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五行怪異世巡『覚』 その⑦

「む……鬱陶……しい!」
白神さんの振るった爪を、覚妖怪は飛び退いて回避した。
「うぅー……!」
白神さんが苛立たし気に唸っている。彼女の手元をよく見てみると、奇妙な形で固定されていた。五指を大きく広げ、人差し指と薬指だけを根元から垂直に近い角度で折り曲げている。
「もー怒った!」
そう言って、白神さんは自分を素早く捕まえ、所謂『お姫様抱っこ』の形で抱きかかえた。
「痺り死ね!」
白神さんの足下から電光が迸り、地面を伝って周囲全方向に駆け抜けていく。なるほど、これなら覚妖怪でも回避しようが無い。
『「これで仕留められる」、そう思ったな?』
覚妖怪が口を開いた。その意味を量りかねていると、妖怪は猿のような肉体を活かして手近な木を物凄い速度で登り始めた。電撃は妖怪を追うが、多くの枝葉が避雷針のように機能することで、覚妖怪まで電撃が届かない。更に悪いことに、頭上を隙間なく覆う樹の中に妖怪が姿を隠してしまい、どこにいるのか分からなくなってしまった。
「し、白神さん。これじゃあ」
「大丈夫、もう1回……!」
白神さんが片脚を持ち上げたところで、頭上を強風が吹き抜けた。直後、少し離れた地面に覚妖怪が着地する。
『…………ふむ。“風”の思考を読んだのは、初めてだな』
「あれっ、そいつは驚いたな。どうせ何百年も生きてんだろーに、初めてか? “鎌鼬”と喧嘩すんのは」
自分と白神さんを庇うように立ち塞がったのは、種枚さんの弟子、鎌鼬少年だった。

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五行怪異世巡『覚』 その⑥

白神さんはまだ、下で靴探しをしている。それなら、今自分の隣に現れたものは何だ?
恐る恐る、気配の方に目を向ける。そこには、人間ほどの大きさのサルがいた。
……いや、サルとも少し違う。大きすぎるというのはともかく、口元が不自然にニタニタと吊り上がっている。もしかして……。
『……お前は』
謎の動物が口を開いた。年寄りのようにしわがれた声で、『人間の言葉』がそこから漏れる。
『「もしかして、これが例の覚妖怪か」と考えているな?』
この文言。間違いない。昔話に出てきた妖怪と同じ言い回し。そして覚は。
『お前は今、「この妖怪に食われるかもしれない」と考えているな? ……正解だ』
覚が動き出そうとしたその時、白い影が自分と覚の間に割って入った。
「し、白神さん⁉」
「ごめん千葉さん、助けるのが遅れて! 大丈夫⁉」
「大じょ、うおわぁっ!?」
白神さんに抱きかかえられて、地面に下りる。覚もすぐに追ってきた。
『……ふむ、そちらの娘、どうやら人間ではないようだぞ、そこの人間。たしか、チバといったか?』
いやまあ、それは最初から知っているけども……。揺さぶりのつもりだろうか。
『む……つまらん。して、そちらの雷獣の娘よ。お前は次に、こう言おうとしているな?』
「『千葉さんを傷つけようとするなんて許せない。ぶっ殺してやる』!」
覚は白神さんの言葉にぴったり合わせた。白神さんはそれを気にする事無く、覚に突進する。
『ふむ、心を読まれてここまで動揺しないとは』
「それ、お前を、殺すのに、関係、ある、のっ!」
言い返しながら、白神さんは電光を纏った貫手を連続して放つ。しかし相手も流石は覚妖怪。悉く回避されてしまう。

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五行怪異世巡『覚』 その⑤

捜索を始めてから約30分。先ほどのイノシシの他にもタヌキ2匹、サル1匹、シカの足跡を発見したものの、肝心の覚妖怪の姿は未だ見つからない。
「見つかりませんね……」
「だねぇ。もっと山奥に入った方が良いのかな?」
「そうですねぇ……っとと」
白神さんに答えるのに意識を割かれ、足下が疎かになったのと同時に、土に足を滑らせて転びそうになった。手をつくより早く白神さんが抱き留めてくれたので、幸いにも無傷だ。
「千葉さん大丈夫? 疲れた?」
「いやまあ、はい……」
「じゃあちょっと休もうか。ほら、千葉さん」
白神さんが、自分に背中を向けてしゃがみ込む。
「おんぶしたげる」
「えっあっはい」
彼女の背中に掴まると、彼女はするすると手近な木に登り、ひときわ太く頑丈な枝に自分を座らせてくれた。
随分歩いたせいか、スニーカーの中にかいた汗が気持ち悪い。靴から踵を引き抜いて足をぶらぶらさせていると、うっかりその靴を下に落としてしまった。それは木の下に生えた雑草の中に入って見えなくなってしまう。
「ん、待ってて千葉さん。わたしが取ってくるよ」
「あ、ありがとうございます。すみません……」
白神さんはまたするすると木を降りて、靴探しを始めた。その背中を眺めていると、座っている大枝が、がさりと揺れた。

