表示件数
1

遂に10回

あ、ホントだ。赤くて丸い光が2つワンセット。
しかも動いてる・・・まさか・・・これ・・・
「バウッ!!!!」
狼だああああ!?ギャー!やめてー!美味しくないよ~!!(ありきたりだなあ)
皆狼位一発だろって思ってるだろう。
確かに私ならワンパンで灰にできるよ?でも駄目なんだ。
この狼って群れで行動するんだけど、そのリーダーが、人狼なんだ。
知能持ってるから武器を使う。最近なんかは銃も使うんだってさ。
いや、そんなん勝てるか!?ってわけなんだよ。
ええい!「格納魔法」でしまっといた肉全部あげるから見逃してええ~!!!(泣)
あ、止まって食ってる・・・今のうちに!!dash!!!
いや早っっや!?もう追いついて来た!!!もう肉ないよおおお!!!!!
先回りされた!こうなったらもう戦うか!!
・・・あれ?尻尾振ってる。友好的?もしかして・・・?
「仲間に出来そうだ。試してみますか?」
きたああああああ!!!!もちろんYES!!!!
「仲間にする事に成功しました。」
や、やったぜ!!!!狼テイムしたの私が世界初じゃない!?
「名前を付けましょう。  _________  」
あ、そうか。名前か。何にしようかな~。(嬉)
「エリンギがいいです。」 え、ちょ?サミルさん?
「エリンギに決定されました。」
・・・は?おい・・マジで・・・?おま、何してくれてんの?
「私、この子はエリンギだってピンときた・・・」
「だらっっしゃあああああ!!!!!!」
「べぶっ!?」



続く

1

鏡像編年史その③

「ミラークロニクル……、鏡の……えっと……?」
「年代記、または編年史。まあ、早い話が歴史を記すのです」
上手く翻訳できないでいると、片脚の男が続けてくれた。
「あ、どうも」
「良いのですよ。困っている後輩を助けるのも先輩の務めですから」
けれど、翻訳ができてもミラークロニクルが何なのかは全く分からない。
「で、何をすれば良いんですか、それ」
「なに、難しいことは一つとしてありません」
そう言いながら、片脚の男は持っていた手帳を開いた。それを見せてもらうが、中にはよく分からない文字がつらつらと記されていた。
「これ、何語です?」
「何語、と言われましても……、強いて言えば、『我々の言語』ですかねえ」
何だそれ。
「……まあ、それは良いとして、何を書けば良いんですか?」
「ああ、それは簡単」
男が指で宙をなぞり、絵を描き始める。その軌跡は不思議と空間内に残り続ける。
完成したのは、一筆書きでできた、写実的な頭蓋骨の絵だった。
「一人の人間が死ぬ、その時までに遺してきた『何か』ですよ」
…………つまりどういうこと?
「そうですねぇ、その問いに答えるなら……」
心を読まれた!?
「いえ、そんなことは全く。……そう、答えるなら、我々は標的の生きた証を保存する者たちなのです」

2

「えっ!?」
「てんせーって何ですか?」
「うっさい。君、もしかしてあの何もない空間に行ったり・・・?」
「はい!!そうです!!と言うことはあなたも本当に!?」
「てんせーって・・・」
「うっさいわ!今それどころかじゃねえええええ!!!!!」
「もしかして、えーっと・・・」
「ラミエルだ。」
「ラミエルさんも地球から?」
「ちきゅー?」なにそれ?サミルなら知ってたり・・・
「ちきゅー?」あ、うん。知ってた。
「地球からじゃないのか・・・」
「私は元からここで生まれたが?」
「なるほど!?元々ここの住民だったんですね!」
そっから転生者トークで盛り上がり、気がつくと・・・
夜やね。真っ暗。何も見えねー。こんな時は~・・・
「光魔法!!!」シュパンッ!!
ギャッ!?痛ったい!!なんで!?あ、弱点アイコンついてる。
え!?私が元魔王だから?なにそれ無理ゲー。
ってことは私光系魔法使うと自爆するってこと!?
そりゃねーぜ!!!!!(泣)
「どうしました?」
ヤッバ!ばれるとめんどい!!
「今何か光りましたか?」
「あ、うん!け、結構眩しかったね!」
「いや、赤い光が・・・」
赤?さっきのは白っぽかったよ?
「あ、ほら!!そこ!そこにも!」
そこを見ると・・・


