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cross over

リュックサックが湿っている。雨がしとしと降り出した。玄関に折り畳み傘を置いたままだったことを思い出した。雨が水溜まりを打ちつける音を聞きながら、地面を踏みつける。公園でサンドイッチを食べて帰ろうとスマホのマップで公園を探しながら歩いていた。あ、と、ふと足を止める。自然と足がいつもの抜け道に向かった。高校生に会うということは高校生くらいの歳のトタにとっては辛かった。ただひたすらあの自動販売機を目指す。大通りはご飯屋さんの昼メニューと夜メニューの入れ替えがあっている時間であることに加えて雨が降っているからか人がまばらだった。自動販売機の横には高校生Aの姿がない。その場所で開封されていない水のペットボトルが雨で濡れていた。トタが置いたものよりずっと多い、キャップの近くまで入っている水。服の裾でペットボトルを拭いて、リュックサックに入れる。靴屋さんを曲がると見慣れた景色が広がっていた。喉が渇いていることに気づいて、ペットボトルを開ける。ごくごくと小気味良い音を立てて、喉を通るいつもの水はいつもに増して美味しかった。
「ただいま。」おう、おかえり。と返ってくると斜め前に視線を置いたまま、帽子を深く被り直した。くせっ毛のせいで上手く帽子が浮き上がってくる。何度も繰り返しているうちに、見ていたらしくクスッと笑われた。トタもつられて口角が上がる。目のやりどころを探して外を見ると、雨が降っていたことを思い出した。

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エッセイ的な何か

世の中には「孤独が耐えられない!」「ひとりぼっちだと死んじゃう!」って人、結構いるよね。
それに対して今のウチは、ずっと1人でもなんとも思わないし、むしろ1人の方が気が楽な時があるのよ。
「孤独を好むのは発達障がいのせい」と言えばそれまでなんだけど、正直それじゃあ腑に落ちない。
じゃあなぜか、色々調べたり考察したりしてみると「自己を肯定できているか」って所に行き着く。
「孤独を感じない人」は自分のことを1人で評価できているから自己肯定感が高くなるが、「孤独を感じる人」は他人にばかり己の評価を求めているから寂しがってるそうなんだ(ネット調べ)。
まぁホントかどうかはさておき、寂しがってる人って他人に肯定されたがっているのかなとは思える。
そういう人って、認識の有無を問わず自己肯定感が低そうだしさ。
自分が一時期友達が欲しくて仕方なかった時も、自己肯定感が低かったんだよね(あと普通の人間は友達がいて当然という思想)。
それがどうでもよくなったのって、ある意味学力とか他人への信頼とか色んなものを失って最後に自分の中に己が愛した創作活動しか残らなくて、ひたすらそれを続けていたからだし。
あと歳の近い妹に「大学では好きなことをやっていい」って言われたこともある。
好きなこといっぱいやってる内に気付いたら寂しさを感じなくなっていったんだ。
だから孤独を感じる人は“(コンプライアンスに抵触しない程度に)1人でもできる”好きなことを見つけることから始めてみようぜ。
きっと好きなことに没頭してれば寂しさなんて感じないはずだからさ。

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テーマポエムを作ろうの会 〈企画要項〉(再々掲)

もう6月ですね、早いですね。
…ということで企画「テーマポエムを作ろうの会」の要項の再々掲です。
クドいようですが開催期間は6月いっぱいということにしてあるのでね。
という訳で以下リマインド。

どうも、テトモンよ永遠に!です。
超突然ですが企画です。
タイトルは「テーマポエムを作ろうの会」。
皆さんの作った「キャラクター」とその設定から、他の方がテーマソングならぬ「テーマポエム」を作る多分今までにない企画です。

詳しくルールを説明すると、
①自分が今までに作ったキャラクター(ポエム掲示板への投稿の有無は問わない)、ないし新たに創作したキャラクターの設定をタグ「テーマポエムを作ろうの会」とタグ「(キャラ名)の設定」を付けて投稿します(タイトルはなんでもOKです)。
この時、テーマポエムを作る側にとって作りやすいようできるだけ詳しく、分かりやすい設定を投稿してください。
あとテーマポエムを作る人の制作の参考になるかもしれないので、ポエム掲示板で既出のキャラクターであれば登場作品のタイトルや投稿時期を載せておくといいでしょう。
もちろん現在進行形の物語のため、まだ出せない設定があるというキャラクターは無理してその設定を載せる必要はありません。
② 自分がテーマポエムを書けそうな設定を見つけたら、それに沿ってポエムを書いて投稿してみましょう。
この時タイトルは自分の好きなものを付けても構いませんが、タグ「テーマポエムを作ろうの会」とタグ「(キャラ名)のテーマ」を忘れないようにしてください。
ちなみにポエムを書く時は、設定の投稿にレスを付けるか付けないかは自由にします。
また、同じ設定投稿から複数のテーマポエムができることがあると思いますが、それはそれで良しとしましょう。