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特別なクリスマスのために

「今からクリスマスデートしよう、愛しい人!」
「……クリスマスは2週間後ですよ愛しい人」
「いや違うんだよ、来たるクリスマスを最っ高に特別なものにするために、私は完璧なプランを考え付いたんだよ」
「ほう。聞こうか」
「クリスマス当日、クリスマスっぽいことは何もしないで、浮ついた世間をけらけら笑いながら、2人でこの部屋でぐっだぐだにトロけてやるの。こんなん逆に特別でしょ」
「……なるほど? そのために今年のクリスマスっぽいことは今日のうちに済ませちまおうと」
「そゆこと」
「……俺、いつも思ってたことがあるんだよ」
「なになに?」
「駅前とかのクリスマス向けのイルミネーションあるじゃん。ひと月くらい前にはもう付き始めてるやつ。あれ、毎年毎年気が早えぇなぁーって思ってたんだけどさ……今回ばっかりは、あれって早くて正解だったんだなって」
「そう来なくっちゃ! どこ行く? あ、プレゼント何欲しい?」
「あー…………有線ヘッドセット」
「くっ……w、ふふっ…………w クリスマスっぽくない……www」
「るっせぇなぁ、今使ってるのが駄目になってきてんだよ。で、そっちは何か欲しい物あんのか?」
「フライヤー!」
「そっちも大概だな!」
「あはは! 電器屋行こう電器屋! じゃ、着替えるから外出てて。女の子の着替えを覗くもんじゃないよー」
「へいへい」

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五行怪異世巡『覚』 その④

山中の道なき道を進む千葉・白神の2人を、杉の木の樹冠近くで1つの人影が眺めていた。
「……何だ、この辺りじゃ見ない顔だと思ったら」
そこに、背後から声がかかる。
「うおっ……何だ、青葉ちゃんに負けて手下になった天狗じゃねッスか」
子どもの姿の天狗に軽口で答えたのは、種枚の弟子、鎌鼬であった。
「おまっ、仮にも大妖怪に向けて無礼だな!? お前こそあの鬼子と古い仲なのに〈木行〉の座を余所の妖怪に奪われた未熟者のくせに!」
「まーまー、細かいことは良いでしょ」
「むぐ……ところで貴様、こんなところで何をしている?」
「いやぁ……ほら、俺って師匠から白神さんの見張り命じられてるわけじゃないッスか。だからこうして出張って来てるわけで。そういう天狗ちゃんこそ、こんなところで何してンスか?」
「ボクはここいらの山間部の妖怪の中じゃ、一応最高位の格だからね。〈金行〉に言われて雑魚共があまり『お痛』をやらかさないように見てやってるのさ」
「へぇ……ま、今日は師匠がいるわけだし、師匠の手の届く範囲なら、俺らの出る幕も無いでしょうね」
「だと良いけどね。それじゃ、ボクは行くよ」
「うーいお互い頑張ろうぜー」
天狗は“隠れ蓑”によって姿を消し、その場から飛び去った。それを見送って、鎌鼬は白神と千葉の姿を探す。枝葉の隙間に、やや離れた2人の姿を発見した鎌鼬少年は、自身の異能によって風に姿を変え、上空からの追跡を再開した。

