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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その⑧

「じゃね、おじさん。もう帰っていいよ。私はおじさんの魔剣作るから」
魔剣? 作る? キュクロプスの能力に関係することなのだろうか。これから関わっていく以上、知っておいた方が良いだろう。この機に尋ねることにする。
「魔剣? 君の能力か?」
「ん。私の能力、『魔剣の鍛造』。島のみんなも全員持ってるよ。おじいちゃんにもあげたの。たくさん」
「悪いけど、私は剣なんか使った事……」
「別に、剣になるとは限らないよ」
「『魔剣』なのに、かい?」
「ん」
微妙に話が飲み込めない。首を傾げていると、キュクロプスが話を続けた。
「『魔剣』っていうのは、別に剣だけじゃない。武器でも何でも無いこともある。分かりやすく言うなら、『魔法のアイテム』みたいなもの。その辺のモンストルムの特殊能力にも負けない不思議な力を持った道具類。その人専用の最高の相棒。それを私は『魔剣』って呼んでる」
説明しながら、キュクロプスは『作業場』に続いている方の扉に向かっていた。
「次、いつ来るの? 私、3日は作業場から出てこないよ」
「あ、ああ……それじゃあ、3日後の12時頃、また来よう」
「ん。じゃね、おじさん」
最後にこちらに手を振って、キュクロプスは作業場への二重扉をくぐり、あちらへ籠ってしまった。

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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その⑦

時々考えるように虚空に目を泳がせながら、キュクロプスは2分ほどかけてメモを完成させたようだった。
「これくーださい」
メモ帳のページを破り、こちらに差し出してくる。ページを受け取り、内容を確かめる。
『牛革3頭分、鋼鉄400㎏、合成ゴムロール10m、プラスチック75㎏、和紙1m四方、アルミニウム10㎏、銅線200m、インバーダの硬質な外皮または甲殻用意できるだけ、インバーダの羽毛用意できるだけ、インバーダの爪または牙用意できるだけ、米5㎏、鶏胸肉300g程度、キャベツ1玉、醤油1L、食器用洗剤1本、歯ブラシ2本、ペット用ウサギ1羽』
後ろの方は食品や日用品だ。1人でこんな場所に暮らしているわけだから、生活支援に必要なのは分かる。しかし、前半の大量の素材の要求は、キュクロプス1人の需要にしてはあまりに多すぎる。まるで工場か業者の発注ではないか。
1度、自分の手帳を確認する。

・キュクロプスが欲しがった物は可能な限り提供すること
・特に工業素材やインバーダの遺骸は絶対に入手すること
・ペットの要求は断ること(長期間作業にかかりきりになることが多いキュクロプスには面倒を見られない)

「……ウサギ以外は次来た時に」
「ざんねん」

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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その⑥

キュクロプスは迷いない足取りで村落の中を突き進み、一軒の民家に扉をノックすることも無く入っていった。
キュクロプスの後を追ったものか、しかし不法侵入するわけにもいかないと逡巡していると、数分ほどしてまたキュクロプスが出てきた。
「あ、キュク……」
キュクロプスは、まるで私のことが見えていないかのように横を素通りして、またどこかへ歩き出した。
目的地はまた別の民家のようだった。そこからも数分ほどして出てくる。そしてまた別の民家へ。
それを何軒か繰り返し、また島民と交流して、作業場のある丘陵に引き返していった。
帰りは、行きで通ったのとは反対の斜面を登る。そちら側は、一面に何かの果樹が植えられていた。
住居に帰ってから、キュクロプスはまず小屋の方に入っていった。一瞬迷ったものの、後を追って中に入る。
扉を閉じて振り返ると、目の前にキュクロプスが立っていた。手には紐状の道具を持っている。
「おじさん、動かないで」
「は、はい」
いやに重い声色に、身体が強張る。
キュクロプスが持っていたのは、巻き尺だった。それを私の身体の至る所に当て、どうやら私の身体の採寸をしているらしい。
「…………ん」
終わったようで、キュクロプスは一度私から離れ、テーブルの上のメモ帳に何かを書き始めた。

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