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LOST MEMORIES ⅡCⅩⅢ

新しい道が色々と見えてきた。それがチャールズと瑛瑠の関係に当てはまるかは別として、選択肢が増えたことで拓けた気になる。
チャールズに話した、イニシエーションについての考察――何らかのプロジェクトなのではないか――を英人に話してみた。
瑛瑠が話終えたあと、英人は口を開きかけたのだが、
「そういえば、英人さんは成人してらっしゃるんですよね?」
今までの話とは何の脈絡もない振り方に、口をつぐんで目を少し見開いた。
「そうだが。」
「それでもなお、イニシエーションと言われてこちらへ送られたのですか?」
「ああ。」
事も無げに言うその様子に、瑛瑠はどう返したものかと閉口する。
「何かこう……なかったんでしょうか。不安や疑問など。」
当初、チャールズを質問攻めにした記憶がよみがえる。それは今も変わっていないかもしれないけれど、英人が素直に従ったのだろうか。
「僕は聡いから。」
そう言ってコーヒーを飲む。面白そうに言う裏にはからかいが見てとれて、瑛瑠は少しむっとする。
「さすが、大人は違いますね。」
嫌みに対して苦笑いを返される。
「僕は、10年前の記憶が多少残っていたんだ。何かあるなとは思っていたし、文献も漁った。それをふまえて、従ったんだ。」

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ヒーロー物語❸〜道場と好敵手〜

僕の通ってる『赤井道場』は赤井師範とその息子つまり誉達の父親を含めた計七人の講師陣

門下生は小学の部計十七人
中学の部計十三人
高校の部計十一人
大学一般の部計十六人と現代において結構繁栄してる方。県下最大。県最強。とも噂され道場内での競争もかなり激しい。

そして一ヶ月後に小学の部の県大会が迫っている
僕はまだ始めて一度も試合に出た事がない。

つまりこの試合が僕にとってデビュー戦となる。

話は戻り『おう。』と素っ気なく返事をした僕に誉は元気がないと喝を入れて後から来た友達の所に話に行く。

この何気ない会話が今日も練習を頑張る糧になる

何ニヤけてんだ気持ち悪い。

そこに来たのは僕が一方的にライバル視してる男
池浜輝喜。通称テルちゃん同い年の黒帯。

ムカつくほどにイケメン。

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その時はどうか

本当にしょうもない日々の笑い声を
ビンに詰めて
私が焼かれるときに
一緒に焼いてもらいたい

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とある街にて 5

「二人とも。魔法って知ってる? 」
唐突な八式の問いに、美澄と白鞘は思わず顔を見合わせた。当然のことを聞かないでくれ、とでも言いたそうな。
「知ってるも何も、あんなに騒がれてましたからね。子供の耳にだっていやでも入ってきますよ」
「もう十何年も前の話だろ。それがどうかしたのか」
十五年前、この超未来カグラが丸ごと異世界にお引越しした際、狂暴なモンスターとともに発見されたのが”魔法”だった。というより、新たなエネルギー体が発見されて、それが物理法則に従っていなかったことから、未知の法則という意味を込めて”魔法”という言葉を仮付けしただけに過ぎない。この”魔法”は、しかし数多のファンタジー作品に出てくるようなカッコイイ代物ではなく、むしろ非常に地味であった。そのエネルギー体(公式で”魔力”と命名された)は未だ完全解明からは程遠く、分かっていることと言えば、魔力が物質に蓄積されること、その量はかなり微量なこと、物から取り出された魔力は火や水などに変換しないと霧散してしまうこと、そして魔力対のエネルギー効率が非常に悪いなど、あまり未来に明るい内容とは言えなかった。因みに絶望的なまでに攻撃力がない。魔力で生み出された炎はろうそくの火といい勝負になる。
「その魔法の話なんだけどね、実はとある高校の生徒で、見たって子がいるのよ」
「見た?何を? 」
八式先輩はそれっぽく前置きして、それから若干もったいぶるように言葉をつないだ。
白鞘が珈琲だったものを啜る。

「それはその子が街を歩いていた時の話よ」
ベタな展開から始まるものだ。八式は口の端を吊り上げて楽しそうに言葉をつづけた。

―――――
気付いたのですが、八式と白鞘は苗字なのに美澄だけ名前でした。作中で美澄は名前を嫌っているようなので完全に皮肉ってますね。面白いのでこのままにします。

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凹凸レンズ

貴方の目には私だけが映ればいい

そしたら
可愛いあの子や
美人なあの人に
貴方は話しかけないでしょ

貴方の目に誰も映らなくなってもかまわない

そしたら
貴方は私を追い求めて
ずっとずっとずっと
側にいてくれるでしょ

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AM3:58

起きたら彼に電話をして、
好きだよと言おうと思った。
この瞬間の気持ちがずっと続けばいいのに。
明日も、明後日も、何年先もずっと。
それは夢だよと誰かに言われたとしても。