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五行怪異世巡『覚』 その③

白神さんの方を見上げると、彼女は手足の爪を直径数mはありそうな大樹に突き立てて、その木の幹にくっついていた。と思うと、すぐに地面に飛び降りてしまった。
「千葉さん、大丈夫? 怪我とか無い?」
白神さんが尋ねてくる。その手足は既に人間のそれに戻っていた。
「はい。白神さんが上手く走っていたので。さっきのは種枚さんに受け止めてもらったし」
「そっか、良かったぁ……」
突然、種枚さんが間に入ってきた。
「そんじゃ、ここを中心に手分けして探していくぞ。私はあっちに行くから、お前ら二人で反対側から攻めていけ」
「りょ、了解です」
「分かったー。それじゃ、行こっか千葉さん」
「分かりました」
白神さんと連れ立って、大して整備もされていない山中の細い獣道を進む。頭上の密集した枝葉のおかげか、天気予報で見た気温ほど暑くはない。
「白神さん、大丈夫ですか?」
自分の前方3mほどのところを、生えている草や灌木をかき分けて道を広げながら進む白神さんに声をかけてみる。
「んー? 大丈夫だよ、千葉さん。心配してくれてありがとうね」
「いやまあ、はい……ん?」
白神さんを追っていると、ちょうど左後方から植物をがさがさとかき分けるような物音が聞こえてきた。反射的にそちらを振り向き、うごうごしている藪の動きに注意を向ける。
数秒ほどじっと眺めていると、1頭のイノシシが顔を覗かせた。直後、自分のすぐ脇を放電が通り抜けて、イノシシの足下に直撃する。
「……なーんだ、ただの野生動物だったのかぁ」
白神さんが自分の下に駆け寄ってきた。
「もし悪い妖怪だったらと思って、つい電気使っちゃった。感電してない?」
「あ、それは大丈夫です」
「良かった。ほら、行こう?」
「あっはい」

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五行怪異世巡『覚』 その②

覚。サトリ。名前くらいは聞いたことがある。人の考えが読めるという、有名な妖怪だ。たしか、あれは人食いの類だったような気がするが……。
「ちょっとしたツテでさ、この山ン中にいるって情報を掴んだワケよ。割と面倒な種だからなァ……ここらでちょいと囲っとくかブチ転がすかした方が安全の観点からしてもマシな気がしてさ」
「な、なるほど……」
「ヤツのいそうなエリアまでは分かってんで、取り敢えずそこまで直行するぜィ。おいシラカミメイ、遅れンなよ?」
「はいはーい。じゃあ千葉さん」
「何でしょう白神さん」
自分の目の前で、白神さんが四つん這いの姿勢になる。
「…………? 白神さん、これは……?」
「どしたの千葉さん? 早く乗ってよ」
「ちょっと意味が分からないんですが……」
「んー? だって千葉さん、山の中であんまり速く走れないでしょ? 『雷獣』の足ならそれなりに素早くなるからさ」
彼女が『妖怪』としての姿をさらすのに思ったより積極的なことを意外に思いながらも、恐る恐る背中に跨る。長身の割にスレンダーな彼女の身体はなかなか座り心地が悪かったが、どうにかバランスを取る。
「よしよし。それじゃ、振り落とされないようにしっかり掴まっててねー」
「え、はい了解です」
身を伏せたのとほぼ同時に、種枚さんと白神さんは駆け出した。一瞬で最高速度に到達し、自動車並みの速度で木々の隙間を器用にすり抜けていく。少しでも頭を上げたら枝葉にぶつかってしまいそうだ。というより風圧で落ちてしまいそうでじっとしているしか無い。
10分ほど走り続けていただろうか。跳躍した白神さんが『垂直に』着地し、急停止した。
「っ⁉」
突然の事態に対応できずに落下したが、種枚さんに受け止めてもらうことができた。

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御狐神様 キャラクター

・御狐神様(オコミ=サマ)
年齢:外見年齢20歳(実年齢は20歳)  性別:外見上は女  身長:165㎝
とある地方の村落で信仰されていた神様。正確には信仰によって生み出された存在。外見は狐の耳と尻尾が生えた和装の女性。艶やかな色素の薄い茶色の長髪をしている。
信仰心から生まれたために神様という自覚があるので、人間と遭遇した際は努めて尊大な態度で接する。実際の性格はかなり素朴でビビリの小心者。御友神殿(後述)とネズミの天ぷらや果物を食べている時が一番幸せを感じる。果物の好みは甘くて柔らかい果肉のものだが、食肉の好みは小骨の割合が高いネズミの尻尾や小鳥の脚など。
ちなみに料理は結構出来る方。サバイバルも結構出来る方。一緒にキャンプとかしたら滅茶苦茶楽しそう。
神徳は特に無いが、一応神様なので霊感はあるし、大抵の生物や怪異存在は神威でビビらせて動きを止めることができる。何なら弱個体の霊体は神威で祓える。

