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      アイデンティティ

果てるのか? 止まるのか? 夢と現実の狭間で
朽ちるのか? 終わるのか? まだいい所なのに

心臓を揺らしながら 情景をなぞって恋焦がれる
電車に揺られながら 変わりゆく景色を眺めてる
懐かしいあれもこれも 全部持っていけるのかな
がらんどうの深層心理は 誰かが推し量れるのか

このラストラウンドで 赫い華が咲き乱れて散る
今宵誰も彼もが 永遠に諸行無常を疎みつづける
切ってもきれない関係性に 嫌気が差してきても
恨み続けるしか為す術がないなら 用は無いんだ

明けても暮れても 同じ日を繰り返すプログラム
嗚呼 昨日今日と代わり映えのない日々に花束を
甘いも酸いも味わってみないと わからないのに
俗世の人間は何処か知ったふりして 曖昧を享受

繰り返す波に揺られるプリズム 重力に翻弄され
なにも色を写さないわりには 色彩を吐きたがる
複雑にハーモニーをなして 不安げに転がってる
単純な心理も忘れ去られ 不満げに撒き散らした

その貧相な心情は 誰にも救えるものではないが
その心意気次第では 存外にどうにでもなるかも

果てるのか? 止まるのか? 正夢と悪夢の間で
朽ちるのか? 終わるのか? 死に花が咲く前に
落ちるのか? 拒むのか? 赫く濡れた手のまま
果てるのか? 止まるのか? 罪と義の境界線で

1

      揺り籠

どこにも逃げられず 独りになった
何日も何年も 同じことの繰り返し
揺れる前髪 戸惑う心 空中遊泳中
全てがスローに 不安定なこの世界

遠くのものは近く近くのものは遠い
はっきり見えていた筈のものがない
どうしても理解できないまま苦しみ
どうしても捨てられないまま抱えた

ふわふわと 何処にも着地できない
どうしてもこうしても 同じことで
揺れる心臓 割り切れないで悩んで
なにも知らないくせに 知ったふり

ふらふらと 行き先が決められない
なにしてもうまくいかないのはなぜ
観覧車の中で 景色も見ないで眠り
せっかくの宝物を喪った ほらまた

上手くいかない 上手く息できない
なにも歌えない なにも作れないで
情けないな そこに合ったものすら
いとも簡単に壊してしまったあの日

鳥籠の中で 呼吸も止められない鳥
僕らの縮図 誰も死にきれないのさ
ブランコに乗って 揺れ続けた心臓
祈ることも忘れて ずっと泣いてる

また煌めいてゆらめいた雫 溢れた
宝石のよう でも一瞬で枯れ落ちた
これで今夜は眠れるかい 震える手
言葉の一つ紡ぎ出せず やるせない

それでも僕らは 生きるしかなくて
風に揺られながら 流れ着く先には
きっとなにも転がっては ない筈さ
そう信じても まだ揺れ続けるんだ

0

       無重力のプリズム

ボロボロのベンチに座り 疲れを吐き出した午後4時
はしゃぎ転げる犬 ボールに振り回される子どもたち
無色の吐息で空気を汚す なにも知らないおとなたち
知性とは程遠い 中身のない知育とがらんどうの公園

積もる話も積もらないまま つまらない時間を潰した
いつかのマザーグースの 実にも種にもならない情報
静かなような騒がしいような 砂利だけが残った広場
懐かしいような鬱陶しいような ガタガタのブランコ

そこで出会って別れてまた出会って 時間を潰し合う
近づけば近づくほど 遠くなっていくのは何故だろう
月や星空はあんなに美しかったのに 見えなくなった
自分は生まれてこのかた なにも手に入れてないよう

塗りたてのペンキで着飾ってみても 本質はそのまま
もはや折れそうなくらい大事に抱えて そっと逃げた
隠れるようにして体裁を取り繕っても やはり虚しい
そうしてまた時間を潰し合っては これでいいと笑う

無邪気にさかあがりしてみたが 失敗ばかりして泣く
最初から転ばない方法なんてないことに 気づけない
ひとりになりたがったり強がってみたり やるせない
いつだってこじらせて癇癪を起こしては 不甲斐ない

