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NO MUSIC NO LIFE #9 ワルシャワの夜に

結月視点

「瑠衣にあったことあるのか?」
僕が玲に尋ねると、玲は顔を顰めて
「…わからないんですよ。でも、きっと瑠衣ちゃんなんだと思います。私が実家を出たのは、中学校一年生の時なんです。それから、私がもともと居たあの犯罪集団に拾われました。でも、私たち姉妹が離れ離れになった理由は確かに覚えています。」
と、答えた。
「どうしてなのか言えるか?」
「…それは、少し待ってもらえますか」
そう言い放つ玲の表情はどこか辛そうだった。


玲視点

 思い出したくもない、あの両親。憎悪の念があふれてくる。顔だって覚えていない。結月さんに質問をされていたことを思い出し、結月さんの顔を見る。私と同い年だとは思えないほど、大人びたその行動。不安そうなその表情。嗚呼、また誰かを困らせてしまった。こんな有様だから捨てられてしまうんだ。
 意を決して結月さんに向き合う。
「私の昔話、聞いてくれますか?」
そう尋ねれば、一歩私に歩み寄って微笑みながら彼女は頷いた。どうしてだろう、いつからだろう、人から向けられる優しさが怖くなったのは。また、私のせいで傷つけてしまうのだろうか。どうして、その瞳はそんなに澄み切っているのだろうか。
 そんなことを考えていれば、彼女は口を開いた。
「怖がらなくていいよ。辛かったら、途中で言うのをやめてもいい。大丈夫、玲も瑠衣も僕が守るから。」
その目は真っすぐ私を見つめていて。どうしてこんなにもこの人は優しいのだろうか。その優しさですら、不快に感じてしまうほどに私は愚かで。
 でも、この人は信用してもいいのかもしれない。

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世にも不思議な人々66 間違っている人その4

肩にある蜘蛛脚と下半身の蜘蛛脚で這うように走る阿蘇さん。その速度は自動車に匹敵します。それに何本もの腕で一つ目小僧も何とかしがみついています。
そしてついに件の鵺達のところまで辿り着きました。鵺と山彦は知らない男のもとに集まっています。
一目「見つけたぞ妖怪共!」
?「……何この化け物共」
阿蘇「マアそりゃそうだよナ。まあちょいと聞いてくれよ」
人外化を解いた阿蘇さんが会話を試みました。
?「はあ、何でせう」
阿蘇「こいつが偶然そこの山彦を見かけたんだ。それでそいつを探しに出たら、今度はそっちの鵺にも遭遇して、面白そうだから両方捕まえようぜってんで、その鵺を追跡してたらここに来たというわけだ」
?「なるほど。つまりあんたらはただの好奇心旺盛な阿呆共ってだけで、悪意は無いわけだ」
一目「阿呆共言うな。いやまあそうだけど。そいつらは何なんだよ」
?「俺の能力で産まれたものだよ。どうせお前らも能力者なんだろ?あの姿や何本もの腕。能力者じゃなきゃバケモンだ」
阿蘇「どんな能力?」
?「『間違っているとされたもの、存在しないとされたもの、別のもので説明されたものを操る』能力だ。山彦は音の反響、鵺はレッサーパンダとかトラツグミとかあるからな」
阿蘇「ほう、じゃあ名前も教えてもらえる?呼び方に困る」
?「お前らが名乗れよ」
阿蘇「俺は阿蘇。こいつは……まあ一つ目小僧とでも呼んでやって」
?「ふーん、俺は八街祝」
阿蘇「へー、やちまたはふり。面白い名前だな」
八街「あ、そうかい?俺はこの名前好きだよ。縁起良いもの」
ところで一つ目小僧はこの後山彦を一匹八街に譲ってもらったそうです。

