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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑰

「…あいつの能力の話、ちゃんと聞いてた?」
あ、そうだった、とわたしは思い出した。そもそも目が発光してるし…そういえば、どういう能力だっけ?
「あいつの『人やモノの行動の軌跡が見える』能力を使って、お前の行動を追っかけてるんだよ。でも、あいつの能力じゃ、行動の”軌跡”は見えても、誰のものかの特定はできない。ここでネクロマンサーの登場だ。ネクロマンサーの『過去そこにいた人やモノが残していった記憶を扱う』能力で、記憶を見て誰のか判別してんだよ」
わたしの心を察したのか、師郎がご丁寧にも説明してくれた。
「…なんか、探偵みたいだね」
ふと思ったことを呟くと、師郎は目を丸くした。
「は? あの2人超バカだぞ? ぶっちゃけ俺以下だから」
「ちょっと気が散るから黙ってくれる?」
不意にコマイヌが振り返った。その黄金色の目はあの明るくおしゃべりな耀平のものではなく、むしろ獣のような恐ろしさが灯っていた。
その恐ろしい目に睨まれて、わたしは恐怖で沈黙したが、師郎は慣れているのか、すまんなと言うだけだった。
これ以上文句を言われるのは嫌だったから、わたしは黙って彼らの後を付いて行くことにした。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑯

「”コマイヌ”、能力発動時はただでさえ目の色目立つんだからフード被れよ」
そう言いながら、ネロは彼のウィンドブレーカーのフードをひっつかんだ。
「あー忘れてた。でもお前の赤紫もめっちゃ目立つじゃん」
耀平、いいや”コマイヌ”が笑いながらフードを被った。
「そうだネロ、お前もちょっと手伝えよ」
何を思いついたのか、不意に彼は言った。
「は…あーはいはい、分かった分かった」
ネロは一瞬、意味が分からないという表情をしたが、すぐに理解したのかその目をあの時と同じ赤紫色に光らせた。
「んじゃ、行くぞー」
そう言って”コマイヌ”はおもむろに歩き出した。
その少し後ろにネロ、いや”ネクロマンサー”が付いて行った。
「そいじゃ俺たちも行くかーっ」
師郎のその言葉に、黎が微かにうなずいた。
「…ちょっと待って行くって…」
わたしはまた目の前でことがどんどん進んでいるせいで、混乱していた。
「ぐずぐずしてると置いてかれるぞ? アイツどんどん先へ行くから」
そう言って笑いながら師郎はコマイヌの背を指さした。
「そもそも彼…”コマイヌ”はどうやってわたしのストラップ探すの? 探す対象見たことないだろうし、そもそもわたしがどうやってここまで来たか知らないよね?」
思わずそう聞くと、師郎はちょっと驚いた。

3

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑫

「もう面倒くさいしいいじゃん、この通りベラベラ喋っちゃったし、そもそもある程度時間が経って定着しちゃったから、下手に記憶を奪えないよ。―記憶は人間の人格を、魂を構築する。それを下手に改変すれば、そいつだけじゃない…社会だってブッ壊す可能性があるんだ…」
どことなくこの言葉に、彼女が”ネクロマンサー”を名乗る理由があるような、そんな気がした。
「あ、そうだ―ちょっと聞いていい?」
わたしはふと、さっき聞こうと思ったことを尋ねた。
彼らの視線が、すっとわたしに注がれる。
「みんな仲いいけどさ…どうして?」
全員が、ほぼ同時に吹き出した。
「どうしてって…なぁ?」
「こうなってるのも多分縁とかってやつだろ?」
「そもそも、縁じゃなかったらこうも年齢層バラけないだろ?」
「それな」
薄々気づいてたけど、みんな歳違うの? じゃあなんで…
「この街異能力者多いもん…みんなここに集まっちゃうから、自然とこうなるよ」
ネロがショッピングモールの床を指さしながら言う。
「ここ結構田舎だからな~どーしてもここに…」
「学校のヤツに出会った時が一番嫌だ」
「それな、おいおいどこの誰だよとか聞かれそうだしな…」
またわたしのことを放置して話を進めているから、わたしはさっき気になったことを質問する。

2

No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点

翌日、時雨ちゃんがあまりにも喋らなかったので、話しかけてみた。すると、突然、怒り出した。「なんで!なんで、涼香が死ななきゃいけないの!なんで、結月じゃないの!」あまりにも突然だったのと、目も、表情も、怒ってはいたが、
いつだって、時雨ちゃんの瞳の奥にあったはずの優しさは、なかった。まるで、機械のように、取ってつけたような表情をしていた。
僕はそんな時雨ちゃんを、突っ立って見ていた。そして、同様に、時雨ちゃんの異変に気づいて美月と玲が時雨ちゃんをなだめていた。すると、突然、時雨ちゃんは倒れた。その後、医務室に運ばれた。
僕達は、時雨ちゃんについて話していた。
「何があったんですかね?時雨さん。」
不安そうに、美月が言った。
「でも、一つ言えるのは、結月さんに怒っていたということですね。」美月に続けて玲が言う。

「でも、時雨ちゃんは怒ってなかったよ。」
僕のその言葉に二人は目を見開いた。

【続く】

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私、イカとにゃんこは先週金曜日、無事に小学校を卒業しました!ここまで頑張ってこられたのは、みなさんのおかげです!ありがとうございます!そして、これからもよろしくお願いします!


5

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑪

「…一応黎はちゃんと喋るからな」
驚きが顔に出ていることに気付かれたのか、師郎が真顔で言う。
黎自身は喋れないとでも思っていたのかと言わんばかりに冷たい視線を送ってきた。
「…なんか、すごいね…わたしなんかよりもずっとすごい」
「いや別にすごくなんかねーよ。某マンガや某アニメや某ラノベに出てくるヤツよりずっと地味だし、第一日常生活やっていく上では出番あんまないし」
わたしの誉め言葉に、耀平は苦笑する。わたしはそうかなと首を傾げた。
「なんだかんだ言って1番実用性あんの黎じゃね? 暗視効果なら暗い中でも便利じゃ…」
「現代社会生きる上ではあまり出番ない。あっても停電時。ぶっちゃけ師郎のが1番役立つだろ… 逆に実用性1番ないのは多分ネロの」
「ちょ、黎それはヒドイよ!」
師郎の発言を否定しながら、しれっと毒を吐いた例に、ネロは抗議する。
「んなこと言ったら1番使用率低いの耀平じゃん? ボクはちょいちょい『他人に能力使ってるとこバレたから証拠隠滅してくれ』って頼まれるけど、耀平のその能力はあんま使い道ないじゃん!」
「あるわ! 落とし物したときとか… あとさネロ、今回は自分の証拠隠滅忘れてるぞ」
多分わたしのことを指摘され、ネロは頬を膨らます。