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てぶくろ異説・冬を越す雪下の2匹

「ただいま、カエル君」
この手袋の拠点の中に声をかけながら、我が相棒ネズミ君が拠点に帰ってきた。これ幸いとすっかり冷めきっていた寝床から這い出す。
「やァ、危うく凍え死ぬところだったんだ」
「馬鹿言え。せっかく僕が作った防寒着を着ておきながら、凍え死ぬってことは無いだろうさ」
ネズミ君は笑いながら、自慢の毛皮についた雪を払って拠点の外に蹴り捨てた。
たしかに彼の手先は器用だ。外で拾ってきたという何かの毛皮の欠片を、これまた外で拾ってきたという植物を解した繊維で縫い合わせたこの防寒着を着ていれば、ただ寝床で丸まっているよりは随分とマシな気分になる。しかし、我がカエルの身体はひんやりと湿っていて、防寒着の内側に溜め込む熱を生み出すには向いていないのだ。ネズミ君の体温は我が生命維持にきわめて重要なのである。
「ネズミ君、今回の収穫はどうだったい?」
「ああ、いくらか毛皮と植物片を拾ってきたよ。これから肉を削いで、もう少し頑丈な防寒着を作ろうかと思ってね。そうすれば、君も雪掘りに出てこられるだろう?」
「ああ、2匹がかりなら多少は危険も避けられような。我が足技が唸るぜ」
「ははは、期待しているぜ。それじゃあ、僕は防寒着づくりに取り掛かるよ」
ネズミ君はそう言って手袋の奥へ引っ込んでいった。手袋の四指の側は彼の休息と製作作業のための空間になっている。彼は毛皮を作業台の上に伸ばし、石の欠片のナイフを用いて毛皮を洗い始めた。
さて、彼がああして疲れた体に鞭打って働いてくれるわけだし、彼を労うために疲労回復の膏薬でも作り溜めておくとしようか。植物片を拾ってきたと言っていたし、我が観察眼を以てすれば有用な薬草の1つや2つは見つかるだろう。

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理外の理に触れる者:だいぶ遅れてご挨拶

先月いっぱいを目安として「理外の理に触れる者」という企画を立ち上げたナニガシです。だいぶ遅れてしまいましたが、終わりの挨拶くらいはしておこうと思いまして書き込もうというわけでして。
今回は未完成の全知全能さん、赤い思想さん、テトモンよ永遠に!さんの3名に参加していただけました。
登場人物を「時の異能者」のみに絞り、戦闘シーンを重点的に描写してくれた未完成の全知全能さん。ナニガシは男の子なのでバチバチの戦闘シーンとか大好きなので助かりました。
怪奇・ホラー的要素の中に異能者の設定を混ぜ込んだ赤石奏さん。ナニガシは少し前からホラーやら怪談やらにお熱なので好みの世界観で楽しかったです。
そして、よく長編小説を投稿していらっしゃるテトモンよ永遠に!さん。人外の異能者の存在は最初の設定でほんのちらっと示唆していたんですが、どうやら拾っていただけたようでたいへん嬉しかったです。
また良さげなもの思いついたら何か企画しますし、他の人が何か企画してくれたら参加させていただきたいと思っております。
そういうわけで今回はこれっきりです。参加してくださった皆さんありがとうございました。

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 おまけ 壱

「理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫」のおまけ…と言うか解説編です。

・黒羽(くろは)
異能:死の指揮者
一応この物語の主人公。
作中ではあまり描いてないが長い黒髪で黒地に柄の入った和服を着ている。
明言し忘れたが、一応男。
元々は街で有名な地主の子どもだったが、妾の子だったために家族から疎まれていた。
そのため実母の元で幼少期を過ごしていたが、母親が亡くなったことで父親の家に引き取られることになった。
しかし幼い頃から異能を持っていたために、無自覚の内に小動物や植物を殺すことを繰り返していたため、家族から恐れられ、最終的に実家から追い出されてしまった。
実家から追い出された後も実家の人間から命を狙われることは多く、一度死にかけたこともある。
その時にカラスに出会い、カラスの異能によって傷の治りが早くなる“性質”を与えられたことによって生き永らえている。
現在は街外れの古民家に住んでいる。
なお、カラスに出会うまで異能と言う概念は知らなかった模様。
異能“死の指揮者”は触れた生物を死なせることができる異能。
ただ、人間に使おうとすると抵抗されることが多い。
黒羽自身はあまり制御できてないようだ。