・御友神殿(ゴユウジン=ドノ)
年齢:50歳  性別:メス  体長:50㎝くらい
オコミ様の友達。お社の中に繋がれているキタキツネ。その正体は御狐神様の本体というか正体。この『ただのキツネ』が祀り上げられて溜まりに溜まった信仰心や畏敬の念が形になったのがオコミ様。オコミ様はお社に一緒に祀られているだけの無関係の別個体だと思っているが、何なら実質的な親まである。
割と年食っているうえ幽閉のストレスも溜まっているので元気が無くて、普段はお社の隅っこで丸くなっている。オコミ様のとってきたネズミや小鳥や果物を食べるのが好き。骨と肉のバランスが良い小動物と、少し酸味のある瑞々しく柔らかい果物が好み。愚かな人間どもは仕留めるのが面倒な生きた鶏とか食べにくい人間の生贄とかばっかり押し付けてくるので嫌い。
元々、かつて豪雨で村の近くの山が土砂崩れを起こした際に、運よく村を避けてくれたのを見に行った村人が、土砂や倒木の隙間に上手い事収まっていて生き残っていた子ギツネを拾って来てそのまま神様に仕立て上げたという出自。
年齢からも分かるように、大量の信仰心を浴びたことで神格化しており、既にただのキツネではない。ただのご長寿キツネである。

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五行怪異世巡『百鬼夜行』 その⑥

「……案、というべきか…………こういった状況に強い奴には、心当たりがある」
平坂は苦虫を噛み潰したような表情で答えた。
「へぇ、誰?」
「…………俺の身内に、少しな。だが……あいつをこんな場に出すのも…………」
平坂が考え込んでいると、突然彼のスマートフォンが着信音を鳴らした。平坂、白神、怪異存在達、その全員がびくりと反応する。
「…………?」
平坂が通話ボタンを押すと、電話口から彼の妹の声が聞こえてきた。
『兄さん。右端と右から3番目、真ん中、左から2番目』
それだけ言ってすぐに通話は切られたが、その頃には既に平坂は動き出していた。伝えられた個体『以外』に札を素早く叩きつけ、そのまま踵を返し、元の位置に戻ろうとする平坂の背中に、札を貼られなかった4体の“おばけ”が飛びかかる。
「ヒラサカさん!」
「問題無い」
平坂が指を鳴らした瞬間、周囲を覆っていた結界が消滅した。それに伴い、怪異たちの動きを妨げる力も無くなり、“おばけ”達の手が彼の背中に届く。
しかし、その手は強烈な反発力に弾かれ、反動で平坂の身体は前方に向けて吹き飛ばされた。
「ふむ、流石に動きの制御は効かんか」
地面に転がる平坂を、白神が助け起こす。
「だいじょーぶ? リーダー」
「ああ。そして」
杭のうち最後の1本を地面に突き立てる。同時に、“おばけ”達の動きがぴたりと止まった。
「準備は成った。失せろ、クズ共が」
5本の杭で囲われた範囲を中心として、強い閃光が広がる。その光は周囲の怪異存在全てを飲み込み、およそ1秒後。光が止んだ後には、紙札を貼られていなかった“おばけ”達だけが消滅していた。

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五行怪異世巡『百鬼夜行』 その⑤

「おい付喪神共。そっちの新入りもだ。手が空いているならついて来い」
平坂は札を貼った怪異たちを呼び、自分の後につかせて歩き出す。数m進んだところで、杭の1本を琵琶の付喪神に手渡した。
「それを持ってそこにいろ」
付喪神は弦を震わせながら杭を受け取った。角度を変えて再び歩き出し、次は琴の付喪神に杭を渡す。更に方向を変え、棒人間に杭を渡す。また進行方向を変え、鳴子の付喪神に杭を渡す。
最後に元の位置に戻ってくると、白神は大量の怪異存在に群がられていた。
「…………」
「あ、ヒラサカさん。準備終わったの?」
「ああ。そっちはどうだ」
「あと9人ってところまでは絞り込めたんだけどね?」
白神が指差した先には、全く同じ姿をした9体の“おばけ”が浮いていた。
白く半透明な身体、濁った瞳、足の無い雫型を上下逆にしたような体型。『如何にも』な外見のそれらは、全く同じ姿勢で等間隔でその場に浮遊している。
「…………これはまた、面倒なことになったな」
白神の周囲の怪異たちに札を貼りながら、平坂が呟く。
「そっくり過ぎて困るよねぇ?」
「……まとめて消し飛ばすか」
「それだけは駄目ぇー」
平坂は舌打ちし、神社の方に目を向けた。
「……どうしたものか……」
「ん? 何か良い案でもあるの?」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介③