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#4

 「今日からハロウィンだね。」なんて風花さんが言う。私は首をかしげる。
「ハロウィンって一日だけじゃないんですか?」と尋ねれば「は?一日で人間捕まえて食うの?間に合うわけねえじゃん」なんて返された。なんであんなに口悪くなったんだ。もとから悪いけど。雨月さんの方を見れば「うへへ。やっと女の子食べれる…」なんて相変わらず気持ち悪いことを言っていた。涼香さんは無言でピアノを弾き続けていた。
 風花さんに「ハロウィンって何日あるんですか?」と聞くと、「10月31日から11月2日までの三日間。その間に怪物は三人まで人間を食べていいって決まってるんだよ。一年に三日しか私らは飯食えないの。」と言っていた。その横で雨月さんが「うへへ、今年から三人だよ。うへへ。」と言いながら笑っていたのは聞いていないことにした。「何で今年から三人まで食べてOKになったんですか?」と尋ねると、「人間増えすぎだからお前らもうちょい食べていいよって魔界の偉いやつに言われたの。」と風花さんに返された。「お腹空いたな。」と思うことはなかったが、人間だった時と同じようにおいしいものを食べたら、怪物の時でも幸せに感じるのだろうか。でも、よくよく考えてみれば、もともと人間だったのに、人間を食べるのか。…なんか、グロいな。涼香さんは、何をしているのかと思えば、いつもと同じように、一心不乱にピアノを弾いていた。ピアノに乗っていた楽譜を見れば、音楽の授業で習ったような気がした曲だった。音楽の授業は興味がなくて、真面目に聞いていなかった。まあ、今更後悔することもないのだが。ハロウィンか、なんて考えていれば、いつの間にか夜明けは来てしまうのだった。
 怪物は寝ていなくても、疲れがたまらないので、基本的には夜が明けるまで起きているのだ。それを毎日繰り返すのが、吸血鬼になってからの生活サイクルだ。だが、この魔界、仕事はなかなか無いし、新しい生活があるわけではなかった。むしろ、活動時間が増えただけだ。流石ののんびり屋の怪物たちでも、退屈だと感じたのだろう。いたって人間界と変わらない。いや、むしろ、人間界より、進化してるかも。なんだかんだ言って、怪物の方が頭いいのかも。
「夕方になったら人間界行くぞ」という風花さんの言葉に静かに頷いた。

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NO MUSIC NO LIFE 一周年記念番外編 天球、彗星は夜を跨いで ④

いつの間にか降り始めた流れ星は、四人の視界を輝かせては一瞬で消えていく。
そんな感じで時は過ぎ、気づいたときには深夜の一時を過ぎていたらしい。
「まあ、明日休みだしゆっくり帰ろうぜ」
と言う結月の言葉に三人は頷いた。
「アイス食べたいー」
という時雨のわがままにより、四人はコンビニに寄った。
道中、美月と玲が声をそろえて
「「疲れたー」」
と言ってたとか言ってなかったとか。
コンビニについた一行は、それぞれが好きなアイスを買い、食べ始めた。
他愛ない会話をしていると、美月が思い出したように
「でもやっぱり、一瞬で消えちゃうのは、さみしいですよね。流れ星って。」
と言い放った。
「じゃあ、彗星ならいいんじゃね?消えないし、きれいだし。「別離」の象徴でもありながら「再会」の象徴でもある。なんか素敵だしさ。」
そう言う結月の言葉に
「じゃあ、次は、彗星観察だね。」
と時雨が返す。
その言葉に反応して、玲がスマホを取り出し、次に彗星が来るのは何時か検索しだす。
そんな姿を、見ながら、結月は空を見上げながら考える。

彗星なら流れ星よりも強い光で、
夜空を切り裂いて、
真っ暗な天球を繋いで、
「別離」と「再会」という相反する意味を持って、
僕の願いを叶えてくれるのだろうか。
押し殺した悲しみを
寝静まった街に降らせてくれるだろうか。

いつかそんな日がくればいいと結月は考えた。


【一周年記念番外編 天球、彗星は夜を跨いで 終わり】

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NO MUSIC NO LIFE 一周年記念番外編 天球、彗星は夜を跨いで ③

丘の上で空を見上げる四つの影。その間では、こんな会話がされていた。
「ねえ、流れ星に名前つけられたらなんてつける?」
笑いながら尋ねる時雨。
「…確か、流れ星って地球の大気と衝突してすぐ燃え尽きちゃうんじゃなかったっけ?」
そうつぶやく美月に結月がこう返す。
「だとしても、名前ぐらい付けてあげるべきだろ。それぐらいしかしてやれないんだし。」
「確かにそうですね!」
と美月が笑顔で返す。
「流れ星って見たときにお願い事すると叶うっていいますよね!」
玲が嬉しそうに言う。
「お願いしたけど、叶わなかった…」
小さくつぶやく時雨。
「流れ星ってさ、真っ暗な空に一瞬光って、夜を切り裂いてるみたいでカッコよくね?」
少し無邪気に結月が言う。
「そうかもしれないですね!」
と言う美月も
「えー?そうかなー?」
と言う時雨も
「素敵なこと言いますね」
と言う玲も
三人を見つめる結月も
笑っていた。

