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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 5

防衛組織・ドムス総本部の中層階からは、要塞都市を囲む壁に向かって放射状に“橋”が伸びている。
要塞都市の壁の上部には有事の際に都市を守る天蓋を展開するための回路が張り巡らされているのだが、それだけでなくドムス本部から有事の際に出撃していくアヴェスたちが天蓋の外に出るための出入り口も存在している。そのため人類の敵・アリエヌスが襲来してきた際は、その“橋”を経由してアヴェスたちは天蓋の上へ向かうのだ。
もちろん平常時も許可を得られれば壁の上に出ることは可能なので、アヴェスたちは訓練などを目的に“橋”を渡っていくことは多い。そういう訳で、アカたち5人は各々の武器・レヴェリテルムの入ったケースを持ちつつ“橋”を渡って壁の中へと向かっていた。
「ねぇねぇ、今度の休日、みんなで街を散歩しようよ〜」
“橋”の上を歩きつつ、黒と桃色のジャケットを着たアヴェス、ロディが後ろを歩く仲間たちの方を振り向いて言い出す。それに対し、空色の地に黒いストライプの入ったジャケット姿のアヴェス、クリスが「どうしたんだ急に」と聞く。
するとロディは「えー」と笑った。
「だってアカはまだここの要塞都市のことよく知らないだろうし」
「ロディたちで案内してあげようよ!」とロディは飛び跳ねる。クリスは「お前なぁ……」と呆れたような顔をするが、ベレー帽のアヴェスことトログは「それいい‼︎」と手を叩く。
「ボクたち最近そんなに遊んでなかったし、これをキッカケにカテルヴァに入ったばかりのアカと仲良くなりたい!」
「ロディあったまいい〜!」とトログはロディに近付く。ロディは「えへへ〜」と照れ臭そうにした。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 4

午後3時半、午後の暖かな光が燦々と窓から降り注ぐころ。
要塞都市・パッセリフォルムズの中心部にある高層建造物——防衛組織・ドムス総本部の、アヴェスたちの居住フロアのラウンジにあるエレベーターの扉が開く。エレベーターの扉からは、3人のアヴェス……クリス、トログ、そしてアカが降りてきていた。
「あ、来たきた」
ラウンジに備え付けられた椅子に座って他愛もない話をしていた2人のアヴェスが、3人に気付くと椅子から立ち上がった。
「待ってたよー」
「クリスたち〜」と2人のうちの一方、リボンのついた黒と桃色のジャケットに白いシャツ、そして桃色のバルーンパンツのアヴェスは飛び跳ねながら3人に近付く。それを見て「すまんなロディ、モザも」とクリスは返す。
「普段待ち合わせに遅刻ばかりするおれらより、クリスたちの方が遅刻するとは思わなかったぞ?」
椅子に座っていた2人のうちのもう片方……若草色の開襟シャツに暗灰色と黄緑色のストライプ柄半ズボンを身につけ、暗灰色のジャケットを腰に巻いた浅黒い肌のアヴェスは、「どうしたんだ?」と腰に手を当てつつクリスの後ろに立つトログとアカの顔を覗き込む。トログは「ごめんってばモザ〜」と手を合わせて申し訳なさそうにしたが、アカは真顔のままなにも言わない。
「ボクがアカとお喋りしに行ってたら約束忘れそうになって〜」
「もう、トログはドジっ子だなぁ」
「モザだってやらかしたりするじゃーん」
トログと浅黒い肌のアヴェスは暫しそう言葉を交わしていたが、やがてクリスが「トログ、モザ」と声をかける。
「さっさと自主練始めるぞ」
クリスはそう言うとまたエレベーターの方へ向かう。それを見て、アカたちは荷物を持って彼のあとに続いた。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 3

「なに考えてたの⁈」
「放課後のこと? 今日の晩御飯? それとも……」とベレー帽のアヴェスは矢継ぎ早に尋ねる。しかし橙色の詰襟のアヴェスは「そんなんじゃないし」と外を見たまま呟いた。
ベレー帽のアヴェスは相手の言葉を気にせず話を続けていたが、その途中で「トログ! アカ!」と廊下の方から声が聞こえてきた。二人が廊下の方を見やると、空色の地に黒いストライプが入ったジャケットとズボン、白い立ち襟シャツを身につけたメガネのアヴェスが立っていた。
「あ、クリス!」
「どうしたの〜?」と、ベレー帽のアヴェスは手を振る。クリスと呼ばれたアヴェスは、どうしたのじゃねぇしと教室内に入ってくる。
「今日は放課後にみんなで訓練するんだろうが」
「お前が提案したんだろ、トログ」とクリスは腰に手を当てる。それを聞いて、トログと呼ばれたベレー帽のアヴェスは「そうだった!」と手を叩いた。
クリスは「忘れんなよ」と呆れたように呟く。
「とにかく、荷物まとめてさっさと行くぞ」
「トログ、アカ」とクリスは言って教室から去っていく。「今から準備するから待っててよー」とトログは声をかけると、橙色の詰襟のアヴェスに「行こう! アカ」と笑いかけた。
アカと呼ばれたアヴェスは、「まぁ、うん」とぎこちなく頷いた。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 2