続く

0

鏡像編年史その②

「ッ!? 何だ!?」
鍵を拾った瞬間、足元から聞こえた声。咄嗟に飛びのく。
「……良い反射神経だ。わざわざ『それ』を取るだけのことはある」
さっきのと同じ声が、今度は背後から聞こえてくる。
「!?」
振り向く前に、何者かに目と口を手で塞がれる。
「んがっ!」
藻掻こうとしたけれど、直後に手が離れ、さっきまでいた場所とは全く違う空間にいた。
「ここは……?」
「ようこそ、もう何人目かのお人。これであなたも、晴れて我々の仲間入りというわけです。先程の非礼については、勘弁してくださいな」
さっきから聞こえてくる声が答えた。声のする方を見てみると、背の高い、足が一本しか無い男が立っていた。
「なっ、何者!?」
「そんなことはどうでも良いわけで。我々にとって名前にそう価値はありませんで。そういうわけで名乗りは結構」
「……じゃあ、何になら価値があるんです? 相手を呼ぶ時はどうすれば?」
「適当にしてくれれば。大抵の場合、私は『片脚の』だとか『しめじ野郎』だとか呼ばれておりますよ」
何故しめじ。
「何に価値が、という話ですが……」
片脚の男は、腕組みをしてしばらく考え込んでから答えた。
「我々の為した事に、でしょうかねぇ……」
「為した事?」
男は懐から一冊の手帳を取り出しながら続けた。
「ええ。あなたも聞いたでしょう? 『ミラークロニクル』。その編纂ですよ」

1

鏡像編年史

鍵だ。
いや、サイズからしても形状からしても、とてもどこかの扉を開けるには適さなそうな物体ではあるんだけれども、それでも第一印象を強いて述べるなら、鍵だ。そんな感じの物体が、路上に転がっていた。
下校途中、普段なら道路に落ちてるものなんか見向きもしないし、拾うなんてあり得ない。
けれど、その物体はあまりにも魅力的過ぎた。引っ張られるようにそれに近付いていく。屈んで、その物体に手を伸ばす。あと少しで手が触れる、というところで、背後で甲高い音が聞こえた。
はっとして振り返ると、少し怖い雰囲気の若い男性が、自転車に跨って私を睨みつけていた。慌てて道の端に避ける。
自転車が通り過ぎたところで、改めて鍵の方に向き直ると、鍵は既に消えていた。いや、周囲を見回すと、少し離れたところに移動していた。
動いた?何かに運ばれたのか、意思でも……、いや、それはいくら何でも馬鹿な考えか。
しかし、ますます気になってきた。駆け寄っていって、そのまま拾い上げる。
金メッキの剥がれた古ぼけたその物体は、それでも魅力的に日光を反射していた。
これは良いものを拾った。宝物にでもしてやろうとポケットに鍵を入れようとしたその時だった。
「ミラークロニクル」
声が聞こえた。

2

第8回

三分後
落ち着いた・・・私としたことが。
でもこいつ、ヤッバイ。
一口をフォークの先っぽ位に切って食べてんよ。だから遅っっっっそい。
「氷結」
いや凍らせて非常食にしようとすんなし!?
すぐに私が溶かして口に押し込む。
「モガモガ・・・ゴクンッ。な、何をするんで・・す・・・か・・・」
私のハンパない圧力で黙らせる。テヘッ。
さて食事も終えたし観光でもしよっかなあ~。
青い海、沢山の木、倒れてる人、そして綺麗な空。
ん?倒れてる、人?やばい・・・これはやばいぞ・・・
私のめんどくさいレーダーがガンガン反応してる・・・
面倒くさい事にならないよう、そーっとスルー・・・
「どうしました?大丈夫ですか?」
ガッデム!!私のお人好しが勝手に!!
それじゃスルーできないじゃんか・・・
「あ・・・あなた方は?た、助けて下さい・・・み、水が・・・
無くなってしまって・・・ゴホッゴホッ」
「ウォーター」
「ガボッ!!ガボガブ!ブエッファー!!りょ、量が多すぎ・・・」
「あ?問題でも?」
「い、いえ。えーっと私はマユカ。こんな事言っても信じらんないかもだけど、
私、転生者なんです・・・」
「!?」
「てんせー?」
「マジか!?」
「はい。」
「(声を小さくして)実はわたしもだ・・・」