いつの間にか流れ星は降り始め、四人の視界を輝かせた。
それぞれがどんな思いで流れ星を眺めていたか、なんて誰にも知る由もない。


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皆さん!そうです、僕がイカとにゃんこです!初めましての方もお久しぶりの方も
いらっしゃるとは思いますが、一周年企画どうでしょうか!まだまだ続きますけどね。
この曲はfLactor(月影:つきかげ)さんに決めて頂きました!
いつも仲良くしてくださっていて、今回コラボもしていただけてとても嬉しいです!
感想お待ちしております!

イカとにゃんこ

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No music No life 一周年記念番外編 天球、彗星は夜を跨いで ②

「なんと今日、流星群が見られるらしくてさ」
気象予報のコーナーで言ってたよと時雨は付け足した。真面目な時雨は毎日ニュースをまめにチェックしている。意外にも世間にさといのが時雨だった。
「流星群! 私まだ流星群どころか流れ星一つ見たことないです」
一回くらい見てみたいなーと美月が目を輝かせる。
「僕は流れ星くらいは見たことあるけど、流星群はないなぁ」
「私は一回だけ見たことありますよ」
「そのときはどうだった? やっぱり綺麗だったの?」
玲も星を眺めることがあるのかと思いつつ、結月が質問する。
「小さいころに見たんであんまり覚えてないんですけど、正直なところあんまりすごいとは感じませんでした。ぶっちゃけただの流れ星でしたよ。ぽつりぽつりってかんじで、子供心にはやっぱりもっと一斉に星が降ってるところを見たかったんでしょうね」
「……そんなもんなんですか?」
ぽろりと零れるような声で結月が呟いた。シャッター連続開口写真のような壮大なやつを期待していたのだろう。
「まあ、そんなものらしいよ。”流星群”とはいってもたくさん降るって意味じゃないんだって。一時間に二、三個程度の流星群なんてざらみたい」
「二、三個!? 夢がないですね……」
今スマホでささっと調べたらしい時雨の言葉は美月の流星群のイメージを破壊して余りあるらしかった。
パンッという乾いた音が三人の注目を集める。結月が手を打ち鳴らしたのだ。
「まあでも美月は流れ星見たことないんでしょ? ……そうだな、新月で空は快晴とあることだし、今夜は天体観測といこう」
悪だくみをするときの顔とはまたちょっと違う気もするが、おおよそ小学生たちが浮かべているそれと大差ないよな、という感想を抱いたのは時雨だ。好奇心が止まらないといったような無邪気な笑顔である。もちろんそのことは口には出さず、代わりに肯定の意を示す。この話題を出した時点で結月がこの提案をしてくれることを期待していないわけではなかった。
「……それって警察に補導されたりしないかな」
「我々の身分を忘れたのかね」
美月の心配は結月の次の言葉で粉々に吹き飛んだ。

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NO MUSIC NO LIFE #9 ワルシャワの夜に

結月視点

 「瑠衣、僕多分お前の姉ちゃん知ってるよ」そう言えば、瑠衣は瞳を輝かせる。「ホント⁉」と言う彼女に素直に頷いた。玲に何も言ってないが、大丈夫だろうか。瑠衣が玲の姉妹だと決まった訳ではないし。まあ、会わせてみるだけ会わせてみるか。玲の部屋のドアをノックする。「はーい」と声が聞こえて、ドアが開く。「あのさ、急なんだけど、玲って妹とかいない?」そう尋ねると、一瞬顔を険しくする玲。「…分からないんです。でもいつも誰かの温もりを感じていた気がするんです。はっきりと思い出せないんです。」そう言い放った玲は下を向いていた。「ねえ、こいつは?」と尋ねながら瑠衣を玲の目の前に連れていく。玲は眼を見開き、瑠衣は満面の笑みを浮かべた。その次の瞬間、瑠衣が玲に抱きついた。「玲お姉ちゃん!ここにいたんだね!」そう笑う瑠衣の表情は姉との再会を喜ぶ少女そのものだった。一方玲は、固まっている。「大丈夫か?」なんて声をかければ、「は、はい!!」という返事が返ってくる。僕は瑠衣にこう言った。「さっき会った、二人のとこ行ってて」と。「えー、お姉ちゃんとお話したい!」と言う瑠衣。「後で、いっぱい話せるから」と言って瑠衣を退出させる。
 「大丈夫か?あいつの事分かる?」この質問に玲は「あの子の温もりを知っているような気がするんです。…でも、思い出せないんです。何でですかね…」こう言った。とても苦しそうなその表情。僕は玲に何をしてあげられるだろうか。

