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ユーラシア大陸縦横断旅58

ロンドン・ユーストン行き最終の特急はイングランド西海岸の田園地帯を南下する
この地方有数の都市、ランカスターを過ぎると車内が騒がしくなる
何事かと思い、幼馴染に見て来て貰ったが、「馴染みのない言語が飛び交っていてよく分からないけど、アジア系の人達が騒いでるというのは分かったよ。」と返ってきた
厭な予感がしたので「ペンと紙、貸してくれないか?最悪の事態になるかもしれないと言う不安があるんだ。それを確かめて来る」と言うと彼は何かを察した様で「可能性は否定できないってことか。行って来な。」と言って筆記用具だけでなく、モバイルバッテリーと充電コードもくれた
「ありがとう。俺、やって来るよ。必ず戻るけん、ちょいと待ってな」そう言って騒ぎになっている場所へ行った
すると、予想通り広東語が飛び交っている
そして、中の人達に割って入る形で漢字を使い、筆談を始める
要約すると、「政治上の問題があり、香港空港に飛行機が入れない。いつまでこの状況が続くか分からない」とのことだ
そして、幼馴染が声をかける
「最悪だ」と言うと「ニュースで知ったよ。でも、大丈夫。全額払い戻しが効くってさ」と言ってくれた
「何のマイレージ持ってるの?」と訊く
「キャセイとスタアラなら持って来てる」と返す
「ブリティッシュ直行で帰れるよ。」と言ってくれたが、当初の予定は変えられずミュンヘン乗り継ぎにして帰る決断をする
幼馴染は頷くが、彼女は不思議そうだ
「確かに、ドイツ経由だと料金は高くなるし、遠回りさ。でも、俺は福岡へ行きたいんだ。帰国したら、俺は大好きな君とはまた会えなくなる。それだったら、また会えなくなる前に君の故郷を見ておきたいんだ」と切り出す
「今まで言えなかったんだけど、私は羽田経由で帰ることになってるんよ。私も貴方と気持ちは同じ。だけど、私は九州だから気軽に東京に行けない。それなら、次はいつ行けるか分からない東京で思い出を作ってから帰りたいの」と返ってくる
「分かった。俺も羽田直行で帰るよ。東京を発つ時間教えてくれたらそれに合わせて周れる場所探すよ」と言うと彼女は笑顔になり、幼馴染も安心した様な表情で「これで仲良く帰れるね」と言っている
列車はゴルフの町、ワトフォードを過ぎたので間も無く思い出の街、愛しの都、ビッグベンのお膝元人によって呼び方が様々あるロンドンに着く

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ユーラシア大陸縦横断旅57

定刻通り、バロー・イン・ファーネスに着く
「想像以上の長旅だったね。まぁこれまでの寝台列車の旅ほどじゃないけど」そう彼女が言うと、「俺の地元から君の地元行くならこれと同じくらいの時間がかかるんだ。これくらいの時間で音を上げてたら君と一緒にはなれないよ」そう言って笑う
そして、俺は彼女と町を一望できる場所に向かう
「懐かしさを感じるな」そう呟くと「えっ?この街、初めてなんだよね?」「ここ自体は初めてさ。でも、陸地のすぐそばまで深い海が来ている港町は行ったことがあるんだ。まさに横浜さ。って、関東の話なんかしても分からないよね」そう言って笑うと、「横浜って行ったことないんだ。教えてくれる?」と言って上目遣いをしてくる
「まさかイギリスまで来て横浜の話するとは思ってなかった」と言って苦笑いを浮かべながら頭を掻くと「お二人さん、邪魔しちゃったかな?」と幼馴染達が声をかける
「「そんなことないさ(よ)。やっぱり、2人ともお似合いだな(ね)」」そう返すと「君達もね。そうだ!そろそろ市街地に戻らないとマンチェスター行きの列車に乗るハメになるよ」と返ってくる
彼女が「グラスゴーから飛行機はどう?」と訊くので「財布が京急だから無理」と言って笑顔で返す「「関東の鉄道ファンにしか通じない言い回ししてどうすんだ(の)よ。まあ、君らしいけどね」」と幼馴染達が呆れた様に笑う
「俺らしい、か…確か、君にアプローチした時管制用語ゴリゴリに使ったことあったよね」「ダイバートは許可しないけどね」と思い出した様に笑い出す
水平線の向こうに金色の太陽が沈み、それを見届けてすぐに中心街へ戻る

