表示件数
0
0
0

厄災どおるtutorial:嘘吐き煌星 その⑤

「……あなたの仕業か」
目だけをサユリに向け、少女は低く言う。
「だとしたら?」
「まず、あなたから」
倒れた体勢のまま、少女がロケットのようにほぼ水平に飛び出した。サユリは再び地面を揺らしたが、空中にいる少女に影響は無く、一瞬のうちに接近した彼女によって、サユリは両足首を切断されてしまった。
「っ!」
既に切断されている右腕を伸ばすが、透明な体内液が飛び散るばかりで、少女を止めることはできない。
更に踵を返した少女が、心臓目掛けて刺突を放ってくる。サユリは倒れ込みながらも身体を大きく反らしながら躱し、心臓の代わりに左の肩の辺りに刀剣が突き刺さる結果となった。
「……捕まえた!」
右腕の肘を刀を握る少女の腕に絡みつけ、残る左手で肩の辺りを掴み、自身の倒れる勢いも利用して引き倒す。
「は、離せ……ぎッ⁉」
サユリの左手から少女の身体に、強烈な振動が一瞬伝わる。全身へのダメージで一瞬意識が飛び、気付いた時にはサユリを下敷きにうつ伏せに倒れ込み、後頭部を呪術師の男性に抑えられていた。
「ぅぁ……」
「悪い子だ……少し大人しく、してもらおうか!」
男性の手から、呪術的エネルギーが直接注ぎ込まれる。少女は一度大きく痙攣し、脱力しきって動かなくなった。

2
0

厄災どおるtutorial:嘘吐き煌星 その④

「そ、ソラ?」
「はぁ……我らが主さまはこれだから……コイツの手が見えないんですか」
ソラの言葉に男性が改めて少女の右手を見ると、手の中には長さ数㎝の刃が握り込まれており、それは男性の胸元にまさに突き立てられようとしていたところだった。
「なるほどォ? コイツ、まだ呪力が足りてないモンで暴走状態が収まってねーわけだ。言っとくけど私は手伝わないぞ?」
イユの言葉に男性は頷いた。それと同時にソラが少女を押し返すが、少女は飛び退くように躱し、それまで握っていた小さな刃の代わりに刃渡り50㎝ほどの片刃の刀剣を生成した。
「サユリ! その子を止めてくれ!」
「了解です、未熟なマスター」
向かってきたサユリに、少女が斬りつける。サユリは身体を大きく反らせて回避し、刀剣を持っている方の手を掴もうとする。少女はそれを素早く手を引きながら躱し、ついでとばかりに伸ばしてきたサユリの手首を切断した。
「っ……! 速い……」
少女が飛び退き、サユリは呪術師の男性を庇うように位置取りを調整した。
「サユリ。何とかしてあの子に直接触れたいんだ。手伝ってくれるね?」
「……まぁ、マスターはすっ鈍いから、1人じゃあの子に近付く前にナマスにされちゃうのは分かりますけど……たぶん、あたしじゃ抑えられないと思うので、粘っていられるうちにさっさと決めてください」
「ああ、やってみよう」
少女が再び距離を詰めようと駆け出す。その瞬間、突如バランスを崩し勢い良く転倒した。
「あれ……? 足元が、急にゆれた……?」
立ち上がろうとして、再び頽れる。

0

ほーりーふぁいと せってい

一応設定を端的にまとめて投下します。題名に他意はないです。普通に聖なる喧嘩です。

世界観︰田舎。堕天使(片羽)への偏見がすごいとこ。人間が地上に神殿作ると、天使が別荘的な扱いで住んでくれたりする。

ティノ
種族…堕天使。元は普通の天使。
権能…でかいスピーカー。羽を失う前は、半径2km以内の生物の鼓膜を破くこともできた。今は市販のスピーカーレベル。
性格…勇気はあるが押しに弱い(?)巻き込まれ体質で何もやらかしてないのに片羽になったりする。可哀想。

リリィ
種族…天使。この地域では稀有な四枚羽。
権能…レーザービーム。当たると焼き切れる。一気に光線を隙間なく出せる範囲は最大で半径5kmくらい。(現状小説では使ってない)
性格…めっちゃ強気。短気。一応女の子として生きてる。昔やんちゃした頃いろいろあったのでアーサーは嫌い。虫と同じくらい嫌い。