・ツファルスツァウル Zufallszahl
身長:145~220㎝  武器:ダイス
ある遊び心に溢れた魔術師の生み出した使い魔。刻まれた術式の効果は『ロールの実行』と『乱数による能力の増減』。ダイスによって『ロール(役割)』を決定し、『ロールプレイ(RP)』によって戦う。「A~C」の3システムそれぞれにスタイルの異なる6つ、計18のスタイルが付随している。実際はダイスを振る必要無くロールセレクトや行動が可能ではあるが、ダイスの出目に従うことで最大出力が更に向上する(下振れもある)。ちなみにRP中に死亡した場合は「システム」の終了として処理され、本体は死なない。同じシステムで『卓』を開くためには、多少のクールタイムが必要。
RP中はロールごとに人格が変わったかのように振舞うが、全てツファルスツァウルが自我それ自体はそのままに『演じて』いるだけであって実際の人格は1つだけなので、はい。
非RP時の外見は銀髪ショートヘアに青目の身長150㎝弱の子ども。服装は白いオーバーサイズのパーカーとショートパンツ。非RP時は引きこもりなので足元は素足。人格はやや希薄だが女性寄り。現マスターが赤ん坊の頃から一緒にいた。
ちなみにマスターの事は「にぃ」と呼ぶ。兄ではない。

・ツファルスツァウルのマスター
年齢:24歳  性別:男  身長:170㎝
ツファルスツァウルを創り出した魔術師の息子であり、現マスター。術式や魔法の使い方も父親から教わった。
生まれた時からツファルスツァウルが傍にいたため、ツファルスツァウルのことを昔は姉だと思っていた。今もその感覚は抜けきっていない。人間ですら無いと知ったのは中学生のころ。流石に姿が変わらなさすぎることに疑問を持ち、本人に尋ねたら教えてもらえた。大層驚いたそうな。
RP中のツファルスツァウルのことは道具として見ている。

・ナツィさん
今回、勝手に射程攻撃を覚えた。【神槍】は「刺突」なので、本来大鎌による行使はとても難しいが、ナハツェーラーさんなので。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介②

・河上桐華(カガミ・キリカ)
年齢:17歳  性別:女  身長:169㎝
ツファルスツァウルのロールの1つ。システムBロール2。肩甲骨辺りまでの長さの黒髪をポニーテールにまとめた長身の眼鏡少女。基本的に長袖のセーラー服姿でいる。足元は黒いタイツとスニーカー。全長約1.2mの日本刀〈雨四光〉を用いた剣術で戦うが、最も威力を発揮するのは間合いを取った射程戦。練音ちゃんをフロントに置いて後ろから【神槍】し続ければ多分最強のコンビになれるけど、ツファルスツァウルの身体は一つなので実現はまず不可能。〈雨四光〉の銘の由来は「1足りずとも確かな輝きを放つべし」。ダイスゲー的にとても縁起が悪い。
ナツィさんに対するリスペクトはいまいち足りてない。好戦的な気質なのでまあしゃーない。
ちなみにマスターの事は「ボス」と呼ぶ。
※メタ的には『忍術バトルRPG シノビガミ』より流派:鞍馬神流のPC。【接近戦攻撃】の指定特技は《刀術》。習得忍法は【陽炎】【狭霧】【神槍】【先の先】。奥義の【鏡刃・乱影断】の効果は「範囲攻撃」。指定特技は《瞳術》。逆凪上等で先手を取り、-3ペナルティ入り(※1)の回避困難な高火力(※2)の突きを叩き込む。基本的に先手を取るためプロット5~6に貼り付いている人。
※1:【狭霧】は相手の回避に-1ペナルティが入るパッシブスキルみたいなもん。【陽炎】は使うと次の攻撃に対する相手の回避に-2ペナルティが入るアクティブスキルみたいなもん。
※2:【神槍】は『遠距離にしか撃てない』射程技。2点ダメージ。【先の先】は相手より先手を取ると1点追加ダメが入る技。理論上、敵を2手で殺せる。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! キャラクター紹介①