「それでは、本日の授業はここまで」
「みんな、宿題はちゃんとやっておくように」と言って、教室から教官が去っていく。それを見届けてから、教室内にいる色とりどりの服を着た少年たち…アヴェスたちは椅子に座ったまま近くの席の者と会話を始めたり、荷物を鞄にまとめて教室から去っていったりと、思い思いに動き始めた。
そんな中、教室の窓際の列の一番後ろの席で橙色の詰襟にバルーンパンツを履いたアヴェスは窓の外に広がる青空を見つめていた。
「……アーカ‼︎」
どんっ、と机を叩く音で橙色の詰襟のアヴェスはハッと我に返る。彼が思わず机を叩いてきた人物が立つ自身の左側を見ると、茶色と鳶色の千鳥格子模様のケープと白いパフスリーブシャツ、そして茶色いバルーンパンツとベレー帽を身につけたアヴェスが机に手をついていた。
「……」
橙色の詰襟のアヴェスは、相手に黙って冷たい目を向ける。しかし相手のベレー帽のアヴェスは、気にせずニコニコ笑っていた。
「どうしたの? ずぅっと外眺めちゃって」
「授業がつまんなかった?」とベレー帽のアヴェスはその場にしゃがみ、机に頬杖をつき始める。橙色の詰襟のアヴェスは「別に」とまた窓の外を見る。
「ただ物思いにふけってただけ」
「へぇ〜! 物思い‼︎」
ベレー帽のアヴェスはなぜかきらきらと目を輝かせる。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 1

「ねぇ、要塞都市の外へ行きたいって思ったことある?」
近代的なレンガ造りの要塞都市中心街から離れた丘の頂上に座りつつ、橙色の詰襟ジャケットとバルーンパンツ、帽子に黒い和袖の外套を羽織った少年が、同じようなジャケットとバルーンパンツに帽子、そして白い和袖の外套を羽織った少年に尋ねる。白い外套の少年は「どうした?」と訊き返す。
黒い外套の少年は「え〜いいじゃーん」と遠くを見る。彼の視線の先にはこの要塞都市を守る高い壁が小さく見えていた。
「何気なく思ったんだしー」
黒い外套の少年はそう言って笑う。白い外套の少年は「ふぅん」と頷いた。
「コマは思ったことすぐに言えるよね」
「?」
白い外套の少年がそう呟くと、コマと呼ばれた黒い外套の少年は左側を見て首を傾げる。白い外套の少年は「いやだって」と続ける。
「コマは誰とでも話せるし、自分より話すのが上手いから」
「うらやましい、な」と白い外套の少年は膝を抱える。それを見て「もーしょげないでよアカ〜」と隣に座る白い外套の少年の肩を叩いた。
「アカにはアカなりのいいところがあるんだからさー」
「そんな顔しないの〜」とコマは笑う。アカは「そうかな……?」と照れくさそうにした。
そしてコマは思い出したように、アカに尋ねる。
「それでさ、アカは要塞都市の外に行きたい⁇」
その質問に、アカは少し考えてから答える。
アカの答えを聞いて、コマはアカらしいねと笑った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑲

「えーすごいじゃーんれーいー」
ネロはそう言って黎にくっつく。
黎は静かにネロの頭を撫でた。
一方それを見る耀平は少し不服そうな顔をしている。
「お、耀平嫉妬してる?」
ネロがかわいくて仕方ないんだな~?と師郎はそんな耀平の肩に手を置く。
すると、そ、そんな訳ないしと耀平はその手を払った。
その様子を見て霞さんはふふふと笑うが、ここでわたしはさっき思ったことを思い出し、彼に尋ねる。
「…そういえば、霞さんって異能力者だったんですね」
わたし、全然気付かなかったです、とわたしが言うと、霞さんはまぁねと頭をかく。
「君が一般人だから言わなかったけど、ネロちゃんが堂々と異能力を使っているのを見て大丈夫だと思ったからさ」
だからあの通り使ったんだ、と霞さんは一瞬両目を菫色に光らせた。
「ちなみに僕のもう1つの名前は”オウリュウ”だよ」
霞さんの言葉に対し、わたしはそうなんですねと答えた。
「…まぁ、そんなことは置いといて」
そろそろ駅へ向かおうぜ、と師郎が手を叩いてわたし達の注目を集める。
「そろそろ霞も帰らなきゃだろ?」
師郎がそう言うと、霞さんはそうだねとうなずく。
わたしと黎もうなずき、ネロは耀平に近付き、行こうよーと彼の腕を引っ張る。
耀平はちょっと不満そうな顔をしていたが、うんとうなずくと駅に向かって歩き出した。
辺りはもうすっかり日が暮れ切っていた。

〈23.オウリュウ おわり〉

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑰

「じゃあ、異能力を解除して」
黎の言葉に耀平は、え、と驚く。
「それじゃおれ達は…」
「いいからお願い!」
霞‼と黎が声を上げた時、分かった!と霞さんが言った。
その途端、辺りの霞がなくなり、元の通りの細道が現れた。
元のように周囲を見ることができるようになったヴァンピレスは、にやりと笑っていつの間にか出していた具象体の白い鞭を振るおうとする。
しかしそんな彼女に向かって中身が入った状態のペットボトルがわたしの後方から真っ直ぐに飛んできて、ヴァンピレスの額に直撃した。
「あうっ」
ヴァンピレスはそううめくと、額を手で押さえながらその場にしゃがみ込む。
「だ、誰ですの…?」
わらわにペットボトルなんて…とヴァンピレスは顔を上げる。
わたしも彼女が目を向ける方を見ると、紺色のパーカーのフードを目深に被った少年、黎が立っていた。
「まさか、貴方…」
ヴァンピレスはふらふらと立ち上がると、黎に向かって具象体の白い鞭を向ける。
黎はかすかに後ずさり、ヴァンピレスは思い切り具象体を振り上げようとした。
しかし、そんな彼女の後ろから、させるかぁーっ‼という叫び声が聞こえた。

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