表示件数
0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 陸

「さしずめ動物を操る“異能者”辺りの仕業だろう」
全く、何があったんだかとカラスは呆れたように言った。
「それにしてもお前…これからどうするんだ?」
そんな状態じゃ保って数時間と言った所だろう、とカラスは呟いた。
「…せっかくなら、助けてやろうか?」
不意にカラスが言ったので、黒羽は思わずカラスの方を見た。
「オレ様の異能は“カタチの支配者”だ」
あらゆる生物・非生物の“カタチ”を操作することができる、とカラスは笑う。
どういう、こと、と黒羽が尋ねると、カラスはこう答えた。
「簡単に言えば、異能を使う対象の見た目や性質を自在に変えることができるんだ」
まぁ実際に見てもらった方が早い、とカラスは続ける。
「どうだい、お前…オレ様に助けてもらうかい?」
別にオレ様はどちらでもいいんだが、とカラスは聞いた。
「…」
黒羽は黙って空を見上げる。
このまま死んでもいいと思ったが…せっかく外へ出られたのにここでは死ぬのはもったいない気がする。
それに、誰かが自分を殺そうとしているのは許せない。
「たす、けて」
考え終わる前に声が出た。
カラスはその様子を見てケラケラ笑った。
「じゃあ助けてやるよ」
人間、とカラスは黒羽の傍に飛び寄る。
これで助かるのか、と黒羽はホッとして力が抜けてしまい、すぐに意識が飛んでしまった。

1

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 連載再開1周年記念! 作者からのごあいさつ

どうも、「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」の作者です。
この度、「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」は連載再開から1周年を迎えました‼︎
めでたいですね!
ここまで続けてこれたのも、スタンプやレスを下さる皆さんのお陰です。
いつもありがとうございます。

さて、1周年記念にこの物語の裏話をしようと思います。
元々この物語は、2019年のバレンタインデー辺りに学校の英語の授業中に思いついたお話でした。
その直前にポエム掲示板で「死神」が出てくるある人のポエムを読んだことを授業中に思い出し、「死神と死のうとする少女の読み切りマンガ」的なお話を思いついたのが「ハブ ア ウィル」のルーツになります。
ただ読み切りにするのがもったいないと思って続きを考え、「少女と死神がばったりショッピングモールのゲームセンターで再会する」みたいな話を思いついた所で、「異能力ものにした方が面白いかもしれない!」と考え、「死神」を異能力者の少女(ネロ)にして、彼女の愉快な仲間達を考え…と現在の「ハブ ア ウィル」の形が出来上がっていきました。
そこから2週間ちょっとで初投稿になるので、相当なスピードで話を考えたことが分かりますね(笑)
ま、空想のスピードは速いので。

さて裏話はこれくらいにして。
最後に作者への質問コーナーです。
ストーリーについての質問、作者自身への質問、その他諸々…何でもOKです。
とりあえずレスからお願いします。

では今回はこの辺で。
次は「連載開始4周年記念! 作者からのごあいさつ」でお会いしましょう!

0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 伍

黒羽は不思議な子どもだった。
地元では有名な地主の子どもだったが、妾の子だったがために父方の家からは疎まれた。
それに黒羽の周りではいつも不思議なことが起こった。
小動物が次々と死ぬのだ。
あの子は死神だ、周りの人々は皆こう言った。
やがて実母が亡くなり、身寄りもなかった黒羽は父方の家に引き取られた。
黒羽についてあまりいい噂を聞いてこなかった父方の家は、黒羽を屋敷の離れに押し込めた。
それから10年くらい経って、黒羽は屋敷を追い出されるような形で街外れの古民家に引っ越した。
理由は簡単、黒羽が不気味だからだ。
黒羽が触れたハトが死んだ。
黒羽の傍でネズミが死んでいた。
黒羽の部屋にあった植木鉢の植物が枯れた。
もしかしたらあの子は本当に死神かもしれない。
このままでは自分達も殺されるかもしれない。
そう思って、屋敷の人々は黒羽を追い出した。
でも黒羽にとって、それでよかったのだ。
ずっと屋敷の離れに閉じ込められてているより、外へ出られた方がマシなのだから。
しかし平穏は長く続かなかった。
黒羽が、街外れで”獣“に襲われたのだ。
何の動物だったかは分からない。
ただ明らかに、街中にいるような生き物じゃないことは確かだった。
「…」
その時、“獣”に襲われて血だらけの状態で黒羽は道端に仰向けになっていた。
このまま死ぬんだろうな、と人気のない道端で黒羽が思っていると、声が聞こえた。
「よぉ」
見ると建物の垣根にカラスが留まっていた。
「お前そんな所でどうしたんだ」
カラスが話しかけてくるのは不思議だったが、それを気にする体力はその時の黒羽になかった。
「…さっきお前が襲われる様子を見たんだが、アレは“異能者”の仕業だな」
“異能者”、聞き慣れない単語に黒羽は身じろぎする。