・木下練音(キノシタ・ネリネ)
年齢:13歳  性別:女  身長:145㎝
ツファルスツァウルの『ロール』の1つ。システムBロール6。黒髪ロングヘアの華奢な少女。黒い和装には金糸で蜘蛛の巣柄の刺繍が施されており、背中の部分は蜘蛛脚展開のために大きく開いている。
背中から大蜘蛛の脚を展開し、攻撃に利用する。だが、真に得意とする領域は、近接武器でさえ邪魔になるほどの『超』接近戦。自身の周囲極めて狭い範囲にのみ展開される蜘蛛糸の防御結界と攻性結界を駆使して相手の動きを阻害し、相手の動きを封じてからチクチク攻める。実は奥の手として射程攻撃もある。
ちなみにマスターの事は「主殿」と呼ぶ。
※メタ的には『忍術バトルRPG シノビガミ』より流派:土蜘蛛のPC。【接近戦攻撃】の指定特技は《異形化》。習得忍法は【鬼影】【雪蟲】【鎌鼬】【糸砦】。奥義の【外法・御霊縛り】の効果は「判定妨害」。基本的には相手の命中判定に-3ペナルティぶち込んだうえで(※1)判定妨害で強制的に失敗にまで引きずり込む(※2)。練音ちゃんは基本的にずっとプロット値3~4に貼り付いている(ファンブル値が3か4)ので、コンボが決まれば相手は勝手に逆凪(※3)に引きずり込まれる。実は別に攻撃役がいた方が活躍できる。
※1:【鬼影】の効果により、相手は自身に対する命中判定に-2のペナルティが入る。また、【雪蟲】の効果によって、同じプロットにいる他のキャラクターは命中判定と回避判定に-1のペナルティが入る。
※2-A:『シノビガミ』の判定は2d6振って5以上なら成功。「判定妨害」は相手のダイス1つの出目を強制的に「1」にする=最大でも相手の2d6の結果は「7」になる。あとは分かるな?
※2-B:『シノビガミ』のルール上、同じプロットにいる奴らの行動は「同時に」行われている扱いなので、逆凪になってももう1人が行動し終わるまでは逆凪の影響は受けないんですが、そこはまあ、ノリ重視で。はい。
※3:『シノビガミ』では戦闘中ファンブルすると、そのラウンドの間あらゆる判定で自動失敗するようになります。これが「逆凪」。先手を取った奴がうっかり逆凪になると、後手の皆さんにボコボコに狙われても回避できなくなる。怖いね。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑮

「練音ちゃんから見て、どうだった?」
「私の守りの強さが露呈したと思います!」
「うん、自分でカスタムしてて思ったけど、君と戦うの絶対つまらないよね……全然当たらないんだもん」
「ナハツェーラーさん、すごい使い魔だって聞いてたのに……私の防御を抜けないなんて不思議でしたねぇ」
「そりゃそうさ。理論上、君の防御は『絶対』成功するんだもの」
「あ、あといっぱい逆凪させられました!」
「出目が味方したねぇ……。桐華さんとは正反対だ。とにかく、よく戦ってくれたね。……ところで質問なんだけど」
「はい」
「次、ナハツェーラーさんと戦ったとき、勝てると思う?」
「…………感覚としてはなんとも……ってところですかねぇ……」
「ふむ。理由を聞いても?」
「はい。まず、私の得意な間合いがバレました。近距離戦にはもう入ってもらえないでしょう」
「けど、ナハツェーラーさんには射程能力は無かったはずだよ」
「【神槍】です。キリカさんが技を盗まれました。私の術は全部、『蜘蛛』と『呪術』に由来してるので良いんですけど、キリカさんは体術メインですから……。こちらも【鎌鼬】はまだ見せていなかったので、恐らく1回は射程戦に食らいつけるでしょうけど…………あちらの方が間合いでは勝っているので。私が死ぬ前にあちらの『逆凪』を誘発して、あちらが慎重になってくれれば、あるいは」
「……うん。とにかく今日はお疲れ様」
「ごめんなさい、勝てなくて……」
「いや良い。別に本気で勝てるとも思ってなかったし。むしろ予想以上に届いたなって感じだよ。今日はゆっくり休みな、“ツファルスツァウル”。桐華さんと合わせて結構消耗したでしょ」
「はい。それではおやすみなさい、主殿」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑭

「さて」
帰宅後、男は自分の目の前に桐華を正座させた。
「感想戦を、始めます」
「はーい。お説教じゃないんですね」
「お説教じゃなーい。別に叱られるようなことしてないでしょ? まず、実際にやり合ってみてどうだったよ、ナハツェーラーさんは」
「あー……そうだな…………ネリネの方が長く戦ってたし、そっちに訊いた方が良いんじゃ?」
「桐華さんも戦ったでしょうが」
桐華は顎に手を当て、思案する。
「えっとなぁ……これはネリネ側の記憶も混じってるんだけど……そうだな、強いって触れ込みだったにしちゃ、弱かった」
「失礼な。まあ、『最高傑作』であって『最強』とかじゃないからねぇ」
「できることがシンプル過ぎてなー……体術と鎌ブンブンだけじゃん?」
「それに負けかけてたのは桐華さん、どう言い訳するおつもりで?」
「出目が腐った」
「さいで」
「あー、でも【神槍】パクられたのは痛かったなー」
「はい?」
「あいつ、私の【神槍】を見ただけで習得しやがりました。戦いの中で成長するニュータイプだよありゃあ」
「何それ怖い……」
「あとタフすぎる! 私の攻撃だけで1回以上死ねたはずだぞ。何度殺してもあれが死ぬビジョンが見えない!」
「まぁ……それはしゃーない。ナハツェーラーさんだし」
「ナハツェーラーさんだからかぁ……」
「それじゃ……練音ちゃん」
ツファルスツァウルが、『木下練音』に姿を変じる。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑬

桐華が攻撃に入ろうとしたその時だった。
「ふぅ、ようやく追いついた……っと」
「ナツィいたー!」
「げっ……ピスケス、キヲン」
空気を読まないかの如きタイミングで乱入してきた二人に、一瞬場の空気が凍り付く。
「え、お前何やってるの?」
「あれ、ナツィ怪我してる。なんで?」
「……別に何でも良いだろ」
「…………あー、ボス? やっても良い?」
攻撃の態勢を保ったまま、桐華は隣の男に問いかけた。
「えー……じゃあ奇数が出たらね。……3。ゴー」
「了解ぃっ!」
桐華が咥えた眼鏡を宙に放り上げ、回転運動が発生したそれのレンズが数m先のナツィの姿を映したのと同時に、そのレンズに斬り付ける。
「ひっさぁあつ!」
衝撃によってレンズに亀裂が入り、同時にピスケスとキヲンが鏡像に加わる。
「【鏡刃・乱影断】!」
そのまま刀を振り抜き、レンズが粉砕される。鏡像が破壊されたのと同時に、現実の3人にも刀傷が発生した。
「っ⁉」
「なっ……!」
「わぁっ」
「おっ、入った入った! やっぱ死なないかー!」
「桐華さん、満足した?」
「したした!」
「それじゃ、さらばナハツェーラーさん! 対ありでした!」
男は桐華を小脇に抱え、その場を離脱した。
「痛たたた…………ねぇ、あいつら何だったの?」
ピスケスがナツィに尋ねる。
「知らん。……けど」
「けど?」
「何か、疲れた…………」
「あっそう」

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五行怪異世巡『百鬼夜行』 その③

「……とにかくだ」
平坂は空中に4枚の紙片を投げ上げた。それらは不自然な軌道で四方に飛び散る。
「この中に、白神。貴様の許しを得ていない怪異が紛れ込んでいる。何が狙いか知らんが……“潜龍”の膝元で無法を働こうというなら、容赦はせん」
「う、うおぉ……何これ、力が抜け……」
白神は結界の効力によって膝をついた。
「……む、そうか、貴様も妖怪の類だったな。少し待て」
平坂が懐から1枚の紙製の札を取り出し、白神の額に貼り付ける。
「あだっ」
「本来は人間用だが……霊的現象を遮断する守護の札だ。痛むだろうが動けるようにはなっただろう」
「うん……さてと」
ゆっくりと立ち上がり、白神は膝についた汚れを払った。
「おぉーい、みぃーんなー」
白神が目の前の怪異存在の群れに呼びかける。結界の効力によって地面に這い蹲っていた怪異たちは、各々顔に相当する部位を彼女に向けた。
「今日集まってくれたの、わたしはすっごく嬉しいんだけどね? この中にまだ挨拶が済んでない子がいるみたいなの。怒らないから出ておいでー?」
白神の呼びかけに、怪異たちは蠢いて反応を示す。そのうちの1体、黒い棒人間の頭に1対の白く丸い目がついたような子供程度の背丈の妖怪が這いながら近付いてきた。
「ん? 君、どうしたのかな?」
屈み込んで目線の高さを近付けた白神に、棒人間は蚊の鳴くような声で返答した。
『ゴメ……ァィ……ゥアァ……』
「んー……あ、もしかして君、挨拶がまだ済んでなかった子かな?」
『ゥン……タノシソダタ……』
「そっか。じゃ、今お友達になろ? これでもうわたし達の仲間だね。ヒラサカさん、それで良いよね?」
白神に顔を向けられた平坂は答えを返さず、代わりにその棒人間の頭部に雑に紙の札を貼り付けた。
『アキャァ』