アーサー
種族…悪魔。この地域では稀有な二又。
権能…武器の生成。本人が武器だと認識しているものに限る。また、内部が複雑なものは生成に時間がかかる。本人が銃好きなので銃ばっか作る。
性格…女心わかんないタイプの運動神経良い男子。偏見はない筈だがデリカシーとか倫理観が足りないので失礼なこと言いがち。リリィは嫌い。

0

厄災どおるtutorial:嘘吐き煌星 その③

呪術師の男性、イユ、サユリが一足早く現場に駆け付けると、中年男性が血のついたナイフを振り回しながら滅茶苦茶に周辺の人間に切り付けようとしていた。周囲には数人、倒れている人間も見られる。
「イユ!」
「あー? 私に何か頼むんじゃねーぞ? 殺すぞ?」
「……分かったよ。サユリ、悪いけどあの人の気を引いてくれる?」
「了解です、マスター」
通り魔の男にサユリが滑るような動きで接近する。それに気付いた通り魔は彼女に向けてナイフを突き出したが、サユリはそれを片手に突き刺させることで止め、通り魔が動揺している隙にナイフを持っていた手ごと捕える。
「捕えました」
「ありがとう、これで……!」
男性はボックスから封人形を1つ取り出し、通り魔の男に向けて投げつけた。まっすぐに飛んでいったそれは通り魔の額に直撃し、そこを起点に暗紫色の煙のようなエネルギーが渦を巻いて噴き出した。
数秒後、エネルギーの渦から気絶した通り魔が吐き出されるように放り出され、渦が霧散する。そこには、白いワンピースを着た少女が立っていた。
「んー、細っこいがなかなか背ぇ高い子ができたじゃん。なァ呪術師?」
少女を見ながら、イユが笑う。
「そうだね……これで終わりなら良いんだけど……」
少女は枯れ枝のように細い自分の手足をしばらくぼんやりと見やり、不意に呪術師の男性の方に顔を向けた。
「……あなたが、わたしをつくってくれたんですか?」
「えっ、あ、ああ、そうだけど……」
少女はふらふらとした足取りで男性に近付いてきた。
「ありがとうございます、わたし、あなたのおかげで今、ここにいるんですね……」
少女がふわふわとした口調で言いながら距離を詰め、手が届くほどの至近距離にまで辿り着く。
「このご恩……どうお返ししたらいいか…………」
少女の伸ばした腕を、ちょうど追いついたばかりのソラが掴んで止めた。

0

少年少女色彩都市・某Edit. キャラクター紹介②

・“受動的ノーツウォーカー”魚沼理宇(ウオヌマ・リウ)
年齢:14歳  性別:女性  身長:147㎝
芸術:アーケード音楽ゲームプレイ  衣装:学校制服風衣装(ブラウス、セーター)
タマモの戦闘スタイルに憧れてリプリゼントルになった少女。趣味は音ゲー。体力の都合で1日3クレジットまで。
戦闘時は長さ30㎝程度の棒を2本描き、リズミカルに攻防一体の連打を放つ。多少の変化はソフランで慣れてるから大丈夫だけど、やっぱり一定のリズムの方が楽だなー……って。
絵はあまり得意では無いので簡単なものしか描かないというか描けない。代わりにインキに手を突っ込んでコーティングするようにガントレットを生成したりもする。
個人的「打撃ダメージによって内臓ズタボロにして血を吐きながらも強気に笑って戦い続ける姿が似合う子」No.1。ナニガシの寵愛を受け、出てきたら大抵酷い目に遭う。

・“モデラー”ぬぼ子
年齢:10代後半  性別:女性  身長:159㎝
芸術:3Dモデリング  衣装:サイバーパンク
『雨野ぬぼ子』の名前で活動している動画投稿者。主な動画ジャンルは3DCGアニメーション。とある目撃者の証言によると、「3Dモデリングソフトを起動して、直方体のCGモデルを生成した。そこから腕組みをして何やら考え込み始めたので、5分ほど席を外し飲み物を買って戻ってきたところ、姿勢は全く変わっていなかったにもかかわらず画面の中に極めて精緻なヒトの腕のモデルがあった」とのこと。ガラスペンの使い方も独特で、3点を指定することで直方体を瞬時に生成し、拡大・複製して相手を押し潰す戦法を得意としている。
よくコーヒー飲料やエナドリを飲んでいるがカフェインはもう効かない。美味しいから無問題。
素の性格は引きこもりの陰キャだが、人前では行動力ある明るく面倒見の良いお姉さんを演じるようにしているため、他のリプリゼントルからは大人気。