・カラス
異能:カタチの支配者
黒羽の友達(?)。
ただの気まぐれで黒羽を助けた結果、黒羽と連むようになった。
カラスの姿をしているが、喋ったりするようにその正体はカラスではない。
真の正体は物質の身体を持たない神霊のような存在。
遠い昔から存在し、その異能で長い時を過ごしてきた。
カラスの姿をしているのは、今はそういう気分だから。
異能“カタチの支配者”はありとあらゆる生物・非生物に様々な性質を与えることで、性質や見た目を変えることができる異能。
回想では黒羽に“傷の治りが早くなる”性質を与えることで死の危機から救ったりした。
カラス自身には“不死身”とか“発話”とかの性質を与えることで現在の姿を保っている。
ちなみにカラス自身に“名前”は存在しない。
“カラス”という名前自体は通称みたいなものである。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター④

・来実(くるみ)
異能:雨雪の干渉者
二つ名:白雪姫
桜の同級生にして一番の親友。異能者仲間でもあるので割とずぶずぶ。過去に『夜の指揮者』から攻撃を受けた際、日和に助けられ後見された。二つ名は桜からもらった。
異能の性質は大気中の水分や既に発生している雲に干渉し、雨を降らせる、雨を止ませる、雪を降らせる、雪を止ませる、雨を雪にする、雪を雨にするの6通り。射程距離はかなり長く、数㎞程度の範囲は余裕でカバーできる。

・湊音(みなと)
異能:時間の干渉者
二つ名:付き人
日和とは同い年でいとこの関係。そっくりでまるで双子。苗字も同じなせいで学校では双子だと思われているし、本人たちも特に否定はしていない。
異能の性質として特に得意なのは過去への干渉。過去視をしたり、過去の自身の動作に干渉して間接的に現在を改変したり、触れたものの過去の状態を現在に持ってきて固定したりといったことが可能。それ以外のこともある程度はできる。
異能者としても生物に対しては無力な日和の弱点を補う存在であり、異能者を取りまとめる『女王』の補佐役としていろいろと動き回っている。ひぃちゃんが後見した異能者に実際に指導を行うのも彼の仕事。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター③

・桜(さくら)
異能:狼の干渉者
二つ名:白狼侍
日和の1個下くらいの年齢。過去に『夜の指揮者』から攻撃を受けた際、日和に助けてもらい後見された。二つ名は日和から賜ったもので「はくろうじ」と読み、由来は後述する“白雪姫”に仕える狼の侍従ということから。
異能の性質は、「狼」という生物の定義に干渉してその条件の中に自分を割り込ませることで、自身の肉体に狼の特徴を発現させるというもの。最近、後述する”付き人”との修行の末に完全な狼化もできるようになった。

・黒崎孝太郎(くろさき・こうたろう)
異能:砂漠の干渉者
二つ名:海殺し
今作で町一つ砂漠化させたやべー奴。異能者になってから日が浅いどころじゃないので、異能の扱いには慣れていない。亮晟に後見され、どうにか異能の制御が可能になった模様。
異能の性質は、自身を中心とした半径5㎞程度の空間における環境条件に干渉し、その一帯を砂砂漠または岩石砂漠にランダムに変えるというもの。今回は砂砂漠になった。移動すれば勿論砂漠の範囲も動き、また自身から離れた位置程、元の環境の性質が重なり合ったようになる。異能を使うと世界がバグるやべー奴。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター②

・水呼(みこ)
異能:水の観測者
二つ名:水先案内人
道連れ。多分亮晟と同い年くらい。
異能の性質は、水源や水の多く集まっている場所までの距離と方向が分かるというもの。汗や涙、血液など自分の体液を水の集まった方向に引き付けさせる力もあり、もうしばらく能力を使い続ければ干渉者への昇格もあり得ない話じゃない。

・日和(ひより)
異能:無生物の支配者
二つ名:無命女王
ここら一帯の異能者を統括しているボス的存在。中学2年かそこらだと思う。異能の扱いに長け、支配者としての自覚もあり、とても偉そうで実際偉い。支配者としてとても強いので、シハイシャ・スゴイツヨイ・プレッシャーとシハイシャ・スゴイサトイ・シックスセンスが使える。

※シハイシャ・スゴイツヨイ・プレッシャー:支配者級の異能者が自分の異能の強さとそれゆえに発生する王としての責任を強く自覚していると使える、自分の強さに基づいた威圧。生物としての根源的恐怖を刺激するので、どんなに強い異能者でもビビッて動けなくなる。実際は能力でも何でもないただのハッタリ。
※シハイシャ・スゴイサトイ・シックスセンス:異能の扱いに長け、対象に慣れ親しんだ支配者級の異能者にだけ使える第六感。他の異能者が異能を使っていると、その人の位階が何となく分かる。干渉者と指揮者の違いを判別する時などに便利。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター①