0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 肆

「ネコっちゃネコだが…こりゃ異能に操られたネコだな」
黒いボロ布の姿をしていたモノがカラスの姿に戻って言う。
「お前の実家はこの世の裏で活動する異能者とも繋がってるから、さしずめそういうのを雇ってお前に差し向けたんだろう」
カラスは羽繕いをしながら言った。
「…」
黒羽は息絶えたネコに手を伸ばそうとした。
「おっと、ソレには触らない方がいいぜ」
カラスに言われて、黒羽はぴたと手を止める。
「…周りに少なく見積もって十数体、コイツみたいなのがいる」
確実にお前を狙ってるぜ、とカラスは黒羽の肩に飛び移る。
「抜け道も塞がれて、逃げ場もない」
カラスは黒羽の耳元で囁いた。
「じゃあどうしたら…」
「どうしたらって、オレ様がなんとかしてやるよ‼︎」
そう言ってカラスは飛び立つ。
それと共にカラスの姿は大型犬の姿に変わった。
「ニ゛ャー‼︎」
直後に周囲の物陰からネコが飛びかかってくる。
「黒羽!お前は物陰にでも隠れてろ!」
大型犬に怒鳴られて、黒羽はうん、と近くの建物の陰に隠れようとする。
しかしその建物の陰からネコが飛び出してきた。
「ニ゛ャー‼︎」
「⁈」
黒羽は後ずさろうとして足元の小石につまずき、後ろに向かって倒れる。
「しまった!」
大型犬がそう叫ぶ声が聞こえたような気がしたが、黒羽の意識はすぐに遠のいた。

0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 参

「…今の方がマシだよ」
自由に外へ出られるしね、と黒羽は呟いた。
「ふーん」
でもさ、とカラスは言う。
「お前屋敷を出てから命を狙われてばかりじゃないか」
そういう意味では屋敷に閉じ込められてた方がよかったかもな、とカラスは黒羽の方を見る。
「別に構わないし…」
そう言いながら、黒羽は目の前を通りかかった黒い蝶に手を出す。
軽やかに舞う黒い蝶はふわりと黒羽の指先に留まったが、その途端にぽとりと蝶は地に落ちてしまった。
「あー今回もダメだったかー」
「お前本当に力の制御下手だな」
力を持ち始めて何年になるんだよ、とカラスは文句を言う。
「仕方ないもん、練習する機会ないんだし」
黒羽がそうぶつぶつ言っていると、彼らはふと妙な気配を感じた。
「これって…」
「ああ、もしかして」
黒羽とカラスがそう話し合っていると、急に物陰から黒い何かがとびかかってきた。
「!」
「下がってろ黒羽‼」
黒羽の肩に乗るカラスがそう言いながら黒い何かに飛びかかる。
その姿は黒いボロ布のような姿に変わった。
「コイツ‼」
カラスの姿をしていたモノがそう言いながら、黒い何かに覆い被さる。
黒い何かは暫くジタバタしていたが、すぐに動きは大人しくなった。
カラスの姿をしていたモノがふわっと飛び上がると、そこにはボロボロになった黒ネコがひっくり返っていた。
「ネコ…」
黒羽は思わずこぼす。

