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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3.5

雨月視点


静かにピアノを弾き続ける涼香。本当に何も覚えてないんだ。あんなに必死であの四人のことを守ろうとしてたのに。人間ってやわだなあ。誰かに守ってもらわないと行けないなんて。
きっと私にも、人間だった頃があったんだろうけど、何も覚えてない。何も分からない。なにかを守る理由が。守るものも、守られることもなかったから。愛されなかった。ただそれだけ。分かりきってる事。だから、きっとその、憎しみで、私は、死んでから、キョンシーなんかになったしまったんだろう。
こんなに醜い見た目じゃ、ここでも誰にも愛されない。でも、風花が教えてくれた。怪物は、同族には優しいってこと。
だから、できることなら、二度と人間は見たくない。
涼香は、愛されたのかな。愛されてたか。あの四人に。悔しいな。あの四人に教えてやりたい。「怪物になってから、お前らのことなんか、涼香は忘れたよ」って。
きっと、あの四人は、笑って許すんだろう。悔しい。私だって、愛されたかった。
どうしようもなく悔しい。
きっと私は、涼香に嫉妬してるんだ。こんなに醜い感情を持っているから、愛されないんだ。
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はい!皆さん!お久しぶりです!
イカとにゃんこです!覚えてる人いますかー⁈
覚えてる人はレスください!
実は、部活を辞めたり、勉強したり、ベース弾いたり(おい!)で忙しかったので書き込みできませんでした。(苦しい言い訳)
これからもよろしくです!(急だな!)

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ファミリア達と夏祭り act 7

「…そう。じゃ、行けば?」
ナハツェは興味なさげに言った。
「えナハツェ興味無っ」
キハはちょっとわざとらしく後ずさった。
「別に俺は行きたくてここに来たわけじゃないんだし。ただキハがやらかさないか気になって…」
「ほらとにかく行こっ!!」
ええっ?!とナハツェが言う頃には、もうその腕はキハに握られ思いっきり引かれていた。
「ちょっと待ってちょっと待って。何⁈」
「え? だから2人で屋台回ろって…」
キハはキョトンとしたように首をかしげる。
「…俺許可してないんですけど」
「えーでもさいいでしょ! ボク的には2人で回りたいもん」
「何それ…」
ナハツェはあきれたようにうなだれた。
「まぁまぁ、いいじゃない」
「そうだぜ、2人でデートして来い!」
ピシェス、そしてカロンはそう言って2人に行くよう促した。
「…デート言うな」
「いやだってキハはナハツェLOVEじゃん」
「うるさい」
あーぁ、とナハツェはため息をついてから言った。
「好きにしろ」
「ホントに⁈ じゃー行こっか!」
ナハツェの渋々の同意を聞いて、キハは嬉しそうに彼の腕をもう1度握りなおして歩き出した。
「…行っちまったな」
人混みを行く2人の後ろ姿を見ながらカロンが呟いた。
「じゃあわたし達も行きましょうか」
「そうだな、カシミールも行くよな?」
カロンは笑ってぼくに尋ねた。
「ええもちろん。あの2人は、ぼくの千里眼で見守りますし」
ぼくはにこりと笑って右目を若草色に変えた。
「…フッ、透明で自力で消したり出したりできる羽根を持つ、様々な力を持った使い魔”ピクシー”は便利だなぁ」
カロンはにやっと笑う。
「…別に、マスターは自分の喫茶店の働き手のためにぼくを作ったのですよ?」
ぼくはそう苦笑すると、歩き出した2人の後を追って歩き出した。

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ファミリア達と夏祭り act 6

「…人、多いね」
「そうだな…」
午後5時、ぼくらは夏祭りの会場へ足を踏み入れていた。
「ほんと、こんな中で正体がバレたらたまったもんじゃないわね…」
多くの人々で込み合う祭り会場を見渡しながら、ピシェスは呟く。
「てか割とキハはカモフラージュできてんな。すごい」
帽子を改造(?)して、角を上手いこと頭から直に生えてるように見えなくしているキハを見て、カロンは感心したようにうなずいた。
「ま、道行く人間からはただのコスプレイヤーみてーなのにしか見えてないんだろうけど…にしてもこの服慣れない」
ナハツェは自分が来ている和服の袖を眺めながら言う。
「えへへ~ん、いいでしょー。ボクのマスターにお願いして、全員分レンタルさせていただきましたー!」
そうキハは誇らしげに手を上げる。
「キハの御主人は太っ腹だね」
「というかさ、この格好する必要あった?」
「そう? こっちのほうが楽しくない? あとさ、今はマスターに内緒でこんなとこ来てんだよ? いつもと違う格好ならバレないかもだよ?」
だからいいでしょ!とキハは周りの目を覗き込みながら言う。
「うー…どうなんだろ」
「まぁ羽根を魔術で消さなきゃこんなの着れないからね」
「あ、でもぼくはこれでもいいかな~」
皆が口々に言う中、ナハツェがポツリと呟いた。
「…なぁ、それでどうすんの?」
「え?」
キハがぽかんとしたように首をかしげる。
「だから、来たはいいけど何すんだよ」
ナハツェがちょっと苛立たしげに言う。
「あー…とりあえず、お店回ろ! んでもって花火見る~!」
キハは明るくみんなに言った。

