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異形なる使徒と極彩色の逆徒 ver.1.1.1 入学

この世界は非日常に溢れている
誰かのために生き、進んで己を捧ぐような善人には
理解できないようなそんな現実が……

四月の上旬になり桜も吹雪ききり、
葉桜になりつつある麗らかな日中、
奥馬市(おくま)にある私立桜ヶ崎高校
ではまさに入学・進級式が終わり、
クラスでの雑談に花が咲いていた。

個々を大切にするという校風のこの高校は、
体育を除いて服装は基本自由。
髪型や髪色、ピアス、化粧等使用可。
制服指定はされてないが市販の制服
(この場合も私服扱い)を着てきても良い
という感じの学校だった。

「オラァ、お前ら席につけー!」

体育会系を思わせるような如何にもな
ジャージを着用した強面の教師が入ってきたのを
見て、または、野太い威厳のある声を聞いて
クラス中の声がピタリと止まり
全員が席に着いた。
「改めてこのクラスを担任する、山上雅宣だ。
えっと、教科は数学、部活はまぁ知ってるとは思うけど陸上部の顧問だ。よろしく」
マニュアルのような自己紹介をして
各々の自己紹介に移った。
「出席番号1番と40番きりーつじゃん拳して負けた方から自己紹介なー」
「「「え~」」」「「「そりゃないよー」」」

各々不平不満を口にしつつ、じゃん拳を見守った。
最終的に40番の渡貫が勝ち1番からになった。
「じゃあ名前と趣味位かな、はい1番どうぞ」
「はい、1番の相浦叶多です。趣味は読書です」
「相浦、最近のおすすめはなんだ?」
「う~ん、湊ゆらさんですかね」
「先生も学生の頃は読んだなぁ、じゃあ次」
「はい、2番の入山累です。趣味は映画観賞です。」
「……」「……」「……」
と40番まで続いていくはずだった。
「はい、次5番」
「5番、現江凶禍よろしく」
「終わりか?趣味は?」
「…………」
「まぁ、あまり人に接するの得意じゃない奴も
いるからな気を取り直して次、6番」
見た目と性格が全くマッチしていない
紫髪の少女 現江凶禍(うつしえきょうか)
彼女は髪以外はとても地味、服も淡い色合い、
持ち物はモノトーン、そんな地味な風貌も
髪が黒いから地味に感じるらしく、
光るような紫の髪をしている彼女では
地味に感じない。ただ一つ、
紫色のギターケースを除いた持ち物なのだが……

2

関係の矛盾、発言への疑問・怒号、そして関係構築の放棄

ある人は言った、
「先生はお前をある程度1人前にしてから
 学校から社会に出すという信念がある。
 だから、見放すことが出来ないんだ。」と。
 また、嘲笑しながら
「学校に来る理由が新しい知識を得るためって
 格好つけてないで。お前は基礎が身に付いて
 ないんだから、自力でやったって出来っこ
 ないんだから。これも新しい知識を得られる
 から課題を写してこい」と。

別の人は言った、
「先生と生徒は信頼関係で
 成り立っているんだ」と。

またさらに別の人は、
「提出物を出すことは、
 信頼関係を築くことだ」と言った


見放すことが出来ないという発言は、
諦めてるけど、することが出来ない
つまり、信頼していないということ。

その人のことを信頼してなければ、
受け持つクラスの生徒も生徒ではなく、
自分のクラス担任を先生ではなくなる。

提出物で築けるような信頼関係は、
簡単に脆く地に落ちる。
信頼とは本来簡単に落ちるものだが、
提出物で築いているためさらに脆弱さに
拍車がかかっている、
ないのと同意とはいかないにしても
それに類すると思う。

結論としては、
先生と生徒の関係は、

    ①容易に築ける
    ②上部だけしか見ない
    ③簡単に破壊できる
    
そして、生徒の夢、意義等を貶す先生もいる

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

「今は降ってないみたいだけど、雨、ひどいね。」
私は窓枠に手をかけ外をみていたので、ふらっと現れた先生にそうなげかける。

『怖いか?』
顔を覗き込むと、いつものように腰掛ける。
「怖くはないけど、なんか7年前の災害と同じくらいの雨が降るんだって。」
『ここも地球温暖化の影響を受けてるのかもな。』
「うん。雨は好きだけどここまで降られるのは困る。」
『この感じだと郵便も当分来ないな。』
「あぁ、梟さん?あの子達先生のとこ来てたんだ。」
『そりゃあ、魔法に使う道具はこっちに売ってないからな。』
今日は私も先生と同じ向きで座る。

「また先生の魔法見たいな〜。」
『そろそろ、アルの魔法も上達したんじゃないか(笑)?』
「そうね(笑)、アルの魔法が先ね(笑)。」
『楽しみにしとくといい(笑)。』
“勝手に約束しないでくださいよ!”
ムスッとしたアルがでてくる。

「いつからいたの?」
“君が座ったあたりかな。”
「あ、あと、ムスッってしてたけど、約束してたよね?魔法見せてくれる約束したよ!?」
“え、嘘?いつ?”
『してたよな。』
「だよね!!」
『どっちみち魔法を見せなきゃだ。』
“え〜…。”
「手伝ってあげるから。」
“じゃあ、夏休み中にはなんとかするわ〜。”

『ちょろいな(笑)。』
アルは魔法の段取りをしていたので、それを横目に先生は耳元で呟いた。

私は、この雨が止んで3人の上に虹がかかる事を祈った。

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続・旱天慈雨

はっきり言って複雑な心境である
仲が良いのは知ってはいたが、まさかこんな三角関係がリアルに存在したなんて…
しかも自分が中心になるなんて想像もしなかった。

“ねぇ、こんだけ言ったけど改めて…
付き合ってください…”

