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第三回ショートポエム選手権

おはようございます、ショートポエム選手権、審査員長のmemento moriです。
一昨日予告致しました通り、第三回ショートポエム選手権を開催する運びとなりました。めでたい。
参加要項は以下の通りです。



『第三回ショートポエム選手権』
お題:「夢」
参加権:1度でもこの書き込みを見た
字数制限:100字以内(スペース、改行は除く)
タグ:ショートポエム選手権
〆切:2022/01/10(月・祝)
審査員:memento mori、テディのわた、*鷹尾*、三日月マカロン(敬称略)



「夢」、と一口に言っても色々とあります。寝ている時に見る夢、将来の夢、幻想的な夢のような、と言ったような夢。あなたが思う「夢」を、存分に表現してください。
書き込む際は「ショートポエム選手権」のタグをお忘れなきよう。
今回、審査員の方々には私の見知った方を選任させて頂きました。もしかしたら「え、誰?」となってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、とても信頼出来る方々だと私が太鼓判を押させていただきます(え、そもそもお前は誰だよって?ソンナコトイワナイデ)。
審査員の皆様方も、何卒よろしくお願いします。良かったらレス欄等にコメントなどお寄せいただきたいです。

期間はなんと41日間。たっぷりあるようで時間というものはあっという間にすぎてしまいます。何度か定期的に告知はさせていただきますが、うっかり〆切に遅れてしまわぬよう冬休みなどを利用して是非是非ご参加ください。

一昨日の告知でもお知らせしたように、まとめの方に第一回の様子がございますので、そちらもご参考程度にご覧いただけると幸いです。
ではでは、皆様の作品、心より楽しみにしております。
memento moriでした。

追記:複数投稿、大歓迎です。ガンガンかいてくださいね。

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信仰

長い夢から醒めた後はいつも
決まって酷く喉が渇いている
脂汗と頬に張り付く髪は
生きることの次に不快だ
白い壁に回る幻影
聖母に抱かれた赤子の顔は何処へ?
首に巻き付いた臍の緒は
未だ取れないままでいる
動けば動くほど喉を締め付けるそれは
一体何の呵責だと言うのか
窓辺に生けた花は苦悩の色をしている
痛覚は何に似ていたか
皮膚に纏わり付いた瘴気を
振りほどくことも出来なくなってしまった
ただ段々と染みついて
いずれ私を腐敗させる
その血肉を水に溶かして
もう一度女の身体から生まれてこようか
気の狂いそうな脈動と
うだる体温をもう一度、もう一度

悄然とした雨の夜を見下ろして
火に集い羽を燃やす蛾は
笑えるほどに私に似ている
いいかいその絶望も悲哀も
誰が与えた訳でも無いのだ
ひとりの男が口元を歪めながら
耳元でずっと囁いている
病院のような礼拝堂に埃は舞って
純潔の乙女は花弁を飲み込んだ
焼け爛れた喉の痛みに耐えながら
冷たい無機質を嚥下する
一切の余白を許さずに刻まれた文字
懺悔によって殺された善良な人間
これが神だと言うのなら
これが正義だと言うのなら
背徳によって救われる命もあるだろう
美などこの世には無いのだ
お前の瞳は何も見てはいないのだ
肉体ばかりがひとりで生きて
私を置いて彷徨っている


嗚呼、昔誰かが言っていた

人の血の赤いのは、昔林檎を食べたからだと

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夜を零す

濃紺が原稿用紙の束に滲んでいく様をただ他人事のように見ていた。
同じ色の文字列が夜に喰われていく。
そのページを食い尽くすと夜は二ページ目、三ページ目へとどんどん文字を呑み込んでいく。星の屑が散りばめられた深い深い夜空がぬらぬらと灯りを反射して広がっているのは至極美しい。こうして見ていると夜の色は濃紺と言うには少し違うように思う。ひとつの色ではなくいくつもの色が幾重にも重ねられている。色の名前には詳しくないが夜色、とでも呼ぼうか。

空になってしまった瓶を手に取るとぬるりという感触と共に手が汚れた。擦れば擦るほど広がって乾いて取れなくなる。僕の手は夜に染まってしまった。乾いた皮膚の上できらきら、と星が瞬いている。やはり美しい。この塵のような燦めきのひとつひとつに物語があるのかと思うと微弱な頭痛を催す。僕がこの手から洗い流してしまえば星はすぐに死ぬ。いや、もしかしたら排水管を伝って下水道に流れ海に辿り着くのかもしれない。

せっせと書いた物語は一瞬で呑み込まれてしまった。しかし不思議と何とも思わなかった。僕の喉は ああ、と無意味な有声音と無声音の狭間の音を小さく漏らすだけだった。
窓の外を見ればもう日没までに残された時間は少ないことが分かった。もう間に合わない、瞬時にそう悟る。

今日は夜が来ない。

人々は慌てふためくだろう。夜が来ない、そう騒ぎ立て面白がる者、気をおかしくする者、恐れ慄く者、目に浮かぶようだ。
そんなに夜が欲しいのならば瓶ごと夜をぶちまけてやっても良いがそれではあと何百年かは夜が明けなくなってしまう。
どうしてこうも毎日毎日綴らなくてはならないのか。遅れることも休むことも赦されない。疲れるが仕事をしなければ人が困るのだ。しかし今日はもう仕方がない。
夜に染まった原稿用紙をぐしゃりと丸めてゴミ箱に捨てる。

そのあと僕は戸棚から新しい瓶を取り出してその中にふらふらと浮かんでいる銀河をしばらく見つめ、眠りについた。

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眠れません

深夜にハサミで枕ぶっ刺して
壁殴ったら指の骨折れました
へこみさえしなくって ああもうどうにもならないや
ラムネみたいな錠剤だか錠剤みたいなラムネだかもう分かんないけど
どっちも甘いからまあいいか
そんなことより早く概念にならなきゃ 夜が明ける前に
空き缶洗って花を生けた
環状線と割れた液晶 
破片が散ってあたしを殺した

昼夜逆転生活が一周回って
早寝早起きになりました
気をつけてねって言うけど カミソリ投げてくるのはそっちじゃん
街のミニチュア綺麗に並べたら
ちゃんと壊してあげるからね
ずれた時計が合う一瞬
パジャマのまんま深夜を貪って コンビニでアイス買っちゃおう
店員さんの手首見つめて
あたりの棒を投げ捨てた

中央線のホームでぼーっとしてたら
リーマンにぶつかられて舌打ちされました
死んだら今度は迷惑だって ぼこぼこに殴られちゃうな
ネズミのしっぽつかんで窓から放り投げた
眠くてしょうがないけど 何でだか全然眠れない
毒々しい色した世界
鳴り止まない通知音
幻聴だか本当だかもう分かんないや

そんな目で見ないでよ
透明人間になって誰も構わないで欲しいけど
やっぱりかまってちゃんだからだめだあたし

今度は優しくしてよね