玲視点

 どうして、瑠衣がここに?…あれ?瑠衣って誰?どうして結月さんが連れてきたの?もう、何もわかんないよ…。
困ったような顔の結月さん。ああ、困らせちゃった…。大丈夫かな。

【続く】

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NO MUSIC NO LIFE 特別編

作者視点

イカとにゃんこ「今日この作品はスタートからちょうど一年が経ちました。書き始めたのが昨日のように思えます。もう一年ですよ。でも、まだ一年です。彼女たちの物語が尽きることはありませんし、彼女たちの絆に終わりはありません。書き込みが急に途絶えてしまったり、意味の分からない話、つたない文章など多々ありましたが、たくさんの感想や応援してくださる声があるから、今日こうやって一周年を迎えることができました。応援してくださった皆さん、これからもよろしくお願いいたします!
結月「ホントに皆さんありがとう!!!これからもこんな作者のつたない文章だけど読んでやってくれよ!」
時雨「始まった時から応援してくれた人も、この書き込みで知った人も、よろしくお願いします!」
美月「思い付きで始まった私たちの物語が、一年続いたのは皆さんのおかげです!ありがとうございます!」
玲「作者に仲良くしてくれた皆さん!これからも仲良くしてやってください!」

イカとにゃんこ「そして、一周年企画として作者と仲良くしてくださっている方々に作者と交代で番外編を描いていただくことになりました!誰とのコラボかは書き込まれてからのお楽しみです!」

一同「「「「「それでは皆さん!これからもこの『NO MUSIC NO LIFE』並びに、イカとにゃんこをよろしくお願いします!」」」」」

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NO MUSIC NO LIFE #9 ワルシャワの夜に

結月視点

玲?いや、まさか。ありえないか。でも、玲もあんな境遇だ。もしかしたら、僕みたいに生き別れの兄弟姉妹がいるかもしれない。一回家に連れてってみるか。「ねえ、結月。わたしね、結月に前に会ったことある気がするの。…結月、覚えてない?」身に覚えはない。「いつ?どこで?それが分かったら思い出せるかも」「えーっとね、三年ぐらい前。わたしが、夜中に公園でうずくまってて、悪いおじさんたちに絡まれてたの。その時、結月に似た子が助けてくれたの。」そんなこともあったような、なかったような。「多分、会ったことあるよ。」そう答えると、「ホント⁉」と満面の笑みを向けられた。その笑みに頷いた。そうすればいつの間にか、面会時間は過ぎていた。

それから一週間。瑠衣が無事に退院して、今日家に来てもらうことにした。まずは、美月と時雨ちゃんに会わせた。「初めまして。中村時雨って言います。」「初めまして、川上美月です。」それから二人は普通に瑠衣と話していた。瑠衣については後で二人にも聞いてみるとしよう。

美月視点

瑠衣さん、だっけ。彼女は何かがおかしい。14歳だというのに、この幼稚さ。何か隠しているのか、それともただの発育過程で異常が起きてしまったのか。それだけだろう。だが、なぜ玲さんに執着するのか。彼女にある、この違和感の原因はきっと玲さんだろう。
「瑠衣さん、お姉さんのことは好きですか?」
「うん!大好き!」
その言葉にもその笑みにも嘘偽りはないのだろう。

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NO MUSIC NO LIFE #9 ワルシャワの夜に/KEYTALK