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ユーラシア大陸縦横断旅56

列車はランカスター駅3番線を出る
「そう言えば、2人とも例のマラソン大会のボランティアやったんだっけ?」そんな幼馴染の質問にまず、俺が答える
「やったよ。ゴール地点でね。俺、入る所間違えたせいで待ち合わせ時間に間に合わなくなってめちゃくちゃ恥ずかしかったなぁ」「確かに、30分も遅刻して来てたね。もしかして、交通整理かかって近道使えなかったの?」「地元なのに間違えることあるの?」そんな女性陣の質問連発にタジタジになっていると、幼馴染が間に入り、話題を変える
「もう過去のことなんだし、そんなに質問責めにしなくてもいいんじゃない?とりあえず、この先の予定確認しようか」「そうだな。帰りの関係上滞在時間が3時間になるんだが、予定としては港の向こう岸に向かうことになってる」そう言うと「ただ、問題は帰りだね。」と幼馴染が言う
「「「どういうこと(だ)?」」」俺達の質問に対して幼馴染はスマホの画面を見せて「君はリバプールのホテルに泊まってるんだろ?でも、僕達3人はロンドンの宿に泊ってるんだ」と言う
即座に俺が「そういうことか!」と反応する
「流石は鉄道ファンだ。そう、僕らが帰りに乗るロンドン行きの列車はリバプールを迂回するように走るんだよ」「じゃあ、どうするの?」今度は俺の彼女が質問する「選択肢は2通りさ。一つは、ウォリントンで乗り換えて1本。あるいは、俺達が乗るロンドン行きの次の便がマンチェスター行きで、それに終点まで乗ればウォリントンで乗り換えるのと同じ列車に乗り換えができるんだ」と俺が答える
「よく言ってくれた。それが言いたかったことなんだ」と幼馴染が感心したように言う
「感心してる場合か?ポイント渡ったってことはもう到着じゃないか?」と訊くと「あっ時間的にそうだね」と言って慌て出す
「「「しっかりして(くれ)よ!」」」と言いながら荷物を纏めて降りる
バスを乗り継いでいると、途中で青森の深浦を彷彿とさせる海岸線に出る
予報では雨のはずが、アイリッシュ海上空をダブリンに向けて虹が対岸を繋ごうとしている

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ユーラシア大陸縦横断旅55

8時30分、ロンドン・ユーストン駅13番線からAvanti-West Coast線グラスゴー中央駅行きの特急が定刻通り発車する
「これからどのくらいかかるんだ?」「5時間。博多行くもんだと思えば良いさ」「本当に感覚で言えば福岡行くのと同じだな」そんな風に談笑していると、俺ではなく幼馴染に向かって「久しぶりだね」と日本語が飛んできた
話を聞いていると、幼馴染と仲良さそうに話す若い女性は中学時代の同級生、そして周りの男衆はその知り合いのようだ
「お前、もしやストライクか?」「中学の英語キャンプ以来じゃん!皆久しぶりだな」「それだけじゃないだろ。ほら、中3夏のコンテスト」「あっ!確かにあの時各校の名前背負ってたけど皆いたな」「やっと思い出したか」「忘れててごめん」
幼馴染は同級生と、俺は2泊3日苦楽を共にした4人の友と話していると、膝枕で寝ていた彼女が起きて「騒がしいけど何かあったの?」と訊いてくる
「起こしちゃったよね。すまない。別に騒ぐほどのことじゃないさ」と返す
そして、俺の彼女も交えて談笑して30分が経つ
「そろそろウォリントンだな。俺達4人はここで降りるんだ。またあの時の皆で集まろうぜ。グループ入れてやるよ。」そう言って西中のリーダーが画面を差し出す
「ありがとう。また地元で会おう」
そう言って4人とは別れる
「これで俺達3人の旅は再開だな」「いや、4人だよ。紹介が遅れたね。こちら、僕の彼女さ。というか、中1の時のキャンプで同じグループだったそうだから君は知ってるよね」「当時はネイティブ講師と意気投合してたんだよなぁ」「レクでイギリスからアメリカのブースに行った時『Are we immigrants?』って質問したよね。中1で歴史を絡めたあの台詞言ったのは凄いと今になれば思うよ。あと、書き取りゲームでネイティブ受けが良い単語だけ選んでたよね」「オージー相手の時はそうだったね。俺、母さんの母国以外で初めて訪れたのがシドニーだったんだ。シドニー行った当時は動物が好きで、タロンガ動物園で見た動物を片っ端から書き出してただけさ。スポーツだって、俺はサッカーのつもりでFootballって書いたらオージーに誤解されそうになってBritish-Footballって言ったのさ」
思い出話をする2人とそれを聞いて驚く2人を乗せ列車は北上を続ける

