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Advent 12/25 side Y

いくら東京とはいえ、自分家の近所とはここはえらく違っていた。
とにかく人が多い。あと建物が多い。建物の規模も全然違う。
初めてクリスマスフェスに来た時、その何もかもに驚きっぱなしだった。
2回目だから、そこまで驚かないけれど、相変わらず人の多さには引いていた。
会場は混んでいるし、ついでに自分は道に迷いかけてるし…
せっかく手に入れたマップもなくしてしまって、もはや八方塞がり。
途方に暮れながらも、どうにか集合場所へ向かおうとあがいていると、
「…」
ふと視界に、見覚えのある人影がうつった。人影はすぐにどこかへ走り出そうとしたから、誰かまでは分からなかったけれど、そのときにぽとり、と帽子を落としていった。
「…これ」
手に取った帽子は、明らかに見覚えがあるものだった。でも、どこで…
「!!」
思い出した。これ、去年も拾ったんだよ。目の前で落としていったから。
そう、その持ち主は―
「あの」
考えるより前に、体が動いていた。
振り向いたその人は、僕を見て目を丸くしている。
「これ…!」
「あ!」
あちら側は興奮して叫んでいた。
「あのときの、あのときの…!」
「そうそうそうそうそう!」
「あ、でも待って、名前は…」
「え嘘、忘れた⁈」
想定外の事態。相手側が名前をド忘れしてるなんて、ちょっとひどい。あの6人の一人なのに⁈
「…名前は、」
「雪夜。」
よかった、思い出してくれたみたい。にしても、よく忘れてたな…
「早く行こっ!」
「もちろん!」

ラスト、書き込む側も大興奮です…(なんなんだ自分)

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Advent 12/25 side Sa

「次は~東京、東京~」
普通は聞かないようなこのアナウンス、あの時決死(?)の作戦を遂行しなければ、こうして聞くことはなかっただろう。
新幹線を降り、混み合うホームをかき分けかき分け、やっとのことで改札についたとき、その外によく知っている顔があった。
「ようこそ、東京へ~」
「聖名(せな)…」
皮肉めいた笑顔を浮かべる大学生の姉に、おれはため息をついた。
「お母さんが、参太一人じゃ心配だからついて行ってあげて、って頼まれたアタシが、わざわざ迎えに来てあげたんだからね~ 感謝なさい」
「へいへい」
感謝なんてするかよ、とおれは口をとんがらせた。
「そういえば、お父さんとかお母さんとか、おじいちゃんとかおばあちゃんとか、元気? あとネコのクリスも」
クリスとは、聖名が家で可愛がっていた白ネコだ。
「みんな元気だよ」
おれは素っ気ない返事をした。
「なら、よかった」
聖名は、冨院、地元が恋しいみたいなことを電車内で言ってたけど、おれはほぼ聞いていなかった。
頭にあるのは、みんな、無事集まれるかどうか、それだけだ。
「つぎは~」
「あ、次降りるよ~」
アナウンスを聞いて、聖名は言った。ああ、もうすぐなんだ、とおれは思った。
あと少しで、みんなに会える。

え~、悲報です。最終回「12/25」は、今日中に書き込めないことが確定しました。ごめんなさい…

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Advent 12/24

遅れちゃってて、確実にツッコミくらうだろうけど、最終回の一話前! スタート↓!

今日は、12月24日、クリスマスイブ、今年は天皇誕生日の振り替え休日。
いつの間にか、25日が―クリスマス当日が、迫ってきていた。
明日はクリスマスフェス、なんとか俺も親から許可をもらって、行くことができる。
そういうことを考えながら、駅前の塾に向かっていると、
「よっ!」
「先輩なんでここにいるんです?」
「友達と待ち合わせ」
「ああそうですか」
相変わらずのご登場。去年まで、同じ部活の先輩だった光ヶ丘先輩。
「どこ行くの?」
「塾です」
「あそ、じゃ頑張ってね~」
ちょっと待て! 普段は立ち去ろうとすると意地で止めに来るのに、なんで今日に限って止めに来ない!?
「え、それだけ?!」
「…いや塾あるんでしょ? ちゃっちゃか行かないと…」
「…」
思わず沈黙。裏がありそうだけど、この人のことだから、なさそう。
「ウチさー、去年の今頃そーとーヤバかったんだよね~。一秒も惜しかったぐらいにさー」
このセリフで、ふと思い出した。少し前の先輩からの質問、まだ答えていないはずだ。
「…先輩」
「?」
「志望校の話なんですけど…」
「?、どこにした?」
先輩の顔見て気づいた、この人、1週間前のセリフも忘れてるっぽい。
「もしかして自分が後輩に志望校聞いたこと忘れてます?」
「あ~、えーとえーと… あったっけ?」
あーあ、案の定忘れてる。まあ忘れっぽいトコが後輩から好かれてるんだけど。
「やっぱり忘れてるんですね」
「とにかく! どこにしたの?!」
先輩は、自分の失敗を隠そうとするかのように、こっちの発言を促してきた。
「…耀(かがや)」
「え、え?! えマジで?! ウチんトコ…え、ちょ、ま…なんで?」
「なんとなく、です」
別に理由なんてものはない。なんとなく雰囲気がよかっただけだし、先輩と同じなのはたまたまだし。
「えーえー、え、なんか嬉しい…!」
先輩はちょっと興奮気味だ。そこまで喜ぶ…?
「そろそろ時間なんで、失礼しまーす」
「あ、じゃーねー」
塾に行ってから気づいたけど、どうやらさっきのやり取り、同じ吹奏楽部員たちに見られてたっぽい。…あそこで話すんじゃなかった…