続く

1

第5回

はあ・・・やれやれ。さてコイツ、どうすっかな・・・
なんかついて来る気マンマンな目してる。そんな目で私を見るな~・・・
私、自分で言うのはあれだけど、結構なお人好しなのよ?
そんな目で見られたら強く振り払えないじゃないかぁ~!!(泣)
「最近まともな物を食べてなくて・・・(ぐぅ~)」
・・・もうついて来いっっっ!!!!!(泣)
という訳で魔法使いが追加されました。強いからいいや!(ポジティブ)
街まで会話をして向かう。
「まともなものじゃないって、何食べてたのさ?」
「パンの耳とか、カツの端っこの余った所とかですね。」
「え!?マジで!?」
「マジです。」
「・・・」
「・・・」
「苦労してんだな。お前は・・・」
「あ、いつもの事なのでご心配無く。」
「いや、いつものことってよく体もってたな!?」
「耐性ってやつですかね?」
「違うと思う。街で飯奢ってやるよ。」
「いや、大丈(グゥ~)」
「・・・」
「・・・」
「・・・(ジーッ)」
「(汗)あ、ありがとうございます・・・」
「遠慮するな・・・」
あ、ついた。けっこう近かったな。
「あ、付きましたね。結構近かったですね。」
・・・こいつ、私の心を!?なんてね・・・
で、でもこいつなら・・・無いって言い切れないんだよな・・・
結構有能な魔法使いだしな・・・
そんな事有るはず無いけど一応ね・・・一応聞いておこうかな~・・・

続く

1

神様が与えた私たちへの罪 No.1

「あ?今何て言った?」
「だから、そこどけよって」
「お前いい加減にせーよ。俺は今ここにおるからどかんで。あっち通ったらええやんけ」
「いや、周りの迷惑って分かってないん?アホちゃうか」
「アホで何が悪いねん」
また、戦いが始まった。ヒロトとユウタが取っ組み合いになって、周りにいた生徒が先生を呼びに行く。お決まり事だ。
私はというと、本を読んでいる。これもお決まり事。
こんなやつら、無視しておけ。
それが私の考え。
すぐに、先生が止めに来た。ヒロトの方が顔を真っ赤にして教室から連れ去られていく。それに対してユウタは冷静だ。もう1人の先生が事情を聞いている。
「ねぇ、みっちゃん、またケンカだね。何であんな怒るのかな?素直にどけばいいのに」
「うん。でも、私たちには関係ないでしょ?ほっとこ」
コウは優しく声をかけてくれる。でも、照れくさいからいつも素っ気ない。本当はしっかり話したいけど。

