LOST MEMORIES ⅡCⅣⅩⅤ
翌日、放課後の話だ。
「歌名、今日の放課後何も予定がないなら、一緒に帰りません?」
次の日、珍しく瑛瑠が誘ってみると、案の定目をまんまるにして歌名が問いかける。
「いいけど……どうしたの?何かあった?」
瑛瑠は、何でもないと言いかけてやめてみる。少しずつ、自分のことを知ってもらおう。
「柄にもなく妬いてしまったので、慰めてもらおうかと。」
冗談めかしてそれとなく言うと、歌名は一瞬ポカンとして、何それと吹き出す。笑い出した彼女に、瑛瑠もつられる。
「いいよ、傷心の友人には帰りにコンビニスイーツでもプレゼントしたげる。」
コンビニスイーツの言葉に、瑛瑠は目を輝かせた。例のコンビニおむすびの日、歌名は約束通り連れていってくれた。たくさんのスイーツに、どれにしようか迷ったものだった。
「で?英人くんなんでしょ?」
あれだけ避けてればわかるよ、何したの?そうにこにこする歌名の顔は“言え”と言っている。
隠すことでもないかと思い、口を開いた瑛瑠が紡ぎだした言葉。
「英人さん、昨日女の子とデートしてらして。」
「……は?」
可愛い笑顔の歌名の額には青筋が見えるのは幻覚だろうか。