という訳で、上記のルールを守った上で企画を楽しんでください!
開催期間は6月28日(金)24時までです。
今回開催期間を長めに設定したのは、ここでは遅筆な方が多そうだからな〜という思っているからです。
ぼくも頑張って韻文に挑戦してみようと思うので、皆さんも気軽にご参加下さい!
それではこの辺で、テトモンよ永遠に!でした〜

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指定席 #2

三両目、一番前のドアから電車に乗る。
この時間はどの席にもいつも同じ人が座っている。
不思議なものだな、と思いながらもいつもの『自分の席』に座る。
四人掛けシートの通路側。進行方向と反対側の席。この席は正直、少し座りづらい。それでもこれまで守り抜いてきた、俺の特等席だ。

最近学校の先生はやたらと話を「将来」に繋げたがる。この勉強が将来何に役立つか、を教えてくれるのではなく、「提出期限を守れていない人が多いけれど、もしそれが大学や会社に出す書類の時でも、同じように期限を守らないのですか?」とか。それが間違っているとも、否定したいとも思っていない。
でもあまりぴんとこないのだ。将来のことを考えようとしても、自分が「今」に夢中になりすぎているからだ。
起きて、学校で朝練をして、授業で寝て、昼休みは昼練で午後の授業も寝る。そして放課後は部活。気づけばずっと、この生活を送っていた。俺には部活しかなかった。進路指導のための学年集会の後に皆が将来のことを話している時も、俺はその横で愛想笑いを浮かべながら(今日のシュートはなかなか良かった)とか(明日は久しぶりに走るだけの日にしよう)とかを考えるだけで、目の前のことに精一杯になっていた。
電車に揺られながら、考える。
俺って何になりたいんだろう……。

車内放送が駅に到着したことを告げる。隣の席の女子が慌てて立ち上がる。彼女が降りやすいように、なるべく足を折りたたむ。向かいでも会社員の男性が同じようにしている。これもいつものことだ。


もうすぐ俺の学校の最寄り駅に着く。
今日も部活のことだけを考えていたい、と思う。


「自分」の中の悩みが、「俺」には気づかれないように。



【悠 Matsuno Yu】
高校二年生
バスケットボール部員
大学のことを考えるのが嫌

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指定席

三両目、一番前のドアから電車に乗る。
この時間はどの席にもいつも同じ人が座っている。
不思議なものだな、と思いながらもいつもの『自分の席』に座る。
四人掛けシートの窓側。進行方向と反対側の席。この席は朝日を眺める特等席だ。

単語帳を広げてもやる気が起きない。赤シートに朝日が反射して眩しい。あの朝日をうっとうしいと思ったのはこれが初めてだ。今まではぼーっと朝日を眺めながら音楽を聴くのが楽しみだったのに。頭に入らないアルファベットの羅列を眺めながら、私は何がしたいんだろう、と考える。
したいことが見つからない。行きたい高校が見つからない。好きなことも見つからない。学校に行って、部活に行って、友達付き合いも忘れずに。そうして家に帰ればまた次の日も学校だ。全て誰かに敷かれたレールの上を進んでいるようで、ぞっとする。私でなくても私という存在が成り立ってしまうのではないかと、矛盾しているような想像をしては一人で落ち込む。その頃には、気づけば手元の単語帳は閉じられていて、車内放送が最寄り駅に到着したことを告げる。

慌てて「すみません」と言いながら席を立つ。隣の高校生の男の人は軽く会釈しながら長い脚を折りたたんで、私が通れるように最善を尽くしてくれる。
電車から降りると笑顔でいなければならない。
いつも通り、後ろから軽快な足音がする。
「和花ちゃんおはよー」
「おはよー、今日寒いね」

悩みを悟られないように、明るく。



【和花 Sakura Nodoka】
中学三年生
吹奏楽部員
高校受験に悩む