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メリーさん

ある日の夜、電話がかかってきた。
『もしもし、私メリーさん。今、あなたの家の近くの墓地に居るの』
どうやら先日捨てた人形が化けて出たらしい。供養の仕方が足りなかったか。素直に神社に頼めばよかった。今更後悔しても仕方が無いので、包丁と電話を手に、壁を背にして次の電話を待った。
『もしもし、私メリーさん。今、あなたの家の前に居るの』
いよいよ来た。さあ、次の電話が来た、その瞬間が勝負どころだ。
『もしもし、私メリーさん』
しかし、壁を背にして陣取る自分に、負けは無かった。無いはずだった。しかし、
「今、あなたの、後ろに居るの」
その声は受話器ではなく、確かに自分の後ろから聞こえてきた。
咄嗟に前に跳びながら背後に向けて持っていた包丁で斬りつけた。何か硬いものに当たる感触があった。
そこには、壁を通り抜けるようにして、何か人の形をしたものの腕が突き出ていた。腕には、包丁が当たったと思われる場所に欠けたような傷跡が見える。あと少し長くそこに居たら、恐らくあれに掴まれ、想像もしたくないような恐ろしい目に遭っていたのだろう。
「もしもし私メリーさん。今、あなたの」
『それ』が再びあの台詞を吐きながら、こちらに進み出てきた。そして、
「後ろに居るの。」
そこで『それ』の姿が消え、声は背後すぐ近くに移った。これにも後ろに向けて斬りつけながら回避。『それ』はまた腕で防御したらしく、先程と同じ感触が腕に伝わった。

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雲外鏡さんと私。

「君は戻してほしい時間ってある?」
「は?誰?いきなり話しかけるとかレディに失礼だと思わないの?」「え〜知らないの?僕だよ僕。」
「わかった。」「えっ!知ってるの?!」
「ボクボク詐欺師だな!」
「違うよ〜、僕のどこが詐欺師にみえるのぉ〜?」
「空飛んでるところでしょ。」
「僕は時間を操る事ができる妖怪だよ!雲外鏡ってしってる?」「知ってるけど、それって鏡とか狸みたいな見た目なんでしょ?あんた思いっきり人間じゃん。それに戻したい時間って言ったけどさ、江戸時代とかに戻るんでしょ?どうせ。」
「失礼だな〜君は。先代の事をそんなふうに言うなんて♡ 僕は昨日にでも戻れるよ〜♡」「………本当に失礼だと思ってる?」
「うん。思ってるよ?僕は多分ね〜百代目かなぁ〜?」「私に聞かれてもわかんないし。」
「一代目の事は昔過ぎてわかんないんだよぉ〜!」
「で?その百代目が私になんの用?」
「だって戻してほしい時間があるんでしょ?」
「そりゃあ誰でもあるでょうね」
「だ、か、らぁ〜!僕が叶えに来たよ(-ω☆)キラリ」
「やっぱりボクボク詐欺師だな!」
「なんで信じないのかな〜、あっ!待って!行かないでよぉ〜!!」

あれから1週間が経ち……。  雲外鏡はまだいた。
「もう。わかったからさ。つきまとうのはやめてよ。授業も集中できないじゃない。」
「おっ!じゃあいつに戻りたいのか教えてくれるのぉ〜?」「しょうがないな〜」
「もったいぶらないではぁやぁくぅ〜!」
「3月31日!」
「えっ?そんな最近でいいの?」
「えっも何も、願いを叶えてくれるんでしょ?」
「うん。叶えるけどなんでその日なの?」
「それって言わなきゃだめ?」
「ううん。言わなくてもいいけど、ただ僕が気になっただけ。」  「秘密だよ。いつもと変わらない“当たり前”をもう一度味わいたいだけ。」
「?」「雲外鏡さんにはわからなくていいの!ほら!はっやっく!!!!!」
「じゃあ行くよぉ〜!!!!!3月31日へ〜レッツゴぉ〜!!!」

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4月1日、気づいたらノートに書いてた。

君と“サヨナラ”をして“いちにち”経って
やっと気づいた。  君の大切さを。
 
眠れない夜を抜け、味のしないスープを飲む。
音が流れないラジオ、片耳壊れたイヤホン。
君の声が聴こえなくて。闇の中へ落ちた感触。
涙腺が壊れて、涙が頬をつたった。
I LOVE では伝えられないような気持ちだ。
僕の心の中を君にみせられたらいいのにな。
君とバイバイをすることに
僕は意味を見つけられないんだ。

君と“サヨナラ”をして“いちにち”経って
やっと気づいた。  君の大切さを。
ガバガバした涙腺を直せるのは君だけなのに。
僕は取り残された。
君に振り向いてほしかったけど、君は夢のために僕をおいてった。

夢を追いかける君、応援したい僕。
寂しい思いを隠し、笑ってサヨナラした夜。
君の声が聴こえなくて。闇の中をさまよった時間。
涙腺が壊れても涙をこらえた日。
I LOVE では伝えられないような気持ちを。
僕の心の中を君にみせられたらいいのにな。
君とバイバイをすることに僕は意味をやっと見つけられた。

君との“サヨナラ”をして“いちにち”経って
やっと気づいた。   君の大切さを。
君のたった一つの人生は君のものだから。
君は今 走り出した。
君に振り向いてほしいとはもう思わないよ。
君は君の人生を生きるのだから。

ありがとう。
また会おう。

したっけね。