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タチウオ_ゑ

田畑、釣りとは真逆の景色をしばらく眺めてぼんやりしていた。

「ついたぞ」
「え?あ、うん」
僕はぼーっとしていて気づかなかった。

小さな漁港であた

父親が誰かと笑談しているのが見えた、すると僕は父親に手招きされた。

「緒方。父さんのこうこうの同級生、もう何年ぶりだろうね」
「6くらい?」
「えだって三島でやった同窓会以来だもんね、んあ、そっかほら挨拶」
「よろしくお願いします」
僕はぎこちなくお辞儀をした。
「今は漁師やってて、父さんとよく釣りしてた。」
なるほど、しかしそんなことはどうでもいい。
「何を釣るんですか」
「太刀魚」
緒方さんがそういうと間も置かずに父が
「うまいぞぉ」
と、言った。

僕は船酔いには幸運にも強いようで、特に問題はなかったが父は、一回リバースをして今は寝っ転がっている。

「ポイントついたよー」
親父は人が変わったように起き上がって、釣竿を手に取った。

「うわ!」
突然のことであった。
油断した、掛かった。思ったよりだいぶ重い。
「そのままそのまま!自動で巻き上げる」
緒方さんが手を添えてくれた、ウィーンとリールが音を上げる。アドレナリンが、溢れてく。
「これでかいかもな、、、」
父さんも、釣竿を置いて覗きにきた
「見えてきたほら!」
「おっきい、、、!」
僕は思わず声を漏らした。初めて見るその魚体は、細長美しかった。手動で巻き上げる。強い引きなど気にならないほどに溢れるアドレナリンが、僕を夢中にさせる。

気ずけば息を切らしながら、足元でのたうち回るタチウオを眺めていた。
「指5本分の幅、最高にうまいぞこれ」
緒方さんが魚掴みで掴んだタチウオを僕にわたした。
「おっも、、」

僕の口角は、上がりっぱなしであった。そのことに今更気づき、僕は無理のある照れ隠しを一瞬しようとしたが、やはり、、、

「ううぇい大物ぉ、はいチーズ」

いつのまにか父さんが僕に向けたスマホのカメラに、僕は堂々とタチウオを持って、笑って見せた。

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タチウオ_ゐ

僕は眠ろうとしていた。部活にも入っていない僕には、三連休の明日日曜日にも明後日にも予定などない。もちろん今日も。なのに、僕は早く寝る。そうなんか、そーいうプライド的な何かであろうか。
「もう寝るのか?」
父の質問に僕はうん、と無機質に答えた。
「明日5時半に起きろ」
「え?」
「どうせ明日も明後日も暇だろ?起きなかったら父さんが起こす」
なにかしてしまったのだろうか。いや、声は怒っていなかった、むしろ高揚感と言うべきであろうか、そんな含みを感じた。
今までの経験から早起きした時は、家族旅行か、修学旅行か、僕の収納付きベッドから落下してきっぱり目が覚めてしまった時くらいである。この経験から、なんとなく察した。僕にも無自覚に高揚感というべき感情が芽生えた。

翌朝、置き時計のアラームより数分早く起きた。
重たい瞼を擦りながら、顔を洗う。

物置から音がした。

「何してるの父さん」
寝入りそうな声で聞く。
「見れば、、よいしょっ、、わかるだろ」
クーラーボックスと知らないいくつもの釣具。こんなものが眠っていたのかと、僕の瞼はそれと対照的に開いた。

僕はすぐにウェアーや、シューズや、、、身支度をして、自身の釣竿を持って、飛び出した。
父はすでに運転席に居た。
「昔を思い出すよ」
父はそう言った。
僕は中身のある返事をした。
「うん」

136号線を、北上する。父の運転する黒の小型バンが映えるほどに道は空いていた。まだ陽もだいぶ低い。

熊坂ICから高速に乗る。
眠れなかったは、MP3プレイヤーから耳につけた有線イヤホンに経由してきこえる、ラジオの音のせいでない事くらいは、多少の自覚があった。

東名高速を走り抜け横浜へ、東京湾を渡る。どこへ行くのだろうか。
手動で再チューニングする。違うラジオが聞こえた。

左右ともに、といいつつ左側車線の日本では右側の太平洋など見えもしなかったが、内陸側にはこの朝の光の絨毯を航行するタンカーや貨物船が見えた。

千葉に入っても車は進む。一度パーキングで食事と休憩をとったくらいである。
シートベルトを不器用に指でこねくり回しなが問た。
「どこ行くの」
「鴨川」

一言であったが僕は満足である。
 

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上流

私は原付バイクを買った。中古で安かった。

理由は単純、コスパとタイパの改善。自転車が面倒だ。
現代人の皮肉を日々考えてから寝るような、いやーな毎晩を送っている私には、少し負けた気がしたが、口角はどうだったのだと聞かれれば、頬を掻いてそっぽを向くしかないだろう。

ものはホンダのハンターカブ。
ここ山梨は上野原。不便なもので、バイクを買ってからというもの、都会でいう歩きとようやく同等になれた気がする。

ただの移動では勿体無い気がした。何か刺激が欲しかった。夢も特に何もなく成り行き任せに生きているせいで、成績もぼちぼち、高校も中の下、そんな私は今更何を思った。

「この文のタイトルは色彩となっていますが、なぜ色が一切ないこの詩において、タイトルは色彩なのでしょうか?意見をタブレットで配布したシートに入力して10分後提出してください。」
なーにが色彩だ。

皮肉なものだ。ノートの価値はどこあやら。

あ、また始まった。私の皮肉思想。
、、、、、、、歩きの距離、、、、、、、、
いや、、、、ダイパだとかコスパだとか頼ってケチケチしてて、いままで何か変化があっだろうか、いやなかった。確実に言えるな。

