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ユーラシア大陸縦横断旅21

上海虹橋空港に隣接した虹橋駅からおよそ4時間半、北京の駅に着いた
そして、会心の友とはここで分かれるはずだ
ところが、彼は「俺たちの先輩で日本大使館に勤務している人がお前に渡したいものがあるそうだ。それを受け取りに行かないか?」と言って俺とより長く一緒にいようとした
結局、日本大使館へ3人で行って紙袋の中に入ったプレゼントのように包装された小さな箱と俺の名前宛てに書かれた便箋らしき封筒を渡された
そして、封筒の中を開けてみると手紙が入っていた
俺が朝鮮半島にルーツがあることを誰かが知っていたのだろう
内容は日本語だが、ハングル表記で書かれていた
要約するとこうだ
「この紙袋の中には、あのガイドをしていた友達から教えてもらった情報を元に、彼女へのプロポーズ用の指輪が入った小さな箱が入っている。北京で開けずに、『愛の街』として知られるパリまで開けるなよ」とのことだ
それを読んで俺は自分のメンツを潰された気がして茫然としていた
彼女は「ハングルって難しい。解読して」と俺にねだってくる
「これはちょっと見せられないよ…」と言うしかなく、彼女もそれ以上は追及しなかった
そして、いよいよ北京を発つ時間になり、友に感謝の言葉を述べて俺たちは寝台列車に乗り込む
次に起きる頃にはもうモンゴルだ

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ユーラシア大陸縦横断旅20

3人揃って朝食を取った後、すぐに荷物を纏めて駅に行く途中のタクシーから京杭運河を見る
友曰く、「よく見ろよ。これが隋の煬帝の大運河を共産党下部組織の人たちが拡幅したもので、一部は世界文化遺産さ。」とのこと
俺たち2人の反応は少し違った
彼女は「これがあの大運河なの?すごい!初めて実物見たけどカッコいい」かなりと興奮気味
俺はというと、「大運河って、水の都の蘇州も通ってなかったっけ?」と質問する
「蘇州も天津も通るぞ。ただ、やっぱり終点の杭州が有名だな」とのこと
そんなやり取りを経て、杭州の駅に着いた
上海まではおよそ40分ほどだそうだ
実際、思いの外すぐに上海に着いた
ただ、列車の接続の都合上上海観光はお預けになった
それを聞いた彼女は少し残念そうだ
「超大都会の景色、見てみたかったなぁ…」
「俺も中国最大規模の貿易港の港湾の風景見たかった…でも、まだまだ超がつくほどの大都会には寄るからそこの風景見ようよ。夜景で輝くタワーブリッジとか、夕暮れのグランプラスとか、昼下がりの東京のアップローズの庭とかオススメだよ」
「昨日の情報、役に立つな」と耳打ちされて苦笑いするしかなかった
そして、彼女が疑問符を浮かべる
「アップローズってのは東京、それも俺が生まれ育ったエリアの施設の名前さ」と解説する
そして、友から「それも、結婚式場な」と補足されて2人とも頬を染め、沈黙が続く
車内でそんなやり取りをしていると早くも列車が蘇州を通過した
そして、最初の停車駅、南京南に滑り込む
南京南を出てすぐに長江を渡ったが、まだまだ北京への道のりは長い

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杭州での一幕(ユーラシア大陸縦横断旅)

宿にチェックインしてすぐ、俺たちはカーテンを開けて眼下の夜景を眺めてすぐ、部屋のベッドの上に倒れ込んだ
それもそのはず
飛行機でも2時間半の距離を高速鉄道で約5時間、そしてそこにプラスしてビエンチャンからの約5時間、合計およそ10時間も列車に座っていたのだ
そして、会心の友から内線電話がかかってきたので俺が受ける
「2人とも、あんな長旅してるんだから疲れてるんだろ?だから、明日の朝まで起こさないよ。
ゆっくり寝て疲れ取れよ。でも、お互いが魅力的すぎてまともに眠れなかったとかいう言い訳はしないでくれよ?北京からの列車に間に合うよう全て手配してあるんだからな?
あっあと、お前が列車内で寝ている隙にお前にとって将来必要になるであろうモノを注文するためのメモ書いてズボンのポケットに突っ込んで置いたからな。参考にしてくれよ?」
「そのモノって何だ?危ないモノじゃないよな?」「おいおい…いくら何でも、危ないモノ注文してお前らの人生破滅させるほど愚かなことはしないぜ?そのモノってのは、婚約指輪だ。それだけ2人ともお似合いってことは将来的には彼女さんの左手に着けてやるんだろ?だったら、あらかじめ指のサイズ測った方がいいと思ってな」
そのやり取りを彼女も聞いていて、そばにいた彼女は顔を真っ赤にしてフリーズしていた
「君のその粋な計らいは嬉しいし、俺としても指輪なら将来的に渡すつもりだったからありがたいんだけど、そばで彼女が顔真っ赤にして聞いてるからその辺にしといてくれ」「お前も爆弾発言してないか?」
「あっ…」
それ以降の沈黙を破る砲撃のような大声で彼女が一言
「2人とも、あまり揶揄わないでください!」
そして、お互い気まずくなってどちらともなく電話を切った
お互いに興奮して眠れないので、過去の旅での体験談を語り合った
そして、話し疲れたのか彼女が寝落ちしたので、ベッドに運んでやることになった…
こんな可愛い姿見せられたら、眠れんわ!
彼女の寝顔が窓から差し込む月と港町のネオンの光に反射して今まで見たことない輝きを発していた

