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【第一部 FANATICALとADDICTED】p.1

1話 狂信的で依存的な


「ただいまアディくーん、愛しのハニーが帰ってきたわよー」

 07号室の扉が開き、派手な服装の少女がにこにこしながら闖入してきた。

「おー、おかえりー。ファナ、遅かったな」

 アディくんと呼ばれた少年――アッドは簡易ベッドに横になって、本を読んでいた。その隣には文庫や新書など五冊が積まれている。
 アッドは少女をファナと呼んで、一度振り返っただけで読書を再開する。

 時刻は午前0時。子供が出歩くには遅すぎる時間に帰ってきた相棒を心配する素振りを見せないアッドに、ファナは不満そうな顔をした。

「ねーちょっと! 親愛なる女の子がこんな遅い時間に帰ってきたのよ。心配してよ!」
「別に心配することないだろ。襲われても倒せるんだし」
「そーうーだーけーど! 何、ファナには興味ないんだ?」

 ファナは拗ねた顔でベッドに寝そべるアッドの上に跨って座った。アッドは苦笑して本を閉じた。

「なんか飛躍したなあ」

 アッドは起き上がって、左手でファナの頬を優しく撫でた。その左の薬指にはめた指輪はファナとお揃いだ。

「じゃあどこ行ってたの」
「えー、どこだと思う?」
「自分で言わせといて……」

 不平を漏らしつつもアッドの表情は愛しい者を見るときの微笑みを浮かべている。ファナはその手を優しく包んで、満足げな表情を呈している。

「それよりね、ファナ、今日10万も貰っちゃった」

 ファナはそう言って剥き身の10枚の紙幣を鞄から取り出し、無邪気に少年の目の前に突きつける。アッドは複雑な心境で眉をひそめた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ⑱

「ボク達について来るのはいいけど、異能力者同士のいさかいに自分から首を突っ込むなってボクは言いたいんだ」
ネロはそう言って立ち上がった。
「…異能力は”一般人”には秘密にしなくちゃいけないものなんだよ」
それなのに、異能力の事をアンタは知ってしまった、とネロはわたしを睨む。
「そんなアンタが今回の決闘に手を出したら、どうなるか分かんないだぞ?」
それでボクは忠告してるんだ、とネロは瞳を赤紫色に光らせた。
わたしはその言葉に気圧されそうになったが、負けじとで、でも!と立ち上がる。
「他の皆は…」
「あーゴメンおれネロに賛成だわ」
わたしの言葉を、耀平が手を挙げて遮断する。
わたしは驚いていると、耀平はだってと続けた。
「一般人のお前を下手にこのごたごたに巻き込む訳にいかねーし」
それに、と耀平は黎や師郎の方を見やる。
「足を引っ張られた結果、おれ達の内の誰かがヴァンピレスの手にかかっちゃ困るし」
なぁ?と耀平が同意を求めると、黎は静かにうなずき、師郎はあぁそうだなと答えた。
「そんな…」
わたしは思わず落胆する。
それを見て師郎は、まぁ仕方ない事さと呟いた。