「ふぁっ疲れたぁ。」
『お疲れ様。はい、水。』
「ありがとう。」

南下して東海道。国道1号線に合流して、一度東京に行ってから、折り返し。
「もうやだよーこんなぁ。」
串本岬。横に止まっているのは私と友人のハンターカブ。

『じゃぁその口角はなんなんだよ。』
喉の奥で笑いながら言っている。
私は、頬を掻きながら言う。
「別に。」

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ファースト・テンプレート 3

『おぉ済まんな中木』
「いいぇ、なにかあったんですか?」
迂回路はかなり正解だった、30分ほどで会社に戻れた。あとでこのSUVを洗車にでも連れてってやろうと思った。
会社に着くなり、私は会議室に来るよう言われ、数時間前のデジャヴのような感じがした。
本来私がいるべき場所ではない。私の地位は社内では上の方とは言え、次長。この社内で会社の重要なことを決める『本会議場』にいるはずがないのだ。
パンっ!
副社長の来栖が一つ手を叩く。
『今回、社長、専務、営業管理部長の三名をのぞいたみなさんに集まっていただきました。結論から言いますと、先の三名は来週書類送検される予定です。』
あまりに急すぎる、会議室がざわめき出した。
『緊急で先ほどここのメンバーでのグループLINEを作りました、そこに音声ファイルが共有されているはずです。』慌てて他の役員がスマホを取り出す。取り乱しているのだろう、普通は会議が終わった後に確認するはずだ。
ん?
なんだろうか、来栖が私に視線を送った。冷静だと思っていた自分が冷や汗をかいていたことには、そこで初めて気がついた。
走馬灯のようにめぐる思考。払い切れていないローンに、会社の規模からに起こる明らかなイメージ低下、それによる減給。転職か?それしかないだろ。どこに転職か?妻にはなんと言えば良い?
とりあえず、この会議、嫌な予感がする。私の転職を許さない何か、また、これからの現実を押し付けられら何か。

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ファースト・テンプレート

腕時計は時計は10:30を指していた。
『朝は涼しかったのに、急に暑いですね。』
私は、銀座の取引先の会社の最寄りの駐車場にSUVを停め、久々のダッシュで来た。
ブレザーを脱いで鞄に仕舞うと、取引相手の部下らしき人が、ペットボトルのお茶を置いた。
「もう、ほんと参っちゃいますよ。」
それっぽく私は、口角を上げた。
『失礼します。』1つ会釈をして部屋を出た。

「あ、どうも!すみませんお待たせして。」
私は取引相手が入室し慌てて立ち上がり会釈をした。
『あぁいいよそんな、まぁ疲れたでしょ。エアコン付けるよ。』
「あぁ…」反応に困る。
「すみませんほんと。」
この手、相手のご厚意に甘えたいところだが、私は素直に育てられたゆえ、これからの罪悪感に耐性がない。
…
『あぁ、いいじゃん、こっちでも考えておくよ。』
「あぁ、ホントですか?!ありがとうございます。」
契約は順調。と、いったところだろうか。私は午前の仕事を終え、近くのコンビニに向かった。
交差点、信号をを待っていると、突然電話がかかってきた。
『あ、もしもし中木君?』
「はい、何かありましたか?」
『あ、いや急ぎでこっち戻ってきてほしい、まじで緊急。』
何があったかはよくわからないが、とりあえず私はSUVを走らせ、迂回路を通り会社に向かった。

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ファースト・テンプレート

夏は早く長く、アブラゼミはしぶとく生きている。おそらく蝉の寿命が一週間だなんて嘘だと思う。猛暑、猛暑、猛暑…。三寒四温からの真冬日からの春後半、初夏の気温は当たり前だ。まるで今が夏みたいな言いぶりだが間違えない春だ。今言ったのは忘れてほしい、去年の話だ。

変な気温は、頭でわかっていても体は追いつかないみたいだ。
「あれ、沢本は?」
「風引いたって、なんかあれだよ、寒暖差アレルギーか。」
ふーん。
現代人は働き過ぎだ。
「あ、じゃぁ銀座の方まで行ってきます。」
おぅ、と一言言われ、資料だけ取ってすぐさま私は駐車場に戻った。初任給と貯めてきたバイト代で5年前に買ったSUV。ラジオは今日の渋滞情報を流す。
午前8:25分

ー海老名IC付近を先頭に上りに10kmの渋滞………ー
今日は三連休の月曜日。皆は帰宅ラッシュとやら私とは無縁の物にまんまとはまっている。

「まじか…」
一部が高速から時間短縮のために一般道に流れたらしい、少し混んでいる。
……………
完全に止まってしまった。私は今日の契約先と、会社に事態を知らせ1時間ほどの遅れを許してくれた。なんと心の広い。
周りをチラチラしていると車窓の向こうの車窓の向こうから手を振る人がいた
「あ、!さか…」気づいて窓を開ける
「酒井さんじゃないですか!」
『久しぶりだね』
学生時代のバイト先の店長である。
「混んでますねぇ。」一拍置いて酒井は懐から一本のタバコを取り出す『まぁ仕方ないよ。』足を組んで答えた。「酒井店長、タバコ変えたんですね。」ようやくこっちを見た。『あぁまぁ、あんまりうまくないけど、ニコチンとか少ないヤツにしてね、まぁいつかは、タバコを辞めたいな。こんな調子じゃ無理そうだけどな笑。』私は愛想笑いをする。
車が流れ出し、私は会釈をして窓を閉じようとした。
『あ!中木!』
「なんですか?。」すっと酒井は私を指さした。『今を生きろよ、じゃ元気にやれよ。』
「酒井さんこそお元気で。」
こんどこそ窓を閉め、アクセルを踏んだ。