異能力者は…」
「そぉ? アタシにとっては当たり前のことだから、何とも思わないんだけどね~」
セレンさんは宙を見上げながら呟く。その目にはきっと、わたしとは違う風に世界が見えているのだろう。
「…わたしも、異能力者の”当たり前”理解できたらなぁ…」
「なんで?」
セレンさんが、わたしのほうを見て首を傾げる。
「いや、もし分かってあげられたら、仲良くなれただろうな~って」
「…もしや、”異能力”を知るキッカケになった子?」
「あ、まぁ”子”っていうか…”人達”なんですけど…」
言いながらわたしは、ちょっと恥ずかしくなって下を向いた。
「仲良くできないってヤツ?」
「…そう、です」
ドンピシャすぎて、顔を上げる気にならなかった。

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No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点


涼香を家に連れて帰った日の夜。
様子がおかしかった時雨ちゃんの様子を見に行った。時雨ちゃんの部屋をノックする。でも、返事がない。
「時雨ちゃん?入るよ〜」
時雨ちゃんの部屋に入ったが、そこには誰もいなかった。そして、部屋の窓が開いていた。
綺麗な満月が見えた。そして、何か外の風景に違和感を覚えた。
気配を感じて後ろを振り返った。
すると、無表情で時雨ちゃんが立っていた。
「時雨ちゃん、何処にいたの?心配し((ドンッ」
言いかけた途端、時雨ちゃんが襲い掛かってきた。無表情のまま。



美月視点

時雨さんの部屋から物音がした。結月姉が時雨さんの部屋に行くと、言っていた。
急いで時雨さんの部屋に行ってみると、時雨さんが刀を抜いて結月姉に襲い掛かっていた。結月姉は鞘ごと時雨さんの刀を受け止めていた。
時雨さんの部屋が騒がしくなったことに気づいた玲さんが私と一緒に時雨さんを取り押さえてくれた。結月姉の方を見ると、少しだけ切られてしまったらしく、血を流していた。それでも結月姉は
ポケットから携帯を出して何かを検索し始めた。
その検索ワードは『AI洗脳 満月 暴走』だった。
その検索結果に結月姉は驚愕していた。


結月視点

時雨ちゃん。だからおかしかったのか。

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悪友 1.ヒズ ポイント オブ ビュー

昼とも夕方ともいえぬ時間帯、路地裏を歩く俺を、誰かが呼び止めた。
「あら、」
振り向くと、そこには長い髪を一つに束ねた長身の少女がいた。
「…フン、お前か。一体何の用だ」
「…別に用なんかないわ。たまたまアンタを見かけて話しかけただけよ…そう言うアンタは何してるの?」
少女はわざとらしく首を傾げる。その顔に浮かぶ笑みはいつになく憎たらしい。
「ちょっとコンビニにノート買いに行くところだ…お前は、塾にでもいくところか?」
俺は、彼女が背負うリュックサックに目をやりながら言う。
「ハズレ。友達ん家に遊びに行くところよ。…今思ったけど、アンタ、ホントはコンビニ行くついでに駄菓子屋にでも寄るつもりなのでしょう?」
「ぎくっ」
見抜かれた、と思った。やはりこの女を、俺は昔から騙しきることはできない。
「ふふふ、当たりね。どっちにしろ”ココアシガレット”のソーダ味バージョン買いに行くんでしょう? 私にはお見通しよ?」
「”サワーシガレット”な。いい加減名前覚えろ… てか、お前も行くんだろう? 駄菓子屋」
あら、お見通しなのね、と彼女はにっこり笑う。
「まぁな…お互いに色々お見通しなんだよ。そうでなけりゃこんな風に会話するようなことはなかろう?」
「そうね。一応私の方が年上だし、学校が違うのにこうやってお喋りできるのは、お互い似たようなものだからね…」
そう言い終えて、彼女はふっと目を細める。
「…こういうのを”腐れ縁”とかって言うのかしら」
それを聞いて、俺は違うな、と苦笑いした。
「…”悪友”が一番ちょうど良いな。…俺達は」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑨

「あの~、わたしが言うのは何か変な感じがするんですけど、…セレンさんの能力、上手く使ったら夢叶うんじゃないのかな…」
自信なくうつむきながらわたしは言った。
そんなわたしを見ながら、セレンさんは苦笑いした。
「まぁ、ね…確かに、”セイレーン”の能力って、上手く使えば人の注目集めて、有名になれるかもしれないけどさー…やっぱり、違うんだよねー」
セレンさんは、遠くの方を見つめながら続ける。
「結局さ、能力使って人の注目集めたとしても、それは”アタシ”じゃなくて、”セイレーン”の力なんだよねー。アタシ、”船戸 セレン”の力じゃない―歌手になりたいと願っているのは”セレン”だから、アタシの力で頑張らないと」
「…やっぱ、そうですよね…」
”使わない理由”は、なんとなく予想がついていたから、返答が思った通り過ぎて、聞いた自分にちょっとあきれてしまった。
「あと、”異能力”って、使い方間違えると危ないから…」
え、とわたしは思わず言った。どうして…?
「例えば、”セイレーン”。『周りの人の意識を集める』能力なんだけどさ、あんまり長時間使っていると、周りの人の”意識”がアタシに集中して、周りの人が周りの人自身がやっていることに対する注意が散漫になるでしょ? …色々事故とか、トラブルとか起こるかもしれないから、アタシも、”セイレーン”も、この能力はむやみに使いたくないんだ… ま、光る目が目立つから、ってのもあるけど」

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世にも不思議な人々⑦ 彼女らにも名前を

少女1「こんにちはー…」
キタ「おお、いらっしゃい。待ってたよー」
オータロー「あれ、確か……」
ラモス「あれだ。この間間違えて入って来た奴。……と、もう一人いるな」
少女1「こちら、私のお友達です。彼女も能力者なんですよ」
少女2「………」ペコリ
キタ「ああ、喋れないのか」
少女2『でも、こうやって会話できます。こちらからの一方通行ですけど』
キタ「へえ。面白い能力だ」
オータロー「え、何があった?」
ラモス「雑談はここまでにして話進めんぞ。今回はお前らに名前をつけようと思う」
キタ「つけるの僕だけどな。で、君、能力はどんなの?」
少女1「私のは、『メトロポリタン美術館』の能力で……」
少女1の能力『良イ?私ノ言ウ通リニ説明スルノヨ?』
少女1「えーっと………。『私ができると心の底から信じたことなら、何でもできる』、です」
キタ「ありがとう。そうだな……リータ。リータでどうだ?」
リータ「分かりました。それで大丈夫です」
少女2『ねえ、私は?』
キタ「そうだったね。何て曲なんだい?」
少女2『みんなのうたで、初めて流れたボカロ曲の「少年と魔法のロボット」です』
キタ「OK。じゃあ…、マホ。これで良い?」
マホ『はい!ありがとうございます!』
ラモス「案外とあっさり終わったな。何か話題ないか?」
オータロー「そうだな。今日来るとき見た変な奴の話とか?」
キタ「どんなの?」
オータロー「この暑いのに、コート着てフード被って歩いてた。流石に袖まくりはしてたけど」
マホ『えっと、不審者だね、ねぇリータ』
リータ「そうだね、マホちゃん。不審者だ」
キタ「不審者だね」
ラモス「不審者だな」
オータロー「これは新キャラか?」
キタ「真相はまた今度な。今日はもうお終い。解散!」