0

少年少女色彩都市・某Edit. Modeling Master Amenonuboko その⑥

「すごかったじゃない、新人くん。この調子なら、私なんかいなくても十分やっていけると思うよ」
勝利を収めて呆然としている新人くんの背中に声を掛ける。
「あ、ぬぼ子さん。いえそんなこと無いです。ぬぼ子さんが後ろ盾になってくれたおかげで、安心して戦えたので」
「けど君、すごいねぇ。動物描くの上手いし、あのうさぎさんなんか勝手に動いてくれたよ?」
「え、何それ知らない……あのウサギ、何したんです?」
「あの芸術家さんについて行くように言ったらその通りにしてくれたよ」
「へー……。と、取り敢えず」
新人くんがガラスペンを軽く振ると、馬やサイたちは消えてしまった。きっとうさぎさんも消えたんだろう。
「今日はついて来てくれて、本っ当にありがとうございました!」
新人くんが頭を下げてきた。
「良いよ。また何か困ったことがあったら遠慮なく言ってね? 夕方以降と土日は大体空いてるからさ」
「はい、また機会がありましたら、ご指導よろしくお願いします!」
「うん。それじゃ、私はのんびり歩いて本部に戻るから、じゃーね」
新人くんに向けてひらひらと手を振りながら別れの挨拶をして、眠気を思い出しつつあった身体を引きずりながら本部の私の休憩室を目指した。

0

厄災どおる tutorial:嘘吐き煌星 その②

呪術師の男性がサユリにも声を掛けようとすると、彼女は既にそれまでいた場所から離れており、肩掛けベルト付のボックスを男性に対して差し出していた。
「はい、マスター」
「え、ああ、ありがとうサユリ。助かるよ」
「気にしないで、マスターはただの人間だからわたし達が助けないと無能のクソ雑魚ナメクジだから……」
「あっはい」
机上の籠から封人形を十数個ボックスに放り込み、男性はボックスを肩にかけ扉に向かった。
「じゃあ、行こうか」
「「「了解」」」
3人の答えを背に、男性は部屋を出て、そのまま街へと繰り出した。

呪術師の男性を中心に、3mほど前方にプラスチック製のバットを肩に担いだイユ、隣にサユリ、2mほど後方に通信端末を手にしたソラがついていく形で一行は街を見回っていた。
(はぁ……めんどくさ……。いやたしかに戦闘能力でいえば私が1番弱いよ? だからって電話番任せるとかさぁ…………我らが主さまはさぁ…………あ、良いこと思いついた)
ソラは能力を発動し、自身の周囲に微弱な電磁波を流した。
(はーいジャミングかんりょー。これでもう電波が悪いので連絡つながりませーんざーんねーんでぇしたぁー)
内心だけでほくそ笑み、ソラは空中を漂う電波から電脳世界の情報を閲覧し始めた。
「……あ」
「どうかした、ソラ?」
小さく呟いた声に、呪術師の男性が立ち止まり、振り返って尋ねた。
「主さま、近くに通り魔が出たそうです」
「具体的な位置は」
「進行方向から右に2ブロック、前方3ブロック」
「分かった。みんな、少し走るよ」