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Advent 12/23

あたしの学校の冬休みは、昨日から始まった。
先生たちは、「冬休みが正念場だ」とかなんとか言ってたな。
もちろん、冬休みは、さすがのあたしでもがっちり勉強する。けど…
「…」
受験生で大変なのに、宿題を出す学校なんて、もうどうかしてんな~と思う。まぁどこも同じかもしれないけど。
おかげさまで、何も言えない。
「頑張らなきゃ…」
そう言って、あたしは机に突っ伏してた身を起こした。早いとこ片づけなきゃ。それで、受験勉強やんなきゃ…
やることが多い。それでもあたしはクリスマス当日、クリぼっちでないことを鼻にかけたいと思う。
今年も、12月25日は、クリスマスフェスに参戦できることが確定したのだ!
つい昨日、親との激しい戦いを制し、どうにか行くことができたのだ。
その分、今までで一番やったってぐらい、勉強しなさいって言われたけど。
まぁそのつもりだよ。だから12月中に宿題を片付けようとしてるんだけど。
今クラスのみんなは何をしてるんだろう? ふと思った。
今日は祝日だから、塾がある人は少なそうだけど…自習室とか、行ってる人はいるんだろうな。
冷ちゃんとかどうだろう。あの子塾は行ってないって言ってるから、家でせっせと頑張ってるのかな…?
やっぱし冷ちゃんはすごいな。さすが秀才と呼ばれるだけある。
あたしも負けないようにしなきゃ!
そう自分を奮い立たせたところで、スマホが鳴った。
「…?」
見ると、メッセージアプリに新着メッセージ。
「クリフェス、楽しみだなぁ~」
あたしも超楽しみ、みんなで会える瞬間を楽しみにしてるよ、とあたしは打ち込んだ。
しばらくして、また着信。
「そうだね鈴ちゃん! あと、お互い勉強頑張ろ

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Advent 12/22

12/21に続けて書いていきます! 

「なあ雪夜、ここどうなってんの?」
「あ~ここは~」
雪が降る街の片隅で、僕らはのんきに勉強会を開いていた。
たまたまそこらで会っただけなんだけど。
トウイチと北斗と僕とでは通ってる塾が違う。まあ住んでる場所が違うことが主な理由なんだけど。
…で、たまたまそれぞれの塾帰りにこのバス停で会って、トウイチがわからない理科の勉強を少し教えているだけ、という…
こんなクソ寒い中、しかも雪が降る中、トウイチがせっせと勉強しているのは、いろいろ彼は切羽詰まってるから。
意地でも第一志望に合格したいらしい。だから、彼らしくもなく、バスの待ち時間でも、勉強しているのだ。
それで僕らは勉強を教えたりしてるわけ。
「おお! サンキュー!」
「どうも」
トウイチの疑問は見事解決したようだ。
「なあトウイチ、なんで志望校、ああいうところに決めたんだ?」
ふと、北斗がトウイチに尋ねた。
「そもそも急に変えるとか、こっちとしては謎なんだけど」
「ああ」
トウイチが答える。
「最初はな、落ちたくないから、確実に受かるところにしたんだけど、」
トウイチはちょっと息継ぎをした。こっから先って、彼的には何となく言いづらいことなのかも。
「夢叶えたいな~って思って」
「おお~」
北斗は感嘆の声を上げた。
「かっこいい~ お前らしくないけど」
「おいおいおいおい、俺らしくないとかどういうことだぁ?」
二人の茶番が始まった。これを見られる機会は、あと何回あるんだろう?
僕はスマホをコートのポケットから引っ張り出した。
この前、フェスに行く許可が下りて、そのことを報告したとき、あのグループは大いに盛り上がった。
「おお~よかったな」
「やったー! 仲間だね!」
「私も行くこと確定。待ってろクリフェス!」
「頑張って親説得します。」
「がんば~」
こんな感じ。ちゃんと全員で集まれる、その可能性がちょっとでも高まるだけで、うれしかった。
「…あれぇゆっきー?」
「あ゛っ」
まさかのここで会いたくない人、文野霜菜登場。最近よく話してるからな…トウイチと北斗いる状態でこれってぇぇぇ…
「おっ、こ~れ~は~⁉」
あとの二人のこの盛り上がり様。僕はもはや新雪みたいに真っ白になったんだけど。