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ユーラシア大陸縦横断旅54

朝霧に包まれたロンドン、ウェストミンスターから朝6時を告げる鐘が鳴り響く
各自着替えを事前に済ませ、手荷物を持ったまま一階に降りて朝食を取る
「イギリスの朝と言えばBangers&mash だと思ったんだけど、流石に重かったかなぁ」
「Bangers&cheeseが朝のメインかなぁ…Mash は昼とか夕方のイメージだね」「それ、先に言ってよ」「やっぱり2人とも訳わかんないこと言ってる」そんなやり取りをしていると、待っていたダブルデッカーバスが来た
「方角的に左がウェストミンスターだね」「あと、トラファルガー広場もな」「トラファルガーって、ナポレオン戦争でフランスを破った海戦の勝利記念広場?」「そうだよ。懐かしいなぁ…初めてその広場行った時、俺は前日の香港からの乗り継ぎ便の座席ポケットに帽子しまって置き忘れたから母さんの帽子借りて写真撮ったんだ。」「なるほどね。だから、あの時帽子好きの君が帽子被ってなかったんだね」「実はそうなんだよ」俺達は思い出に浸る
「忘れっぽい所があるのは意外ね。まぁ完璧志向なのにそう言う抜けてる所があるのも人間味があって好きなんだけどね」そう言って彼女が笑ってる
「あっ…もうそろそろだね」「そうだな。右にキングスクロスってある看板見えたから」
「駅名言われても私にはさっぱり分かんないや」
「俺の脳内地図がダメになった時に備えて頭の中に地図くらい入れといてくれよ。まあ、そうやって抜けてる所があるから俺の彼女は可愛いんだよなぁ」「「あなた(君)が完璧を求め過ぎるだけや(だ)ろ」」「マンナル湾は必要ないっての」「「正論とセイロン島を掛けるんじゃない!」」
辛辣なツッコミが入ると同時にチューブの駅が見えた「Euston…ここなんでしょ?」「そうさ。僕が発券するから、荷物持っといて」「任せとけ」
三者三様の台詞を放ち、新宿の南口やソウルの龍山を彷彿とさせる見た目の駅舎に入る
そして、ウェストミンスターから7時の鐘が鳴る

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ユーラシア大陸縦横断旅53

宴の後片付けも済んだ午後11時、幼馴染に質問を飛ばす
「明日はどこ行く?」「そっちは行きたい所ないの?」「バローなんだけど」「北イングランドにある造船の町かい?」「そうそう。あの町は日本を守った軍艦の故郷なんだ」「その軍艦に乗っていた司令官の孫弟子を自称する君なら行きたいと言うだろうね。」「孫弟子?確かに言われてみればそうだ」
そうやって男2人、談笑していると彼女が口を挟む
「私、行き方分からないんだけど」「EustonからLancaster経由だろ?」
そう言って確認を取る「そうそう。ただ、往復に時間かかるよ」「まぁ仕方ないさ。マージー川越えて北上しなきゃいけないし、それでいてあの町空港無いし」「ロンドン行きの国内線が飛んでる最寄りの空港、マンチェスターなんだよね…」「そうそう。ランカスターには空港無いし、マン島やベルファストまで行けば確実なんだろうけど、生憎そのどちらにも船出てないしな」そこまで男2人が話の主導権握っていると彼女は「地図が頭ん中ないからさっぱり分からん」と言って頭を抱える
それを見て「嘘だろ…」と言って俺も頭を抱える
「確かに、君は地図と国旗が昔から好きで何度も見ちゃう何となく頭の中入っちゃってるからなぁ」と言って幼馴染が笑う
「昔は鉄道が好きで、そこから派生して地図と歴史が好きになったんだ。昼は一緒に地図を見ながら、あるいは実際に街歩きをてそこに載ってる土地の歴史の話を楽しみ、夕焼けを2人で眺めて夜は2人で夜景を堪能する。それが俺の理想のデートなんだよなぁ」昔を懐かしむように言うと、「それ、付いていける人少ないよ」と幼馴染が苦笑いを浮かべ、「レベルはかなり高いけど、上手くやっていけるの私しかいないね」と言って彼女も苦笑いだ
「そうそう。君しかいないんだよ。」と言って頷く
「そう言えば明日は早いし、そろそろ寝た方が良いんじゃない?明日の列車8時半だからね。先に寝るよ。おやすみ」そう言って幼馴染は自室へ戻る
「窓開けて換気したら寝ようか」そう言って窓を開けると窓の外に霧の向こうに満月が浮かぶ。感慨深くなっていると、思い出と今を繋ぐ鐘が日付が変わったことを告げる