3

【非公式】少年少女色彩都市・公式キャラクター紹介

少し前にナニガシさんも参加したリレー小説『少年少女色彩都市』のキャラクター設定を、ナニガシさんの主観で雑に乱暴に書いていきます。より詳細な設定は原案のテトモンさんや企画者の点Pさんがきっと書いてくれる。
・叶絵さん
芸術:イラスト/ポップなアニメ調の人物画(部分)、ダークなアニメ調の背景
衣装:ピンクいワンピース風の衣装
本作主人公。イラストを描くことだけが取り柄の少女。妹が優秀過ぎてコンプレックスの塊。プレリュードが前奏曲であることだけは何故か知っている。得意分野はポップな感じの人物画とダークな感じの背景。鳥さんも描ける。でもこの子、全身画描けないんだよな……。多分SNSや投稿サイトに絵を出しちゃいけないタイプ。ちょっとでも叩かれたら唯一の取り柄もへし折られて死ぬしか無くなる。
・薄紫色の少女
芸術:イラスト/トゥーン調モチーフ不問
衣装:華美な装飾の薄紫色のワンピース
リプリゼントルの中でも特に強い部類らしいリプリゼントル。クソガキ。ちっちゃくて(重要)強い。嫌いなものは嫌いと言う子。彼女がものを描いてる描写はナニガシさんしか描いてないからナニガシさんがいくらでも設定用意して良いよね。ちなみに本名は知らないけどナニガシさんは臼村早紀(仮称)って呼んでる。ウスムラサキ。本名気になるね。
・和湯典礼
芸術:演奏/バイオリン
衣装:燕尾服
音楽を得意分野とする少年。バイオリンを描いて演奏すると相手は干し肉になる。コワイ!
けど燃費がたいへん悪いようで1日に何度も戦えない。あとお兄さん、演奏専門の割にきちんと弾けるバイオリン用意できるなんて、絵ぇ描くの上手いねぇ。やっぱり普段から見慣れてるものは描きやすいんだろうな。
・和湯のお姉さん
少年の姉貴。本名はテトモンさんの頭の中にある。元リプリ。ガラスペンはまだ持ってるけど、芸術性は既に枯れかけてるらしい。そりゃ有能な芸術家は早逝なもんだけど、芸術性だけ死んでるなんて何があった?

0

少年少女色彩都市・某Edit. Modeling Master Amenonuboko その⑤

白蛇から下りた芸術家さんをエベルソルから守るため、まずは防壁を生成する。次いで両脇を固めた避難路を形成し、避難を指示した。
「避難完了ヨシ。……さて、あの人の避難に最後までついて行ってあげるべきか、新人くんの戦いを見守っておくべきか……そうだうさぎさん」
腕の中に抱いたままのうさぎさんに声を掛ける。
「あの人について行ってあげてくれる?」
うさぎさんは私の腕からするりと抜け出し、芸術家さんの後を追うように走り去っていった。
「民間人の警護ヨシ。新人くんは頑張ってるかなー?」
階段を生成し、防壁の上から顔だけ覗かせる。新人くんは2頭の馬を前衛にしながら蛇に攻撃させ、また別の何かを描いている。今度は何を描くのかな?
結構大きい動物みたいだ。がっしりしていて、重厚な体つき。太い四肢。鼻から生えた太い角。
あれだ、シロサイ。アフリカゾウの次に重くて大きな陸生哺乳動物。
新人くんの指揮で、サイが突進する。馬たちが横に躱すのと同時にエベルソルと衝突し、敵を数mもふっ飛ばしてしまった。
「そのまま、轢き潰せ!」
新人くんの指揮に従ってサイはエベルソルに突進し、その重たい全身を使ってぺしゃんこに潰し倒してしまった。

0

厄災どおる tutorial:嘘吐き煌星 その①

“対策課”の一室。その入り口に近付く気配に、少女は仲間たちに無言のアイコンタクトで意志を伝えた。仲間たちもまた無言で頷き、陣形を完成させる。
そしてドアノブが動いた瞬間。
「突撃! 殺せぇー!」
少女の合図と同時に、入室してきた人間に少女らが一斉に飛びかかった。瞬く間にその人間をうつ伏せに押し倒し、少女は背中の上に飛び乗った。
「いっひっひっひっひ……制圧完了」
満足げに笑い、少女は押し倒された人間――その呪術師の男性の背から下り、仲間たちに解散の命を送った。
「やあ、イユ……また新しい手口かい」
呪術師の男性が苦笑し、立ち上がりながら少女――イユに呼びかける。
「ああ、こないだ本で読んだんだ。たしか……何つったっけ? ソラ、あれ何ていったっけ」
小学校低学年程度に見える小さな少女、ソラはおずおずとイユの隣に近寄りながら答えた。
「たしか、ねっさつほーきゅーっていうんだよ。ミツバチがスズメバチを取り囲んであっためて殺すの」
「そうそれ。流石にちと数が少なかったかな。いくら私らの体温がぽかぽかといっても、さすがに3人ぽっちで蒸し殺すのは難しかったか。おい呪術師ィ、あと10人くらい仲間増やせよ。その時はきっちり熱殺してやる」
「そうかい……努力するよ」
最後の1人の仲間、2人よりいくらか年上に見える少女、サユリが2人の近くに寄っていったところで、呪術師の男性はあらためて3人に向き直った。
「それじゃあ、出掛けるよ。ソラ、通信手をお願いできるかな」
「うっわまた私にそういう面倒なの押し付ける……」
それまでの自信なさげに背中を丸めた姿勢は変わらず、表情と口調だけは刺々しくソラが答える。
「イユ、人形のストックは?」
「そこの机の上にあんだろー。個数はまだそれなりだし、この間発注した分は明日到着だし。あ、私に荷物持ちなんかさせんなよ? させたら殺すからな?」
「分かってる分かってる……」