5時間目を告げるチャイムがなった。
国語か。国語は好きだ。本が好きなのだから。

5時間目終わりを告げるチャイムがなった。
あと1時間。6時間目は総合。楽だ。

家に帰っても、お菓子を食べて、本を読む。ただそれだけだ。
あともう3ヶ月もしないで卒業。
中学生だ。

1

タイトル案募集中3話

おお、とれた。早速使用!!エイっ!!
「「勇者」常時発動スキル 自分の攻撃、防御、速度、魔力、HPの全てに
+10000ずつ補正がかかる。」
は!?・・・は!?二回言っちまったよ!!全てに+10000!?
アホなの!?もうチート超えてるよ!?BAN案件だよ!?
はあ、はあ、ふう。うん、私世界最強だね(^_^)
ん!?索敵スキルに反応有り!!数は・・きゅ、90!?
一体なにが!?あ・・・スライムの群れだ。ブニョンブニョンしてる。
食らえ!!「破壊弾」!!!!この魔法はそのまま過ぎるネーミングだ。
しかしそれ故破壊力抜群。威力は物凄い。
ほら。大きなクレーターが出来る位・・・
いやでけーよ!?前世でもせいぜい半径10m位だったぞ!?
これ50m位あるぞ!?あれか?「勇者」のスキルの所為か!?
だとしたら本気でヤッバイよ!?あ、レベル上がった。そーいやレベルはいかほど、
・・・99だ。カンストした。そういや前世で98で死んだんだった。
いまのステはこの位↓
攻撃99999防御89500速度78600魔力86000HP1000000
つっっっっっっっよ!?特に攻撃!!あのアイアンメタリックシールドガーディアンゴーレムにも、
ワンパンで500位入るぞ!?普通1も入らないのに・・・
とりあえず街目指しますか。   
10分後
あかん。迷った。一面砂、砂、砂!!!なめんな!!!そりゃ迷うわ!!!
砂漠の方に来たのが間違いだったのか・・・とりあえず水分補給。
「ウォーター」
プハー!!美味い!!生き返る~!!
それよりも街、どこ?
ジャンプして見てみるか。let's jump!!ってどわああああああ!!!!!!
飛びすぎだ馬鹿!!!あ、でも見えた。東の方おおおおおお!!!!
ズボッ。刺さりました。


続く

1

〜二人の秘密〜

私はいつもの窓から、桜の木を眺めていた。

『満開になったな。』
先生の声がしたので振り返ると、先生はお盆を数センチ上にあげた。
『満開になったら花見って約束しただろ?』

「約束したけど、どこからそのお盆持ってきたの(笑)?」
『私の部屋からだが?』
「ここに来るのに誰にもみられなかったの(笑)?」
『あぁ。』
「先生が廊下でお盆持って歩いてたら変な人だよ(笑)。」
『今日は休みだから誰もいないさ(笑)。』
先生は笑うと隣に座る。

『お茶とお菓子。好きなの食べろ。』
「ありがと〜。」
私はお茶とチョコレートを手にとる。

「もう花びら散ってきちゃってるね。」
『それはそれで綺麗だ。』
「私も満開よりは、散ってるときが好きよ。」
私がそう言うと、先生は散ってきた花びらを一枚掴む。
『ほら、花びら。』
「先生って可愛いことするんだね(笑)。ありがとう(笑)。」
『私も散っているときが一番好きだ。人間は満開の時にしか見てくれないだろうが、桜が散るのは人間にない儚さがある。』
「要するに、綺麗ってことでしょ(笑)?」
『あぁ(笑)。哲学っぽくなっただろ(笑)?』
「う〜ん、どうだろ(笑)。」
先生はチョコレートをひとかけら口に放り込む。

『まぁ、いいじゃないか(笑)。花見を楽しもう。』
先生はそう言うと、太陽に手をかざす。
『今日は良い天気だな。』
「風も気持ちいいしね。」

私達は太陽の光や風を浴びながら雑談し、とても素敵な花見をした。

2

             アイデンティティ

       果てるのか? 止まるのか? 夢と現実の狭間で
       朽ちるのか? 終わるのか? まだいい所なのに

       心臓を揺らしながら 情景をなぞって恋焦がれる
       電車に揺られながら 変わりゆく景色を眺めてる
       懐かしいあれもこれも 全部持っていけるのかな
       がらんどうの深層心理は 誰かが推し量れるのか

       このラストラウンドで 赫い華が咲き乱れて散る
       今宵誰も彼もが 永遠に諸行無常を疎みつづける
       切っても切れない関係性に 嫌気が差してきても
       恨み続けるしか為す術がないなら 用は無いんだ

       明けても暮れても 同じ日を繰り返すプログラム
       嗚呼 昨日今日と変わり映えのない日々に花束を
       甘いも酸いも味わってみないと わからないのに
       俗世の人間は何処か知ったふりして 曖昧を享受

       繰り返す波に揺られるプリズム 重力に翻弄され
       なにも色を写さないわりには 色彩を吐きたがる
       複雑にハーモニーをなして 不安げに転がってる
       単純な真理も忘れ去られ 不満げに撒き散らした

