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ブルーモーメント

残光が私にさよならを告げ
また明日会えるといい
消えそうになる。
今日は今日だけなのに
もう同じ貴方には会えないのに。

また今日も繰り返した
昨日と同じ時間を
月は昇り始め、
遠い何処かで沈み始める
太陽とは紙一重。

ブルーモーメントに染まりきった空に
煌めいて見えるのは
きっと過去の希望
まだ信じられない貴方を
いつか思い出す日が来るでしょう。

一人でいる夜に
呑まれてしまわないように
未来に縋り付いて
じっと耐え抜けば
あの隙間から抜けてくる
いつかの香りに誘われてしまうんだろう。


群青が貴方にフラッシュバックして
まだ忘れないでといい
過ぎ去っていく。
過去も過去だけで
もう二度と蘇らないのに。

また今日も繰り返した
昨日と同じ失敗を
雲は暗くなり始め
遠い何処かで崩れていく
星とは無関係。

ブルーモーメントの忘れない想い出に
隠れていくのは
きっと過去の自分
また悔やんでいる貴方を
いつか思い出す日が来るでしょう。

誰かと居られる夜に
呑み込まれても帰れるように
未来を思い出して
ずっと待っていれば
あの窓から見える
懐かしさを覚えていくでしょう。


一人でいる貴方を
一番わかっているのは
きっと私だと思うの
生きていく運命(さだめ)には
別れがつきもの
暗闇に吸い込まれそうになったら
また思い出しに来ればいい

ブルーモーメントと私の逆境に
見つけられるのは
貴方に向けた花
また泣いている貴方を
いつか慰めに行けるのだろう。

全てを思い出す夜に
嘆いても立ちあがれるように
今を愛そうと
そう決めて居れば
何処かに残る
未来を掴めるでしょう。

貴方の中の愛しいものに
私が居るといいなと思う
何かに恋するような
夕暮れを迎えて
そしてまた一人を知り
空を見上げれば
光る星が貴方を抱きしめてくれるから。

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墓想造物茶会 Act 22

「…あら、そんなに驚く?」
「いや、初めて聞いたから…」
ピスケスは笑顔で聞き返すが、キヲンは思わず苦笑いした。
それに対しピスケスは、まぁそんなものよと続ける。
「私は明らかに弱い存在は守って当然だと思ってるけど、どう考えても強い者は守らなくてもいいと思ってるの」
だからあなたたちによくしてる、とピスケスはティーカップに口をつける。
その言葉にキヲンは言葉を失うが、ここでかすみが…でも、と呟いた。
「それじゃナツィは守らなくてもいいってことになるけど…」
「あら、そういうことになっちゃうわね」
かすみの指摘にピスケスはふふっと笑う。
「それでも私は歳乃に言われてアイツと連んでたの」
だから上層部からの命令がない限り、動けないとピスケスはティーカップをテーブルの上に置いた。
少しの間その場に沈黙が流れる。
「…ねぇ、ピスケス」
不意にかすみが呟いたので、ピスケスがそちらの方に目を向ける。
「やっぱり、ナツィのこと、探せない?」
「随分しぶといわね」
「やっぱり気になるんだ」
ナツィが、自分たちと“仲良くしたくない”って言ってた理由を、知りたくて…とかすみは自信なさげに俯く。
ピスケスは…そうねぇ、と顎に手を当てる。

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墓想造物茶会 Act 21

「じゃ、じゃあ、ピスケスがボクたちと一緒にいるのは…」
「強力な人工精霊であるナハツェーラーが、“学会”に反抗したり、敵対組織に攫われたりしないように見守るため、ってところかしら」
驚くキヲンに対し、ピスケスはそう言い切った。
その言葉に、キヲンとその隣に座るかすみは目をぱちくりさせる。
その様子を見て、ピスケスはそんなに驚くことじゃないわと2人に笑いかけた。
「魔術師たちの集まりであるこの組織…“学会”は、一般人に秘匿されている魔術で無関係の人を傷つけないために結成されたものなの」
だから、強力な人工精霊が“学会”関係の魔術師のところにいるとなれば、見張っておかなきゃいけないとピスケスは部屋の窓際の席で書類を眺めている自らの保護者…歳乃の方を見やる。
「だから私はアイツに近づいた」
ピスケスはそう言って、テーブルの上のティーカップを手に取った。
「そ、それじゃ、ピスケスがボクたちによくしてくれるのって…」
「あぁ、それはきーちゃんやかすみがナハツェーラーや露夏と違って弱い存在だからよ」
「えっ」
自らの質問をさらりと答えるピスケスに対し、キヲンはポカンとする。
かすみも少し驚くが、露夏は真顔のままだ。