0

視える世界を超えて エピソード6:月夜 その⑪

「よく頑張ったね。君、立てるかい?」
しかし種枚が少女に向けた言葉と口調は飽くまで優しいもので、少女はすぐに緊張を解き、自分の身体を見回してから、首を横に振った。
「そうか、なら家まで送ろう。未成年の夜遊びはよろしくないからね」
「……ありがとう、ございます」
少女に背中を向けると、少女は身体を引きずるようにして種枚の肩に縋りついた。
「よし、道案内は頼むよ。おい馬鹿息子、刀の方はお前に任せた」
「いや初対面の子の目の前でその呼び方マジでやめてくださいって……」
2人は少女の指示に従って彼女の自宅に向かう。到着した場所は広大な敷地面積を誇る平屋の日本家屋であった。
「ここです。……もう、大丈夫です。ありがとうございます……」
少女は自分から種枚の背を下り、鎌鼬から受け取った刀に寄りかかりながら、最後に二人に向かって1度頭を下げ、足を引きずって入っていった。

「……しかし、良い子を見つけたな」
それからも街中を駆けては怪異を狩り続ける種枚だったが、ふと思い出したように呟いた。
「良い子って……あの子ですか? 刀の?」
「そう。……あの子は、『金』かな」
「きん? ゴールドですか?」
「いやァ……? キヒヒッ、これからもう少し素敵になるぜ」
次の獲物を求めて再び駆け出した種枚の眼は、既に金色に輝く人外のそれだった。

1

Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり キャラクター集

・堕天使
追放組の堕天使。反逆については自分馬鹿なことやったよなー……くらいの認識。何かもう色々とどうでも良くなって現在は孤独に天使と悪魔の研究をしている。権能は『武器使用の最効率化』。片翼を失って尚その力は衰えず、というか元々そこまで強くない権能であり、雑に言うと武器扱いの品物で発揮する威力が結構高くなり、扱う腕前も強化されるというもの。

・悪魔氏
異形態は鼠色の不定形の物体。スライムみたいな見た目で『首』という概念が無い。また、心臓の代わりに全身の体組織と血管が直接血流を発生させており、『心臓』も存在しない。人間のことは混沌発生器だと思ってるから割と好き。好きだから天使や悪魔のせいで死ぬところはあまり見たくない。天使のことは悪魔を攻撃する分には特に何とも思わない派。でも陣営単位では対立してるから遭遇したら死ぬほど煽り散らす。権能は『人間の死の奪取』。何、大切な人に死んでほしくない? 良いね、優しい願いだ。叶えてあげよう、『死なないだけ』で良いなら。

・天使氏
不幸にも巻き込まれたちょっとかわいそうな天使のひと。対立過激派で堕天使や悪魔を見下し嫌っている節がある。人間のことは守らなきゃいけない存在だと思っているので、人質にされると弱い。権能は『電撃の操作』。ビリビリのバチバチ。