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑫

『桐華』と呼ばれたその使い魔、ツファルスツァウルは、地面に落ちた刀を辛うじて動く左手で拾い上げた。
「それでぇー……ボス? もしかしてこれ……任務失敗強制帰還の流れですかねー……?」
「んー? まあ、フル残機とはいえ、自分の使い魔に死なれると悲しいからねぇ…………そういうわけで、ナハツェーラーさん。今日のところは失礼させていただきます。もうナハツェーラーさんや周りの人を無暗に襲わないよう、こっちでよぉーっく言い聞かせておきますんで、どうかご容赦ください! それでは!」
「なっ、待て!」
「そうですぜボス」
「えっ」
ナツィと桐華から立て続けに制止の言葉が入る。
「こっちの都合でボコされたナハツェーラーさんは良いとして、なんで桐華さんまで?」
「いやぁ? ネリネの【外法・御霊縛り】は見せたのに、私の奥義だけ見せないのはアンフェアじゃない」
「やるの? ナハツェーラーさん死なない?」
「ここまでやって死なないならもう死なないでしょ。それに万が一にも今度戦うことになった時、不公平じゃん?」
「うーむ……まあ良し。それじゃ、ナハツェーラーさん。あと一撃、お付き合いくださいな」
「は?」
桐華とマスターの動向を警戒しながら見つめるナツィの前で、桐華は左手で刀を構えた。
「へいボス、ちょっと私のポケットからコンパクトミラー出して」
「え、やだ……」
「ちぇっ。じゃ……」
桐華は頭を大きく振り、勢いで外れた眼鏡の縁を口で咥えて受け止めた。
「これで良いや」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑪

ナツィが再び、【神槍】の構えを取る。
(クソッ、断言できる。ナハツェーラーさんの方が速い!)
大鎌が振り下ろされる直前、二者の間に一つの影が飛び込んできた。咄嗟にナツィは動きを止める。
「ちょっ…………と待ったあ!」
「…………誰?」
突如現れたローブ姿の人物にナツィは敵対心を剥き出しにした目を向ける。
「やぁやぁどうもお初にお目にかかります、彼の伝説の大魔術師ヴンダーリッヒの生み出した最高傑作、“夜の蝶”の二つ名を冠するは、異国の吸血鬼の名を戴いた人工精霊にして使い魔ナハツェーラーさん。自分の身内がたいっへんご迷惑をおかけしました!」
その男はフードを脱ぎ、勢い良く頭を下げた。突然の事態に一瞬呆然としたナツィだったが、彼の言葉にすぐに食って掛かる。
「お前が、俺を暗殺するようその使い魔に命じた黒幕か!」
「えっまあそれははい」
平然と頷くその男に、ナツィは大鎌を振り上げて飛びかかった。しかし。
『武器を下ろせ』
男が短く言うと、それに従うかのようにナツィの身体は勝手に動きを止めた。
「⁉」
「うげっごめんなさいつい……けど今は非戦闘イベってことで一つ……」
「……なんでだ」
「ほい?」
「なんで、俺を狙った? 人質まで使って……」
「人質……ってのが何なのかは正直知らないけど…………自分の作ったものが実際どれほどの性能なのかって、確かめてみたくなるもんじゃないっすかね?」
きょとんとした表情で答えたその男に、一瞬呆然としたナツィだったが、すぐに正気を取り戻して食って掛かる。
「……はぁ⁉ そんな下らない理由で!? ってかその使い魔はお前が創ったものじゃないだろ!」
「ん? ぁいや『ツファルスツァウル』じゃなく、『ロール』の方。18個もぶち込んだからなー。結局いくつ使い潰した? 何か桐華さんに姿変わってるけど、練音ちゃんは?」
男がツファルスツァウルに尋ねる。
「まだ1個も死んでないやい。ネリネから選手交代で1発目だよ」
「それは良かった」