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募集

――そういえばこの名前、どうして付けたんだっけ。
ふと、そんなことを思いました。
何となくつけた名前、一所懸命に考えた名前、誰かからもらった名前……。
本当の名前ではないにしろ、相手の顔が見えないこの掲示板では、RNだけが自分自身を象徴します。
と、いうことで、そんな大切なRNを使った詩を募集します。
題名に使うもよし、詩の中に入れるもよし。和訳英訳して使ったり、縦読みで入れるのもOKです。
自分の場合は”月影”ですね。比較的使いやすい。
皆様の投稿、お待ちしています。

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lonely

陽の落ちた空は遠く 駆け足で言葉をさらってゆく
真夜中 肩を寄せ合って わらった 誰も知らない 歌
43度の湯船に飽和するきのうのわたし飲み干して
行きたい場所なんてなかったけど なかったけど、
紅くなった葉っぱ 潔くさっと飛んでいけよみんな
いつまでも酸素がもらえるとか ただの思いこみだ
生きづらさの順位 つけても世界は変わらないのに
欲しいものだけ手に入れたら しあわせになれた?
これはゲーム あの人の声が聞きたくなったら負け
一年後に思い出さなくなってもわたし 死なないよ
絶対に勝てない まぶたの裏に居座る憎らしいひと
強がったってゆるしてよ こんなに寂しいんだから

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好き

人にせよ物にせよ何でも良いけれど

なにかをものすごく好きになって

心から愛してるとまで言えるようなものがあると

自分というものが壊れていくような感じがする。

自分の中枢部分が侵食されていくような。

でも、もとから自分らしさにこだわる必要なんて

無いはずだから、もし自分が大好きなものが

自分をつくる一部分になるのだとしたら

それはとても嬉しいことだと私は思う。

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LOST MEMORIES ⅡCⅩⅡ

英人の先の言葉でチャールズを思い出したことで、確かめたいことを思い出した瑛瑠。
「英人さん、ジュリアさんて方、まわりにいます?」
エルーナもとい英人が、姉ちゃんと呼んでいた存在。しかし姉はいないと話していた。
チャールズをお兄ちゃんと呼んでいたが、彼が実兄だという記憶も事実もないから。何か繋がりがほしかった。
「ジュリアは僕の付き人だ。」
なんと。ここまで状況は似てくるものか。
「あの、私の夢の中では、英人さんはジュリアさんのことを“姉ちゃん”と呼んでいたんです。でも、この前聞いたときは姉はいないとおっしゃっていましたよね?」
英人は納得した顔をする。
「前のあれはそういう意味だったんだな……。
ジュリアは従姉だ。“姉ちゃん”は呼称。」

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秋雨

 秋というのは不思議な季節だ。温度や気候から言えば、春に近しい存在であるはずなのに、どことなくしっとりと、そして落ち着いた雰囲気を感じる。さしずめ、春は新築の家、秋は年季の入ったログハウスのようなものだろうか。
 時間の感じ方も異なるだろう。少なくとも、時間の流れという面から言えば、その速度を実感するのは秋だと、自分は少し思う。冬は忙しさということから、時間の流れというより、時間の消費を感じることが多いかもしれない。このゆったりと落ち着いた時間に身を任せるこの時期こそ、時間の流れというのを認識するのだろう。
 そんな折、今日のように雨が降る。夏の荒々しさからは一転して、しとしとと降る秋雨。まさに夏とは真逆の一雨ごとに寒くなっていく、そんな雨だ。まさに、時間の流れを体現しているかのような雨である。
 ふと、人の時間というものに思いをはせる。人にとって時間という事物は命と同義だろう。お金よりも時間は重い。今はそうは思えないかもしれないが、単にそう思うのが早いか遅いのかの差でしかない。だが、そんな時間であっても、人にはその時間の流れを楽しむということがある。その行為は一見すると時間の無駄遣い、命の無駄遣いにも思える。だが、時間の流れを肌で感じ、その流れを意識することこそが、人間の時間というのものの濃密さを作るのではないか、自分はそう思う。時間は平等だ。誰もが1日は24時間しか持てない。しかし、その時間を単に消費するということだけでなく、その時間をより濃密にすることで、間接的にその時間を延ばすことはできる。錯覚かもしれないが。
 そんなことを考えつつ、秋の程よい長さの日は暮れていく。

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冬が近いね

毛布を引っ張り出したり
マフラーを引っ張り出したり。
もう冬が近いのかな。

触れた手が少し冷たかったら
その手を温めたい。

ぼくの手が冷えているときは
君の手で温めてほしい。

ぎゅっとした温もりに
安心感を感じて
幸せだなんて柄にもなく思ったり。

君といると温かい毛布にくるまっているように笑顔になってしまうんだ。

自販機の水で割ったような熱いココアを
飲みながら。

僕はやっぱり君が好きだななんて思ったり。

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うたうたいの独り言

冷えた夜風。

左手で星を結び、

右手にビール。

嫌な思いをぐるぐると

流し去ってしまう苦味が

今日は役に立たない。

誰かを救いたいなんて

たいそうなものではない。

誰かを笑わせてあげたいなんて

自己満に浸りたいわけではない。

ただときに、

なにも変えられなかった

そんな自分の無力さが

そんな言葉の軽さが

無性に腹が立つだけだ。

背中に積もる缶の数だけ

僕は世界を

君を

壊したくなるよ。