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Advent 12/21

「ただいま~」
誰もいない家にこうしてただいまを言うのがイチゴの習慣だ。
パパとママは共働きだから、昼間はいない。兄弟姉妹もいないから、一番最初にこの家に帰ってくるのは、イチゴだ。
誰もいないリビングを通り抜け、自室に入った時、ふと姿見が目に留まった。
いつからこの家にあるのかわからない姿見にうつった自分を見て、イチゴはポツンとつぶやいた。
「この制服、悪くはないんだけどねぇ~」
茶色のセーラーブレザーを眺めつつ、あとこの制服を着るのは数か月もないんだよな…と思った。
(高校は、これ以上に可愛い制服の学校がいいな!)
心の中で、そんなことをつぶやいた。
そういえば、去年のこの時期も、姿見を眺めて考えたこと、あったよね?
そんなことが、イチゴの頭の中をよぎった。さて…なんだっけ…?
「あ!」
10秒ぐらいして、イチゴはちょっと慌てた様子でクローゼットを開いた。
(確かここにあったよね⁇)
もしかしたらなくしてるかもと不安になったけれど、ちゃんと探し物は出てきた。
「あったあった」
それはお気に入りのベレー帽。去年のフェスで身に着けたものだ。
当時ハマってしまったアイドルグループの子が、似たようなのを持ってたから、真似して買ったベレー帽。
実際にかぶる機会は少なかったけれど、数あるイチゴのお気に入りのひとつだ。
これを去年のフェスでかぶっていったとき、わりと混み合っていた会場で、うっかり落としちゃったんだよね…
落ちたのをすぐ拾ってくれたのは、そう…
そんなことを考えていると、思わず笑いそうになった。
あの子、そう、あの彼。メガネのあの子。
「また、会えるよねっ!」
そんな独り言をつぶやいてから、イチゴは立ち上がって、机の上のスマホを手に取った。
そして、帽子をかぶってから、パシッと一枚。
その写真を、あのグループLINEにあげた。こんな一言とともに。
「25日、これかぶっていくからね!」

思ったよりサクサク書けた…

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Advent 12/20

この回を書くのを、ずっと楽しみにしてました… てなわけで本編スタート↓

「頼むっ! 一生のお願いだから!」
「ダメって言ったらダメでしょう?」
「そこを何とか…!」
もう5分くらい、この言い合いは続いている。いや言い合いというよりは懇願かもな。
クリスマスフェスに行きたいって、おれが切り出したのは、夕食後。もういい加減言わなきゃなって前々から思ってたし。そもそも、前から言ってた話なんだけど。
前に言ったとき―確かあれは2週間ぐらい前のこと―は、母さんが「ダメ」の一点張りで、おれは負けてしまった。理由としては、受験生だから。まぁそれは分かってるんだけど。
でも、「久しぶりに集まらないか?」とあのメンバーに聞いた本人だから、絶対に行きたい。
だからこそ、ここしばらく、どうしたら母さんを折れさせることができるか考えてきた。それがこの戦法。
「本っ当にお願いします! 勉強頑張るから! 紅林(おれの第一志望の学校)絶対受かるからさ!」
「だーめーでーす」
こうやって、全力で懇願して押し通す。必殺ゴリ押し作戦。
「第一、会場まで遠いでしょう? 電車賃どうするのよ」
「そこは自腹で!」
「もう…いい加減あきらめなさいよ。参太には、私みたいになってほしくないのよ!」
「そんなの…!」
どちらも譲らない。そもそもどちらも譲るつもりはない。
どっちかが折れるまでこの戦いは続く。
「お願いします!行かせてください! どうか、どうか…!」
「もう…」
母さんがため息をつきかけたその時、意外な人物が口を開いた。
「…別に、いいんじゃないか?」
「え」
親子そろって停止。声の主は、存在感がほぼ消えていた父さんだった。
「参太が行きたいっていうのなら、別にいいんじゃないか?」
「ちょっとあなた…」
母さんがさっきとちょっと違うため息をついた。
「ほら、勉強も頑張るっていうしさ、十分気持ちも伝わってきたし…」
「あなた、それでもいいの⁉」
「まあ、いいんじゃないか?」
あれ、この展開は…
「…参太、もう…好きになさい」
「え…」
「そのかわり絶対紅林学園合格するのよ!さもないとタダじゃ置かないからねぇ」
「母さん…!」
なんだかんだで、ゴリ押し作戦大成功! ありがとう、父さん、母さん。