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元人間は吸血鬼(仮)になりました #0

目を開けると、真っ暗だった。なにこれ。狭い箱のようなものの中に入っているらしい。そして、寝転んでいる。体を動かすことはできるので、はこを揺らしてみた。すると、
「うるせぇ!」と怒りのようなものを含んだ声が聞こえた。しかしその声は男のように低いものではなく、女の子のような高い声だった。
その声が聞こえてから、私の方に足音が近づいてきた。そして、視界が開けた。
「大丈夫〜?」と聞いた声の主はふにゃふにゃした口調の女の子だった。さっきの声とは違う。
とりあえず、「大丈夫です。」と答えると彼女は
「よかった〜」と言った。だが、彼女の見た目はよくテレビとかで見る、キョンシーに似ている。額にはお札をつけて、中華服を着ている。
私は戸惑いつつも彼女に尋ねた。
「ここはどこですか?」すると、
「知りたい?」と先程、私が怒らせたと思われる女の子が聞いた。私はまたもや戸惑いつつも頷いた。戸惑った理由は彼女が先程のキョンシーの子と同じように、人間とは思えない見た目だったからだ。その姿はまるでゾンビだった。火傷のような傷のある肌、ギラリと光る紅い目、ところどころ破れた服。その服は警官服のようだ。
そして彼女は私の手を引いて歩き出した。この頃の私は、現実味のある夢だなぁ、としか思っていなかった。


【続く】

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LOST MEMORIES 414

司書さんからお静かにとたしなめられ、初対面の男子生徒からはぎょっとされ、自分でもらしくない行動に赤面しつつ、図書室からの帰り道、なぜかその男子生徒と並んで帰る瑛瑠。
「あの、すみません……この本、読み終わってからでも構いませんよ?」
図書室で読むはずだった本は、結局お持ち帰りコースとなったのだが、先の状況と違うのは、瑛瑠がそれを譲ってもらったこと。
「いーのいーの。俺興味ないんだけどさ、勉強しろって家のやつうるさくって。
なんかテキトーに持ってきただけなんだ。」
悪戯がばれた子供のような、ばつの悪そうな、恥ずかしそうな、そんな表情。
新しいタイプの人である。初対面の打ち解けやすさは歌名に匹敵するなと頭の片隅で思う。
とてもまっすぐで綺麗な目を持った人。
「にしてもアンタ、こんなん読むのか?面白い趣味してんな。」
面白いというわりに興味のなさそうな声。
表裏のない人だなと瑛瑠は苦笑する。
「あ、俺こっち。」
階段前で立ち止まった彼が指差したのは、瑛瑠の向かう階ではない。
「俺、2年だからさ。じゃあな。」
まさかの年上だったか。改めて敬語でよかったと瑛瑠は思う。
「ありがとうございました!」
片手を挙げた先輩。
しばらくしてから、名前を聞くのを忘れたことに思い至った。

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大好きな貴方へ

あなたがこの世を去って49日が経ちました。
長いようで短かった。
みんなあなたが居なくなってとても悲しんでいます。
特にあなたが残していった3人の仲間たちは、
先月末から何も発信してない。

そっちの世界ではどうですか?
1人早々とそっちへ行って寂しくないですか?
私は寂しいです。
元気にやってますか? そうだといいな。
あなたのことだからこっちにいた時と変わらず、
明るい素敵な笑顔でいるんだろうな。
笑った時にできるほうれい線、好きだよ。

あなたのお友達はみんな前を向こうと頑張っています。
だけど、私達はなかなか前を向けないのです。
赤色を見たら思い出し、動画を見たら思い出し、そしてまた泣きそうになる。
私は前を向けるのかな。
完璧にとまではいかないかもしれないけれど
少しずつ前を向いて生きるよ。

今度あなたのお別れの会があるんだって。
私は行けないけれど、行った人を見てあげて。
こんなにも自分のことを好きな人がいるんだって思ってくれたらいいな。
いい事務所といい仲間たちに出会えて良かったね。
私もあなたに会えて良かった。

向こうが飽きたらこっちに降りてきてね。
みんな大好きなあなたのこと待ってる。
あなたの綺麗な赤髪を見つけるその日まで。

ねぇ、知ってる?
ガジュマルの木にはね、赤髪の小さな子供が宿ってるんだって。
大人になったらガジュマルの木を育てるよ。
約束する。

そら、りっくん、みっくんのこと空から見守ってて。
これからもアバンティーズのことよろしくね。

いつまでも大好きだよ。