玲視点

今日は何か大切な日だった気がした。9月9日。毎年笑っていた日。誰かの誕生日だった気がする。三人に聞いてみたけれど誰の誕生日でもなかった。じゃあ、誰の誕生日だろう?私に兄弟は、あれ?
いたっけ?いなかったっけ?何も思い出せない。涙があふれてくる。何故?どうして?兄弟がいたかどうか。それがわからないだけで私は、今現在泣いている。ただ、とても大切なものをなくしてしまった気がする。事の始まりはこの数日後だった。

結月視点

暴走トラックの対処に当たれと言われ、現場へ駆けつけると、自動運転のトラックが暴走していた。ちなみに今日は、一人でどうにかなりそうだったので、三人はおいてきた。美月には、めちゃめちゃ心配されたが。暴走トラックの行く先には、少女の影があった。トラックを刀で切り、トラックを強制的に止め、少女のもとに駆け付ける。「おい!大丈夫か?」そう尋ねると、少女は少し辛そうにしながらもうなずいた。彼女を抱えて救急車を呼ぶと、十数分でこちらについた。その場にいた警官の話によると、僕が真っ二つに切ったトラックは警察署で処理してくれるらしい。仕事が終わった僕は、先ほどの少女の安否が気になったので、彼女が運ばれた病院に行ってみた。彼女の名前は高山 瑠衣というらしい。高山って玲と一緒じゃん。なんて考えながら、病室のドアをノックする。すると、「はーい」と元気な返事が返ってきた。ドアを開けるとそこいたのは先ほどの少女。「初めまして。」というと元気に「はじめまして!」と返してくれる彼女。見た目は14歳ぐらいに見えるが、言動などから、少し幼いのだと考えられる。軽く自己紹介をした後に、瑠衣からこんな風に呼ばれた。「じゃあ、これからよろしくね!王子様!」と、いわれた。「王子様?」と聞くと、「だって、瑠衣のこと助けてくれて、こんなに優しくしてくれるんだよ!結月は王子様だよ!」と答えてくれた。「そっか」と返すと嬉しそうに、「うん!」と瑠衣は笑った。「瑠衣は何歳なの?」と聞くと、「瑠衣はねー、14歳だよ!」と答える瑠衣。その割には、言動や行動が幼くないか?なんて考えるが、後で考えることにして、もう一つ質問をした。「瑠衣は兄弟とかいるの?」と尋ねると、「お姉ちゃんがいたんだけど、急にいなくなちゃって、それで探してたの。あ、お姉ちゃんの名前は玲だよ!」…は?

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3.5

雨月視点


静かにピアノを弾き続ける涼香。本当に何も覚えてないんだ。あんなに必死であの四人のことを守ろうとしてたのに。人間ってやわだなあ。誰かに守ってもらわないと行けないなんて。
きっと私にも、人間だった頃があったんだろうけど、何も覚えてない。何も分からない。なにかを守る理由が。守るものも、守られることもなかったから。愛されなかった。ただそれだけ。分かりきってる事。だから、きっとその、憎しみで、私は、死んでから、キョンシーなんかになったしまったんだろう。
こんなに醜い見た目じゃ、ここでも誰にも愛されない。でも、風花が教えてくれた。怪物は、同族には優しいってこと。
だから、できることなら、二度と人間は見たくない。
涼香は、愛されたのかな。愛されてたか。あの四人に。悔しいな。あの四人に教えてやりたい。「怪物になってから、お前らのことなんか、涼香は忘れたよ」って。
きっと、あの四人は、笑って許すんだろう。悔しい。私だって、愛されたかった。
どうしようもなく悔しい。
きっと私は、涼香に嫉妬してるんだ。こんなに醜い感情を持っているから、愛されないんだ。
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はい!皆さん!お久しぶりです!
イカとにゃんこです!覚えてる人いますかー⁈
覚えてる人はレスください!
実は、部活を辞めたり、勉強したり、ベース弾いたり(おい!)で忙しかったので書き込みできませんでした。(苦しい言い訳)
これからもよろしくです!(急だな!)