ぐちゃぐちゃの脳に 戒律でも刻み込めれば楽なのに
こんな混沌はくれてやるから まともな秩序をおくれ
なにも知らないことも知らず ここまで生きてこれた
名前も忘れた童歌を口実にして 涙も枯らしてしまえ

なにも色を写さない水晶体 思慕で焦がし切れた網膜
動かないブランコ 誰も滑らない滑り台に座っていて
人の流れから隔絶された 無色の世界に酔いしれたい
そうして人はひとりになって 重力と色彩に歩み寄る

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お詫び ※以下はポエムではございません

 普段、私のポエムを見て、スタンプを押してくださったりレスを書いてくださったりしている方々、本当にありがとうございます。
 しかしながら、私から皆さんにひとつお詫びがございます。
 私が過去に投稿した、『無重力のプリズム』『揺り籠』『ゴーストタウン』『アイデンティティ』はポエムが本当は綺麗に中央に揃っているのですが、スマホでご覧の方にはそれが全くわからず、改行がおかしなことになっている、ということです。
 というのも、私はPCで作品を作っていて、PCでしかこの掲示板を見ないので、スマホとPC(もしくはタブレット)とでは、横幅が違うということを指摘されるまで気づかなかったのです。私自身はスマホを持っていないので、このことを全く理解していなかったわけなのです。ご迷惑をおかけして本当に申し訳ないです。
 PCかタブレットでご覧いただくと、改行がおかしくなることもなく、ポエムがきちんと中央揃えになります。
 なお、スマホでご覧の方でも見やすいように、上記の4作品を投稿し直します。
 この度はご不便をおかけして大変申し訳ございませんでした。
 引き続き私の書く作品をご愛玩いただけると幸いです。

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             アイデンティティ

       果てるのか? 止まるのか? 夢と現実の狭間で
       朽ちるのか? 終わるのか? まだいい所なのに

       心臓を揺らしながら 情景をなぞって恋焦がれる
       電車に揺られながら 変わりゆく景色を眺めてる
       懐かしいあれもこれも 全部持っていけるのかな
       がらんどうの深層心理は 誰かが推し量れるのか

       このラストラウンドで 赫い華が咲き乱れて散る
       今宵誰も彼もが 永遠に諸行無常を疎みつづける
       切っても切れない関係性に 嫌気が差してきても
       恨み続けるしか為す術がないなら 用は無いんだ

       明けても暮れても 同じ日を繰り返すプログラム
       嗚呼 昨日今日と変わり映えのない日々に花束を
       甘いも酸いも味わってみないと わからないのに
       俗世の人間は何処か知ったふりして 曖昧を享受

       繰り返す波に揺られるプリズム 重力に翻弄され
       なにも色を写さないわりには 色彩を吐きたがる
       複雑にハーモニーをなして 不安げに転がってる
       単純な真理も忘れ去られ 不満げに撒き散らした

       その貧相な心情は 誰にも救えるものではないが
       その心意気次第では 存外にどうにでもなるかも

       果てるのか? 止まるのか? 正夢と悪夢の間で
       朽ちるのか? 終わるのか? 死に花が咲く前に
       堕ちるのか? 拒むのか? 赫く濡れた手のまま
       果てるのか? 止まるのか? 罪と義の境界線で    

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             ゴースト・タウン

     全てを見てるようで 実は限られたものしか見えていない
     僕らはいつもそう 見えているつもりのものまでもそうだ
     この世界は狭くて でも本当は広くて地獄のようで天国だ
     誰もが気づけるわけではないだろうけど 僕は繋がりたい

     四六時中貴方の清い血を分けておくれ 二度と離れないで
     この恵みを今も捨てられず ずっと持っていて手放せない
     ならここで賛美と祈りの言葉を この世界に広まるように
     いつでもいつまでも唱え続けよう 虚無感が無くなるまで

     四六時中貴方の救いの言葉を聴かせておくれ 天国の音楽
     愛は際限もなく降り注がれるものであって探し物ではない
     数々のねじ曲げられた愛は踏みつけながら 声を聴くんだ
     どこまでもいくらでも愛し合いたい 会えない時間が辛い

     もう待ち切れないよ 
     だから夜が明けたら
     また祈らせて欲しい
     話がしたいよ
     愛し合いたい
     そのために今は
     眠ろうか
     おやすみなさい
     良い夜を
     
     