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ユーラシア大陸縦横断旅19

2人分の荷物を3人で分担して大急ぎで目の前に止まっているバスに運び込み、昆明南駅から昆明駅に移動する
そして、すぐに和諧号上海西行きの列車に乗るため手続きを済ませて3人で車内に入る
すると、彼が「手配しといた宿に連絡入れるなら早い方がいいと思うから、検札済んだらすぐデッキ行っていいか?」といきなり尋ねてくる
彼に何か考えがあるのだろうと察して、「わざわざすまない。」とだけ返した。すると、すぐに車掌が来て検札が済んだ。
その時に彼が中国語で車掌に一言二言発したのだが、俺は「シャンハイシー」と「ハンチョウ」という2つの駅名、そして中国語で「私たち」を意味する単語を聞き取った。
ここで得られた情報から、直感で「もしかしたら行き先が変わるのかもしれない」と察して万が一に備えて彼に聞いた。
「もしかして、俺たちは上海じゃなくて杭州で降りることになるのか?」
彼は「そうだ。勝手に変えて申し訳ないけど、実は宿が上海だと値段は高い上に予約取れなくてな。だから、杭州に宿を手配させてもらったんだけど、切符だけは事前に上海までの分で買っておいて、手続きの関係上切符の変更が間に合わなかったんだ。あと、彼女さんもお前と同じ宿の方が心強いだろ?だから、さっきバスで彼女さんと話して宿の変更について承諾受けたから、彼女さんの宿も変えようと思ってな」と言ってスマホを持ってデッキに向かっていった。
それからおよそ20分、「おい、彼女さん起きたら伝えてあげて。『宿の変更できた』ってな。一応、俺も君たちと同じ宿取ってあるよ。部屋は分けてもらったよ。彼女さんとお前で一部屋使いな。」と言いながら彼が戻ってきた。
「甘い一時過ごしても良いけど、部屋の中だけにしてくれよ?俺は見てられんよ」という捨て台詞付きで
そして、列車が義烏の駅を通過する頃に彼女を起こして、降りる支度をする
あと、数十分で歴史と水路の街、杭州だ
明日の昼の列車で上海西へ行き、そこから北京行きの和諧号に乗り換えて北京を目指すことになっている
彼曰く、今回の宿では部屋から浙江省随一の大都市、杭州の夜景が一望できるそうだ
そんな話に俺たちカップルが想像を膨らませていると、列車は杭州の一つ手前の駅を通過した
目的の駅に着いて外に出ると、海の方から昇る月が綺麗だ

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ユーラシア大陸縦横断旅17

中国入ってからも昆明までは意外と時間かかるなぁ
どこかの駅に着いたようだが、今いるのはどこだ?
駅名標を見ると普洱と書いてある
そして気付いた
ここは俺が大好きな中国茶の一種、プーアール茶の産地であること
そして、ここで降りた少数民族らしき乗客の多くは、この辺りの茶畑やその周辺の集落で生活している人なのだと
トンネルだらけの区間で、しかもかなりの長旅で疲れたらしい彼女は寝ていたが、起きて一言
「大勢の人が降りたけど、ここって何か有名なものあるの?」「ここか?九州で言うと知覧みたいな町さ。お茶で有名なんだよ。中国茶の中で俺が特に好きなプーアール茶の産地なんだ。香りは少しクセがあるけど、味は美味しいからハマるよ。」「中国茶はほとんど飲んだことないから分からないなぁ」「俺は一時期、中国茶にハマってお茶っ葉ごと買って自分で淹れて飲んでたことあるよ。特に、福建や台湾の烏龍茶と雲南のプーアール茶が好きでよく飲んでたなぁ。まあでも、インドのチャイとかイギリスの紅茶にハマってからは中国茶飲まなくなったけど…機会があれば淹れてあげるよ」
シベリア鉄道の車両なら、サモワールで紅茶淹れて飲むことできるんだろうけど、モンゴル経由モスクワ行きの列車って、確か中国国鉄の車両を中国とモンゴル国境のモンゴル側に位置するザミンウードで台車を替えて直通させるんだよなぁ