もちろん断ることも出来る…
でもそうしたら…
多分あの人は彼女の気持ちを知ってたから振った
そう思えばこそ、失恋にも向き合える…
なら…ここの答えは二つに一つ…
「はい…よろしく…って言えばいいのかな?(笑)」

“やった!…嘘みたい…”

「ほんとに僕のこと好きなの?」
あの涙を見ているが、疑わずにはいられなかった…

“あのさぁ、さっきまで下手に出てたからもう言わしてもらうけど、自尊感情無さすぎ!さっきも言ったでしょ?「自分に彼女できない」なんて言わないで”

“自虐は自分だけじゃなくてあなたを好きでいてくれる人も傷つけるんだよ!”

この言葉にハッとさせられた…
あぁ、怖かったんだ…
誰かが傷つくのが…
自分が傷つけば誰も傷つかないと思ってたんだ…

感謝の意も込めて初めて人を抱きしめた。

別に欲している訳ではない…
でも潤いを知ると乾いていたことに気づかされる…

どんなに乾いてもいつかは潤いが巡る
そんな慈悲の雨を待つのも悪くはないか…

fin

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続・旱天慈雨

公園の土管に座った2人はしばらく沈黙を貫いた。
彼女は時々こちらを見ながら話し始めの言葉を探している様子だった。
それでも今ここで僕が何かを言い出すのも何となく違う気がして、彼女の喋り出しを待った。
ついに彼女は顔を伏せた状態で話し始めた。

“今日は、誘ってくれてありがとう”

たっぷり考え抜いた末にしては随分あっさりとした世間話スタートに思えた。
しかし、二言目に彼女は一気に本題に持ってきた。

“本当はもっと早くこうやって2人で話したかった…”

場の雰囲気が一気に変わったのを感じた。

“私、よく当番でもないのに掃除残ってたでしょ?
あれなんでだと思う?ずっと待ってたの…この場面を…なのに…いつもすぐに部活に行っちゃう…”

彼女はどこか泣きそうになりながら話を続けた。

“気づいてた?私がたまにあなたの話してたの…”

「え、そうなの?でもどうして?そんなにクラスでも話してた方じゃないはずだけど、」
咄嗟に出てしまった。彼女にとっては言われたくないであろうことを…

“だから、あなたがよく「自分に彼女なんか出来るわけない」って言ってるのがいつも辛かった…”

彼女はどこか怒ってるような、泣いているような、
とにかく感情的だ。
「ごめん、でもあれは話の流れもあるしさ(笑)」
あぁ、多分ここで笑ってるのは最低だ
でもこれでいい…
彼女が間違いに気づけば…

“そんなことわかってる…あなたが私に興味がないのも…わかってるけど!…気づいてよ!せめて…気づいてよ!鈍感!!”

初めて彼女がまっすぐこっちを見た。
やっぱり泣いてたんだ。目がちょっと赤い

鈍感か…
多分違うな…
気づかないわけない、彼女が僕に向けてた目は
何となく知ってた。
フタをしてた…
だってそうしないときっと傷つけるから
僕は人に好かれる資格はない…
でも…もしこんな僕でも好きと言ってくれるなら…

気づけば、彼女の目をじっと見ていた。

“ねぇ…わかってよ…小6の頃からずっと好きなの”

「え、そうなの?」

“そうだよ!ずっと○○ちゃんにも相談してたし、”

まさかの僕がついこの間告った相手に相談していたとは…

to be continued…

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〜二人の秘密〜少し長いので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

「暑い……。」
そう呟いた声を先生が拾う。

『まぁ夏だからな。』
「お〜、いつの間に先生。」
『顔にタオルをかけてるからだ。』
「いや、もう暑すぎて(笑)。」
『確かにこの暑さは死んでしまいそうだ(笑)。』
先生はチョロっと舌を出しながら笑う。

「うわ。何それ。可愛いかよ。」
私は先生を少し睨む。
『いや、なんで睨むんだ?』
「私より可愛かった罰。」
私はムスッとした顔を見せるとニコッと笑う。
「先生、可愛いから焼きもち焼いちゃう(笑)。」
『君は女の子なんだから、君より可愛い訳はないさ。』
「最近は更にさらけ出してるよね、先生(笑)。」
『何をさらけ出してる?』
「う〜ん、全部かな。自分をさらけ出しすぎ〜(笑)。」
『そんなつもりはないのだが??』
「いやいや、自覚なし(笑)?」
『自覚も何もさらけ出していない。』
「ふふ。先生のそういうとこ好きよ(笑)。」

“なんかイチャイチャしてんな〜(笑)。”
アルが音をたてながら歩いてくる。
「おっ、久しぶりアル。」
“久しぶり(笑)。”
「何してたの?」
“仕事だよ、仕事。”
「先生はここに来てくれてるのにな〜……。アルは仕事ばっかしてんだな〜。」
私はアルをジロッと見る。
『可愛い顔が台無しだぞ(笑)?』
先生は笑いながら手で私の目を覆う。

私は先生の手をずらしながらアルに言う。
「アルめ。今日は先生がいるからお預けだっ!」
“いや、アニメのセリフみたいに言うなよ(笑)。”
「ごめん(笑)。そういうつもりじゃなかったんだけど(笑)。」

久しぶりに3人揃った廊下は少し騒がしかった。
3人の笑い声が響く廊下に、蝉の不思議そうな目が釘付けされている事を私達は知るはずもなかった。

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