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               揺り籠

          何処にも逃げられず 独りになった          
          何日も何年も 同じことの繰り返し
          揺れる前髪 戸惑う心 空中遊泳中
          全てがスローに 不安定なこの世界

          遠くのものは近く近くのものは遠い
          はっきり見えていた筈のものがない
          どうしても理解できないまま苦しみ
          どうしても捨てられないまま抱えた

          ふわふわと 何処にも着地できない
          どうしてもこうしても 同じことで
          揺れる心臓 割り切れないで悩んで
          なにも知らないくせに 知ったふり
 
          ふらふらと 行き先が決められない
          なにしても上手くいかないのはなぜ
          観覧車の中で 景色も見ないで眠り
          せっかくの宝物を喪った ほらまた

          上手くいかない 上手く息できない
          なにも歌えない なにも作れないで
          情けないな そこにあったものすら
          最も簡単に壊してしまった あの日

          鳥籠の中で 呼吸も止められない鳥
          僕らの縮図 誰も死に切れないのさ
          ブランコに乗って 揺れ続けた心臓
          祈ることも忘れて ずっと泣いてる

          また煌めいて揺らめいた雫 溢れた
          宝石のよう でも一瞬で枯れ落ちた
          これで今日は眠れるかい 震える手
          言葉の一つ紡ぎ出せず やるせない

          それでも僕らは 生きるしかなくて
          風に揺られながら 流れ着く先には
          きっとなにも転がっては ない筈さ
          そう信じても まだ揺れ続けるんだ

0

無重力のプリズム                     

      ボロボロのベンチに座り 疲れを吐き出した午後4時
      はしゃぎ転げる犬 ボールに振り回される子どもたち
      無色の吐息で空気を汚す なにも知らないおとなたち
      知性とは程遠い 中身のない知育とがらんどうの公園

      積もる話も積もらないまま つまらない時間を潰した
      いつかのマザーグースの 実にも種にもならない情報
      静かなような騒がしいような 砂利だけが残った広場
      懐かしいような鬱陶しいような ガタガタのブランコ

      そこで出会って別れてまた出会って 時間を潰し合う
      近づけば近づくほど 遠くなっていくのは何故だろう
      月や星空はあんなに美しかったのに 見えなくなった
      自分は生まれてこのかた なにも手に入れてないよう

      塗り立てのペンキで着飾ってみても 本質はそのまま
      もはや折れそうなくらい大事に抱えて そっと逃げた
      隠れるようにして体裁を取り繕っても やはり虚しい
      そうしてまた時間を潰しあっては これでいいと笑う

      無邪気にさかあがりしてみたが 失敗ばかりして泣く
      最初から転ばない方法なんてないことに 気づけない
      ひとりになりたがったり強がってみたり やるせない
      いつだってこじらせて癇癪を起こしては 不甲斐ない

      ぐちゃぐちゃの脳に 戒律でも刻み込めれば楽なのに
      こんな混沌はくれてやるから まともな秩序をおくれ
      なにも知らないことも知らず ここまで生きてこれた
      名前も忘れた童歌を口実にして 涙も枯らしてしまえ

      なにも色を写さない水晶体 思慕で焦がし切れた網膜
      動かないブランコ 誰も滑らない滑り台に座っていて
      人の流れから隔絶された 無色の世界に酔いしれたい
      そうして人はひとりになって 重力と色彩に歩み寄る


            

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要注意人物

惰性で買った100円コーヒー 値段相応の粗雑な味
理性の欠片も売り飛ばしたのか 訊いてくるのも粋
疲れ果てたその心で スラムめいた世相を眺めてる
草臥れたワイシャツ ささくれこそ正義の象徴かも

宿題は出すが 勉強もするが 好き勝手やっていた
あの日の私はダウナーめいた態度で 煙に巻かれて
巻き返して 生きるも死ぬも勝手だとまた息巻いた
着崩れたブレザー そのズレこそ認めてほしかった

いつからかは思い出せない こじれていく自問自答
癇癪持ちのスノードーム あらお庭がグチャグチャ
玩具は片付けないとね その囁きだって毒なんだよ
くたばった腕時計は 時間を忘れムダに時間を潰す

