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マイペースなサンタクロース~2話目~

極めつけは今日だ。英語の時間、課題をやってきていないのがバレておこられ、部活では動きが悪い、集中しろと先輩に注意され、些細なことで帰り道、友人とケンカし、そのまま別れた。こんな気分で帰ってきて、親からかけられた言葉が、
「お帰りなさい、碧。サンタさんへのお願い事、決まった?」
だ。その言葉自体になんの悪意もない。しかし、碧は"サンタ"という単語が出る度に消したい、忘れたい記憶があった。碧は、そんなことも知らない、自分をちゃんと見てくれていない親が嫌いだった。

小学校二年生の時、調度今くらいの時期だ。碧は、サンタがいるということをずっと信じていた。同級生とそういった話をしているときに言われた。
「「え、お前まだサンタなんて信じてんの?馬鹿じゃん!幼稚園児かよ!」」
小学生の碧は、そう言われたことがショックで、以来、サンタなんていないと、非現実的な事は信じないと言い聞かせてきた。
しかし、母の言葉。あまりにも子供扱いをし過ぎている。小学校二年生以来、欲しいと書いていないのにも関わらず置かれ続けているプレゼント。それは、本当にその時に欲しいプレゼントで。
(……くそっ…。)
幼い時の自分を見ているようで、本当に嫌だった。

続く

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マイペースなサンタクロース~1話目~

「__サンタなんているわけがない。馬鹿にしやがって。」

苛々しながらこんなことを言っているのは、高校一年生の結城碧(ゆうきあおい)だ。十二月も下旬になり、世の中はクリスマス一色。お正月が廃れて見えてしまう程に。
この碧だが、様々なことが重なりに重なって苛々が募り、そのまま帰宅したのである。もちろん、原因はクリスマスに関係しているのだが、一概にそれだけとも言い切れなかった。

碧はこの春、いわゆる進学校に合格した。人並みか、それ以上の実力はあったし、自分でもそれに見合うだけの努力をしてきたという自負がある。部活動にも所属していて、彼は剣道部だ。小学生の頃から続けているそれは、全県でもトップクラスで、碧は大会の常連だった。高校でも、勉強と部活を両立し、充実した生活を送れるものだと思っていた。
しかし、冷静に考えれば、限りなく不可能であると分かった。
まず、通学時間が片道で一時間。しかも碧は電車で通っているため、時間の自由がきかない。そして、部活では朝練があり、帰りは夜10時を過ぎる。それから夜ご飯やお風呂だ。物理的に、勉強出来る時間も限られてくる。こんな生活を送っていたら、授業では寝てしまい、部活も真剣に取り組めず、家に帰ったら寝るだけとなり、いつの間にか、勉強も部活も上手くいかなくなっていた。

続く