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LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩⅢ

「みんなも薄々気付いていたとは思うが、このイニシエーションには裏があると踏んでいる。
通過儀礼として送られたことをまず確かめたいんだが。」
そう言ってこちらをみるので、先に口を開いたのは瑛瑠。
「私も、成人においての通過儀礼と言われました。人間界の視察と情報共有が主な目的。」
瑛瑠の言葉に、歌名と望も頷く。伝えられている大まかな内容は、4人とも同じようだ。
英人は引き継ぐ。
「視野を広げることや情報を扱うことについてが最終目的なら、疑問はない。これは僕の推察だが、僕らは将来的に上に立つべくして教育されてきたはずだ。もっともなイベントであるとも思っている。
本当に、それが目的なのであれば。」
英人の鋭く光る黒い瞳は、今日はいつもに増して研ぎ澄まされていて、目にハイライトがあるにも関わらず感情とは程遠い表情をしていた。
「疑わしい理由は主に2つ。1つは、期限がはっきりしていないこと。あくまで儀式の体なのに、ここまで弛いのはおかしい。絶対と言ってもいい。」
さらに続ける。
「もう1つは、僕が成人しているということ。既に成人の儀を終えている僕を人間界に送る理由は、」
「成人においての通過儀礼じゃないから。」
歌名が、神妙な顔で引き継いだ。

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This is the way.[Ahnest]18

轟音とは、こういうもののことを言うんだと知った。

明くる日のこと。
「うーんっ、よく寝たあ」
「ホント?私体がカチコチなんだけど...」
「まさか、今まで岩の上で寝たことがなかったり...」
「ま、普通に暮らしてたらそうある話じゃないわよ」
そう言ったシェキナが首を横に曲げて手で引っ張ると、ゴキゴキっと音がする。うわあ、と顔をしかめるアーネスト。
「どっか折れてるみたいだ」
「何言ってんのよ」
肩、腰、脚と順番に体をほぐしていくシェキナ。そのたびにすごい音がなる。
「さあ、朝食でも探しに行くわよ」
「そうだな、登ってくるときにおそらく鹿の足跡っぽいのが向こうに続いてたからいるかもしれないな。昨日の晩の雪でだいぶ消えちゃってるけど」
「そんなの見つけてたの?」
「まあ、ね。確かあっちの......」
アーネストが岩屋の出口に近づき、外に出ようとする。と、そのとき、はっとアーネストは足を止めた。
「どうしたの、アーネスト」
「シッ.........。何か聞こえないか?」
「??いえ、何も...待って、なんだか低い音がなってるみたい。重たい家具を動かしてるときみたいな......」
「やっぱりそうか、聞き間違いなら良かったんだが...」
「え、何、どうしたの?」
「これはまずいかもしれん......どうする...?」
「ちょっとなんなのよ教えてよねえ!」
オヅタルクニアではこんな音を聞くのは日常茶飯事だった。でも、こんなにも大きな音を聞いたのは初めてだ。それもそうだ、いつも遠くから眺めているだけなのだから。そう、この音の正体は............。

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LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩ

瑛瑠はそのあと、しっかりと責任をとって英人にかけられた不名誉な疑いを晴らした。
彼にしては珍しく表情を顔に出し、不機嫌そうにする。
「すみませんて、英人さん。」
「僕を犯罪者にでもする気か。」
歌名の座っていた椅子に座った瑛瑠は、向かいの英人に謝る。
そっぽを向いてしまった英人に瑛瑠は困ってしまい、歌名と望に目で助けを求めるが、ふたりとも苦笑いを返すのみ。
「今回は、瑛瑠が悪い。」
「紛らわしい言い方はよしてよ、瑛瑠さん。ぼく、本気でぞっとしたから。」
ここまで言われてしまったら、反省する他ない。
瑛瑠は英人をつつき、再度困ったように謝る。
「犯罪者にする意図はまったくもってありませんでしたし、英人さんなら犯罪じゃないですから。」
そういうことではないし、そういうところだぞ祝瑛瑠。
3人が、完全に諦めた瞬間だった。呆気にとられている歌名と望を置き、一足先に冷静になった英人は、深いため息をひとつつき、苦笑する。
「もういい。瑛瑠はもっと表現力を学ぶべきだ。」
きょとんとする瑛瑠に、さらに言う。
「無防備なのは僕の前だけにしてくれ。」
その一言に対する狼男と透明人間の抗議により、朝の時間はさらに賑やかになるのだった。