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ファミリア達と夏祭り act 5

「え? そりゃ…おれは行きたいけど?」
「…私も」
「え、ちょっと待て2人ともマジで?」
ナハツェがカロンとピシェスに向かって思わず身を乗り出す。
「…まじで」
「え、じゃぁカシミールは⁇」
お前はどうなの?とナハツェはぼくの方を見る。
え、ぼく…?とぼくはビックリして自分を指差す。
「…ぼくも、行きたいけど…」
ぼくの返事を聞いて、うわマジか…とナハツェはため息をついた。
そして、彼はあきれたように言った。
「しゃぁない、俺も行く。カシミールがいるとはいえ、キハがいる時点で何が起きるか分かんねーから、俺もついてく」
「やったぁ! ありがとう、ナハツェ!」
喜びのあまりキハはそう叫んでナハツェに抱きついた。
「うわ! よせキハ! 椅子から落ちるっ!」
やめろとナハツェは突然抱きついてきたキハを引きはがそうとするが、キハはずっと幸せそうに抱きついたままだった。
「…でキハ。夏祭りっていつなの?」
ふと、思い出したようにカロンが呟いた。
「え、いつって? 明日! 明日の5時っから!」
キハはカロンの方を見ながら言う。
「え、明日?」
「明日か…」
「別に暇だからいっか…」
いっそもう少し前に伝えてくれた方が良かったんじゃないのとぼくは思ったが、さすがに言おうとは思わなかった。
「じゃ明日の3時くらいにここに集合ね~! 約束だよ?」
キハは明るい声でみんなに言った。
「ん? なんで3時? 5時からだよねぇ?」
ぼくは思わずキハに尋ねた。集合時間にしては早すぎない?
「え、それはね~当日まで内緒!」
キハは口元に指を当ててウィンクするだけだった。

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ファミリア達と夏祭り act 4

「え⁈ 何? ねぇ教えてよピシェス!」
ピシェスの呟きに、キハは目をキラキラと輝かせて反応する。
「…え、そりゃぁ、カロンは耳を帽子かなんかで隠して、シッポは服の中に押し込めばいいし、キハは帽子に穴開けて角通せば、直に角が生えてるってそう分かんないでしょう?」
「え、ピシェスてんさーい!」
ピシェスの策を聞いて、キハは思わず声を上げた。
「いやちょっとひねれば思いつくでしょ」
ピシェスはそんな褒め言葉を聞いても何食わぬ顔だった。
「いやちょっと待て、羽根はどうする。隠すの難しいぞ」
不意にそう言ったナハツェは、自らのコウモリの翼のような黒光りする羽根を、マントから出して見せた。
「あ、ほんとだ」
「そーいやピシェスも羽根あるよな。白いのだけど」
そうね、と言って、ピシェスは背中から生えてる白い羽をこちらに見せた。
「羽根はもう魔術使って隠すしかないわね」
「え、それどーすんの」
できんの?とカロンが椅子から立ち上がっていう。
「そりゃぁ、キハの御主人に頼むしかないでしょう? そういうの得意らしいし」
ピシェスがちらとキハを見ると、キハはえ? ボクんとこの?と自分を指差した。
「そう、優しい人だから頼めばやってくれるでしょう?」
「…待て、キハのマスターはマジで会いたくないんだけど」
ナハツェがうつむきがちにピシェスを制止する。
「あそっか。ナハツェはピシェスの主さん苦手なんだっけ」
「えーどーしてー? ボクのマスター良い人じゃーん」
周りに尋ねられると、ナハツェは嫌そうに目をそらす。
「…ああいうのは嫌なんだよ」
「そう…」
ピシェスは静かに呟く。
「じゃあナハツェは夏祭り行かないの?」
キハはナハツェの顔を覗き込みながら聞く。
「…そもそも行きたかない。ていうか、みんなはどうなんだよ?」