掻き乱された思考回路 拗ねたフリをする愚かな女
無意味なカウントダウン 跳ね飛ばした上履きの音
知性の片鱗も見せつけない だって見せるのは無粋
正気の沙汰ではないことは わかりきっているのさ

学校は脱走するわ 喧嘩は売るわ 野放図もいい所
あのね 私が愛するのはニヒルなその心だけなのさ
言論弾圧するのは 私が居たら都合が悪いからだろ
くだらないね 100人の愚者が賢者1人に勝てない

その言葉を理解できないのは 難しいからではなく
あなたの頭が悪いからだ 難しい話じゃないでしょ
黒板にはまだ洗脳の跡 フラついてグラついた椅子
ヨロめいて耐え切れない机 もう一度出直してこい

怒り狂ってみても 泣き喚いてみても 野暮なこと
個性の開花は 知性と理性の昇華 なかなか上出来
惰性で買った200円コーヒー 値段相応の粗末な味
虚勢で着飾った路地裏の犬 見た目相応の大層な心

狂気の沙汰でしかないけれど きょう日これが限界
もたげる頭は大概にして ひと暴れしたら万事解決
そううまく行くわけはないが ひとまず結論はつく
絡まろうが埋もれようが 私にはなんら関係がない

要注意人物認定もこの辺で 最初から興味はないが
夜の風に安心して一眠りする猫 正しい朝の待ち方
誰の思惑も厭わず ひょうひょうと私は歩いてきた
スラムめく世相と情はよそに 私は今日も歩いてる


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処方箋

とっておきのおまじない 私だけのお守り
あの世に全部持っていけるなら 持って逝きたい 切符もお忘れなく
死に花を踏み潰されても これがあればきっと大丈夫
生きるのも死ぬのも同じこと

病室から病気のまま飛び出して 直す気もない睡眠障害も連れて
ようやく眠れるようになっても 大人しく眠る気は毛頭ないのよ

嗚呼 誰かこの私にお似合いな処方箋を!
甲乙丙丁並べるだけならば 誰でもできるでしょう?

用意しておいたこの呪文 俺だけの鎮魂歌
この世に何も置いて逝きたくない パスポートなら 何処でも置いてる
死に花は咲かないだろう 花はいらないから金をくれよ
起きるのも眠るのも同じこと

病床から病みが零れ落ちてきて 泣く気もない血も通わない夜で
やっと苦し紛れに言い訳できた だが実を言うなら信じたくない

嗚呼 誰かこの俺にぴったりな処方箋をくれ
くだらない御託はいらないさ いっそ毒でも盛ってくれ

喜びも怒りも哀しみも楽しみも さんざん喰べ尽くしたんだ
ただひとつある特定の種類の悦びをのぞいて お腹いっぱい

あらあなたも同じ駅へ? なら地獄の果てまでご一緒します
それとも新天地を探しにいきましょうか? それも悪くない

書きかけた処方箋 誰のものでも無くなった処方箋 ただの紙切れ
大層なことは書かれてないことはわかっているから はやく燃やせ

おかしいな 飲み込めない薬の名前ばかり なんの役にも立たない
悪魔に揺さぶられながら 堕ちていこうか どうせ何にもならない

手のひらから 処方箋が堕ちて行く 奈落の先の そのさらに奥で
同じように生きていこう 処方箋を持ってても捨てても同じことさ

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病床

昼間はなんの変哲もなかった
寝室は今や 突発性痛覚中毒症患者の病室
どうやらその異常は 彼らにとっては正常そのもの
締め付けられる胸の痛みだって もはや快感そのもの

太陽が昇る間は まともなフリ
でも 腕にある奇妙な痣は誤魔化せない
赤ボールペンも輪ゴムも 代わりにはならないようで
さあどうしましょうねなんて 彼には他人事

月が出始めれば 高揚感もひとしおだそうで
病室は今や 慢性的感覚異常症候群患者の住処
なにやらこの病気は 彼女らにとっては個性そのもの
異常というレッテルだって もはや勲章そのもの

太陽が沈むまでは 普通を装う
でも どうしても歪な痣は隠しきれない
カウンセリングは絆創膏にもなりやしない
ICUすらお手上げで 為す術もなく
さあどうしましょうねなんて 彼女には他人事