       その貧相な心情は 誰にも救えるものではないが
       その心意気次第では 存外にどうにでもなるかも

       果てるのか? 止まるのか? 正夢と悪夢の間で
       朽ちるのか? 終わるのか? 死に花が咲く前に
       堕ちるのか? 拒むのか? 赫く濡れた手のまま
       果てるのか? 止まるのか? 罪と義の境界線で    

2

告白

せんせい とかいうおおきなひとが
にこやかなかめんをはりつけて なまえをよんだ
べつのひには おともだちをどなりつけていた
おこったかおで なまえをよんだ

おかあさん とかいうおにみたいなひとに
まいにちどなられていた
おうちがこわかった
おとうさん とかいうしゃべらないひとは
さいごまでなにもいわなかった
どこにいったのかな

またべつの先生 は やはりニコニコしているだけで
なかまはずれもいじめもわるぐちも 見えてないフリ
クラスメイト は誰も信じることができなくて
教室の中ではいつもひとり

上級生 とかいう年上のお兄さん・お姉さんたちは
背が私より高くてかっこよかった
私もああなりたい なれるのかな

テレビに出てくるよくわからないことを喋るおじさん は
死んだ魚の目をしていた
いくつになっても言ってる意味が全くわからないや
母親がまた毒づいている

誰かに物を隠されたので 先生に言ったけど
やはりなにもしてくれなかった いじめに対しても何もしなかった

あの先生はいい先生だとみんなは言います
でも私にはどこがいいのかわかりません
みんなはその先生のことをよく知らないみたいです
親を大事にしろとおとなたちは言います
でも私は大事にできません 大事にしてもらえなかったから

笑った顔のままの友達は 中身が何も無かったし
笑った顔のままの先生は 操り人形みたいでした

音楽は好きでした でも音楽の時間は嫌いでした
みんなと一緒に何かをやるのが嫌だったのです
行事とかもどうでもいいです
クラス写真にも 記念写真にも 一緒に写りませんでした

あのステージに立っている楽器の上手い人たち は
先生なんかより 友達なんかより 母親や父親なんかより
死んだ目をしてテレビに出ているおじさんなんかよりも
まともなことを歌っていました
でも裏では何を拝んでいるのでしょう

世の中の大人たち は 憂鬱を背負って生きています
そして時には憂さ晴らしに 自分より下の人たちに八つ当たりをします
味方だと名乗っておきながら 何かあった時は他人事
自分に都合の悪いことは 知らんぷり

私はああなりたくない
ああなるのが怖い
大人になるのが怖い
ああなるしかないのかな

1

非現実ーおとぎ話ってそういうものー ⑤

そんな2人のことを、ローズとリリーはもちろんよく思っていませんでした。とくにリズに対して、とても怒っていました。2人はいろんな方法でヘンリーとリズを邪魔しようとしましたし、リズにもたくさんの嫌がらせをしました。リズはとても優しいですから、なにかの間違いだと思ってとくに気にせず暮らしていました 。でもヘンリーは2人のいやがらせに気づいていました。そして、そのことをヘンリーが知らないと思ってローズとリリーが近づいてきていることにも。
王さまとお妃さまももちろん気づいていました。2人はリズとヘンリーがせっかく結ばれそうなのに邪魔をさせるわけにはいかないと、ローズとリリーを遠い田舎の別荘にしばらく泊まらせることにしました。素敵な男性方とのパーティーが毎晩あると聞かされた2人は、喜び勇んで出かけていきました。
さあ、これでヘンリーとリズの邪魔をする者はいなくなりました。2人はこれから、相手の良いところや悪いところを知り、長い年月をかけて受け入れあっていくでしょう。そしていつの日か本当に夫婦になるかもしれません。もしならなくとも、2人ならお互いをいいパートナーとして、生涯付き合っていけるでしょう。
誰もが結婚するだろうと思っていたカップルが破局するように、一生の友だちだと思っていたひとといつしか疎遠になってしまうように、先のことなんて誰にもわかりません。
けれど、願わくばすべてのひとが、そのひとだけの幸せで満たされていますように。