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ファミリア達と夏祭り act 3

「無理だ」
「え?」
不意に、ナハツェがキハの提案を遮った。
「このメンバーじゃどうあがいても無理だろ。目立ちすぎる。それに…”マスター”の許可取れると思う?」
「…」
現実を突きつけられて、一同沈黙する。
「隠匿されるべき”魔術”の最上級の産物である俺たち”使い魔”が、堂々と人の多いところに出られると思う? 一般人にバレたら即消滅させられるかもだし」
「確かにそうだけど…」
「もーナハツェは頭固いな~」
それでもキハはのんきそうだった。
「…当たり前のことだ」
ナハツェは冷たく呟く。
…確かに、この世界でずっとその存在を隠されてきた”魔術”の一端が、一般社会の日の目を見てしまうことは禁忌中の禁忌だ。
そして数多ある魔術の中でも、最上級の”使役精術”によって創られた”使い魔”は、一般人の前に正体をあらわにしてはならないのだ。
特に”使い魔”の中でも、最高クラスである人のカタチをしたもの―ここにいるメンバーは、人間のカタチをしているとはいえ、普通の人間と区別するために翼や角、獣の耳を与えられている。
耳や角はどうにか隠せても、翼は隠すのが難しく、うっかり人間でないことがバレれれば自らの主人である”魔術師”に、消滅させられるかもしれないし、他の魔術師に狩られてしまうかもしれない。
だから、使い魔だけで人の多い場所に行くのはかなり危険でできたら避けるべきことなのは、使い魔たちの暗黙の了解だった。
まぁでも楽しいことが好きなキハなら行きたがるのも無理はないか。
「だからキハ、これは諦めろ」
「え~やだみんなと行きたいぃ~」
諦めろ、と言われても、キハは1人駄々をこね続ける。
「…あ、でも、行こうと思えば行けるよ」
ぽつっ、と何かを思いついたようにピシェスが呟いた。

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ファミリア達と夏祭り act 2

「俺はホットでもいい。別にアイスも飲むけど」
「え~でもボクはナハツェが無理してないか心配だよ~」
キハと呼ばれた角が生えた子が、ナハツェにすり寄りながら言う。
「…ウザいから離れろ。紅茶淹れらんない」
ナハツェはブスッとした顔でキハに言う。
それでもキハはえ~やだ~と駄々をこねて離れなかった。
「まぁ…そこまで気にする必要なくね? キハはお前さんが好きなんだし」
猫とも犬ともつかぬ耳を持つ赤髪の人物が、ナハツェに向かって笑いかける。
「…そーだよー」
赤髪の人物の隣にいる長い青髪の人物もうなずく。
「…何なんだよ、カロンも、ピシェスも…」
ナハツェはあきれたようにため息をつきながら、手元のカップに紅茶を淹れた。
ぼくはそんな彼らの様子を見ていて、ふとキハの手に目が留まった。
「…キハ、何もってんの?」
ぼくの言葉で、周りのみんなの視線がキハに集まる。
「ほんとだ」
「あーそれさっきから気になってたんだよね」
「お前、何もってんの?」
ナハツェが尋ねると、キハは、ん? コレ?と手の中にある紙筒をみんなに向かって広げて見せる。
「じゃじゃーん! 夏祭りのお知らせ!」
は?と周りの者たちは呟く。
「…何の話?」
「夏祭りって…」
「てかソレどこから持ってきた」
ぼくもそうだけど、キハ以外のみんなは何のことか、全く分かっていないみたいだった。
それでも気にせずキハは話を続ける。
「今度ここの近くの公園で夏祭りやるんだって。だからみんなで行こう!」

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ファミリア達と夏祭り act 1

「お待たせしました。キリマンジャロコーヒーです」
「おお、いつも悪いね」
「いえ、とんでもない」
いつものように常連客と言葉を交わして、ぼくはさっきまでいたカウンターに戻った。
ちょうど、火にかけているティーポットが鳴いている。
そろそろ頃合いかな、とぼくはポットの蓋を開けた。
「…おや、また頼まれたのかい」
この喫茶店の主であるマスターが、カウンターに肘をつきながら尋ねる。
「ええ、いい茶葉が手に入ったから頼む、と… 自分でできるのだから、自分でやればいいのに」
「ハハハ、彼らしい。でも彼としては皆と雑談しながら紅茶を嗜みたいのだろう? なら、応えてやってくれ」
「はいはい、マスター」
ぼくはそう返してから、銀色のお盆にティーポットとカップを載せ、カウンターの奥へと向かった。
店内から見えないところにある急な階段を、ポットをひっくり返さないように上っていく。
一段一段上っていくうちに、2階にいる者たちの話声が聞こえてきた。
ぼくはその声に負けないように、面倒だけど階段を上り切った時に声を上げた。
「はいは~い、紅茶持ってきたよ~」
「あ、来た」
「遅いよ、カシミールぅ」
下で接客してたから仕方ないでしょ、と言いながら、ぼくは紅茶を頼んだ張本人の前にポットとカップを置いた。
「えーと、ローズ…何だっけ?」
「ローズスィーテ。別に覚えなくてもいい、そもそもお前は覚えられないだろう?」
紅茶を頼んだ黒服の人物は、ぼくに向かって嫌味っぽいことを言う。
「カシミールは匂いでそういうの見分けるからね~ ところでナハツェ、ホットじゃ熱くない? 今は夏だし」
ナハツェ、と呼ばれた黒服の人物の隣にいる、細い角が額に生えた鬼のような人物が、にこにこと笑いながら尋ねる。