もう ほっといてくれねぇかな
俺はこれで幸せなんだ これが俺の幸せなんだ
もう 余計な世話はいらねぇんだ
アンタらの言う幸せにはうんざりさ

嗚呼 このささくれた心にも 優しく包帯を巻いてくれれば
あとはなんでもいいの
嗚呼 そんなことは覚えてないの
このごろのあたしは忘れっぽいのだから

今日もまた夜が寄り添ってきて 灯りを消して 目は閉じないで 
病みと戯れたいのに  邪魔をするな  馬鹿にしないでよ

生きている悦びに浸りたいだけだ
これをしないでどうやって生きていることを証明すればいいんだ
虚しく淋しい心を満たしたいだけなの
だったらほかにどうやって心を満たすの? あなたが満たしてくれるの?
どうしてわからないのだろう? どうしてわかり合えないのだろう?

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告白

せんせい とかいうおおきなひとが
にこやかなかめんをはりつけて なまえをよんだ
べつのひには おともだちをどなりつけていた
おこったかおで なまえをよんだ

おかあさん とかいうおにみたいなひとに
まいにちどなられていた
おうちがこわかった
おとうさん とかいうしゃべらないひとは
さいごまでなにもいわなかった
どこにいったのかな

またべつの先生 は やはりニコニコしているだけで
なかまはずれもいじめもわるぐちも 見えてないフリ
クラスメイト は誰も信じることができなくて
教室の中ではいつもひとり

上級生 とかいう年上のお兄さん・お姉さんたちは
背が私より高くてかっこよかった
私もああなりたい なれるのかな

テレビに出てくるよくわからないことを喋るおじさん は
死んだ魚の目をしていた
いくつになっても言ってる意味が全くわからないや
母親がまた毒づいている

誰かに物を隠されたので 先生に言ったけど
やはりなにもしてくれなかった いじめに対しても何もしなかった

あの先生はいい先生だとみんなは言います
でも私にはどこがいいのかわかりません
みんなはその先生のことをよく知らないみたいです
親を大事にしろとおとなたちは言います
でも私は大事にできません 大事にしてもらえなかったから

笑った顔のままの友達は 中身が何も無かったし
笑った顔のままの先生は 操り人形みたいでした

音楽は好きでした でも音楽の時間は嫌いでした
みんなと一緒に何かをやるのが嫌だったのです
行事とかもどうでもいいです
クラス写真にも 記念写真にも 一緒に写りませんでした

あのステージに立っている楽器の上手い人たち は
先生なんかより 友達なんかより 母親や父親なんかより
死んだ目をしてテレビに出ているおじさんなんかよりも
まともなことを歌っていました
でも裏では何を拝んでいるのでしょう

世の中の大人たち は 憂鬱を背負って生きています
そして時には憂さ晴らしに 自分より下の人たちに八つ当たりをします
味方だと名乗っておきながら 何かあった時は他人事
自分に都合の悪いことは 知らんぷり

私はああなりたくない
ああなるのが怖い
大人になるのが怖い
ああなるしかないのかな

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救えない話

廃れた幻想の中で ただ日々を消化していく
知りたくもないことを押し付けられ 腐っていく 救えない話

それは本当で それは嘘で
自分が何者かわからない
右に行けと言われたら 左に行きたくなり
左に行けと言われたら 右に行きたくなる
救えない少女

寂れた教室の中で 時計仕掛けで踊り狂う
やりたくもないことをやらされて すり減らす 救えない話

それは嘘で それは本当で
君が何者かわからない
わたしは君じゃない
お前こそ 干涸びればいい

気に入られるよう己を偽り あいも変わらず誰かを騙す
本当じゃない 嘘じゃない
偽り過ぎて 諂い過ぎて
いよいよ 自分が誰だかわからない
己も欺いた 救えない詐欺師 

凍てついた空気の中で ただ笑顔を貼り付けて
知って欲しいよ 
これは偽りなんだ 信じないでほしい

それは本当で それは嘘で
自分が本当かわからない
爛れた心の中
歪なまま生きている

おぞましいほど 嘘の本当のわたし
お前は誰だ? お前は何者なんだ?

お互いこんな偽りの姿だけど 一緒に踊りましょうよ歌いましょうよ
一切その気はないのに 悪魔が作ったカンペ

知りたくもないことを押し付けられ
やりたくもないことをやらされて
腐って干涸びていく 救えない話