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LOST MEMORIES~番外編Ⅲ~

放課後の教室。机に、コトンとあったかい缶コーヒーが置かれた。
「休憩しましょう。お疲れ様です。」
凄まじい勢いで動かしていたペンを一旦置いた英人は、瑛瑠を見上げた。
「お砂糖は要りませんでしたよね。」
そう言って瑛瑠は向かいに座る。『Dandelion』で注文したコーヒーには、砂糖は入れなかったから、そのことを言っているのだろう。
ありがとう。そう微笑んだ英人は、コーヒーに口をつける。瑛瑠も同じものを手にしている。聞けば、瑛瑠も砂糖は使わないと言う。しかし、続きがあった。
「ただ、角砂糖なら入れたくなります。」
「……何故?」
「魅力的な形じゃないですか。立方体って美しいと思いません?」
英人は呆れたように笑った。広げている数学の問題集に目をやる。瑛瑠が数学が得意だということで、教えを乞うていたのだ。別段、数学が不得手というわけでもないのだが、始業早々のテストで点数負けをしたことの悔しさから、こうした待ち時間に付き合ってもらっていた。
瑛瑠の言葉を思い、改めて苦笑する。自分が好きな分野が文学や哲学だから、数学好きはどうにも理解できない。
「待っててくれたの!?遅くなってごめんね!」
教室に飛び込んできた望と歌名。今日はいつもより会議が長引いたようで、外もだいぶ暗くなり、夜が顔を見せ始めている。
缶コーヒーはまだ温かかった。

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うたうたいの独り言

1番近くに居たい人が、

1番世界で遠い。

それは目の前に透明な壁があって

逆回転に移動しなければ

会えないくらいに。

どうして、眼にうつるのに

こんなにも遠いのか。

どうして、耳にはいるのに

こんなにも遠いのか。

その壁の前に立った時、

人は試されてるのかもしれない。

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どこかの自分へタイムカプセル

どれだけ声に出しても届かない思いがある
そう ここは三次元 時間は逆走出来ないんだよね
転ばぬ先の杖 そんなものはもういらないから 今を生きようかな
頭は回っても 後悔の質量変わらない 気付いてほしいだけ ありのままで

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子守唄

思い出を数えるたび 素足が冷えてゆく
他人事みたいな地面を踏みしめる
捨ててきたものは忘れた 忘れたよ
振り返ることができないまま
まだ温度の残る空の珈琲缶を手放す

紺色の波に光が滲んで
きみも ぼくも きっと溶けだした
夜は魔物だ やさしい魔物だ
遠い日の約束を食らいつくして
おとなになれなかった心が
立方体の部屋の隅にうずくまる
夢をみることは忘れた 忘れたんだ

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地球儀

自分の欠点を
愛することができたなら
きっと世界は美しいと思えるんだろう

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夜とカッコつけ

立方体のような夜
全てが同じ様に見えてくる
夜景を見つめる君の瞳に吸い込まれそうになる
肌寒い夜
でも、僕らが握りしめた缶はあったかい

君が持っているのはミルクティーの缶
僕が持っているのはブラックコーヒーの缶

君の前だからカッコつけたくて
苦いのは嫌いなのに

君を見つめていると
「何?」と言われて目を逸らした
照れてるの? と僕をからかう君
別に何も と答えると
嘘だ〜 と言う君
このままでもいいかもな、なんて思った
立方体の夜

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雨の降る街で

今日は大雨だった。ちょうど学校が休みだった。
大雨といっても台風の時のようなヤツだ。



つまり外に歩いている人なんてそうそういない。
だから、外に出た。



一人ぼっちの街が見たくて外に出た



あの日のことを思い出した




「ウソつきッ!」そう言って僕の前からいなくなる君をただ見てることしかできなかった

ホントのことだから
否定できなかった

ハッとして目の前をみる

君がいればなんて思いながら
君を想いながら

君が目の前にいるはずないのはわかっていた

目元が温かい

視界がぼやけていく
僕の頬を濡らしていく
温かい何か

雨は冷たいはずなのに

これは今日の大雨のせい?

一人ぼっちの街の中

ようやく気付く

一人ぼっちだったのは街じゃない
この街にいる僕自身

あなたの街には雨は降りましたか?

あなたには悲しみの雨は降りましたか?

次にあなたに降るものが幸せでありますように





雨の降る街で逢いましょう

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マス目の幕間

球のようには転がらない 
サイコロのような日々

6面を囲む正方形には
どうやら1しかないようで
にっちもさっちもいかなくなれど
一つ前にすら戻れない

一回休みもないなんて、と
独りごちてはまたススム

ふと立ち寄った自動販売機。周囲に明かりはなく、目の前のLEDライトだけが独りぽつんと立っている。
「コーヒーはいかが」
とその自販機が無愛想に話しかけてきた。
気付けば深々と冷え込んでいる。ホットを買うことにした。
「毎度あり」と無愛想な声。
がこんとでてきた缶コーヒーをその場で開けて、自販機によっかかってひとくち啜った。

幾許か経ったとき。缶はすでに冷えている。
なあお前は、と自販機に話しかけようとして
僕は何を話そうとしたのだろうか。
自販機はまるで始めからそうであったかのように夜に静かに佇んでいた。
イチのサイコロを振り続ける日々に帰ろうとして、後ろから、
「また買いに来い」
と無愛想な聞こえた気がした。
自販機がしゃべる訳ないので、きっと気のせいだろう。

静かな自販機は、あの場所で今も佇んでいるのだろう。缶コーヒーを温めつつ。

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ウィンナーココアは甘すぎる

モッズコートで夜を歩く
温かい缶コーヒーを口元まで
両手で上手に丁寧に運ぶ
右手に見えてきた
あの子を初めて見かけた
小さなカフェ
扉には立方体のCloseのかんばん
窓のカーテンの向こう側で
いつものように甘ったるい口元のきみを
想像する僕にささやかな胸焼け
微糖派の僕には
ウィンナーココアは甘すぎる。

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恋、愛に絡めて集めてみた。

薔薇→ラピスラズリ→リナリア→アイオライト

薔薇の花言葉…愛
ラピスラズリの石言葉…愛、永遠の誓い
リナリアの花言葉…この恋に気付いて
アイオライトの石言葉…初めての愛