・人間さん
天使氏がいなければ巻き込まれなかったであろうガチでかわいそうなホモサピ。

0
0

Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その⑨

青年が片手剣を構え、悪魔氏に突撃する。悪魔氏はすぐに不定形の物質に姿を変え、回避を試みる。けれどあまりにも素早い斬撃の連続に変形が間に合っておらず、みるみるうちに床と壁、天井が悪魔氏の血飛沫に染まっていく。
「こ、これはやべェ……再生が追い付いてねェや。ガチで強いなこれ。お前なんでロングソードなんか使ってンだよ」
少し小さくなった鼠色の物質が震えながら言う。
「射程はあった方が得でしょうよ」
「たしかに」
短い会話の後、また青年が斬りつける。鼠色の物質は変形による回避を止め、部屋全体を飛び跳ねるようにして回避を試み始めた。これによって悪魔氏の回避率はだいぶ向上したように見えるが、それでも先ほどの7割程度の攻撃は継続して直撃しているように見える。
「あッ」
しばらく跳ね回っていると、悪魔氏が素っ頓狂な声をあげて扉に激突した。そこに青年が斬撃を加えたことで、勢いで扉が吹き飛び、悪魔氏が室外に押し出された。
「あっ」
「お前……鍵くらい掛けとけよなァ」
「してたのに壊れたんですけど」
「そっかー。ンじゃ、開いたから取り敢えずそこのカワイソーなヒトカスは追い出して良いか?」
「天使さんごと放り出しといてください」
「アイよ。危ねーから天使の方の拘束は放置で良いか」
「そうですねー」
青年が私に近寄って来て、手足の拘束を片手剣で切ってくれた。
「それじゃ、お帰りくださーい。あなたの住んでる町は東に歩いて半日ほどなので」
青年と悪魔氏に見送られながら、その部屋……というか小屋を後にした。

0

厄災どおる:設定④

・“疱瘡神”イユ
性別:女性  外見年齢:10歳  身長:136㎝
人形の材質:純鉄  悪意:殺意
災害:とある伝染病  能力:動物を対象とした病的ダメージ
説明:最古の“厄災どおる”。今はもう撲滅されたとある伝染病が国内に蔓延していた頃に生み出され、それからずっと人間のために働いてくれている。彼女を生み出した呪術師は既に死んでいるが、その人が「これからは人間のために生きなさい」って最初に言ってきたので、自分が死ぬまでは人間のために尽くす。
頑固だが融通は割と利き、そして飽きっぽいという何とも言えない性格。しょっちゅう「殺す!」って言うし言った以上は殺そうとするけど、基本的にプラスチック製の玩具のバットで背中とかを引っ叩いてくるだけなのでそこまで危険ではない。
戦闘面においては耐久力に優れ、能力を発動すると周囲の動物(ホモサピはサル目ヒト科やぞ)やどおるは全身から血を噴き出して衰弱し動けなくなる。別に病気になるわけでは無く、単純にその症状に襲われるというだけ。件の伝染病の治療薬と同じ成分で症状の治療自体はできるので、彼女の為だけに治療薬が今も少量製造され続けている。
ちなみに愛称の「イユ」は「癒ゆ(いゆ)」が由来。

0

厄災どおる:設定③

・国定呪術師
封人形を用いて“厄災どおる”を生み出し、どおる達を世話したり災害に対処したりする職業。そこそこ難易度の高い試験とそこそこ長い研修期間を経てようやく就くことができる国家公務員。定年は無い。死ぬまで働いてもらわないと困るので。年1ペースで募集され、1度に10人弱が入ってくる。現在の職業人口はギリギリ4桁に届かないくらい。

・国定人形技師
封人形を制作する職業及びそのために必要な資格。呪術的な素養と単純な人形制作の腕が必要な職人系ジョブ。国から補助金も出るので、結構稼げる。公務員では無い。呪術パートが結構危険なので、なりたがる人はあまり多くない。だからこそ国が金出して人員確保しようとしてるわけで。ちなみに呪術の行使は法律で資格が必要と定められている。国定呪術師の中にはこの資格を持っている者も少なからずいる。

・防災省/呪術対策課
“厄災どおる”関係のお仕事をしているお役人さん達の勤め先。防災省は普通に防災対策やらアフターケアやらに尽力し、その中の呪術対策課が“厄災どおる”についての大体の業務を担当している。『発生している』災害しか対象にできない都合上、初動に対してどおるや呪術師の皆さんは無力なので、防災省のお仕事は結構責任重大。彼らが初手で踏ん張ってくれれば呪術対策課とどおる達が全て何とかしてくれます。壊れた国は防災省が何とかしてくれる。

