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墓想造物茶会 Act 41

「じゃ、なんで保護者のじいさんのところに帰らなかったんだよ」
「うっ」
露夏に聞かれて、ナツィはついうろたえた。
どうなんだよお前〜と露夏に顔を覗き込まれて、ナツィは少し嫌な顔をするがやがて…嫌だったんだよ、と呟く。
「ばあさんの墓参りに行くの」
ナツィがそう言ってそっぽを向くと、露夏はな、なるほど…?と首を傾げた。
「恥ずかしいのか?」
露夏がそう尋ねると、ナツィはいやそうじゃないしと呟く。
「やっぱり、いない人のことを思うと悲しいし…保護者に優しくされるのがちょっと嫌だから…?」
「なんだよそれ」
ナツィの言葉に、露夏は低い声で返す。
「お前、身近な人との時間は大事にした方がいいと思うぞ」
お前は人間より長生きしちゃうんだろ?と露夏は腰に手を当てる。
「だから、保護者の爺さんとの時間は大事にしろ」
じゃないと後悔すんぞ、と露夏はナツィの目をじっと見た。
「…でも、ちょっと一緒に行くの恥ずかしいし、気まずいし」
「お前は反抗期か」
「でも…」
「でもじゃない」
言い訳を連ねるナツィに露夏は呆れるが、ふとかすみがあ、と呟く。
「ナツィ…こうしてみたらどう⁇」
かすみの急な提案に、ナツィは目をぱちくりさせた。

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墓想造物茶会 Act 39

「結局、“事情”っていうのは…」
「うぐっ」
ナツィは驚いたように顔を上げる。
「確かに話の核心まで辿り着いてないな」
「おばあちゃんが大事なのはわかったけど…」
露夏とキヲンもそう不思議がる。
「あらあら、気づいたら話がだいぶ逸れちゃったじゃないの」
ピスケスはそう茶化すようにナツィの顔を覗き込む。
ナツィはべ、別にこの話も重要なんだし…と恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「で、ナツィはどうして構ってほしくないなんて言ったの?」
教えてほしいな、とかすみはナツィに少し近づく。
ナツィはかすみを見て少し顔を赤らめるが、すぐに顔を逸らしてこう答えた。
「それは…その、やっぱり誰かを失うのが怖いから、かな」
うん、とナツィは頷く。
「だって、俺は特別な存在だから人間や他の人工精霊より大事にされるし、それで大事な人たちより長生きしちゃうから…」
大事な人たちは、みんないなくなっちゃう、とナツィは両手の人差し指を突き合わせながら続ける。
「それで昔の大切な主人も、俺を外へ出してくれたばあさんも、いなくなっちゃったから…」
そ、その、とナツィはしどろもどろになり始める。
その様子を仲間たちは不思議そうに見ていたが、かすみだけはナツィの隣にそっと移動してナツィ、と呼んだ。

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墓想造物茶会 Act 38

「なんで…」
「あのおばあさんは病気だったのよ」
急にピスケスが話に割り込んできたので、ナツィの話を聞く3人はそちらに目を向ける。
ピスケスは淡々と続けた。
「ナハツェーラーを引き取った時点で、あのご夫人はもう先が長くなかった」
それでも引き取ったのは、あの夫妻には子どもがいなかったからみたいなんだけどね、とピスケスは呟く。
「最期くらい、子どもがいる生活を送ってみたかったのでしょう」
それでコイツと暮らすことを選んだ、とピスケスは足元に座り込むナツィを見下ろす。
ナツィは膝を抱えて黙っていた。
「それじゃ、ナツィは…」
「アイツはもう先が長くないこと、俺に黙ってたんだ」
入院したときだって、すぐ帰るって言ってたのにとナツィはこぼす。
「それなのに、アイツはいなくなってしまった…」
ナツィは抱えた膝に顔を埋める。
「それに、アイツだけじゃなくて、俺の保護者…あの爺さんも、俺にアイツの先が長くないってこと、黙ってたんだ」
だから裏切られたみたいで、俺は…とナツィは消え入りそうな声で続ける。
仲間たちはナツィの昔話を聞いて、つい沈黙する。
ナツィは膝に顔を埋めたまま震えている。
誰もが続ける言葉を見つけられずにいる中、ふとかすみがねぇ、と尋ねた。

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墓想造物茶会 Act 37

「ナツィのところにおばあちゃんがいること知ってた⁇」
「いや、知らないけど…」
ピスケスは知ってたの?とかすみがピスケスに目を向けると、まぁそうねとピスケスは口元を手で隠しながら答えた。
「…で、話に戻るんだけど、俺は当時誰かに引き取られるのがすごくどうでもいいことだった」
だって引き取られたって俺は貴重品扱いで自由も利かないし、なにより人間が嫌いだしとナツィは足元を見る。
「だから俺はアイツらに引き取られてこの街に来ても、ずっとアイツの家にいるつもりでいたんだ」
でも、とナツィは自らの足先を見つめた。
「あの婆さんは、俺を外に引っ張り出した」
アイツは俺がずっと家の中にいるのはよくないと思ってたみたいだし、なにより俺を人間のコドモのように扱っていたんだ、とナツィは続ける。
「俺は人間が嫌いだから人間みたいに、ましてやコドモ扱いされることなんて嫌だったのに、アイツは俺を何度も外へ連れ出した」
そしてそのうち、俺もアイツらに気を許すようになったんだとナツィは呟いた。
「でも、アイツは…死んでしまった」
不意にナツィがそう呟いたので、キヲンは、えっと声を上げ、かすみや露夏も驚いたような顔をする。

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