表示件数
1

世にも不思議な人々㉗ 乙鳥の世界その①

ある日の朝目覚めると、時間が止まっていた。
こんにちは皆さん、伏見清次です。
何を言っているのか分からないと思う。僕もよく分かっていない。けど、外の様子を見たところ、どうやらマジに時間が止まっているようなのだ。空の鳥は空中に固定されているし、自動車も全て動いていない。歩行者(止まっている)に話しかけてみたけども、やはり反応無し。
では何故僕が動けているのかというと、昨夜懐中時計手に持ったまま寝落ちしたからだ。何故そうなったかは聞くな。『時間に縛られずに行動できる能力』がある。
しばらく街を探索していたところ、僕と同じように動いている人間を見つけた。何と驚き、皆さんご存知、安芸華世さんですよ。
「やァお華さん」
「あれ、チャチャさん。動けるんですね」
「うん。懐中時計の能力」
「懐中時計持ってるんですか?格好良い!」
「そうかい?ところで、これは君が止めたんじゃないんだな?」
「はい。誰なんでしょうね?」
「分からない。にしても長過ぎないか?もう体感三時間くらいは経ってるぜ」
「おー。……あれ、もしかして今、私たちこの世界に二人っきりですかね?」
「えっ、ん、んー……、いや、これをやった奴がいるから最低三人な筈だ」
「今どこか分からないじゃないですか」
「それもそうか。とりあえず早くもとに戻してほしい」
「あ、そうだ!」
「お、どうした?」
「チャチャさんって、一人暮らしなんですか?」
「え、そうだけど」
「お家に連れてってください」
「ごめん、どこでどう繋がればそうなるんだ?」
「私、犯人はチャチャさんの回りの人だと思うんです」
「何故?」
「だって語り手が……」
「分かった。それ以上言うな。つまり僕に関わる場所にいるだろうと?」
「はい、という訳で」
「ええ……。あー……分かった。けど君、あんまり不用意に男の家に行きたいとか言うもんじゃないぞ?」
「チャチャさんのこと信じてるので大丈夫です」
「お、おう。じゃあ行こうか」

0
2

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ②

でも気付いたらいなくなっていた。いやむしろ、わたしが”彼ら”とはぐれたと言った方が正しいか。
事の発端は20分ぐらい前、あのショッピングモールでのこと。
さっきまでわたしと一緒にいたメンバーの1人、ネロが、ココアシガレットなくなったから買いに行くー、と言い出したのがキッカケだった。
それで耀平が、んじゃ駄菓子屋行こー、と言って、あとの2人もそれに賛同して…
…で、わたし達は商店街の裏路地にある駄菓子屋に向かっていたのだ。
でも今はこの通り、わたしは置いてけぼりだ。多分今頃、彼らは目的地に着いているだろう。
…なんとなく、この状況は仕組まれたもののような気がした。
というのも、彼らと辿ったルートは無駄に回りくどくて遠回りのような気がして。
多分彼らは、最初からわたしとはぐれるつもりで、わざと遠回りしたのだろう。
もちろんわたしの考えすぎかもしれないけれど、正直彼ら―特にネロは、わたしの事をあまりよくは思っていないからこうしたのだろう。
今日だって、わたしがショッピングモールで彼らに会った時、ちょっと微妙な雰囲気になってしまったし。
こうなっても仕方がないのかもしれない、本当に。