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墓想造物茶会 Act 18

「ナツィがいそうなところを探してもいないし、家にも帰ってないっていうし…」
どこへ行ったのか全然わかんないんだよ?とかすみは返す。
それに対しキヲンは、でもとテーブルに身を乗り出す。
「ナツィがいないと寂しいし、そもそもかすみの元気がないもん」
だから、探そ?とキヲンは首を傾げた。
かすみはでも…と言いかけるが、キヲンはそれを遮るようにかすみ、と声を上げる。
「かすみはナツィのこと好きなんでしょ?」
「!」
かすみは少しハッとする。
「あれ、好きじゃないの?」
「えっ、いや、嫌いではないけど、でも、なんか…」
キヲンに聞かれてかすみはおろおろし始めた。
「ナツィが自分のこと好いてくれてるから、自分もそれなりに返してるだけで…」
実際どうと言われると…とかすみは困惑する。
キヲンはその様子を見て不思議そうな顔をしたが、とにかくさと椅子から立ち上がった。
「ナツィのこと、探しに行こ?」
ボクも好き好き〜なナツィに会えないの嫌だし、とテーブルの横をキヲンは通る。
「とりあえず、ピスケスや露夏ちゃんに手伝ってもらお?」
ナツィが好きかどうか考えるのはあと!とキヲンは椅子に座るかすみに手を差し伸べた。
かすみは驚いたような顔を少ししたが、キヲンが促すように笑っているので断り切れずにその手を取った。

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クイズこれは何でしょう!?

う〜ん…そうですね…
これは…よく使うものです。
よくというか、常にって感じです。
世界中の人が種類は違えど使っています。
生活に、人生に欠かせないものです。
これがないとほぼ生きていけないでしょう。
答えは出そうですか?
…スマホ?
スマホ…ではないんですね〜

えっと他には〜
これは…ほとんどの人が持っていて、使っています。
ですが使う能力、受け取る能力が失われる人もいます。
それでも周りが工夫して、なんとか使えなくても
受け取れるよう協力しています。
…そうなんです!とても『良いもの』なんです。
ですが…それを『悪く』使う人もいるんです。

これはクッションにもなりナイフともなる。
人を受け止めることもできますが、
傷つけることもできます。
これはクッションのように柔らかいわけでもなく、
ナイフのようにとがっているわけでもありません。
ですが使い方によって形が変わるのです。
使う人がどんな形で送ろうと、
形を考えずに適当に送ろうと
受け取る人にははっきり形がわかるのです。

人は、これによって人を傷つけ、生命を落とす。
人は、これによって自分たちを守り、生命を繋げる。
良くも悪くも、人になくてはならないものなのです。
私たちも『良く』使っていきたいですね。
さて、答えはわかったんじゃないですか?
答えをどうぞ!

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二人の囚人がいた。 その②

二人は糊口を凌ぎながら、遂に山麓へと辿り着いた。
星を見た囚人は、整備された山道に気付き、早く登ろうと言った。その言葉で、二人はこの山の安全性を理解することができた。
泥を見た囚人は、もう足が棒だから休もうと言った。その言葉で、二人は久方ぶりに足を止めて疲れを癒やすことができた。

二人が山道を進むと、中腹に小さな村があった。
星を見た囚人は、人形を売って得た金を見せた。村人たちは彼らの価値を理解した。
泥を見た囚人は、下げ慣れた頭を垂れてみせた。村人たちは彼らの礼節を理解した。

二人は一夜の宿を取り、明くる朝山頂を目指して歩き出した。
星を見た囚人は、先陣を切り前を向いて歩いた。その姿で、相方に希望と意志を分け与えた。
泥を見た囚人は、後続して下を向いて歩いた。その目で、相方に安全と道標を指し示した。

小さな二人の手は、山頂に至っても尚星々には遠く及ばなかった。
星を見た囚人は、そういうこともあると慰めた。
泥を見た囚人は、もっと高い山を探そうかと戯けてみせた。

二人の囚人がいた。
一人は泥を見た。星空を夢見る相方が隣にいたから。
一人は星を見た。足元を検める相方が隣にいたから。

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二人の囚人がいた。 その①

二人の囚人がいた。一人は泥を見た。一人は星を見た。
星を見た囚人は、いつかあの星を掴みに行こうと言った。その言葉は、二人の希望になった。
泥を見た囚人は、我々のいる場所はこんなにも汚く醜いと言った。その言葉で、二人は現実を見つめ続けることができた。

ある日、牢の錠が外れていた。
星を見た囚人は、今こそあの星を掴みに行こうと言った。その言葉で、二人は自由へ踏み出すことができた。
泥を見た囚人は、我々の行く道はこんなにも泥濘んでいると言った。その言葉で、二人は転ぶこと無く歩き続けられた。

二人は並んで荒野を歩き続けた。
星を見た囚人は、あの山に登れば星に手が届くやもと言った。その言葉で、二人は疲れた足を動かし続けることができた。
泥を見た囚人は、我々の行く道はこんなにも湿っていると言った。二人は泥水を漉して、少しだけ喉の渇きを癒やすことができた。

二人は泥濘の中に粘土を見つけた。
星を見た囚人は、素朴な素焼き人形を作り上げた。温かなその作品は、旅人の胸を打ち小金と交換された。
泥を見た囚人は、無骨な壺を焼き上げた。頑丈なその作品には、旅の荷物を収めることができた。

二人の行く道は、次第に固く乾いた土を纏いだした。
星を見た囚人は、空を暗雲が埋め尽くすのに気付いた。その発見は、二人の喉を潤す清潔な雨水の到来を示した。
泥を見た囚人は、しぶとく根を張る雑草の虫食いに気付いた。その発見は、昆虫と野草という僅かで明確な食料の存在を示した。