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ユーラシア大陸縦横断旅52

「えっ…嘘だろ…」「どうしたの?」「俺んとこの部屋,番号見たらあの時と同じだ。」「「そんなことってある(の)?」」チェックインを終えて部屋に向かうLiftでそんな話をする
「僕は隣なんで。お二人さん、楽しんでね。」「言い忘れてたけど、夕飯のアレにはビネガー付けるのがイギリス流だけど、あの店でTakeawayするとビネガー付いてこねえよ」「I know that ,mate !」
そう言って幼馴染が早速買い出しに向かう
「アレって何なの?」「それは後でのお楽しみな。俺の大好物でもあるんだけどね。小2の夏休みに韓国以外の国に初めて行った時に食べたんだ。忘れやしない,7月26日の現地の波止場で、サーキューラーキーの屋台で買って、そのまま波止場の対岸にかかる橋を見ながら潮風を浴びながら食べて虜になったんだ。」「もしかして、韓国以外の初海外ってオーストラリア?」「そうさ。NSW」「そのイニシャルで東京から行けるのはシドニー、となると答えはFish & chips しかないやん」「バレたか」「というか、イギリスじゃお酢かけるの?」「ビネガーガツンとかけると、さっぱりして美味しいんだよ?」「自称紳士球団が好きな自称紳士による自称紳士本家の食文化講座w」「分かりづれえ!って言うか自称紳士は独り身で変な方言使って威張ってる。それでいて女性の扱いが雑。じゃあ、俺は?」「ごめんなさい。前言撤回します」「それでよろしい」そんなやり取りをしていると、もう一度ビッグベンの鐘が聞こえる「昔は下の道路を車の音で聞こえなかったのに、今は聞こえるのか…変わったなぁ」「私への思いは?」「永久不滅で一筋貫く」そう談笑していると、呼び鈴が鳴る「来たな。紅茶も淹れるか」「本当のティーパーティ」「待たせたね。サイダーもあるよ」「待っちゃいないさ。って言うかこのサイダーって酒じゃん!俺酒飲んだことないけど…さあ、始めるか!」「黒田節にあるけん、飲んじゃえ!」「「黒田節?何だそれ?」」「代わりに東京音頭で!ハァ〜踊り踊るな〜ら、チョイと東京音頭〜♪ヨイヨイ!」」「東京音頭やめてw」「「素面で始められるの凄い」」
どんちゃん騒ぎから始まったロンドンの夜の宴はまだまだ一回表、始まったばかりだ

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ユーラシア大陸縦横断旅51

荷物を持ってホテルまでテムズ川沿いを歩く
(良い子は真似しないでね。肩とか腕が痺れるよ)
「Southwarkって、実はこの辺まで広がってるんだよ。」「Waterloo-Roadから右側一帯だろ?広いな」「Waterlooってベルギーに有るよね?」「一時期国際問題になったからその話はNG」「「国際問題って?」」「ナポレオンとユーロスター…」「そっか!ユーロスターはSPの前はウォータールー始発だったね。確かに、『我が国の英雄、ナポレオンが負けた所の地名が付いた駅から我が国へ向かう列車を出すなんて我々フランス国民に対する侮辱だ』と言ってフランスで問題になってたな。」「そんなことあったの?私、聞いたことないよ」「「僕(俺)が3歳になる頃までの話だったからね(な)」」
歩きながらそんな会話をしていると、目の前に思い出のアレが見えた
「ロンドンアイが見えたということはもう近いね」
「I’m back,Waterloo!!Thanks for waiting for me! 」
「そうだったね。君が初めてこの街に来た時に滞在したエリアはここだったね。」「そうなんだよ!全く、太平洋戦争でルソンから追い出されてレイテ島に上陸したマッカーサーの気分だぜ」「どうせ言うんでしょ?『I shall return 』ってね」「お前にはお見通しだな」「そりゃそうでしょ。3歳の頃からの付き合いなんだし。ガキの頃には迷惑かけちゃったけど、まぁロンドンへ会いに行って高校で再会した時のアレでチャラかな?」「君がいうセリフではないさ」「まぁ俺ら,弟よりも付き合い長いし兄弟みたいなものだな」そう言って男2人語り合う
彼女は「男同士で仲良いなぁ」と呟く
「まぁ俺達だって会えない時はあった。それを経てより一層仲良くなれてんだ。そう言う意味では、俺も君ともっと仲良くなれるさ。そうでもなきゃ生涯バッテリーなんて組もうと思わんよ」「お二人さん、そろそろ着くよ。夕飯は僕の奢りね」「じゃあ、久しぶりにアレ食おうや」「君が虜になったアレね。Take awayで良いよね?」「勿論。俺達の部屋で3人で食おうか」「賛成」
話し合った後でチェックインを済ませる
「懐かしいな。内装も当時のままだ」「弟妹達もまだ幼くてここまで会いに行けなかったんだよなぁ」最後まで幼馴染コンビの思い出話は続く