0

幻獣学① ドラゴン

『幻獣』とは、一般に架空の存在とされる、実在の確定した動物とは大きく異なった性質を持つ動物のことだ。その中でも今回紹介するのは、幻獣の中の幻獣、キングオブ幻獣、ドラゴンだ。
ドラゴンは世界中に生息し、その姿形も種によって様々だ。しかし、大抵の場合、爬虫類の身体的特徴を備えている。
例えば西洋で多く語られるドラゴン。巨大な爬虫類の身体、皮膜の翼、角が生えている種もあり、伝承にある多くのものは、火の息、または毒の息を吐く。
他には、中国や日本に生息する、一般に『龍』と旧字体で書くことによって西洋のドラゴンと区別される種。複数の動物の身体的特徴を備え、空を飛ぶ際には竜巻や雲に乗る。天候を操作する能力を持ち、その体長は、天を覆うほどの巨体から、蚕の幼虫ほどの小ささまで、自在に変化する。
さて、先程『大抵の場合』と書いたが、もちろん例外がいる。
タラスク、と呼ばれるドラゴンだ。これは、硬い甲と長い尾を持ち、そしてこれこそがタラスク特有の特徴なのだが、獅子の頭部と脚を持っているのだ。しかも、脚は三対六本。
これらのような生き物など、いるわけが無い。そう簡単に否定することも出来ないのだ。
皆様ご存じの通り、かつてこの地球上には、彼らの如く巨大な爬虫類が存在したのだから。そう、『恐竜』である。恐竜は、急激な環境の変化に対応し切れずに絶滅した。しかし、ドラゴンはどうだ。身体に宿した炎は、氷河期に彼らを温め、その時代を乗り越えた彼らは、他の動物と同じように、進化、多様化を経て、何種類もが確認されるようになった。人間が現れて以降、その畏怖は信仰へと変わり、ドラゴンは神格的性質を手に入れ、その存在を確かなものとしたのだ。
しかし、神格を得たことが、彼らの存在をまた、不確かにもしたのだ。観測されない『神』を否定する現実主義が蔓延した結果、彼らの存在は、信仰に依存する故、それを失ったドラゴンの実在性は希薄になったのだ。

0

対怪談逃避行10

「とにかく、これでこのお話はお終いだ。我々人間は、見事怪異を撃退し、街には平和が戻った。何から何まで万々歳。お疲れ様」
「あ、はい……」
しかし、徹夜で走り通しだったからか、安心すると流石に疲労が一気にやって来た。眠気と疲労とで、膝の力が抜け、その場に座り込んでしまう。
「ありゃ。まあ、徹夜だったからねえ。軽い休憩以外はずっと走ってたし、緊張が抜ければ、そりゃあそうもなるか。ちょっと待ってな、タクシー呼ぶから。君の家がどこかは分からないから、行き先は自分で運転士に言っておくれよ」
「はい、すいません……」
そこから先の記憶は曖昧だ。気がついたら、自分の家のベッドに突っ伏してた。
「………何だったんだろ、変な夢……?」
水でも飲んで落ち着こうととベッドから立ち上がろうとしたけど、足に上手く力が入らなくて転んでしまった。筋肉痛も酷い。それでやっと、夕べの『あれ』が現実だったと認識できた。
「……マジか。じゃあ、『奴』も……?」
全身の毛が逆立つような感覚。あの時は深夜テンション的なものもあって恐怖が麻痺してたようなところもあったけど、今思い出すと、めちゃくちゃ怖い出来事だったじゃないか。
「………」
とりあえず、枕元に転がっていた双眼鏡を拾い上げる。首にかけるための紐のところを見ると、細く巻いた紙が結んであった。それを解いて広げてみると、『蓮華戸 080-○○○-☓☓☓☓ オカルトに出会ったら相談サレタシ』という走り書きが。
「………まあ、使うことなんて無いだろうけど」
四つ折りにして鞄に放り込み、双眼鏡の方は少し考えてから、押入れに投げ込んでおいた。
「……もう、夜に双眼鏡使うのはやめよ」