・八街亮晟(やちまた・りょうせい)
異能:怪獣の指揮者
二つ名:モンスター
本作の主人公的人物。高校2年か3年くらい。他の異能者との関わりはそんなに無い(皆無ではない)。
異能の性質は怪獣への変化と怪獣の召喚・使役。身体の大きさや形状が本来のものと外れるほど変化した際に身体が動かしにくくなるが、修練によってある程度は補える。
彼が異能によって操る怪獣とは夢と浪漫と破壊力の合成であり、似非科学を含めた科学的論理によって説明可能な範囲で特殊な形状と能力を具えた物質的に実在する生物である。月の操る鬼神と異なり、霊感など無関係に観測が可能。

作中に出た手持ちの怪獣一覧
・石竜:体長約3m。4本の脚の先には長い3本の指を具え、身体と比較して異常に長い両腕から続く手は4本指であり、対向拇指の形を取っている。背中の翼はそこまで大きくはなく、飛行には使えない。放熱用のものと思われる。皮膚の熱遮断性も高く、高温環境での生息に適応している。ワニのような頭部には眼球が無いものの、何故か人間と同程度の視覚能力がある。
・人狼:体長2.5m、尾長2.3mの2本足で立つ狼のような姿の小型怪獣。尾は鱗に覆われている。厚い毛皮と体毛の色などから、寒冷地での活動に特化していると思われる。
・砂鯨:体長80m程度の白いマッコウクジラから手足が生えたような形状の怪獣。牙が長い。砂の中を水中と同じように泳ぐことができる。脂肪が厚いため、衝撃に対する耐久力も高い。
・駿竜:体長4m程度、尾長3m程度の4本脚で歩くドラゴンのような怪獣。最高時速500㎞以上で走ることが可能でありながら、鱗や体毛の性質、細長い体形などが影響し、騒音も衝撃波も発生させずに高速行動をとることができる。
・病霞:体長5m、尾長5m。巨大な黒蛇の胴体から手足が生えたような姿の怪獣。口内に並ぶ牙は鉱石のような性質をしており、それらを打ち合わせて発生させた火花に、揮発性の高い可燃性の毒液を舌下の器官から霧状にして噴き出すことで引火させ、火炎放射が可能。手持ちの中で唯一火を吹ける怪獣。毒霧を利用して有毒空間を作り出すことも可能。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑪

後見。そんなものがあるらしいってことは人伝に聞いたことがある。たしかあれは、支配者級の異能者の特権じゃ無かったのか。
「指揮者の中でも、お前ほど異能を制御し切れている奴は見たことが無いぞ。純粋な力で言えば支配者級にも匹敵するあの“総大将”でさえ、既に半分ほど人間を辞めているというのに。『能力を制御する』という観点において、指揮者以下の位階の異能者じゃお前は間違いなく最高の実力者だよ。……ああ、評判を気にかけているなら心配は無用だ。お前の実力は私が保証するし、異を唱える阿呆は『説得』してやる」
「そもそもお前が後見してやれば済む話じゃねえのか」
「嫌だよ。私は可愛い女の子だけに囲まれて生きてたい」
「こいつ……」
とりあえず駿竜を消し、砂漠の異能者の胸倉を捕まえて立ち上がらせる。
「おいお前。名前は」
「え⁉ あ、ああ、えっと、あー、あの、俺は黒崎。黒崎孝太郎」
「長えな。略してクロコって呼ぶぞ」
「あっはい」
「異能『怪獣の指揮者』、二つ名“モンスター”、八街亮晟。クロコ、お前を『後見』する。お前は今から俺の弟子な。俺のことは師匠とでも何とでも好きに呼べ。1時間以内にこの砂漠、消すぞ」
「えっあっ了解」
了承を取ったところで、あの女王さまがけらけらと笑い出した。
「何なんだよお前はァ!」
「いやぁーはっはっはっはっ、悪いね、楽しくて楽しくて。おいクロコ」
女王さまがクロコの方に向き直る。
「お前に二つ名をくれてやろう」
「え、あ、はいどうも」
クロコの方も素直に応じる。
「”海殺し”。あらゆる環境条件に干渉し、土壌の養分と水分を完全に奪い取る、げに恐ろしき世界の破壊者。『砂漠の干渉者』として、これからはその名を使って良いぞ? お前と怪獣のことは、私の異能に乗せてここらの異能者たちに広めてやる」
「う、ウス」
盛り上がっているところ悪いが、今は砂漠を元通りにするのが先だ。女王さまからクロコを引き離し、騒がしいだけのこいつらから離れてクロコに指導する場所を探すために歩き出す。
「行くぞクロコ。お前に異能の使い方を教える。まあ、身に付くかどうかはお前次第だけどな」
「あ、ウス、よろしくお願いします」
何故か無言で俺たちのあとをついて来るその他大勢を何度も追い返すことになったのは、大変腹立たしかった。