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ユーラシア大陸縦横断旅50

彼女は移動続きで疲れたのか俺の膝を枕に寝息を立てている
「この列車はビクトリア行きだけど、London-Bridge停まるよ」「マジかよ…そこ通過すると思ったのになぁ。予定変更だな」
そんなやり取りをしてからおよそ30分、「予定変更だよ。次で降りるから起きな」と言って彼女を起こす
彼女は「もう終点なの?まだ寝たいよ〜」と眼を擦りながら甘えてくる
「さあ、着いたよ。London Bridgeさ」そう幼馴染が言うと「え?終点じゃないやん。なんでこんなとこで降りるの?」と彼女が噛み付く
「それについては、君が好きで止まない大切な彼氏君から説明があるよ。」と言って押し付ける
「まあ良いや。ここは川南岸、つまりロンドンの街で言うと今回泊まる宿があるサイドでここから地下鉄に乗れば乗り換えなしだけど、列車の終点は川の対岸にあって、そこから宿の最寄りまで行くと地下鉄は乗り換えが必要になって時間の無駄。それに、終点のビクトリアはかなり大きくて構造が複雑で久しぶりに訪れる俺が正確に進める自信がない。だから、ここで降りたのさ。」と言って答える
「どうやってその答えに行き着いたの?」と訊いてくる
まだ彼女は俺の思考回路が分かっていないようだ
「普通に地下鉄の路線図見ただけだよ?大抵の街は地下鉄の路線図を見て、ある駅に乗り入れる路線数とターミナル駅の位置が分かれば街の位置関係や規模は分かりやすいよ。あっ今回はロンドンという、一度訪れた街で当時と路線が変わっていないということも関係してるかなぁ…今度初めて行く福岡はまだよく分からないけど」と答えると「首都圏でも行き方が分からない場所があれば最寄駅の名前さえ言えば彼が脳内の路線図で行き方を探してくれるんだよ。彼、東京近辺の鉄道は全て路線図が頭の中入ってるんだ」と言って幼馴染が頼もしそうに話す
「房総や北関東のローカル線は知らないけどな。まあでも、地下鉄の路線図なら東京、横浜以外にも台北と高雄くらいなら分かるよ」と言うと彼女が「凄い!惚れ直しちゃうよ」と言ってはしゃいでいる
「惚れ直してくれるのは彼氏として嬉しいんだけど…」「もしかして、僕と考えてること,同じかな?」「そうかもな。海外行くなら旅先のこともう少し知っておいた方が良い」「僕もそう思う」
男2人でそんなやり取りをしていると,川向こうのビッグベンから鐘が鳴り響く

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ユーラシア大陸縦横断旅49

ドーバー港で入国審査を終え、幼馴染と合流し、駅まで行くバスに乗り込む
彼女が「エスコート、ちゃんとしてや〜」と上目遣いで言ってくる
「任しとけ。と言いたいんだけど、生憎頭の中のロンドンの地図は小6の時のヤツだからアップデートしないとな」と言って笑うと、「記憶力が良い君のことだから、流石にチューブの乗り方は覚えてるんでしょ?こいつは僕の奢りさ」と言って幼馴染が2枚のオイスターカードを手渡す「わざわざありがとう。乗り方は覚えてるよ。でも、路線図は確認のためにもう一度見ないといけないけどな。まぁでも、列車の終点がビクトリアだから乗り換えはEmbankmentかな」と返す
「チューブって?」と彼女が訊く
幼馴染は絶句していたが、俺は苦笑いを浮かべて「ロンドンの地下鉄のことさ。車体を前から見るとかまぼこ型で、イギリスの人はチューブに見えると言ってそう名付けたんだよ」と返す
「Dover Priory Stationか…着いたぜ。I’m back, our mate, the UK. I shall return,London.Please wait for us for a few hours.」「お二人さん、あまり見せつけないでくれよ?」「憧れの街を好きな人と一緒に廻るの、楽しみだなぁ」とそれぞれ三者三様のセリフを残して目の前に入線してきた特急に乗り込み、ニューカッスル、ニューヘブンと並ぶ英国第三の海の玄関口を後にする