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#⒊25

風花視点


え?話数が中途半端だって?
しょうがねえだろ。読んできゃ、わかるから。

涼香を連れてきてから、数時間後。
あの後一人で人間界に行って、涼香のそばにいた奴らに聞いてきた。
どうせ、斬りかかってきたり、即座に銃で撃たれると思っていた。

しかし、現実はそうじゃなかった。
美月とかいうやつは、襲いかかってきたが、結月ってやつが止めてくれたおかげで怪我せずに済んだ。その後に、結月と二人で話をした。

「涼香は?変わってないよな?」
そう聞かれた。少しだけ悲しそうな顔で。
前にも見たことがある、この表情。人間らしい、
その表情。
「多分、この世界でのことは、忘れてる。
思い出すことはできるが、そうそう思い出さない。」
そう答えると、
「じゃあさ、せめて、そっちの世界に、ピアノっていう楽器があるなら、弾かせてあげてくれねえか。」そんなことを言い出した。

「良いぜ。おんぼろピアノ倉庫から出してやるよ。」そう笑えば、結月も吹っ切れたように、
「よろしくな!」と言って笑った。




そんなことが二人の知らない間にあった。
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No music No life の次の曲が決まっていません!
皆さん一緒に考えてください!
宜しくお願いします!

この作品の略称も考えてください!

イカとにゃんこ

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3

この先の話は、No music No life っていう小説を読んだ人は知っている筈。ということでその後の話をします。


ベッドの上で眠っている涼香さん。私もこんな感じで吸血鬼になったのかな。そんなことを考えていると涼香さんが目を覚ました。
「ここはどこ?」
涼香さんが私に尋ねてきた。彼女は、あったことを覚えていないらしい。
「…何も覚えてないんですか」
尋ねたら彼女は静かに頷いた。
すると部屋の扉が開いた。
「そいつに干渉しないでくれ。人間に戻りたいとか言われても困るから」そう言いながら風花さんが、その後に雨月さんが部屋に入ってきた。

冷たく言われ風花さんと話す気が無くなってしまった。すると、風花さんが涼香さんを、となりの部屋へ連れて行ってしまった。その部屋には、ピアノがあった。

「これ弾いてたのは覚えてるか?」
そう、風花さんが尋ねたら、彼女は静かに頷いた。そして、静かにピアノを弾き始めた。弾いていけばいくほど、彼女の表情は明るくなっていく。透き通るピアノの音が彼女を笑顔にする。
ふと風花さんを見れば、柔らかく笑っていた。
さっき、冷たく言われたことが嘘のようだった。

きっと不器用な風花さんなりの優しさだと思う。



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長らくお待たせしました!
お久しぶりorはじめまして!
イカとにゃんこです!
ほかのサイトでも、作品を書いていたのですが、
感想をくれる、面白いと言ってくれる、皆さんのところへ帰ってきました。皆さんの声があるから、僕は作品を書いていけます。これからもイカとにゃんこの作品たち、そして、イカとにゃんこをよろしくお願いします!


この作品の略称を考えてください!

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No music No life #8 アディショナルメモリー

時雨視点

どういうこと?何で涼香が怪物にならなきゃいけないの?そんなことを考えていると、ゾンビが
「でも、もしかしたら、人間だった頃のことは忘れるかもしれない。それでもいいのか?お前は。」と涼香に聞いていた。
涼香は少し考えてから、
「それでも、今まで助けられてきた分今度は私助けたい。だからいいよ。なるよ、怪物に。」
「ねえ、ダメ。やめて。」
そう言いたかったけれど、私の口からは、何の声も出なかった。
結月の方を見ると、まっすぐに涼香を見つめていた。そして、涼香は私達の方を見て、一言言い放つと光に包まれて消えてしまった。

「さよなら、大好きだよ」

私にはこう呟くことしかできなかった。

「ごめんね、大好きだよ」



結月視点

涼香は居なくなってしまった。泣き喚いても、
叫んでも、涼香は戻ってこない。
涼香が言い残した言葉に僕は、

「守れなくてごめん。
さよなら、大好きだよ」


そう返すことしか出来なかった。


時雨ちゃんがおかしくなったのは、
調べた通り、あいつらの所為みたいだ。
魔界からの干渉。僕らはそこまできてしまったのか。



涼香が居なくなって数日。
涼香のお墓が建てられたそうだが、その下には、
何も埋まっていないらしい。
また、涼香のピアノを見つめて、1日が終わる。

時雨ちゃんも、美月も、玲も、守らないと。
僕が僕であるうちに。



【#8 アディショナルメモリー 終わり】
【#9 に続く】