0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 弐

ガラス戸を開けて外に出ると、外は曇り空だった。
雨じゃなければいっか、と黒羽は肩にカラスを乗せたまま歩き出した。
…黒羽の住む街外れはとにかく和風建築だらけだ。
昔からある古い家ばかりで、いつも見ていると飽き飽きしてくる。
しかし流行りの洋風建築が増えている街の中心部も、なんだか黒羽には性に合わない。
だからこの街外れに留まっているのだ。
もちろん、街の中心部には自分の居場所なんてどこにもないからと言うのもあるのだが…
「…」
黒羽は見慣れた街並みを眺めながら歩き出した。
「なぁ、お前」
左肩に乗るカラスが黒羽に話しかけてくる。
「さっき夢は見てないとか言ってたけど、本当は見てたんだろ」
黒羽は思わず足を止める。
「…やっぱり、見てたんだな」
オレ様にはお見通しさ、とカラスは笑った。
「で、どういう夢を見てたんだ?」
教えておくれよとカラスは黒羽の顔を覗き込む。
「…」
黒羽は暫くいやそうな顔をしていたが、すぐに諦めてこう語り出した。
「昔、屋敷にいた頃の夢だよ」
そう言いながら黒羽はまた歩き出す。
「正妻の子じゃないからって理由で疎まれて、屋敷の離れに閉じ込められていた、あの頃の夢」
そう聞いてカラスは、今もあまり変わらなくねぇか?と呟く。
「だってお前、ちょっと前に屋敷から追い出されて、街外れのあの家に引っ越してきたばかりだろう?」
場所が変わっただけで、屋敷の人間から疎まれていることに変わりないじゃねぇか、とカラスは続ける。

2

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 壱

ぱち、と目を覚ますと見慣れた天井が見える。
暫くの間そのままでいたが、やがて誰かの気配を感じて窓の方を見た。
「よぉ」
そこにはカラスが留まっていた。
「随分と寝てたみたいじゃないか」
そう言って、カラスはケタケタと笑う。
「…」
畳の上に寝転んでいる黒髪の人物は、静かに起き上がった。
部屋のゼンマイ時計を見ると、午後2時を指している。
「どうだいお前、よく眠れたかい?」
夢でも見てたのか?とカラスは笑いながら言う。
「…別に」
見てたとしても忘れてるよ、と黒髪の人物は素っ気なく答える。
「そうかね?」
お前がそう言う時は大体…とカラスが言いかけた所で、黒髪の人物は立ち上がった。
「…おっと、どこへ行くんだい?」
部屋の出入り口へ向かおうとする黒髪の人物を、カラスが引き留める。
「ちょっと散歩」
あんまりいい寝覚めじゃないから…と黒髪の人物は部屋から出ようとする。
「じゃあオレ様も連れてってくれよ、黒羽(くろは)」
お前1人じゃ心もとないだろ?とカラスが言うと、黒羽と呼ばれた人物は窓に一瞥もせずこう言った。
「好きにしたら」
カラスはその答えを聞くと、バササッと黒羽の肩に飛び乗った。
「へっへっへ」
やっぱりこの場所は落ち着くなぁとカラスは笑う。
黒羽はカラスがちゃんと肩の上に乗ったのを確認してから歩き出した。

5

籠蝶造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
こちらは「籠蝶造物茶会」のあとがき…と言うかおまけです。
よかったらお付き合いください。

「造物茶会シリーズ」はぼくの高1の時の空想から生まれました。
ただ、元々は魔術が出てくるようなお話ではなく、人外達がいちゃいちゃ(笑)するようなお話でしたし、キャラクターもナツィとキヲンしかいませんでした(しかも当時は明確な名前がなかった)。
ただ空想の内容が少々えげつなく(お察しください)、空想している自分が辛くなってしまったために全然違うお話にしました。
それが「造物茶会シリーズ」の始まりです。
でも最初の内はキャラ名やそれぞれの設定がかなり違ったり、ナツィとセットなのはきーちゃんだったりしました。
この辺りは空想を続けている内に自分にとってよりしっくりくる方…現在の形へと変わっていきました。
ちなみにきーちゃんがナツィにくっ付いたりしているのは初期の名残りです(笑)

今回はこれくらいにしておきましょう。
いつになるか分からないけど、「造物茶会シリーズ」第3弾もお楽しみに。
また「ハブ ア ウィル」の新エピソードも絶賛制作中で、3月中の投稿を予定しております。
こちらもお楽しみに。

あと最後ですが、ぼくから質問です。
ポエム掲示板を出入りしているとここで自分以外にも小説を書いている人を度々目撃するのですが、皆さんどういうキッカケで小説を書いているのでしょうか?
ぼくはある人がここで長い長い小説を書いているのを見て、真似したくなって始めたのですが…
みんなはどうなのでしょうか?
よかったらレスから教えてください。

ではこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした〜

0