天体観測
流星雨。
天球にはオリオン、おおいぬ、こいぬが炯々と輝く。
白露地に茂く、月光の淡い虹が夜空を駆ける。
湖面に映る白桃の月は、夜風に揺られ静かに形を変える。
Monet,Goghに続く、名画の回廊に掛けられているような。
中島敦や宮沢賢治であったら、なんと云って愛でただろうか。
刺さるような空気の中ひとり、天体観測。
背後、青白い月影のなか、僕の影が黒く地面をくり抜く。
君もこの夜空を見に来たのかい、とその影に問うと、
影は答えない。こちらをじっと見つめている。
ゆっくりと視線を戻し、僕はまた星空を眺めた。
さざめくような星明りの雨が、それもまた湖面に映っていた。