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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 2

 しかし、この鼻歌を歌うリニアーワルツ・ミラキュラスことミラは少し事情が違う。というのも、このリニアーワルツは十分戦える状態であるはずなのに、ペアとして適合するリニアーワルツが見つからないのだ。
 リニアーワルツは生み出されると異界開発機構の上層部が保有する高度なAIによって膨大な組み合わせシミュレーションが行われ、その予測結果の中から一番戦闘において相性がいいと考えられる相手とペアを組ませられる。だがミラは、この組み合わせシミュレーションでもペアとして適性の高いリニアーワルツがあまり見つからず、結局”有事の際の予備“という名目で生み出された基地のある前線都市・ヘスペリデスにい続けているのだ。そのため、基地内ではペアのいないミラを“戦力外のお荷物”として邪険に扱う者も少なくない。しかしながら、ミラはそのことをあまり気にせず、ペアが見つかるまでのんびりと待機の日々を送っているのだった。
 そうこうしているうちに、ミラは小さな商店の前で立ち止まる。小さいながらも小綺麗なその店には、“MARUS GROCERY”という看板が掲げられていた。
 ミラは看板を確認すると、店の自動ドアに近づこうとする。しかし背後からの「おい」という鋭い声に呼び止められて、くるりと振り向く。そこには背が高く、ヘスペリデス基地で働く職員の制服を着た女が立っていた。
「どこへ行っていたんだ、ミラキュラス」
 睨みつけてくる女に対し、「あ、ウェスト管理官」とミラは間の抜けた声で返す。ウェスト管理官と呼ばれた女は「お前なぁ…」と呆れた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 1

「……ふんふふ〜ん」
 午後の暖かな日差しが辺りを照らす異界の前線都市・ヘスペリデスには、商店街がある。資源獲得のために開発が進む異界で働く多くの人々の生活を支えるため、人類の生まれた世界から決して少なくない数の人々がやって来ては、人々の生活に必要な仕事に就いているのだ。その業種は多岐に渡り、小売業やサービス業、運輸業……と人類が生まれた世界と同じように人々は働いている。異界の開発の拠点だけでなく、異界で働く人々を支えるために前線都市が存在していた。
 そんな街の商店街の大通りを、のんきに鼻歌を交えながらスキップしている奇妙なコドモの姿があった。
 そのコドモは短い黄緑色の髪に緑と赤のベレー帽を被り、黒いシャツに緑と赤のネクタイを締めた上に緑のブレザータイプジャケット、緑と赤のストライプ柄の膝丈ズボンを身につけて、足元は白い膝下ハイソックスに黒い革靴を履いている……といったいで立ちだ。
 パッと見たところは人間のコドモのそれだが、この華やかな容姿は本来であれば見る者に違和感を生じさせるはずである。しかし、ヘスペリデスの街中を行く人々は誰も気に留めない。なぜなら、このコドモは異界で働く人々や前線都市を、謎の敵・ディソーダーから守るために生み出された特別な存在——リニアーワルツだからだ。
 異界を開発する過程で人類や前線都市を襲撃するようになったディソーダーへの対策のため、異界開発の中心的存在・異界開発機構が生み出したこのヒト型存在は、二対一組で造られる合体・分離兵器……ジェミニを使いこなし、相性のいいリニアーワルツとペアを組んで前線都市の外へ戦いに赴くことが任務となっている。人々や前線都市を守るリニアーワルツたちは、異界で働き暮らす人々にとって自分たちを守ってくれる”英雄“であった。

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