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無能異能浪漫探訪⑮ オカルトマニアの種明かし

一般人の俺が、奇跡的に能力者集団に潜入できた。その感動を噛み締めていると、あの二人が俺を呼びつけてきた。そちらへ寄ると、部屋を出るようにとのこと。
それに従い彼女らについて外に出ると、目つきの悪い方が深刻そうに尋ねてきた。
「……見沼さん。降霊術を行った、と言いましたよね。あれ、本当のことなんですか?」
「……と、言いますと?」
思わず冷や汗が流れる。
「私と、こっちの宮嵜さん。所謂『霊感』みたいな能力を持ってるんですけどね」
何か察せた。
「私達の眼に、霊の類は映りませんでした。トモちゃんの反応も何か不自然だったし……何をしたんですか?」
……そうか、何も来ていなかったのか。つまり、『こっくりさんは成功した』わけか。
こみ上げる笑いを堪えきれず、肩が震える。
「……いや、そうか。何も来てなかったか。来てほしいなとは思ってたんだけどなぁ……」
「……? 何を言って……」
「こっくりさんの仕組みが科学的に説明できる、って話、知ってるか?」
2人組は首を横に振った。それなら説明してやるとしよう。
「まあ、簡単に言うとだな。参加者が本当にこっくりさんが来たと信じていれば、無意識の影響と肉体の反応とで勝手に硬貨が動くって話があるんだよ。つまるところ、信仰心は大事ってことだ」
「……私たちは何も来ていないことを知っていましたが」
「多数決じゃね? 2対5じゃ動く方に偏るんだろ」
目つきの悪い方は納得いかないようだったけど、それっきり質問してくることは無かった。
「……あ、そうだ」
目つきの悪い方じゃない方、たしかミヤザキだっけ。そいつが代わりに質問してきた。
「降霊術が失敗してたなら、本当の能力は何なんです?」
「え、そんなん持ってないけど」
「えっ」
「俺はただのオカルトマニアだよ。超能力集団なんて素敵なところに潜入したくて無茶したが……これは内緒な。君ら以外だとトム……じゃなかった、岩室弥彦しか知らないんで。俺はこっくりさんの達人ってテイでよろしく」
2人に頭を下げ、帰り支度をすることにした。

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無能異能浪漫探訪⑭ 

「コックリさんコックリさん。わたしたちのこと、怖い?」
モジヒナは不敬にもとんでもない質問を放ってきた。指の下の硬貨はしばらく動かなかったが、数秒経ってようやく、動き出した。
硬貨が進む方には、「いいえ」の文字が。しかし、道半ばで止まり、反対方向へ動き始めた。
そして、あと1,2㎜で「はい」の文字に硬貨の端が触れるってところで、また硬貨が止まり、鳥居に戻って動かなくなった。
「……強がりだね」
「強がってるね」
「意地張ってるね」
「誇り高いね」
「でもちっぽけなプライドだよ」
「簡単にへし折れるね」
モジヒナとモジミチルは何やら勝手に言い合っているが、こっくりさん相手に滅茶苦茶無礼だな……。呪われても知らないぞ。
「鳥居に……戻ってるね。じゃあ次の人どうぞー」
モジヒナが言うと、後はよくあるこっくりさんの流れになった。みんなでおっかなびっくりこっくりさんに質問しては、答えていただき、答えに盛り上がり、鳥居に戻っていただく。
大体全員2周くらいしてからそろそろお帰りいただこうという話になった。
こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻りください。
硬貨はしばらく鳥居から動かなかったものの、モジ兄妹(姉弟?)がもう一度唱えると、自然に「はい」まで動き、その後鳥居まで戻った。
「こっくりさん、こっくりさん、ありがとうございました。お離れください」
最後の呪文を唱えて指を放した。
「……以上、俺の降霊術でした。これが俺の『能力』です。お目汚し失礼いたしました」
深々と礼をしてから、用紙を回収。処理は家に帰ってからゆっくりやろう。
「やー、楽しかったよー。こっくりさんって本当に勝手に動くんだねぇ」
トモちゃんにもご満足いただけたようで何よりだ。
「私達は君を歓迎するよ。……えっと……?」
「そういや、トム以外には自己紹介が済んでなかったっけ。見沼依緒と申します。ミヌマとでもヨリオとでもイオとでも、好きなように呼んでもろて」
「おーけーイオ君。仲間入りおめでとう!」

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無能異能浪漫探訪⑬‐B 視えるから見えない

儀式が始まった。3度目の呼びかけで、効果が動き始める。ずっ、ずっ、って感じで、少しずつ動いている。
(……宮城さん)
彼女と目が合う。彼女は微かに首を横に振った。
(……つまり、霊の類は来てないってことか)
一応、こっちでも気にかけてはいるけど、あの双子が発する謎のオーラが邪魔で上手く判別できない。流石に神様を自称するだけはある。
あの不審者が質問を投げかけた。無くし物がどこかなんて、くだらない質問だ。
質問が終わって1秒くらい経って、指の下で硬貨が勝手に動き始めた。
(か、は、いや、カバン……の、そこ。底?)
こっくりさんは見事に答え、説教まで残していった。宮城さんに目をやると。泣きそうな顔でこちらを見ながら首を横に振っている。
念のためにトモちゃんの背後の腕たちを見てみるけど、ゆらゆらしているだけで硬貨には干渉していない。
(じゃあ、何が硬貨を動かしてるんだろう……?)
解答が終了し、硬貨はいつの間にか鳥居へ。
「はいはい! 次わたしがやる!」
硬貨に置いていない方の手を上げて名乗りを上げたのは、謎オーラの双子の片割れ、陽菜ちゃんだった。不審者が促したので、陽菜ちゃんは身を乗り出して質問を開始した。