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少年少女色彩都市・某Edit. Agitation & Direction その①

彩市立市民文化会館。芸術都市である彩市のおよそ中央に位置するこの施設は、敷地内に大ホール3か所、小ホール5か所、展示室4か所を有し、隣に建設されている美術館と並んでこの市を『芸術都市』たらしめる象徴の一つとして、市内外から親しまれていた。
その正面入り口の前に、2人の人影。
「俺さァ、年末の雰囲気って好きなんだよ。ただの冬の日を『1年の終わり』に託けてどこもかしこも面白ェイベントやるだろ?」
人影の片方、ストリート風普段着の少年が相方に話しかける。
「うん、それで今日もたしか……第3大ホールだっけ。『第九』の演奏会やるっていうのは」
学校制服とコートに身を包んだ少女がそれに答えた。
「そそ。こんなデケエ『芸術』があってよォ……あの文化破壊者どもが来ねェわけが無ェンだ」
「だから私達含め、11人も警備に当たってるんだもんね」
「いやァー、俺は心配ですよ。こんなに1か所に集めたら他の守りが薄くなっちまう」
「けど敵も多分ここに集中するよ?」
「いやァー……? 芸術は意外とどこにでも転がってるモンだぜ?」
「まあ、そうだけども」
少女がポケットからスマートフォンを取り出し、時計を確認する。
「……そろそろ変身しとく?」
「だな、『向こう』も準備万端って感じだ」
少年が指差した先には、無数のエベルソルが市民会館に接近する姿があった。

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少年少女色彩都市 act 5

肉塊がその身体を地上の2人に叩きつける。しかし、それは少年がガラスペンで描いた障壁に防がれた。
「っ……やっぱり、結構重いな」
障壁には深く放射状の罅が入っており、一撃を防ぐのが限界であることは明白だった。
「君、早く逃げるんだ。防ぐだけなら何とかできるから」
少年に促されるが、叶絵は怪物の襲撃のショックからか座り込んだまま動かない。
「ああもう、早く逃げるんだよ!」
少年に手を引かれて漸く正気に戻り、肉塊が次の攻撃を放つ直前で、2人は怪物の真下から脱出した。直後、少年の生成していた障壁が粉砕され、肉塊が頭部を地面に叩きつける。
「危なかった……。良いかい、君。今すぐここから逃げて、家に帰るんだ」
「え、いやでも……」
「エベルソルの前で民間人連れて何やってるの?」
2人の会話に、突如薄紫のワンピースの少女が割り込んできた。
「⁉ な、何故ここに……⁉」
少年のことは無視して、少女は叶絵に軽く片手を挙げて挨拶した。
「しかし君、日に2度もエベルソルに遭遇するなんて一周回って逆にラッキーなんじゃない? 今すぐコンビニに行って一番くじ引くのをお勧めするよー。今ねぇ、私の好きなアニメの一番くじやってるんだー」
肉塊のようなエベルソルが近付いてくるのを、少女は片手に引きずっていたヘドロの塊のようなエベルソルを投げつけて牽制する。
「ねえ君、私の助け、あった方が良い?」
少女が少年に尋ねる。
「え、あ、ああ、できればお願いしたいけど……」
「そんな答え方できる余裕があるなら、まだ余裕そうだね」
「えっ」
少女はヘドロ塊のエベルソルを再び拾い、肉塊エベルソルの脇を通り抜けた。
「ぐっどらっく、若きリプリゼントル。本当に駄目そうだったら助けてやるから、せめて私がこいつを片付けるまでは頑張るんだよ」