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ユーラシア大陸縦横断旅16

列車はまだラオス領内だ
「どうして第三者呼ぶことにしたの?私たち2人の旅なのに」彼女はかなり不満そうだ
「中国ってかなりIT産業が進んでて、もう現金使えない店が大半なんだ。それこそ、田舎町の屋台であってもね。中国国民はホテルも列車の切符もみんな国からのQRコードアプリで支払いできるんだけど、中国政府から見た短期滞在の外国人観光客、つまり俺たちみたいな人はそのQRコードとそのアプリを使えないんだよ。だから、決済に協力してくれる人と一緒に動いた方が良いと思ってね。高校2年の頃に意気投合して1番仲良くなった同級生の男子生徒は中国人で向こうの市民権も持ってる人だ。しかも、彼は当局関係者の特権を持っている人だから、彼に協力してもらえればより円滑に旅を進められると思ってね。和諧号という高速鉄道を昆明と上海で乗り継ぐんだけど、その時の入場にはその政府支給のQRコードがない人は面倒な手続きを経なくちゃいけないんだけど、そのQRコード持ってる人に同伴してもらえるとその手続きが簡略化されて北京着いたらすぐに隔日運行のモスクワ行きの列車に乗れるんだよ。だから、申し訳ないけど北京まで辛抱してくれ」俺がそう言うと彼女は「流石私の彼氏だね。そこまで考えてなかったよ」と苦笑いを浮かべている
そして、しっかりしているように見えて意外と抜けているところがあるという共通点が見つかり、お互いに惚れ直して笑っている
ついに、国境まで来た
これから一気に中国領内を約時速300キロの列車で駆け抜けて華北まで向かう
一時的に漢字が見られるが、日本や台湾の漢字とは字体が異なるのでうまく読めるか分からないな

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ユーラシア大陸縦横断旅13

ハットヤイの街を抜けてすぐ、進行方向右側に湖が見えた
「あの湖ってどこに繋がってるの?」彼女は見たことないものを眺める5歳の子供のようにはしゃぎながら尋ねる「アレか?アレは、ソンクラーの街に繋がっていて、そこから海に繋がっているよ。」「ソンクラーって、かつて日本軍が上陸したシンゴラのこと?」「そうだね。まぁでも、シンゴラはタイの領土だからタイ語ではソンクラーという名前になるね」「山田長政が最期を迎えたパタニーってどの辺?」「シンゴラの南さ。俺たちは西海岸に近い内陸部からタイ入りしたけど、東海岸に沿って北上するとタイに入って最初の街なんだとよ」「私が歴史好きなの知ってるでしょ?だから、山田長政ゆかりの土地行きたかったなぁ…」「センセープ運河の船乗りたかったけど、君のためならプラン変えるよ。ただ、アユタヤとバンコクって距離があるからアユタヤだけでいい?」「距離ってどのくらい?」「東京から函嶺洞門くらい」「箱根駅伝で喩えないで(笑)」「博多から下関くらいって言えば分かるかい?」「意外と離れてるんだね」「だから、アユタヤ行ってたら市内観光してる時間がないんよ。まあいいか、近代的な都会なら俺の故郷、シンガポール、KLの街並み見たんだし」「東京出身者は羨ましいなぁ…」「でも、君が俺の隣にいなくて故郷の福岡県にいたから俺、夕陽見るのがつらくなってたんだよなぁ」「そっか…東京から見たら福岡って西の方だから、まさに日が沈む方角か〜」
そんなやり取りを経ておよそ10時間、チャオプラヤ川をまず渡り、チャオプラヤ川に繋がるような構造で張り巡らされた運河を渡った。
そして、着いたのだ
正式名称がべらぼうに長くて全部言えない街、バンコクに!