0

厄災どおる:設定②

・封人形
“厄災どおる”を生み出すための人形。竹の地下茎を切り出し加工した心臓のような形状のパーツに、様々な素材を材料にした人型の人形が抱き着いたような外見をした、凡そてのひらサイズ程度の人形。
人型部分の材質は、生み出された“厄災どおる”の強さに影響する。具体的には身体能力と防御力、精神性あたり。どう影響するかと問われるとちょっと困る。割と色んな影響の仕方をする。
特別な名称があるわけではないが、説明時に呼称は必要なので取り敢えず『封人形』『封印人形』と呼ばれることが多い。

使い方は簡単。災害が起きた時に災害の中心あるいは元凶に投げつけたり押し付けたりするとあら不思議、災害は収まりそこには幼い少年少女が。この行程は道具などを用いて間接的に行っても良いです。
生み出された直後、“厄災どおる”は大抵の場合自我が十分に発達していないので、人型になる前と変わらず暴れようとします。封人形を使用した呪術師が直々に追加で呪術的エネルギーを注ぎ込むか、既に人類の味方をしているどおるがボコボコにして(大抵の場合相手が強すぎて人間には太刀打ちできないので)どっちが上か分からせてから追加で呪術的エネルギーを注ぎ込んで仲間にしましょう。封人形に込められた呪術によって、どおるは大人しくなって呪術師の言うことを聞くようになります。

1

厄災どおる:設定①

・“厄災どおる”
様々な災害(天災、地災、人災すべて含む)を、専用の人形を核として人型に凝縮した存在。
基本的には小学生~大きくても中学1、2年程度の幼い子どもの姿をしており、その男女比はおおよそ男3:女97(1d100で決めた。思った以上に女の子ばっかりで草)。
大規模な災害によって生じるエネルギーが小さな身体に封じ込められているので、体温は高い。最低でも37度台はある。ぽかぽか。
心臓部分には封人形(後述)が入っており、血液の代わりに微妙に粘度の高い透明な液体が体内を流れている。心臓型のパーツが特に意味も無く拍動しているため、脈拍もある。
肉体の成長は起きず、呼吸や食事や睡眠は必要はないが気分で摂る。でも発声のためには必須だから呼吸は大体してる。
ダメージは封人形にも反映され、一度体内から封人形を取り出し人型部分を修繕してから元の位置に戻せば身体もまた治る。それ以外の方法では回復せず(一応体内液の粘度のお陰で時間経過で出血は勝手に止まる)、体内液が切れたり封人形の心臓部分が破壊されたりすると死ぬ。
己の元になった災害を特殊能力として利用することができる。
また、元々人類(それ以外も)を害する存在だったのが無理やり封じられている状態なので、その表れか口が悪い。具体的には言葉遣いに悪意だったり殺意だったり見下していたりの悪感情が含まれているように感じられる。でも呪術的に制限されているので人間のために働いてくれるし人間に悪さすることは無い。能力発動中に偶然範囲内にいた奴の事は知らん。戦闘前に退避しろ。

2

厄災どおる:世界観

よりにもよって3月11日になる3時間前に思いついてしまったため、流石に投稿はどうなんやってなったやつ。別に企画って訳じゃないけど取り敢えず設定だけ書こうね。使える人がいたら勝手に使っても良いよ。

舞台は現代、とある災害大国。現実で言うところの日本語と全く同じ言語文化をしているだけの架空の国家です。小さな島国でありながら複数のプレートの境界上に存在し、気流・海流・周辺地形も複雑に絡み合った結果である、『我が国の特産品は災害である。唯一の欠点は輸出できないことだ』というブラックジョークがあるほどの多種多様な災害件数と、それへの備え、対災害技術は世界でも有名である。
さて、この国において主流のアニミズム的多神信仰において、疱瘡神、疫病神、貧乏神等をはじめとした『人間にとって害になる現象』を擬人化・神格化し、鎮めることでその影響を受けないことを間接的な『利益』として享受してきた歴史がある。
ここに注目し、様々な災害を子供の姿に封じ込め、大規模被害の防止及び人間のために活用しようと確立された半呪術的存在が、“厄災どおる”である(残り半分は防災科学)。
※ちなみにどうでも良いことだけど、どおるによって例のジョークにある「輸出できない」という問題が消えました。国力とか戦力(実力)とか外交とかそういう問題がヤバい。外交関係のお役人さんは頑張ってください。

ところで話は変わるんだが、福島土産に「ままどおる」ってお菓子があるじゃないですか。あれ美味しいですよね。いや特に意味は無いんだが。

0